不動産売買の手引(令和3年度版)
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6契約をする前に1宅建業者が禁止されている行為購入に関して検討が十分でない、資金計画が固まっていない、手付金等の契約時に必要なお金の準備もできていないなど、契約の準備が整っていない段階で「急いで」または「急がされて」契約をしてしまうと買主が不測の不利益を被ることもあります。そこで、宅建業法は買主を保護するために、宅建業者に対して、次のような行為をすることを禁止しています。【禁止行為】1.手付について信用の供与により契約の締結を誘引する行為手付金を貸付けることで契約を誘引すること手付金を分割または後払いにすることで契約を誘引すること2.断定的判断を提供する行為利益を生ずることが確実であると誤解させる言動将来の環境または交通その他の利便について誤解させる言動3.威迫により契約を締結させること4.契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むこと5.勧誘に先立って宅建業者の名称・勧誘者の氏名・勧誘の目的を告げずに、勧誘を行うこと6.契約を締結しない・勧誘を受けることを希望しない旨の意思を表示したにもかかわらず、勧誘を継続すること7.迷惑を覚えさせるような時間に電話し、または訪問すること8.深夜または長時間の勧誘その他の私生活または業務の平穏を害するような方法により困惑させること9.契約の申込みの撤回に際し、受領している「預り金」の返還を拒むこと[1]申込みのキャンセルと申込金物件を見学して気に入ると売主業者や媒介(仲介)業者から購入申込書とともに申込金の支払を求められることがあります。申込みをキャンセルしたときに、申込金の返還をめぐりトラブルになることがありますが、申込者が申込みをキャンセルした場合において、申込金を預かった宅建業者が、当該申込金(「預り金」)の返還を拒むことは禁止されています(上記禁止行為9)。したがって、申込金は返してもらえますが、念のため、申込金を支払うときには、キャンセル(撤回)の際、返してもらえることを確認しておきましょう。17

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