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不動産のQ&A 道路・隣地・法令上の制限等についての説明

I 土地やマンション・一戸建てなどの売買に関するもの
【その1 物件の説明などに関するトラブル】

道路・隣地・法令上の制限等についての説明

Q1 前面道路は「2項道路(ニコウドウロ)」と言われました。はじめて聞いた言葉ですが、どういう道路ですか?

A1 建築基準法第3章の第42条第2項に規定された道路のことです。一般に「2項道路」といわれ、この建築基準法第3章の規定が適用されたときに、既に建築物が建ち並んでいた幅員4m(特定行政庁が指定する区域においては6m)未満の道で、特定行政庁が指定した「みなし道路」のことです。原則として現在の道路の中心線からそれぞれ2m(特定行政庁が指定する区域においては3m)ずつ後退させた線が道路の境界線とみなされ、後退した部分(セットバック部分)には、建築物を建築することはもちろん、門、塀等も築造することはできません。

Q2 新築マンションを買う契約をする時に、売主の宅建業者が隣地の建築計画を説明してくれませんでした。 3階の私の部屋の採光・通風は大いに影響を受けることが確実です、業者の責任を問えないでしょうか。

A2 隣地の建築計画などは、買主にとって大きな関心事であり重要な判断要素でしょうが、隣地所有者が適法な建物を建築することを差し止めることは難しいと思われます。売主の宅建業者は、隣接地の建設計画等について知っている場合だけでなく、建築計画に関する標識等により容易に調査することができる場合も説明義務を負うと言えるでしょうが、隣地所有者への聴取等積極的な調査義務があるとまでは言えないと思われます。気がかりな点があるようでしたら、宅建業者に説明を求めるようにしましょう。

Q3 新築マンションを購入する契約をして、完成した部屋を見ましたが、 南側にある建物のせいで午後早くから日が当たらなくなってしまいます。「日当たりは十分です」との説明を聞いて契約したのだから、 契約を解除できると思うのですが?

A3 宅建業法では、将来の環境等の利便について誤解されるような断定的な判断の提供をすることを禁止しています。しかし、 ご質問にある「日当たりは十分です」という営業のセールストークだけを捉えて、 この断定的判断の提供に当たるかどうかを判断することは困難です。契約をする前に現地を確認されたことと思いますが、南側の建物は、契約の時点ですでに存在している建物ですので、 ある程度日照が妨げられることは現地の確認により容易に推察することができたのではないでしょうか。 「重要事項説明書」にどのように記載され説明されたのかが問題になるでしょう。契約の解除ができるか否かは、 契約締結までの事情等が総合的に判断されることになると思われます。

Q4 住宅を建てるつもりで買った宅地が市街化調整区域内の土地で、家は建たないと市役所の人から言われました。 媒介(仲介)業者からそんなことは聞いていませんでした。契約を解除したいのですが。

A4 市街化調整区域内の土地は、原則として住宅を建築することはできません。媒介(仲介)業者は、重要事項説明において「住宅を建築することはできない」ことを説明しなければなりませんが、重要事項説明は受けていませんか。住宅を建てる目的であることを売主、媒介(仲介)業者に告げ、この土地を購入したにもかかわらず住宅が建てられず、建てられないことを売主や媒介(仲介)業者が説明していないのであれば、契約を解除することは可能と思われます。

Q5 中古住宅購入を検討していますが、その家の敷地は個人の地主が所有権を持ったままの位置指定道路に接しています。媒介(仲介)業者は「昨年、隣の家を媒介した時に、地主はその道路の利用や掘削を認める承諾書を書いてくれた。地主は高齢で書類作成を面倒がり、今度は頼んでも書いてくれないが、他の昔から住んでいる家の人たちは普通に通行しているので問題ない。」と言っています。媒介(仲介)業者の話を信じて、買ってもいいのでしょうか。

A5 位置指定道路とは、道路法等によらないで築造する幅員4m以上の道路で、特定行政庁から位置の指定を受けたものをいいます。道路ですから通行に関しては一般の道路に準ずると考えられますが、所有者のいる私道の場合は、道路掘削時の承諾料を要求されたり、売却され所有者が変わってしまうこともあります。また銀行ローンの条件として道路の利用や掘削に関する承諾書が必要な場合もあります。紛争の防止のためにも地主に承諾書を出してもらうよう、再度お願いしてみて下さい。