最新・宅地建物取引業法 法令集
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-199-(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)告示第百十五号により示されているところであるが、依頼者が一目で標準媒介契約約款であるか否か確認できるよう、契約書の右上すみに次のように表示をすることとする。「この媒介契約は、国土交通省が定めた標準媒介契約約款に基づく契約です。」「この媒介契約は、国土交通省が定めた標準媒介契約約款に基づく契約ではありません。」なお、標準媒介契約約款に基づく契約とは、次のものをいう。イ標準媒介契約約款として定められた契約書及び契約約款をそのまま使用する契約(特約の欄で依頼者に不利とならない特約をすることは差し支えない。)ロ標準媒介契約約款として定められた契約書に次の範囲内の条項の追加又は変更を行い、契約書のその他の部分及び契約約款はそのままとして締結する契約(特約の欄で依頼者に不利とならない特約をすることは差し支えない。)宅地建物取引業者が契約の相手方を探索す(イ)るために行う具体的措置(指定流通機構への情報登録、広告等)に関する条項の追加宅地建物取引業者の業務処理状況の依頼者(ロ)への報告、連絡等に関する条項の追加売買等の契約当事者の一方からのみ媒介の(ハ)委託を受けることを依頼者に約した旨の条項の追加契約書の別表(物件の表示)の軽易な変更(ニ)なお、からまでの場合には、追加した(イ)(ハ)条項をアンダーライン等で明示することとする。3標準媒介契約約款について標準媒介契約約款の普及について(1)媒介契約制度の的確な運用を図るため、宅地建物取引業者間の大量取引における販売提携、販売受託等の特殊な事情のあるものを除き、標準媒介契約約款を使用することとする。標準媒介契約約款の書式について(2)①活字日本工業規格Z八三〇五に規定する八ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いることとする。ただし、フリガナ等は八ポイント以下でも差し支えない。②フリガナ等その他必要に応じフリガナを付するなど依頼者にとって読みやすいものとすることとする。標準媒介契約約款の運用について(3)①宅地建物取引業者の成約に向けての義務について専属専任媒介契約及び専任媒介契約の依頼を受けた場合には、成約へ向けて積極的に努力するに当たって、具体的に行う措置(指定流通機構への登録のほか、広告、他の宅地建物取引業者との連携等)を依頼者に明示することとする。イ業務処理状況の報告について報告すべき事項は、宅地建物取引業者が契約の相手方を探索するために行った措置(指定流通機構への依頼物件の登録、広告等)、引き合いの状況等とする。ロ売買又は交換の申込みがあったときの報告について購入申込書等の売買又は交換の意思が明確に示された文書による申込みがあったときは、依頼者に対して遅滞なく、その旨を報告することとする。依頼者の希望条件を満たさない申込みの場合等であっても、その都度報告する必要がある。ハ指定流通機構への依頼物件の登録について「媒介契約締結の日」とは、媒介の契約締結の意思の合致のあった日であって、同日以後に遅滞なく交付することとされている媒介契約に係る書面の交付の日でないことに留意することが必要である。また、契約を締結した当日そのものについては民法上の原則(初日不算入)により、登録期間には含まれない。②報酬返還請求の理由について標準媒介契約約款においては、代金についてのローンが不成立の場合に購入者に売買契約等の解除権が留保されている例が多いことにかんがみ、この場合で、ローンの不成立が確定し、これを理由として依頼者が売買契約等を解除したときも、宅地建物取引業者は、受領した約定報酬額を返還しなくてはならない。また、買い換えのための売却及び購入の媒介の依頼を受ける宅地建物取引業者は、依頼物件の売却が行われない場合の措置として、売却の媒介契約による売買契約の不成立が確定した際、購入の媒介契約による売買契約の成立により受領した約定報酬があるときは、その全額を依頼者に遅滞なく返還する旨の特約をし、書面化することが望ましい。③直接取引について媒介契約の有効期間終了後二年以内に、依頼者が宅地建物取引業者の紹介によって知った相手方と直接取引をした場合には、宅地建物取引業者は契約の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬請求権が認められるものである。④有効期間について有効期間は、法第三十四条の二第三項の制限があり、専属専任媒介契約、専任媒介契約についてはそれを確認的に規定したものである。一般媒介契約については、法律上の規制はないが、実情にかんがみ、専任媒介契約等と同じく三月以内で定めている。⑤特別の依頼に係る費用について指定流通機構への情報登録はもちろんのこと、通常の広告、物件の調査等のための費用は、宅地建物取引業者の負担となる。また、宅地建物取引業者は依頼者から特別に広告の依頼や遠隔地への出張の依頼を受けたときは、あらかじめ、依頼者に標準媒介契約約款の定めに基づき請求する費用の見積りを説明してから実行すべきである。なお、費用の請求は、成約の有無に関わらずできるものである。− 199 −

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