最新・宅地建物取引業法 法令集
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-201-(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)し、収集及び管理は、次の点に留意し、特に慎重を期することとする。①取引事例を顧客や他の宅地建物取引業者に提示したり、その収集及び管理を行う指定流通機構に報告する行為は、宅地建物取引業者が法第三十四条の二第二項の規定による義務を果たすため必要な限度において法第四十五条及び第七十五条の三の「正当な理由」があると解されるものであること。②収集する情報は、価額の査定を行うために必要な成約価額、成約の時期、物件に関する情報とし、取引の当事者の氏名等の情報については、収集をしないこと。③営利を目的として取引事例の伝達の事業を営むこと及びこれを行う者に取引事例を漏らすことは、「正当な理由」があるとはいえないので、許されないこと。④宅地建物取引業者は、媒介価額に関する意見の根拠として適当な取引事例について説明する場合には、依頼者にその取引事例をみだりに口外しないよう要請すること。また価格査定マニュアルの評価内容を書面で渡すときはその旨を説明すること。⑤売り急ぎ、買い急ぎなど特殊な事情のある取引事例は、収集等の対象としないこと。6指定流通機構への成約情報の通知について指定流通機構が公表している平均取引価格等の市況情報は、宅地建物取引業者が指定流通機構に通知する成約情報に基づき作成され、不動産流通の円滑化に重要な役割を果たしている。宅地建物取引業者はこうした成約情報の通知の重要性を認識し、通知義務の履行を徹底すること。また、一般媒介契約等に基づき指定流通機構に登録した物件について契約が成立したときにも、成約情報の通知に努めること。7代理契約について宅地建物取引業者に宅地又は建物の売買又は交換の代理を依頼する契約については、媒介契約に関する規定が準用されるが、通常の取引の代理契約の場合は、契約の相手方、対象物件、取引価額等が確定した後に、売買契約等の締結に係る代理権の授与を受けることとする。また、代理権の範囲については、具体的に列挙することが望ましい。8不動産取引に関連する他の業務との関係について宅地建物取引業者に対しては、媒介業務のみならず、金融機関、司法書士、土壌汚染調査機関等の不動産取引に関連する他の多くの専門家と協働する中で、消費者の意向を踏まえながら、不動産取引について全体的な流れを分かりやすく説明し、適切な助言を行い、総合的に調整する役割が期待されている。また、宅地建物取引業者自らも積極的に媒介業務以外の不動産取引に関連する業務の提供に努めることが期待されている。なお、宅地建物取引業者自らが媒介業務以外の関連業務を行う場合には、媒介業務との区分を明確化するため、媒介契約とは別に、業務内容、報酬額等を明らかにした書面により契約を締結すること。特に、宅地建物取引業者が不動産コンサルティング業務を行う場合には、媒介業務との区分を明確化するため、あらかじめ契約内容を十分に説明して依頼者の理解を得た上で契約を締結し、成果物は書面で交付すること。第三十五条第一項関係1重要事項の説明について宅地建物取引業者は、重要事項の説明に先立ち、重要事項の説明を受けようとする者に対して、あらかじめ重要事項説明の構成や各項目の留意点について理解を深めるよう、重要事項の全体像について書面を交付して説明することが望ましい。この場合、交付する書面は、別添2を参考とすることが望ましい。本項各号に掲げる事項は、宅地建物取引業者がその相手方又は依頼者に説明すべき事項のうち最小限の事項を規定したものであり、これらの事項以外にも場合によっては説明を要する重要事項があり得る。重要事項の説明は、説明を受ける者が理解しやすい場面で分かりやすく説明することが望ましく、取引物件に直接関係する事項であるため取引物件を見ながら説明するほうが相手方の理解を深めることができると思われる事項については、重要事項の全体像を示しながら取引物件の現場で説明することが望ましい。ただし、このような場合にも、説明を受ける者が重要事項全体を十分把握できるよう、従来どおり契約の締結までの間に改めて宅地建物取引士が重要事項全体の説明をすることとする。なお、重要事項の説明を行う際には、別添3に示す「重要事項説明書」を参考とすることが望ましい。2宅地又は建物の貸借の代理又は媒介に係る重要事項の説明にITを活用する場合の取扱いについて宅地又は建物の貸借の代理又は媒介に係る重要事項の説明にテレビ会議等のITを活用するに当たっては、次に掲げるすべての事項を満たしている場合に限り、対面による重要事項の説明と同様に取り扱うこととする。なお、宅地建物取引士は、ITを活用した重要事項の説明を開始した後、映像を視認できない又は音声を聞き取ることができない状況が生じた場合には、直ちに説明を中断し、当該状況が解消された後に説明を再開するものとする。宅地建物取引士及び重要事項の説明を受けようと(1)する者が、図面等の書類及び説明の内容について十分に理解できる程度に映像を視認でき、かつ、双方が発する音声を十分に聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境において実施していること。宅地建物取引士により記名押印された重要事項説(2)明書及び添付書類を、重要事項の説明を受けようとする者にあらかじめ送付していること。重要事項の説明を受けようとする者が、重要事項(3)説明書及び添付書類を確認しながら説明を受けることができる状態にあること並びに映像及び音声の状況について、宅地建物取引士が重要事項の説明を開始する前に確認していること。宅地建物取引士が、宅地建物取引士証を提示し、(4)重要事項の説明を受けようとする者が、当該宅地建物取引士証を画面上で視認できたことを確認していること。3土地区画整理法第百十条の規定による清算金に関する説明について− 201 −

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