最新・宅地建物取引業法 法令集
206/242

-203-(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)条の二第二号関係)「共用部分に関する規約の定め」には、いわゆる規約共用部分に関する規約の定めのほか、いわゆる法定共用部分であっても規約で確認的に共用部分とする旨の定めがあるときにはその旨を含むものである。かっこ書で「その案を含む」としたのは、新規分譲等の場合には、買主に提示されるものが規約の案であることを考慮したものである。共用部分に関する規約が長文にわたる場合においては、その要点を記載すれば足りるものとする。3専有部分の利用制限に関する規約について(規則第十六条の二第三号関係)「専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め」には、例えば、居住用に限り事業用としての利用の禁止、フローリングへの貼替工事、ペット飼育、ピアノ使用等の禁止又は制限に関する規約上の定めが該当する。なお、ここでいう規約には、新規分譲等の場合に買主に示されるものが規約の案であることを考慮して、その案も含むこととされている。また、専有部分の利用制限について規約の細則等において定められた場合においても、その名称の如何に関わらず、規約の一部と認められるものを含めて説明事項としたものである。また、当該規約の定めが長文にわたる場合においては、重要事項説明書にはその要点を記載すれば足りるものとする。その際、要点の記載に代えて、規約等の写しを添付することとしても差し支えないものであるが、該当箇所を明示する等により相手方に理解がなされるよう配慮することとする。4専用使用権について(規則第十六条の二第四号関係)規則第十六条の二第四号は、いわゆる専用使用権の設定がなされているものに関するものであり、通常、専用庭、バルコニー等に設定されるものであるが、これらについては、その項目を記載するとともに専用使用料を徴収している場合にあってはその旨及びその帰属先を記載することとする。駐車場については特に紛争が多発していることにかんがみ、その「内容」としては、使用し得る者の範囲、使用料の有無、使用料を徴収している場合にあってはその帰属先等を記載することとする。5マンション管理規約に定められる金銭的な負担を特定の者にのみ減免する条項について(規則第十六条の二第五号関係)マンション管理規約とは、分譲マンションの区分所有者が組織する管理組合が定めるマンションの管理又は使用に関する基本ルールであるが、新築分譲マンションの場合は、分譲開始時点で管理組合が実質的に機能していないため、宅地建物取引業者が管理規約の案を策定し、これを管理組合が承認する方法で定められる方法が多い。そのため購入者にとって不利な金銭的負担が定められている規約も存在し、その旨が「中高層分譲共同住宅の管理等に関する行政監察報告書」(平成十一年十一月)においても指摘されているところである。このような内容の規約を定めること自体望ましいものではない場合もあるが、契約自由の原則を踏まえつつ、購入者の利益の保護を図るため、管理規約中に標記に該当する内容の条項が存在する場合は、その内容の説明義務を宅地建物取引業者に義務付けるものである。なお、本規定は、中古マンションの売買についてもその適用を排除するものではなく、その場合、当該売買の際に存在する管理規約について調査・説明を行うこととなる。6修繕積立金等について(規則第十六条の二第六号関係)規則第十六条の二第六号は、いわゆる大規模修繕積立金、計画修繕積立金等の定めに関するものであり、一般の管理費でまかなわれる通常の維持修繕はその対象とはされないこととする。また、当該区分所有建物に関し修繕積立金等についての滞納があるときはその額を告げることとする。ここでいう修繕積立金等については、当該一棟の建物に係る修繕積立金積立総額及び売買の対象となる専有部分に係る修繕積立金等を指すものとする。なお、この積立て額は時間の経緯とともに変動するので、できる限り直近の数値(直前の決算期における額等)を時点を明示して記載することとする。7管理費用について(規則第十六条の二第七号関係)「通常の管理費用」とは、共用部分に係る共益費等に充当するため区分所有者が月々負担する経常的経費をいい、規則第十六条の二第六号の修繕積立金等に充当される経費は含まれないものとする。また、管理費用についての滞納があればその額を告げることとする。なお、この「管理費用の額」も人件費、諸物価等の変動に伴い変動するものと考えられるので、できる限り直近の数値を時点を明示して記載することとする。8管理が委託されている場合について(規則第十六条の二第八号関係)規則第十六条の二第八号においては、管理の委託を受けている者の氏名及び住所を説明すべき事項としているが、管理を受託している者が、マンションの管理の適正化の推進に関する法律第四十四条の登録を受けている者である場合には、重要事項説明書に氏名(法人にあっては、その商号又は名称)とその者の登録番号、及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)を記載し、その旨説明することとする。また、管理の委託先のほか、管理委託契約の主たる内容もあわせて説明することが望ましい。9マンション修繕の過去の実施状況について(規則第十六条の二第九号関係)規則第十六条の二第九号の維持修繕は、第六号と同様に共用部分における大規模修繕、計画修繕を想定しているが、通常の維持修繕や専有部分の維持修繕を排除するものではない。専有部分に係る維持修繕の実施状況の記録が存在する場合は、売買等の対象となる専有部分に係る記録についてのみ説明すれば足りるものとする。また、本説明義務は、維持修繕の実施状況の記録が保存されている場合に限って課されるものであり、管理組合、マンション管理業者又は売主に当該記録の有無を照会の上、存在しないことが確認された場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになる。規約等の内容の記載及びその説明について10マンション等の規約その他の定めは、相当な量に達するのが通例であるため重要事項としては共用部分に関する規約の定め、専有部分に関する規約等の定め、専用使用権に関する規約等の定め、修繕積立金等に関する規約等の定め及び金銭的な負担を特定の者にのみ− 203 −

元のページ  ../index.html#206

このブックを見る