最新・宅地建物取引業法 法令集
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-209-宅地建物取引業者の代理又は媒介により定期借地(2)権設定契約が成立したときは、当該定期借地権等の内容を法第三十七条に規定する書面に記載することが望ましい。第三十七条の二第一項関係1クーリング・オフ制度の適用除外となる場所についてクーリング・オフ制度の適用のない場所は、原則として、以下の及びに掲げる、専任の宅地建物取引(1)(2)士を置くべき場所に限定されている。したがって、喫茶店やファミリーレストラン等で契約締結等を行った場合はクーリング・オフ制度の適用がある。また、クーリング・オフ制度の適用の有無については、原則として、その場所が専任の宅地建物取引士を置かなければならない場所であるか否かにより区別されるものであり、実際に専任の宅地建物取引士がいるか否か、その旨の標識を掲げているか否か(法第五十条第一項)、その旨の届出がなされているか否か(法第五十条第二項)などによって区別されるものではない。なお、クーリング・オフ制度の適用がある場所において、その旨の標識が掲げられていない場合等は、それぞれ該当する各条項の違反となる。事務所については、契約締結権限を有する者及び(1)専任の宅地建物取引士が置かれ、またその施設も継続的に業務を行うことができるものとされているため、そこにおける取引は定型的に状況が安定的であるとみることができ、この制度の適用の対象から除外されている。事務所のほか、「国土交通省令・内閣府令で定め(2)る場所」についてもこの制度の適用の対象から除外されているが、これは、この制度が不安定な契約意思での取引について白紙還元の余地を認めたものであることから、購入者の購入意思が安定していると定型的に判断できる場合には適用を除外し、取引の安定を確保することとしたものである。「国土交通省令・内閣府令」としては規則第十六条の五を置いている。①第一号イに規定する場所について「継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの」とは、事務所としての物的施設を有してはいるが、契約締結権限を有する者が置かれていないものをいうものである。②第一号ロに規定する場所について「案内所」とは、いわゆる駅前案内所、申込受付場所等をも含むものであり、継続的に業務を行うことを予定しているものではないが、一定期間にわたって宅地建物の取引に係る業務を行うことが予定されているような施設を指すものである。なお、本号ロにおいてはクーリング・オフ制度の適用が除外される案内所を「土地に定着する建物内に設けられるもの」に限定しており、別荘地等の販売におけるテント張り、仮設小屋等の一時的かつ移動容易な施設はこれには該当しないものとなる。しかしながら、マンション分譲の場合のモデルルームあるいは戸建分譲の場合のモデルハウス等における販売活動は、通常適正に行われる営業活動であると考えられるので、本号ロに規定する「案内所」と解して差し支えないこととする。③第一号ハ、ニ及びホについて宅地建物取引業者が自己の物件を販売する場合において、他の宅地建物取引業者にその代理又は媒介を依頼するようなときにおいては、他の宅地建物取引業者の事務所あるいはそれに準ずる場所における顧客の契約意思も安定的であると認められるので、このような場所における取引行為も制度の適用除外とされている。④第二号について宅地建物の取引に当たり、顧客が自ら希望して自宅又は勤務先(以下、「自宅等」という。)を契約締結等の場所として申し出た場合においては、その顧客の購入意思は安定的であるとみられるので、この場合はクーリング・オフ制度の適用から除外している。ただし、宅地建物取引業者が顧客からの申し出によらず自宅等を訪問した場合や、電話等による勧誘により自宅等を訪問した場合において、顧客から自宅等への訪問等の了解を得たうえで自宅等で契約締結等を行ったときは、クーリング・オフ制度の適用がある。なお、現実に紛争が発生した場合においては、相手方が申し出たか否かについて立証が困難な場合もあると予想されるので、この制度の適用除外とするためには、契約書あるいは申込書等に顧客が自宅等を契約締結等の場所として特に希望した旨を記載することが望ましい。⑤その他一時に多数の顧客が対象となるような場合において特定の場所で申込みの受付等の業務を行うことが予定されているようなときは、その特定の場所については、法第三十七条の二の運用に限り事務所に含めて取り扱って差し支えないこととする。2クーリング・オフ妨害等について宅地建物取引業者がクーリング・オフ制度の適用がある場所で契約締結等を行った場合において、相手方に対してクーリング・オフをしない旨の合意を取り付ける行為は、クーリング・オフ制度の適用範囲を不当に制限するものであることから適切ではない。なお、相手方が合意に応じたとしても、この制度の適用がある場所で契約締結等を行った場合はクーリング・オフ制度が適用される。宅地建物取引業者がクーリング・オフ制度の適用がある場所で契約締結等を行ったにもかかわらず、相手方に対して、クーリング・オフができない旨を告げる行為やクーリング・オフをするには損害賠償又は違約金が発生するなどを告げる行為は、情状に応じ、法第六十五条第一項第一号又は第二号の指示処分、法第六十五条第二項第五号の業務停止処分等を行うことにより、厳正に対応する必要がある。3申込みの撤回等の制限について申込みの撤回等を行うことができる旨を告げられた場合においてその告げられた日から八日を経過したときにはこの制度の適用がないこととされているが、これは八日間を経過した場合にはもはや申込みの撤回や締結された契約の解除ができなくなるという意味ではなく、その場合には、民法の原則や消費者契約法に基づく申込みの撤回又は契約の解除によることとなるものである。第四十一条第一項関係宅地の造成又は建築に関する工事の完了について宅地の造成又は建築に関する工事が完了しているか(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)− 209 −

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