最新・宅地建物取引業法 法令集
213/242

-210-否かについては、売買契約時において判断すべきであり、また、工事の完了とは、単に外観上の工事のみならず内装等の工事が完了しており、居住が可能である状態を指すものとする。第四十一条の二関係工事完了後の物件の保全措置としての「保管」について保管の措置は、工事完了後の物件の保全措置として設けられているものであり、工事完了前の物件の保全措置は、保証及び保険の二種類であるので、工事完了前の物件について保管の措置を講じても、保証又は保険の措置を講じなければ、法第四十一条第一項に違反することとなる。第四十三条関係都市計画法第四十条第一項について都市計画法第四十条第一項では、従前の公共施設の用に供する土地は開発許可に係る工事完了公告の日の翌日において一律に開発許可を受けた者に帰属することとしているが、工事の進捗状況からみて工事完了公告がなされることが確実と見られる場合は、従前の公共施設用地については法第三十三条の二(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)の適用除外とされているので、所有権留保の場合における登記の移転についても売主の義務からは除外されるものとする。第四十五条関係法第四十五条及び第七十五条の三の「正当な理由」について法第四十五条及び第七十五条の三に規定する「正当な理由」としては、以下のようなものが考えられるが、なお「正当な理由」に該当するか否かは、個別具体の事例において判断する必要があると考えられる。法律上秘密事項を告げる義務がある場合(1)裁判の証人として証言を求められたとき、税務署等の職員から質問検査権の規定に基づき質問を受けたとき等が挙げられる。取引の相手方に真実を告げなければならない場合(2)取引事例を顧客や他の宅地建物取引業者に提示することは、宅地建物取引業者が法第三十四条の二第二項の規定による義務を果たすため必要な限度において「正当な理由」に該当する。なお、法第四十七条は宅地建物取引業者に対し、宅地又は建物の売買、交換若しくは賃借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、同条第一号イからニのいずれかに該当する事項について故意に事実を告げなかったり、又は不実のことを告げる行為を禁止しているが、これは取引の関係者に対して取引上重要なことであれば真実を言う義務があることを示したものである。依頼者本人の承諾があった場合(3)依頼者本人の承諾があった場合は、依頼者の利益を故意に損なうことがないので守秘義務の対象外である。他の法令に基づく事務のための資料として提供す(4)る場合地価公示法第二条に規定する標準地の価格の判定及び国土利用計画法施行令第九条に規定する基準地の標準価格の判定のための資料として、そのための鑑定評価を担当する不動産鑑定士又は不動産鑑定士補に不動産取引事例を提供する場合が挙げられる。第四十六条第一項関係1告示の運用について(昭和四十五年建設省告示第一五五二号関係)告示第二(宅地建物取引業者が売買又は交換の媒(1)介に関して受けることのできる報酬の額)関係①この規定は、宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買又は交換の媒介に関して受けることのできる報酬について依頼者のそれぞれ一方から受けることのできる限度額を定めているものであり、依頼者の双方から報酬を受ける場合及び依頼者の一方のみから報酬を受ける場合のいずれにあっても依頼者のそれぞれ一方から受ける報酬の額が当該限度額以下でなければならない。②「交換に係る宅地若しくは建物の価額」とは、交換に係る宅地又は建物の適正かつ客観的な市場価格を指すものであり、その算定に当たっては、必要に応じ不動産鑑定業者の鑑定評価を求めることとする。③「交換に係る宅地又は建物の価額に差があるとき」とは、交換差金が支払われる場合等交換に係る両方の物件の価額が異なることを指し、「これらの価額のうちいずれか多い価額」とは交換に係る両方の物件の価額のうち、いずれか多い方を指す。告示第三(宅地建物取引業者が売買又は交換の代(2)理に関して受けることのできる報酬の額)関係①「第二の計算の方法により算出した額の二倍」とは、売買に係る代金の額又は交換に係る宅地若しくは建物の価額(当該交換に係る宅地又は建物の価額に差があるときは、これらの価額のいずれか多い価額)を次表の左欄〔上欄〕に掲げる金額に区分して、それぞれの金額に同表の右欄〔下欄〕に掲げる割合を乗じて得た金額を合計した金額を指す。二○○万円以下の金額一〇〇分の一〇・八二〇〇万円を超え四〇〇万円以下の金額一〇〇分の八・六四四〇〇万円を超える金額一〇〇分の六・四八②「当該売買又は交換の相手方から報酬を受ける場合」とは、代理行為とあわせて媒介的行為が行われる場合に代理の依頼者のほか売買又は交換の相手方からも報酬を受ける場合を指すものであり、その場合においては、代理の依頼者から受ける報酬の額と売買又は交換の相手方から受ける報酬の額の合計額が①の「第二の計算方法により算出した金額の二倍」を超えてはならない。告示第四(宅地建物取引業者が貸借の媒介に関し(3)て受けることのできる報酬の額)関係①前段の規定は宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して受けることのできる報酬について、その合計額の限度額のみを定めたものであり、貸借の媒介に関しては、売買又は交換の媒介と異なり、依頼者のそれぞれ一方から受ける報酬の額、割合等については特段の規制はない。(したがって報酬の合計額がこの限度額内であれば依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよく、また、依頼者の一方のみから報酬を受けることもできる。)(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)− 210 −

元のページ  ../index.html#213

このブックを見る