不動産売買の手引(令和3年度版)
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2トラブル防止のための告知と確認不動産の種類・品質について、契約の内容に適合しないものを売主が買主に引き渡した場合(例えば、売買により引き渡した既存住宅に、契約で予定していなかった雨漏りがあった場合)、売主は、買主から、修補等を求められたり、場合によっては、損害賠償請求や契約の解除が求められます39―41頁参照。契約不適合に関するトラブルは多く発生しています。取引の実務では、一般的に媒介(仲介)業者は、売主に告知書(物件の状況等の報告書)の作成協力をお願いしています。売主は、知っている欠陥・不具合等がある場合は、告知書を通じてこれらを漏れなく買主に告知するとともに、告知した欠陥・不具合等を売主・買主双方が確認を行い、そのまま引き渡すか、修補して引き渡すか等を含め、売買契約の内容とすることが、トラブル回避の観点から重要です。68頁参照3こんなトラブルに注意不当に安い金額で売らされた面識のない業者から突然に電話があり、現在は使用していないマンションや一戸建住宅を「買い取るので、売ってほしい」と言葉巧みに勧誘され、近隣相場より著しく安い不当な金額で契約をさせられたなどのトラブルがあります。高齢の方が狙われやすいので注意が必要です。不動産を売るときは、1の手順で行うようにします。不当な支払遅延買主業者が、約束の期日に売買代金を支払わないトラブルも稀に見られます。宅建業者が代金支払を不当に遅延する行為は宅建業法で禁止しています。原野商法の二次、三次被害消費生活センター等には、過去に原野商法等で買わされた土地の所有者を狙った詐欺的行為による被害相談が多く寄せられています。ア.売ってあげるといって、広告費の名目でお金を支払わされた。イ.買う客がいるが測量が必要といって、測量費の名目でお金を支払わされた。ウ.売るためには草刈りや造成が必要といって、造成費用などのお金を支払わされた。エ.「責任をもって売ってあげるので、価値のある土地と交換しよう」と持ちかけ、購入する土地との差額代金を支払わされた。原野商法等で騙されて購入させられた土地や新たに購入を持ちかけられる土地は、実際の取引価格とはかけ離れたものであり、利用価値の低い土地ですから“買う人はいない”と考えてください。「売りたい」という気持ちにつけ込んだものです。一旦お金を支払うと、法律的には取り返すことが可能であっても、お金が戻ってくることはほとんどありません。騙されないように注意しましょう。困ったときは、早めに巻末の相談窓口に相談しましょう。7

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