不動産売買の手引(令和3年度版)
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5既存住宅を売買するときは1建物状況調査の活用を検討する既存住宅の流通量が増加しないのは、買主にとって住宅の品質が必ずしも明らかでないことが大きな要因となっており、安心して取引ができる市場環境を整備するためには、専門家による建物状況調査(インスペクション)の活用が有効などの指摘がされてきました。そこで、平成30年4月から、既存住宅の媒介契約を締結する際には、媒介業者は依頼者に対して、建物状況調査の制度概要の紹介と調査会社のあっせん希望の確認を行うことになりました。2建物状況調査とは・メリット建物状況調査は、国土交通省の定める講習を修了した建築士が、建物の基礎・外壁など建物の構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分に生じているひび割れ・雨漏り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査です。建物状況調査が広く実施されることにより、良質な既存住宅が流通しやすくなると期待されています。●売主が実施するメリット引渡し後のトラブル回避取引後のクレーム等のトラブル回避に繋がります。競合物件との差別化が図れる購入希望者に安心感を与え、他の売却物件と差別化ができます。●買主が実施するメリットより安心して購入の判断ができる専門家の調査により建物の状況が把握でき、より安心して購入の判断をすることができます。メンテナンスの見通しが立てやすい購入後のリフォームやメンテナンス等の予定を見込んだ取引が可能となります。注:買主が建物状況調査を実施する場合には、事前に売主の承諾を得る必要があります。●既存住宅売買瑕疵保険への加入既存住宅について、「住宅瑕疵担保責任保険法人」の登録を受けた検査事業者の検査人が建物状況調査を実施し、建物状況調査の結果、劣化・不具合等が無いなど一定の条件を満たした場合には、既存住宅に瑕疵があった場合に修補費用等を保証する保険(既存住宅売買瑕疵保険)に加入することができます。<参考情報>国土交通省URL:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/kisonjutakuinspection.html15

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