不動産売買の手引(令和3年度版)
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<悪質な勧誘に対する対応のポイント>○すぐに、明確・簡潔に断る-話を聞かないこと○断る理由は絶対にいわない-会話をしないこと○会社名・名前等を聞く-毅然として対応すること[2]契約は準備ができてから手付の額に決まりはありません(ただし、宅建業者が自ら売主の場合は手付の額は売買代金の20%が上限として制限されています。)。契約をしやすくするために10万円から50万円程度の少額の手付金で行うことも少なくありませんが、売買代金の5%から10%の額の手付金が授受されることが一般的です。売買代金が3000万円であれば、150万円から300万円の手付金が必要になります。営業担当者から「手付金の支払は後日で構いません…」(手付の後払い)「手付金200万円のうち今日は10万円だけで構いません…」(手付の分割払い)などと言われ、手付金の準備ができていないにもかかわらず、説得に負けて契約を締結して、後日、契約の解除をめぐりトラブルになることがあります。買主が手付金の準備もできていないのに“急がせて”契約を締結させるとトラブルになる可能性が高いことから、手付の後払い、手付の分割払いにより契約を締結させることは「信用の供与による契約の誘因行為」に当たるとして禁止しています(前頁、禁止行為1)。契約は営業担当者等に言われてするものではありません。十分に検討して自分の判断で行うものです。契約の検討も十分でなく、手付金の準備もできていない段階で契約を締結することはしないようにしましょう。[3]悪質な勧誘に対する対処投資用マンション等の販売において、一部の宅建業者の悪質・強引な営業による被害相談が全国の消費生活センター等に多く寄せられ、問題になっています。そこで、悪質な勧誘行為による消費者被害の防止のために宅建業法施行規則の一部が改正され、前記の禁止行為5、6、7が追加されました。契約をする意思がないとき、勧誘を受ける意思がないときは「必要ありません。電話しないで下さい。」などと明確に断わることが大事です。その際に「断る理由」を言う必要はありません。会話をしないことが悪質な勧誘に対する対応の重要なポイントです。執拗な勧誘で電話が切れない方は、「会社名、住所、電話番号、名前、加盟業界団体、免許番号を教えてください。」と聞いて、メモを取ってください。ほとんどの場合は答えずに一方的に電話を切ると思われます。毅然と断る勇気を持つことが大事です。それでも解決せずにお困りの場合は、早めに巻末の相談窓口にご相談して下さい。18

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