不動産売買の手引(令和3年度版)
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[5]住宅性能評価誰しもが、安全で快適な生活が保証された高品質の住宅を手に入れたいものです。新聞・雑誌・チラシなどの住宅の広告では、耐震性・耐火性・高気密・高断熱などの特徴がならべられ、高品質・高性能住宅であることをアピールしています。しかし、品質・性能について、客観的に判断できる基準が不明確な場合も見られます。このため、表示されている品質・性能が備わっている建物であることを客観的に判断できるように、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「品確法」といいます。)」において「住宅性能表示制度」が用意されています。「住宅性能表示制度」は、表示された住宅の性能があることを客観的に証明するものです。「住宅性能表示制度」を利用した建物を選択するのも一つの方法といえます。(1)住宅性能表示制度(1)住宅性能表示制度を利用する、しないは任意です。(2)住宅の性能を「表示する基準」と「評価方法の基準」の2つのルールが定められています。(3)第三者機関である「登録住宅性能評価機関」が性能評価を行い、その結果を「住宅性能評価書」として交付します。(4)当事者間に紛争が生じた場合は「指定住宅紛争処理機関」に紛争処理を申請することができます。裁判によらずに、円滑・迅速で、専門的な紛争処理が受けられます。①新築住宅の場合★住宅性能は2段階で評価されます。a.設計住宅性能評価書……設計図書の段階の評価結果をまとめたものb.建設住宅性能評価書……施工段階と完成段階の検査を経た評価結果をまとめたもの「設計住宅性能評価」のみの利用も可能ですが、工事段階の検査(原則4回)を経て評価される「建設住宅性能評価書」の交付を受けたものが、より信頼性が高いといえます。性能表示事項は、「構造の安定に関すること」など10分野32項目からなっています。②既存(中古)住宅の場合契約の透明化・円滑化や適切な維持管理、修繕・リフォームを支援するために、住まいの痛み具合などを適時・適切に把握することなどを目的とした制度です。★評価には、必須項目と選択項目(オプション)があります。A.現況検査…a.部位等・事象別の判定、b.総合判定、c.特定現況検査(オプション)B.個別性能評価(オプション)……評価できる性能分野は新築住宅の場合よりも限定されます。(2)その他の保証制度新築住宅は構造耐力上主要な部分について、10年の保証(瑕疵担保責任)が義務付けられていますが、売主業者に資力がなかったり、倒産してしまったら、保証を十分に受けられないことがあります。そのような事態に対処するための制度として「住宅瑕疵担保履行法」が創設され、平成21年10月1日以降に引渡を受けた新築住宅については一定の保護が受けられます43頁参照。なお、国土交通大臣指定の各住宅瑕疵担保責任保険法人は、独自の「地盤保証制度」、「住宅完成保証制度」、「リフォームかし保険」、「既存住宅瑕疵保険」等の保証・保険制度を用意していますので、各会社のホームページ等で確認してみましょう。26

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