不動産売買の手引(令和3年度版)
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7契約を締結する契約締結時の留意点特に、次のようなことに気をつけて、くれぐれも失敗のないようにして下さい。印鑑は必ず自分で押すこと「印鑑を貸してください」といわれて渡したところ、自分の知らない書類をつくられ、損害を受けた例もあります。口約束はトラブルのもとあとで、「言った」、「言わない」の水かけ論になります。大切な約束は必ず書面にしておきましょう。口約束があったことを証明するのは大変なことです。拇印や署名だけでも契約の締結は有効「印鑑を押さないのだから心配いりませんよ」といわれて、気軽に拇印を押してしまい、後で違約金を請求された例もあります。仮契約書は作らない「仮契約だから…」といわれて気軽に署名・押印し、やめるといったら後で多額の違約金を要求されたという例もあります。通常の取引において、仮契約を締結することはまずありません。「仮」という言葉に惑わされないようにしましょう。買付証明書・売渡承諾書の作成には注意を買付証明や売渡承諾を取り消した場合に、キャンセル料を請求されたという事例があります。これらの書面を作成したとしても確定的な意思表示ではありませんので、契約は成立していないと解されています。1契約を締結するときの心構え不動産の売買では、売主と買主が対等の立場で契約を締結し、お互いに契約の定め(契約書の内容)について履行義務を負います。したがって、いったん、契約書を作成すると、それ以降、その取引は契約書の内容に従って進められ、将来、取引について紛争が生じたときは契約書の内容に基づいて処理されることになります。★契約書は、非常に大切なものです不動産の取引は、買うにせよ売るにせよ、契約書の内容を十分に確認しておかなければなりません。契約書をよく読んで意味のわからないこと、納得のいかないことが書いてあったら、納得できるまで聞いたり調べたりしてから契約を締結しましょう。28

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