不動産売買の手引(令和3年度版)
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2手付金等を支払うとき売主が宅建業者の場合、手付金や中間金を受領するとき、その額が一定の金額を超えると、保証書の控えを交付するなどの保全措置を講じることが義務付けられています。この措置は、業者が倒産したなどの不測の事態が発生したときでも、買主が支払った手付金等について、その返還が受けられるようにするためのものです。★保証書をもらう①売買代金の10%(未完成物件の場合は5%)を超え、または②1,000万円を超える手付金等(契約日以降、引渡し前までに支払う手付金のほか中間金等を含みます。)を支払う場合は、保証機関の発行した保証書等を売主業者からもらってください。保証書等の交付がないときは、手付金等の支払を拒むことができます。手付金等の額が上記の一定金額以下の場合や買主へ所有権移転登記がなされた場合は、保全措置の対象になりません。また、宅建業者が売主の場合、売買代金の20%を超える額の手付金を受領することはできません。なお、売主が宅建業者でない一般の取引の場合は、手付金等の保全措置の義務や手付金の上限額の制限は適用されません。★手付のない契約は危険「100%融資できます。手付は不要です。」などといわれ、手付金なしで契約を締結することがマレにあります。手付金なしで契約した場合、契約を解除しなければならない事情が生じたときに、手付金の放棄による契約の解除ができませんので、違約金が発生してしまいます。手付金がいらないからと安易に契約することは大変危険であることを知っておきましょう。★手付金が少額の取引にも気をつける「希少物件だから、すぐ契約をしないと物件を逃してしまう。手付金は少額(例えば10万円)だから、万一の場合は手付放棄で契約解除できる。」などと言われて、契約を急がされ売買契約をしたところ、後日、契約を解除しようとしたら、売主は既に履行に着手しているので手付解除できない等と言われてトラブルになるケースが見られます。手付金が少額ということは、売主からも簡単に手付金倍返しによる契約解除がされる可能性があるということでもあり、特段の事情がなければ、手付金を少額な金額とすることは一般的ではありません。(売買契約の解除に抑止力を持たせるため、一般的に手付金は、売買金額の5~10%程度とされることが多いようです。)契約をするかしないかについて熟考をさせず、手付金を少額にして物件を紹介した当日に契約を迫ってくる不動産業者には、特に気をつける必要があるといえるでしょう。30

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