不動産売買の手引(令和3年度版)
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建売住宅「建売住宅」とは、建物を売主である宅建業者が自己の企画と責任においてあらかじめ建築し、または引渡時期までに建物を完成させて、土地と建物を一体として販売するものをいいます。従って、建売住宅は、販売時に建物が完成しているかどうかに関わりなく、「既製品」ということになります。売買の目的物である建物を完成させてから売り出されることはまれで、建築工事着工前あるいは工事中の段階で売りに出す、いわゆる「青田売り」が一般的です。建築条件付土地「建築条件付土地」の販売とは、土地売主が自己または自己の指定する建築業者と、一定期間内に建物を建築する契約を結ぶことを条件として土地を販売するものです。建物は、既製品である建売住宅とは異なり、建物の間取り・仕様などを土地の購入者が自由に決定する「注文住宅」により建築するものです。従って、建築条件付の場合には、土地の売買契約後に建物についての打合せを行い、建物の計画が決まってから建築工事請負契約を締結することになります。3建築条件付土地の契約をするときは[1]建売住宅と建築条件付土地分譲の違い「建築条件付土地」の分譲でありながら、一見すると「建売住宅」の広告にしか見えないものがあります。「建売住宅」と「建築条件付土地分譲」では、大きな違いがありますので、取引に際しては、どちらの取引をしようとしているのか十分に理解しておく必要があります。[2]工事完了前の宅地または建物の販売における規制宅建業者は、宅地または建物の建築に関する工事の完了前においては、その工事に際して必要とされる開発許可、建築確認、その他の一定の法令上の手続を経た後でなければ、広告を開始することはできず(広告開始時期の制限)、売買契約を締結することはできません(契約締結時期の制限)。従って、建売住宅を販売するには、開発許可(開発許可を必要とする場合)、建築確認を受けている必要がありますので、開発許可番号や建築確認番号などを確認するようにします。[3]建築条件付土地を購入するときは建築条件付土地を購入するときは、土地売買契約書に、次のような定めがあるか確認しましょう。①一定の期間内に建物の建築工事請負契約を締結することを条件とすること②①の請負契約を締結しなかったとき、または建築をしないことが確定したときはこの土地売買契約は解除になること③②によりこの土地売買契約が解除となったときは、売主はすでに受領している手付金等の金員全額を買主に返還すること、売主は本契約の解除を理由として買主に損害賠償または違約金の請求はできないこと31

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