不動産売買の手引(令和3年度版)
44/76

★損害賠償の請求買主は、契約不適合(売主の債務不履行)があった場合には、追完請求等のほか、売主に損害賠償を請求することができます。なお、契約不適合について売主に帰責事由*がない場合には、買主は損害賠償請求を行うことはできません。*売主に帰責事由がないことの立証責任は売主にあります。★契約不適合の責任追及期間契約不適合が種類・品質に関するものの場合には、買主は、契約不適合があることを知ってから1年以内にその旨を売主に通知しなければ、契約不適合を理由として、追完請求・代金減額請求・契約の解除・損害賠償請求をすることができなくなります。また、この請求権は、権利行使ができることを知った時から5年、目的物の引渡し時から10年で時効消滅します。*67頁の売買契約書の参考例は、「売主が担保責任を負う期間を、不動産の引渡しより2年間に限る」とした場合の特約例を示しています。★契約不適合の責任追及期間の特約上記の契約不適合の責任追及期間について、特約が定められている場合には、それに従うことになります。売主より、「売主は契約不適合責任を負わない」とするものも含め、特約を置くことを求められることがありますが、当該特約を定めた場合には、民法の規定によらずその特約に従うことになります。当該特約は、契約不適合に関する売主・買主のリスクの分担を、契約により定めるものとなりますので、買主は分担するリスクを理解・承知した上で売買契約を締結する必要があります。ただし、契約不適合を売主が知りながら買主に告げなかった場合は、免責の特約があっても、売主はその責任を免れることはできません。また、宅建業法、品確法、消費者契約法において、特約が無効になる場合がありますので、注意が必要です。42頁参照40

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る