不動産売買の手引(令和3年度版)
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項目改正前民法(令和2年3月31日以前)改正民法(令和2年4月1日以降)瑕疵・契約不適合の定義瑕疵:目的物が、契約の内容において、通常有すべき性状・性能を有していないこと。契約不適合:引渡した目的物が、種類・品質・数量に関して、契約の内容に適合していないこと。売主の責任目的物に、「隠れた瑕疵」があった場合、瑕疵担保責任を負う。目的物に、「契約不適合」があった場合、契約不適合責任を負う。買主の救済要件「瑕疵」について、買主が善意無過失である場合「契約不適合」について、買主に帰責事由がない場合(ただし、損害賠償請求を除く。)買主の救済方法・損害賠償請求(請求の範囲は、信頼利益まで*1)ができる。・買主は「隠れた瑕疵」によって契約目的を達することができない場合は、契約解除ができる。・追完(修補等)請求ができる。・売主により追完がされない場合は、代金減額請求ができる。・損害賠償請求(請求の範囲は、履行利益まで*2)ができる。ただし、売主に帰責事由がない場合は請求できない。・買主は、債務不履行が軽微な場合を除き、契約解除ができる。売主に対する請求期間の制限「隠れた瑕疵」を知った時から1年以内、もしくは、権利行使できる時から10年以内に請求しなければならない。〔種類、品質に関する契約不適合の場合〕「契約不適合」を知った時から1年以内に通知し5年以内に請求、もしくは、権利行使できる時から10年以内に請求しなければならない。*1信頼利益:有効でない契約を有効に成立していると信頼したために生じた損害*2履行利益:契約が完全に履行された場合に債権者が受け取ることになる利益★改正前民法と改正民法の買主の救済方法の比較2改正民法(令和2年4月1日施行)施行前の売買契約の取扱い売買などの契約については、改正民法の施行日(令和2年4月1日)より前に締結された契約については改正前民法が適用され、施行日後に締結された契約については改正民法が適用されます。(附則34条)したがって、令和2年3月31日以前に締結された売買契約は、改正前民法の規定が適用されますので、売買物件に瑕疵(契約不適合)があった場合の買主の救済方法は、旧民法の瑕疵担保責任の規定によることになります。41

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