住宅賃貸借(借家)契約の手引(令和3年度版)
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①物件の表示(物件の所在・構造・面積等)②登記記録に記載された事項(所有者の氏名・住所、抵当権等の有無等)③設備の整備状況(台所、浴室、便所その他の設備等)④土砂災害警戒区域等の内か否か、水害ハザードマップの有無⑤石綿使用調査の内容及び耐震診断の内容⑥契約の期間及び契約の更新に関する事項⑦利用の制限に関する事項(使用目的、使用規則等)⑧契約の解除、損害賠償の予定に関する事項(契約の解除予告期間等)⑨契約の終了時における金銭の精算に関する事項(敷金等の精算)⑩管理の委託先及び管理形態⑪その他電気・ガス・水道・排水施設の整備状況、法令の制限等*このように、重要事項説明書にはその名のとおり、重要な事項が記載されています。物件の状況や設備の整備状況等、説明を受けた内容は、現地で確認しておきましょう。なお、参考資料として、国土交通省の示す「重要事項説明書」の標準様式40頁参照を掲載しています。実務では、より詳しい書式のものが使用されていることが多いようです。《参考条文》民法第395条①抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6か月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。(以下略)6-2重要事項説明書☆重要事項説明書に記載される主な内容は、次のようなものです。抵当権等の登記のある物件を借りるとき一般に、建物はお金を借りて建てていることが多いことから、賃借物件に抵当権や根抵当権がついていても特別なことではありませんが、そのような抵当物件を借りた後にその建物が競売されたら、借主はどうなるのでしょうか。法律の改正により、契約が平成16年3月31日までに締結されたものか、同年4月1日以降に締結されたものかにより異なります。☆平成16年3月31日までに契約が締結(その後に更新されたものを含む)されている場合従前の法律が適用され、契約期間が3年以内の短期賃貸借であれば、競売された場合でも、借主は、短期賃貸借保護の制度により契約の残りの期間は住むことができます。また、敷金の返還も買受人に対して求めることができます。ただし、差押登記が設定された後に、更新契約を締結したときは、競売の買受人から明渡しを求められたときには明け渡さなければなりません。☆平成16年4月1日以降に契約を締結した場合借主は競売の買受人に対して借家権を主張することはできませんが、明渡しを求められた場合でも、明渡しまで6か月の猶予期間が与えられています。なお、敷金の返還を買受人に請求することはできません。11

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