住宅賃貸借(借家)契約の手引(令和3年度版)
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6-3契約時に必要な費用にはどんなものが①敷金(保証金)敷金の要否や額などは地域により慣行が大きく異なっています。敷金とは、借主が賃料の未払や不注意により部屋に損傷を与えたり、破損させた箇所がある場合の修繕費用や損害賠償金等の債務を担保するために貸主に預け入れるお金です。保証金という名目の場合がありますが、通常敷金と同様のものです。(店舗・事務所の賃貸借の場合には、保証金という名目が多いようです。)借主に賃料等の未払い等があった場合、貸主は敷金をその弁済に充てることができますが、借主が貸主に対して、敷金を賃料等の弁済に充てるとすることはできません。なお、敷金は、契約が終了し借主が建物を明け渡した時に、貸主より、借主の債務を差し引いた残額が返還されます。②敷引(償却)敷引(償却)とは、あらかじめ合意された約定(「敷引特約」)に基づいて、敷金(保証金)の一部を敷引金(償却金)として返還しない取扱いをするものです。「敷引(償却)特約」の効力(有効・無効)については、裁判上で争われていますが、平成23年3月24日及び同年7月12日に最高裁判所は「高額に過ぎるなどの特段の事情がある場合を除き有効」とする判断を示しています。③礼金地域の慣行により、一時金として礼金の授受が行われることがあります。しかし、礼金の性格については、借家権設定の対価、賃料の前払等と様々な考え方がありますが、必ずしもはっきりしません。定期賃貸借契約についてはなじまないものと考えられます。普通賃貸借契約において礼金が授受される場合、その額は、賃料の1~2ヵ月が多いようです。このお金は敷金とは異なり返還されない性格のものです。④共益(管理)費一般に共用部分の清掃費、電球の取替え、修繕費、エレベーター等の維持費や電気代などに当てる費用として各入居者が分担して負担するお金です。貸主 媒介 借主が毎月払う 賃料・管理費 契約の時に必要 媒介手数料 明け渡しの時 精算される 敷金 加入して おいた方がよい 借家人賠償保険 ⑤借家人賠償保険保険への加入が契約で義務付けられていることがあります。加入する保険の内容については、かならず確認しておきましょう。保険料は、保険の種類・内容、建物の構造等により異なります。12

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