住宅賃貸借(借家)契約の手引(令和3年度版)
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☆こんなときは☆○契約をしましたが、入居前に契約を解除したい。おカネは返してもらえますか。他に良い物件が見つかったので、契約を解除したいと思っています。敷金、賃料、媒介報酬(手数料)等の支払済のおカネは返してもらえますか。正式に契約をしたわけですから、原則として解約することは出来ません。しかし、中途解約の特約がある場合には、例えば1ヵ月といった予告期間分の賃料相当分を支払うことにより解約できます。解約の結果、敷金や支払済賃料から日割計算に基づく予告期間分の賃料を差し引いたおカネが戻ってくることになります。もっとも、支払済の媒介報酬(手数料)については、契約が成立したことの成功報酬ですから、返してもらえないことになります。《参考条文》…定期借家契約・建物賃貸借の期間借地借家法38条①期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約するときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。借地借家法29条①期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。借地借家法30条この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。6-4契約はどの時点で成立するのでしょう民法上、契約は貸主と借主双方の合意で成立し、必ずしも「契約書の作成」は契約成立の要件ではありません。しかし、実際の取引では、後日のトラブルを防ぐために契約書を交わすのが一般的です。原則として、貸主と借主の双方が契約書に記名・押印した時点で、契約が成立したといえます。なお、賃貸借の実務では、貸主が契約の場に立ち会わず、契約書への貸主の記名・押印が遅れることがあります。このような場合、貸主が賃貸することを承諾しており、借主が媒介業者より賃借物についての重要事項説明を受けて、物件及び契約の内容等を理解した上で敷金や前払い賃料等の契約に伴う金銭を支払い、鍵の引渡しを受けているようなときには、賃貸借契約書に記名・押印がないとしても契約は成立しているといえるでしょう。なお、宅建業者が媒介・代理した場合、当該媒介業者等には契約内容を記載した書面(通常は賃貸借契約書)を作成し交付することが義務付けられています。契約書等は大事に保管しておきましょう。定期賃貸借契約の場合は、必ず書面をもって契約を締結しなければなりません。13

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