住宅賃貸借(借家)契約の手引(令和3年度版)
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88-1契約期間と契約の更新合意更新と法定更新居住用の賃貸借契約の期間は、一般的には2年としているものが多いようです。契約期間の満了による契約の更新は、双方の契約継続(更新)の合意により更新手続が行なわれるのが通常です(合意更新)。特段の更新手続がなされなかったときは、従前の契約と同一条件で更新されたものと見なされます(法定更新)。契約の当初に更新する旨をあらかじめ約束する更新の方法もあります(自動更新)。*法定更新された場合、その後は期間の定めのない契約となります。期間の定めのない契約は、いつでも解約の申入れをすることができることになっています。もっとも、貸主からの解約には「正当事由」等一定の要件が必要になります。「定期賃貸借契約」の場合は、契約期間の満了により契約は終了し、契約の更新はありません。双方が合意すれば、新たな契約(再契約)を締結することができます5頁参照。その再契約が、宅建業者の媒介による場合は、媒介業者に「重要事項説明書」の説明義務等が生じるとともに、借主には再契約に伴う媒介報酬(手数料)等の諸費用が発生しますので、事前に確認しておきましょう。更新の拒絶契約期間の満了に際し、貸主より更新を拒絶される場合がありますが、貸主が更新を拒絶するには、「正当事由」等一定の要件が必要になります。その「正当事由」には、厳しい要件が課されています。「正当事由」借地借家法が定める判断基準は、次のとおりです。貸主及び借主が建物を必要とする事情(基本となる判断基準です。)賃貸借に関する従前の経過建物の利用状況建物の現況(建物の老朽化等)貸主の立退料等の提供*は、補完的な事由とされています。~の正当事由がなければ、立退料を提供しても、貸主は更新を拒絶することができません。更新料賃貸借契約に「更新料特約」がある場合、借主は契約の更新に際して、当該特約による更新料を支払う義務があります。もし、更新料特約があるのに支払いを拒絶すると、借主の債務不履行となり、契約解除の正当事由に該当する可能性があります。契約期間(入居)中16

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