住宅賃貸借(借家)契約の手引(令和3年度版)
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貸主借主・固定資産税等の負担の増・減・その他経済事情の変動・近傍同種建物賃料との比較・・・等により、現在の賃料が不相当となった。賃料の増額請求・減額請求8-4賃料の増額請求と減額請求貸主又は借主は、経済事情が大きく変動したため現在の賃料が不相当になったときは、相手方に対して賃料の増額又は減額を請求することができます。相手方との賃料変更の合意ができなかった場合、請求者は、調停の申し立てを行い、調停が不調となった場合には、賃料増(減)額請求の訴えを提起することができます。・賃料の増額(値上げ)・減額(値下げ)請求について協議が調わないときは…借主は、増額・減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額(一般には現行賃料)の賃料を支う必要があります。貸主に賃料を受け取ってもらえない場合は、法務局に供託することができます。受け取ってもらえないからといって支払わずにいたり、現行賃料が高すぎるとして減額して支払っていた場合には、賃料滞納を理由に契約を解除されてしまうおそれがありますので注意が必要です。《参考条文》…借賃増減請求権借地借家法第32条建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。(ただし以下略)建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。(ただし以下略)民事調停法第24条の2借地借家法(中略)第11条の地代若しくは土地の借賃の額の増減の請求又は同法第32条の建物の借賃の額の増減の請求に関する事件について訴えを提起しようとする者は、まず調停の申立てをしなければならない。8-5一部滅失等による賃料の減額・契約解除借主に責めのない事由(地震など)により、借家の一部が使用できなくなった場合、滅失部分の賃料は滅失時点より減額されます。この場合、減額の程度、期間等については、貸主と借主の協議により決めることになります。19

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