住宅賃貸借(借家)契約の手引(令和3年度版)
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経過年数と借主の負担割合借主が経過年数1年で毀損させた場合と経過年数10年で毀損させた場合を比較すると、後者の場合は前者の場合よりも大きな経年変化・通常損耗があるはずです。そこでガイドラインは、借主の負担については、建物や設備等の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少することが適当であるとしています。経過年数による減価割合については、法人税法における減価償却の考え方を参考として示していますが、平成19年税制改正において残存価値が廃止されたことから、ガイドライン再改訂版(平成23年8月)では、経過年数による減価割合の考え方について「残存価値1円となるような直線(または曲線)を描いて経過年数により借主の負担を決定する」と従前の考え方を改め、例えば、クロスやカーペットの仕上材は、6年で残存価値が1円となるような直線(または曲線)を想定して負担割合を算定する考え方を示しています。なお、再改訂版では、経過年数を超えた設備等であっても、継続して賃貸住宅の設備等として使用可能な場合があることから、修繕等の工事に伴う負担が必要となることがあり得ることの考え方を新たに示しています。借主の負担対象範囲原状回復は、毀損部分の復旧であることから、可能な限り毀損部分に限定し、毀損部分の補修工事が可能な最低限度を施工単位とすることを基本としています。したがって、借主に原状回復義務がある場合の費用負担についても、補修工事が最低限可能な施工単位に基づく補修費用相当分が負担対象範囲の基本となります。例えば、畳・襖は原則1枚単位、フローリングは原則単位としています。なお、クロスは単位が望ましいものの、借主が毀損させた箇所を含む一面分まで張替費用を借主負担とすることが妥当と考えています(経過年数による負担割合を考慮すれば、借主に過度な負担とはならないと考えています)。建物・設備等の自然的な劣化・損耗等(経年変化)(畳・クロス・床材等の変色、設備機器の通常使用による故障等)借主の通常の使用により生ずる損耗等(通常損耗)(電気製品による電気やけ、家具の設置跡等)貸主負担借主の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等(不適切な手入れ・用法違反等による設備の毀損等)借主負担24

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