住宅賃貸借(借家)契約の手引(令和3年度版)
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6.公序良俗に反する特約夫婦で入居しました。このたび子供が生まれることになりましたが、契約書に「子供が生まれたら契約を解除する」特約があります。できればこのまま住み続けたいのですが、出ていかなければならないでしょうか?QA公序良俗に反するものや、借地借家法の規定に反する借主に一方的に不利な特約は無効となります。「子供禁止」の特約は無効と考えられますので出ていく必要はありません。「子供は○人まで」のような特約も無効と考えられます。7.貸主の賃料値上げ要求契約更新の際、賃料の値上げを要求されました。応じる必要がありますか?話合いがまとまらない場合はどうすればよいのでしょうか?契約条件の変更は、貸主と借主との合意が必要です。値上げに納得できなければ応じる必要はありません。話合いがつかない場合でも賃料(現行賃料)は確実に支払っておくことが大事です19頁参照。8.借主の賃料値下げ要求現在借りている借家と同じ間取りの空室が、支払っている賃料より安く募集広告されていました。貸主に値下げを要望しましたが、了承してくれないので、募集広告と同額の賃料を支払おうと思いますが、どうでしょうか。借主が、貸主の同意なく賃料を減額して支払うことは、契約違反(家賃の未払い)となりますので、これまでどおりの賃料を支払う必要があります。貸主が応じない場合は、まず調停を行い、調停でもまとまらないときは、賃料減額請求の裁判を起こすことになります19頁参照。9.賃料の振込手数料賃料は銀行振込で支払うことになっていますが、振込手数料を差引いて振り込んで構わないでしょうか。契約書に振込手数料を誰が負担するのか定めてあればそれに従います。法律は、弁済の費用について別段の意思表示がないときは、債務者負担としていますので、契約書に定めがないときには、借主の負担となります。10.給湯器の故障給湯器が経年により故障したため、貸主に修繕を依頼したが、応じてくれません。自分で工務店に修繕を依頼し、その費用を貸主に請求することはできますか。賃借物は貸主の所有物ですから、原則、借主が修繕をすることはできません。しかし、貸主に修繕の必要性を通知し、貸主が修繕の必要を知ったにも関わらず必要な修繕をしない場合には、借主が修繕を行い、その費用を貸主に請求することができます18頁参照。29

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