住宅賃貸借(借家)契約の手引(令和3年度版)
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17.敷金の精算1敷金の精算にあたり、精算明細書をみると30万円預けてあった敷金のうち、3万円しか戻りません。「畳の取替え・壁クロスの張替え・ハウスクリーニング」等、きれいに使用し、傷もつけてないのに納得ができません。敷金を返して欲しいのですが。本文「敷金とその精算」23頁参照で説明しましたように、借主が善管注意義務違反等により物件に損傷等を与えていない場合には、原則としてご質問の費用を借主が負担する義務はないことになります。貸主とよく話し合ってみましょう。18.敷金の精算2敷金の精算について、貸主と話合いをしていますが、納得できる解決ができそうにありません。どうしたらよいのでしょうか?当事者間で解決ができないときは、物件所在地の簡易裁判所に相談してみてください。民事調停の申立てをすることができます32頁参照。また、60万円以下の金銭の支払を求める訴訟であれば少額訴訟制度を利用することもできます33頁参照。19.明渡しの遅延契約書の定めに従い、1ヵ月前に退室の連絡をしたのですが、都合により退室が1ヵ月遅れそうです。貸主からは予定通り明け渡すようにいわれていますが、明渡しを1ヵ月遅らせることができますか?一度、解約の通知をすると、それを撤回することはできません。貸主が明渡し日の延期を承諾しない限り、予定通り明け渡さなければなりません。退室の申入れをした以上、退室予定日をもって契約は終了します。20.ペットの飼育ペットは禁止されている賃貸マンションですが、小型の室内犬を飼っているのが貸主にわかってしまい、飼うのを止めるか、退去するか求められています。どうすれば良いでしょうか。飼うのをやめることはできません。「ペット禁止」の特約は、部屋の保全や近隣に与える影響から考えて、一般的に有効な特約とされています。契約違反による退去を求められてもやむを得ないことと思われます。大家さんに借家を探すまでの猶予をお願いして、ペット飼育の設備のある賃貸住宅をさがしましょう。16.競売借りている賃貸マンション(2年契約)が、競売にかけられています。オーナーが代わったら、出ていかなくてはならないのでしょうか?QA当初の契約が平成16年3月31日までに締結された短期(3年以内)の借家契約で、引渡しを受けている借主は、契約の残存期間は新しいオーナーにも借家権を対抗(主張)できますので、すぐに出ていく必要はありません。なお、平成16年4月1日以降に締結された借家契約の場合は、明渡しを求められると6か月以内に退去しなければなりません11頁参照。※不動産適正取引推進機構のホームページにも、多くのQ&Aを掲載していますので参考にして下さい。https://www.retio.or.jp31

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