住宅賃貸借(借家)契約の手引(令和3年度版)
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しこり残さず 早い解決! 民事調停(司法調停)制度と少額訴訟制度11敷金精算の問題をはじめとする賃貸住宅をめぐるトラブルが発生した場合に、当事者間の話合いでは解決できないときはどうしたらよいのでしょうか。最終的には、裁判によって決着をすることになります。調停制度やケースによっては少額訴訟制度を利用することができる場合もあります。1.民事(司法)調停制度調停は、紛争当事者間に、調停機関(裁判官又は裁判所の調停委員)が介在して、当事者の権利又は法律関係について合意を成立させることにより紛争の自主的な解決を図る制度です。この制度は、裁判所の関与する訴訟手続によらない当事者の自主的紛争解決方法ですが、解決結果に対しては、確定判決と同様に、その内容を強制執行により実現できる効力も与えられます。民事調停手続の申立て申立てする裁判所は、原則として、相手の住所地や営業所を管轄する簡易裁判所になります(当事者間の合意により、他の簡易裁判所とすることもできます)。☆民事調停申立てのメリット紛争当事者の譲り合いによって条理にかない、実情に即した解決を図ろうとするもので、訴訟による判決のような一刀両断の解決を避けることができます。訴訟のように原告・被告として争うのではなく、話合いによって合意するわけですから、訴訟ほど、後にしこりは残らないといえます。合意が成立して調停調書を作成すると、訴訟による判決上の和解と同じ効力を持ちます。訴訟に比べて費用が安く、手続も簡単で時間もそれほどかかりません。参考資料32

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