住宅賃貸借(借家)契約の手引(令和3年度版)
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サブリース住宅の貸主と建物所有者との賃貸借契約が終了・解除された場合賃借中の借家を貸主が売却した場合と建物賃貸借契約売主(旧貸主)買主(新貸主)建物の所有権が売主から買主へ移転賃貸借契約貸主の地位が移転賃貸借契約・家賃の支払・退去時の敷金返還借主※買主の借主への対抗要件は建物の所有権登記サブリース住宅とは、貸主(サブリース業者)が、建物の所有者(オーナー)から借りた建物を入居者に貸している、いわゆる「転貸借」されている住宅のことです。建物所有者と貸主との原賃貸借契約(マスターリース契約)が解除された場合、建物所有者が借主(転借人)に入居物件の明渡しを求めることができるかについては、次の通りとなります。原賃貸借契約が終了、あるいは合意解除された場合⇒建物所有者は、借主に入居物件の明渡しを求めることはできません。原賃貸借契約が、サブリース業者の債務不履行により解除された場合⇒建物所有者は、借主に入居物件の明渡しを求めることができます。なお、の場合においても、入居物件の賃貸借契約と、建物所有者とサブリース業者との原賃貸借契約書の両方に、「この契約が終了したときは、貸主の地位を、建物所有者が引き継ぐ」旨の地位の承継に関する規定がある場合は、建物所有者はサブリース業者より、入居物件の賃貸借契約における貸主の地位を引継ぎます(この場合、借主の家賃の支払先、退去時の敷金の返還請求先等は、建物所有者になります。)ので、原賃貸借契約が債務不履行解除された場合においても、借主は建物所有者から退去を求められることはありません。媒介業者の重要事項説明において、入居物件がサブリース住宅である旨の説明があった場合には、入居物件の賃貸借契約書と建物所有者と貸主間の原賃貸借契約書の両方に、地位の承継に関する規定が入っているかどうかについても確認をしておきましょう。(1)建物が売買され、貸主が建物を購入した買主になった場合賃借中の借家が売買された場合、買主(新貸主)が自動的に、借主との賃貸借契約における貸主の地位を、売主(旧貸主)から引き継ぐことになります。(貸主の地位の移転に、借主の承諾は不要です。)従って、借主においては、借家が売買されたとしても、家賃の支払先※、退去時の敷金の返還請求先が新貸主になるほかは、賃貸借契約の内容について変更は生じません。※新貸主への家賃の支払いは、貸主側から貸主変更が確認できる書類の提示を受け、なりすましでないことを確認した上で行いましょう。35

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