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最高裁判例一覧

昭和31年~昭和40年

該当件数 375件

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No. 判決日 概要 事件番号 RETIO
1 S40.12.21 不動産の賃借人が賃貸人から不動産を譲り受けたが、不動産を二重に譲り受けた第三者が先に所有権移転登記をしたため、賃借人が不動産の所有権を第三者に対抗できなくなった事案において、いったん混同により消滅した賃借権が、第三者の所有権取得により同人に対する関係では消滅しなかったことになるとされた事例 昭37(オ)904号
2 S40.12.17 賃借地上の建物が買戻特約売買により第三者に売り渡されたのは無断譲渡にあたるとして、土地賃貸人が契約解除を求めた事案において、建物の敷地について賃借権の譲渡または転貸はなされなかったとして、その請求を棄却した事例 昭39(オ)422号
3 S40.12.10 賃料増額請求がされた場合、従前の賃料額と適正増額賃料額との差が僅少である等、信義則上債務の本旨に従った履行提供がなされたとみられる事情があるときのほかは、債務者は従前の賃料額をもって相当であると考えたとしても、従前の賃料額を提供しただけでは、履行遅滞の責を免れないとした事例 昭38(オ)1365号
4 S40.12.7 使用貸借の終了した敷地上に建築された仮店舗の周囲に、敷地所有者(終了前の敷地使用貸主)が仮店舗所有者(終了前の敷地使用借主)の承諾を得ないで板囲を設置した場合に、仮店舗所有者が板囲を実力をもって撤去することが私力行使の許される限界を超えるとされた事例 昭38(オ)1236号
5 S40.12.3 代物弁済の予約をした債権者が、その妻名義で所有権移転請求権保全の仮登記をした事案において、その仮登記は実体関係に符合しないことから第三者に対して順位保全の効力を有しないとした事例 昭39(オ)1368号
6 S40.11.30 借地法12条による賃料増額請求において、相当な賃料が何程かは、同条所定の諸契機を考量して裁判所が合理的に判定すべきものであって、従来の賃料にその後における地価高騰率を乗じてのみ算出しなければならないものではないとした事例 昭40(オ)254号
7 S40.11.24 ・民法557条1項にいう履行の着手とは、債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指すものとした事例
・自らが履行に着手した場合でも、相手方が履行に着手するまでは、手付解除することができるとした事例
昭37(オ)760号
8 S40.11.19 売主が第三者所有の特定物を売り渡した後、物件の所有権を取得した場合には、買主への所有権移転の時期・方法について特段の約定がないかぎり、物件の所有権はなんらの意思表示がなくても、売主の所有権取得と同時に買主に移転するとした事例 昭40(オ)614号
9 S40.10.8 売主が、その兄の買主に対する借金債務を引き受け、これと売買代金の一部とを相殺することを目的として、その旨特約して不動産売買契約を締結したが、買主が既に第三者に債権を譲渡していた場合において、当該売買契約の要素につき売主に錯誤があったというべきであるとした事例 昭39(オ)964号
10 S40.9.28 貸室の賃貸借における貸主の賃料及び電気代等立替金の合算額の支払請求に対し、立替金は貸主負担の約束であり過当な請求であるとして借主が全体の支払いを拒んだ事案において、賃借人の賃料未払を理由とする賃貸人の賃貸借契約の解除を認めた事例 昭38(オ)1460号
11 S40.9.24 第三者の債務の担保に供された抵当不動産が競売に付せられ競落代金が納付された場合には、求償権が事実上取立不能であっても譲渡所得は成立するとした事例 昭39(行ツ)111号
12 S40.9.21 不動産の所有権が甲乙丙と順次移転したのに、登記名義は依然として甲にある場合には、丙が甲に対し直接自己に移転登記を請求することは、甲および乙の同意がないかぎり許されないとした事例 昭39(オ)985号
13 S40.9.21 宅地の賃借人が借地上に所有する建物を同居の孫に贈与したのに伴い借地権を譲渡した場合において、賃貸人が賃借人の娘むこである等のような事情があるときは、譲渡について賃貸人の承諾がなくても、賃貸人に対する信頼関係を破壊するに足りない特別の事情があるとされた事例 昭39(オ)767号
14 S40.9.17 不動産所有権の移転行為を詐害行為としてその取消を請求する場合に、債務者より受益者への所有権移転登記の抹消に代えて、受益者より債務者への所有権移転登記手続を求めることが許されるとした事例 昭38(オ)596号
15 S40.9.10 表意者自身において要素の錯誤による意思表示の無効を主張する意思がない場合には、原則として、第三者が意思表示の無効を主張することは許されないとした事例 昭38(オ)1349号
16 S40.9.10 民法第545条第2項の利息債務は、実質は不当利得返還の法理より生ずるもので、同法第546条第533条所定の同時履行の抗弁権にかかわりなく発生し、ただその債務の履行が抗弁権の作用をこうむるにすぎないとされた事例 昭40(オ)60号
17 S40.9.8 ・売買代金債権は、法律上これを行使することができるようになったときに、所得税法第10条第1項後段にいう「収入すべき金額」となるとした事例
・いわゆる解約手附として受領した金額は、そのままでは「収入すべき金額」に当らないとした事例
昭39(あ)2614号
18 S40.8.2 建物の一部の賃借人が他の部分を不法に占拠して賃借部分と併用している行為が著しい不信行為であるとして、無催告の賃貸借契約の解除が許容された事例 昭39(オ)822号
19 S40.7.23  一筆の土地全部を賃借した者でも、賃借土地の仮換地を現実に使用収益するためには、土地区画整理事業の施行者から土地区画整理法第98条第1項所定の権利の目的となるべき土地としての指定通知を受けることを要するとされた事例 昭37(オ)382号
20 S40.7.2 土地賃借人が賃料の支払を延滞したときは土地賃貸人は催告を要せず土地賃貸借契約を解除できる旨の特約は、借地法第11条の特約にはあたらないとした事例 昭39(オ)1180号
21 S40.6.30 特定物の売買契約における売主のための保証人は、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても、保証責任を負うとした事例 昭38(オ)1294号
22 S40.6.29 隣接土地上に存在する居宅の庭として使用することを目的とする土地賃借権が「建物保護に関する法律」第1条所定の対抗力を有しないとされた事例 昭38(オ)372号
23 S40.6.29 土地の賃貸人が、賃借人において賃借土地の一部を転貸している事実を知りながら、3年余にわたり特段の異議を述べず賃借人から賃料を収受していたときは、転貸について黙示の承諾をしたものと認められるとした事例 昭38(オ)476号
24 S40.6.25 代物弁済契約の目的物の価値について、要素の錯誤があるとされた事例 昭39(オ)1482号
25 S40.6.18 宅地の賃借人が、借地上に同居の家族に建物を建築させ、これにその敷地を転貸した場合につき、転貸につき賃貸人の承諾がなくても、賃貸人に対する信頼関係を破壊するに足りない特段の事情があるとした事例 昭39(オ)144号
26 S40.6.18 無権代理人が本人を相続し、本人と代理人との資格が同一人に帰した場合には、本人がみずから法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解されるとした事例 昭39(オ)1267号
27 S40.6.4 民法95条(錯誤)但書により表意者みずから無効を主張しえない場合は、相手方および第三者も無効を主張することができないとした事例 昭39(オ)609号
28 S40.5.27 相続放棄につき民法95条(錯誤)の適用があるとした事例 昭36(オ)201号
29 S40.5.25 建築材料の一切を請負人において支給し請負代金の前渡もなされていない請負契約においては、特別の意思表示のないかぎり、契約に基づき建築された建物の所有権は、建物が請負人から注文者に引渡された時に注文者に移転するとされた事例 昭39(オ)1209号
30 S40.5.20 土地の共有者は、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、各自単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認を訴求することができるとした事例 昭39(オ)764号
31 S40.5.4 滅失建物の登記を、その跡地に新築された建物の所有権保存登記に流用することは許されないとした事例 昭38(オ)1112号
32 S40.5.4 土地賃借人が土地上の所有建物について抵当権を設定した場合には、抵当権の効力は当該土地の賃借権に及び、建物の競落人と賃借人との関係においては、建物の所有権とともに土地の賃借権も競落人に移転するとした事例 昭39(オ)1033号
33 S40.4.30 不動産所有権の譲渡をもって代物弁済をする場合の債務消滅の効力は、原則として、単に所有権移転の意思表示のみでは足らず、所有権移転登記手続の完了によって生ずるとした事例 昭39(オ)665号
34 S40.4.20 売主の本件物件の第三者への売却により、仲介業者の売主及び買主との媒介契約が解除された後、売主と買主が直接交渉し本件物件の売買契約を成立させた事案において、売主・買主間の売買契約は仲介業者の報酬支払を免れる目的でなされたものではないとして仲介業者の報酬請求を棄却した事例 昭38(オ)1075号
35 S40.4.16 農地法第5条の規定に基づく知事の許可は、当該農地についての私法上の行為の取消または解除によってその効力を失うものではないとした事例 昭39(行ツ)36号
36 S40.4.6 土地を目的とする代物弁済予約に基づく完結権を行使しうる時から約15年後に完結の意思表示がなされた場合でも、予約による所有権移転請求権保全の仮登記が経由されているときは、いわゆる権利失効の原則により権利が失われることなく、完結権の行使は有効であるとした事例 昭38(オ)1108号
37 S40.4.2 土地の賃借人は、登記した建物を有しないかぎり、当該土地賃借権の存在を知って土地所有権を取得した第三者に対しても、土地賃借権を主張することができないとした事例 昭39(オ)842号
38 S40.3.26 不動産の贈与契約に基づいて、不動産の所有権移転登記がなされたときは、その引渡しの有無をとわず、民法550条にいう贈与の履行が終ったものと解されるとした事例 昭39(オ)370号
39 S40.3.19 法定地上権の地代確定訴訟における第一審判決の言渡後、その確定前にその地代債権に対して発せられた転付命令は、第一審判決において認められた地代の額の範囲内においては無効とはいえないとした事例 昭39(オ)218号
40 S40.3.17 地上権ないし賃借権の設定された土地上の建物についてなされた登記が、錯誤または遺漏により、建物所在地番の表示において実際と多少相違していても、当該建物の同一性を認識できる程度の軽微な相違である場合には、「建物保護に関する法律」第1条第1項にいう「登記したる建物を有する」場合にあたるとした事例 昭36(オ)1104号
41 S40.3.11 不動産を目的とする代物弁済の予約完結の意思表示がなされたときは、これにより当該不動産の所有権移転の効果が生ずるとされた事例 昭39(オ)919号
42 S40.3.10 従前の土地の一部を賃借する者は、土地区画整理法第85条の定める権利申告の手続をして土地区画整理事業の施行者から仮に使用収益しうべき部分の指定を受けないかぎり、仮換地につき現実に使用収益をすることができないとされた事例 昭34(オ)842号
43 S40.3.9 賃貸借終了を原因とする賃貸物件明渡等の請求書面に、予備的に、賃貸借が存続しているとすれば所定の期限までに賃料の支払を催告する趣旨が含まれている場合には、同催告は債務者が賃料を提供しても債権者に受領する意思が認められないような特段の事情のないかぎり有効であるとした事例 昭38(オ)1026号
44 S40.3.2 従前の土地の地積は土地台帳の地積による旨の土地区画整理施行規程の規定に基づき、土地台帳の地積によってした換地予定地指定処分は、憲法第29条に違反しないとした事例 昭38(オ)1000号
45 S40.2.23 処分禁止の仮処分の登記後に仮処分債務者から第三者に対し所有権の移転登記がされた場合において、仮処分債権者は債務者との訴訟にて実体法上の権利の確定をしないかぎり、第三者に対し権利を主張し、所有権の移転登記の抹消登記を請求することはできないとした事例 昭39(オ)231号
46 S40.2.23 建物所有を目的とする土地賃貸借契約を締結するにあたって、賃料は当分無料とするが当事者において追って協議してその額を定める約定が成立した以上、同約定の成立をもって賃貸借契約が成立したと判断されるとした事例 昭39(オ)633号
47 S40.2.12  土地賃貸人の土地賃借人に対する建物収去土地明渡請求訴訟において、転借人に直接賃貸借契約をしてよいとの意向を示して同訴訟に協力させた事情のもとで、賃貸人が訴訟で勝訴した後、一転して転借人に土地明渡の請求をすることは権利の濫用にあたるとした事例 昭39(オ)24号
48 S40.2.4 債権の一部を被保全債権として仮差押のなされた不動産の譲渡を受けた第三者は、仮差押が本差押に移行した場合においても、被保全債権の弁済をすることにより不動産の所有権を取得し、仮差押債権の不動産に対する強制執行は、債務者以外の第三者の所有物件についてなされたこととなり許されないとした事例 昭34(オ)1087号
49 S39.12.25 土地賃借人甲社が、乙社との合併前において、土地賃貸人に無断で建物を乙に売却した事案において、その後甲と乙とが合併した事情があったとしても、同無断譲渡について賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があったとはいえないとして、土地賃貸人の契約解除を認めた事例 昭37(オ)1384号
50 S39.12.25 抵当権設定登記をする前に被担保債権の一部が弁済されても、債権者はその債権全額について登記手続を請求することができるとした事例 昭37(オ)1355号
51 S39.12.18 期間の定めのない継続的保証契約は、保証人の主債務者に対する信頼が害されるなど保証人の解約申入の相当の理由がある場合には、解約により債権者が信義則上看過できない損害を被るような特段の事情がある場合を除き、保証人から一方的に解約できるとした事例 昭38(オ)1173号
52 S39.12.11 借地上の建物を目的物とする仮装の売買契約が締結された場合には、特別の事情がないかぎり、同建物の所有権の譲渡とともに当該借地権の譲渡をも仮装したものと認めるべきであるとした事例 昭37(オ)765号
53 S39.12.11 越権代理人が本人の実印を使用して約束手形を振り出した場合について、民法第110条にいう「権限ありと信ずべき正当の理由」がないとされた事例 昭39(オ)419号
54 S39.12.4 借地法10条の建物買取請求をした者が、買取代金の支払いまで建物の引渡を拒み敷地を占有する場合、この占有が専ら同時履行の抗弁権行使のみを目的とするときは格別、これを使用または賃貸等しているときは、敷地の賃料相当額を不当利得として返還すべき義務があるとした事例 昭39(オ)590号
55 S39.11.27 催告および催告期限徒過を停止条件とする契約解除の意思表示が期限後に到達した場合に、催告および解除の意思表示が有効とされた事例 昭38(オ)1362号
56 S39.11.26 代物弁済において、債務者のなす他の給付が不動産所有権の移転である場合には、その意思表示がなされただけでは足りず、登記その他の引渡行為が完了しなければ代物弁済は成立しないとされた事例 昭37(オ)1051号
57 S39.11.20 土地賃借人の有する借地権が対抗要件を具備しており、かつ転貸借が適法に成立している以上、転借人は、賃借人(転貸人)がその借地権を対抗しうる第三者に対し、賃借人の借地権を援用して自己の転借権を主張しうるとした事例 昭38(オ)451号
58 S39.11.19 賃借人が個人企業を会社組織に改め賃貸人の承諾なくして当該会社に賃借家屋を使用させている場合に、民法612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)による解除権が発生しないとされた事例 昭39(オ)696号
59 S39.11.17 債務超過の債務者が、ある債権者だけに優先的に債権の満足を得させる意図のもと、通謀して重要な財産を右債権者に売却し、売買代金債権と右債権者の債権とを相殺する約定をした場合には、たとえ売買価格が適正価格であるとしても、右売却行為は詐害行為にあたるとされた事例 昭37(オ)107号
60 S39.10.30 いわゆる法定条件についても、民法128条(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)が類推適用されるとした事例 昭36(オ)723号
61 S39.10.27 家屋賃貸人が商人である賃借人に対し、5月1日に4年分の延滞賃料の支払催告をしたのち、5月5日に解除の意思表示をした場合において、5月2日が土曜日、5月3日および5日が休日であっても、その解除の意思表示は催告後相当の期間経過後のものとして有効であるとした事例 昭38(オ)307号
62 S39.10.23 債務者が賃料を持参し債権者の代理人弁護士の事務所に赴いたが、当該弁護士が不在のため現金の呈示ができなかった場合において、弁護士の事務員に対しその受領の催告をしなくても、弁済のための現実の提供があったとされた事例 昭37(オ)806号
63 S39.10.23 家屋賃借人の内緑の妻が賃借人死亡後も賃借権を有するとされ、選定家督相続人には右賃借権が相続されないと判断された事例 昭37(オ)480号
64 S39.10.16 賃貸借契約の締結が遠い過去のため期間満了日が賃貸人賃借人双方にとって曖昧であったなど特段の事情により、結果的に土地賃貸借期間の満了日より1年半後に述べられた賃貸人の異議について、借地法第6条にいう遅滞なく述べた異議にあたるとされた事例 昭36(オ)494号
65 S39.10.15 ・法人に非ざる社団が成立するためには、団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要するとした事例
・法人に非ざる社団がその名においてその代表者により取得した資産は、構成員に総有的に帰属するとした事例
昭35(オ)1029号
66 S39.10.13 内縁の夫死亡後その所有家屋に居住する寡婦に対して、亡夫の相続人のした家屋明渡請求が権利の濫用にあたるとされた事例 昭37(オ)885号
67 S39.10.13 登記簿上表示された建物の一部である現存建物が、建物保護に関する法律1条にいう「登記したる建物」にあたるとされた事例 昭37(オ)250号
68 S39.10.8 売買契約書上一筆の山林を表示しているが、契約締結当時の諸事情に照らして観察すれば、売買は山林を構成する地盤の一部を指定し、これを譲渡するという趣旨の契約にほかならないときは、所有権移転の効力は山林部分についてのみ生ずるとした事例 昭37(オ)1064号
69 S39.10.8 家賃の支払いとその受取証書の交付とは同時履行の関係にあると解すべきであるが、借家人が受取証書の交付を受けないで異議なく家賃の支払いをした場合には、さきに支払つた家賃について受取証書の交付のないことを理由として、その後の家賃の支払いを拒絶することはできないとした事例 昭38(オ)679号
70 S39.9.8 農地の買主は、その必要があるかぎり、売主に対し知事の許可を条件として、農地所有権移転登記手続請求をすることができるとした事例 昭38(オ)1272号
71 S39.9.8 建設業法第19条は、書面によらない建設契約を無効とする趣旨ではないとした事例 昭38(オ)461号
72 S39.9.8 借地法第10条による買取請求権を行使できる者は、建物所有を目的とする土地賃借権者が借地上に所有する建物等土地の附属物件を、その賃借人から賃借権とともに譲り受けた者およびその者よりさらにその譲渡を受けた者に限られるとした事例 昭38(オ)1398号
73 S39.9.8 民法第242条(不動産の附合)但書は、、附合した物がなおその不動産とは別個の存在を有する場合にのみ適用され、附合した物が不動産の一部と認められて全然独立の存在を失う場合には適用の余地がないとした事例 昭38(オ)489号
74 S39.8.28 賃貸中の家屋の所有権を第三者に移転した場合には、特段の事情のないかぎり、賃貸人の地位もこれにともない第三者に移転するとした事例 昭35(オ)596号
75 S39.7.28 賃料不払を理由とする家屋賃貸借契約の解除が、特段の事情により、信義則に反し許されないものとされた事例 昭37(オ)747号
76 S39.7.24 甲の所有権保存登記がなされた甲所有の建物について、二重に乙名義の所有権保存登記がされ、次いで甲名義の登記が不法に抹消された後に、丙が乙名義の登記に基づき建物の所有権取得登記を経由した場合、丙は、甲名義の登記の抹消回復登記につき「登記上利害の関係を有する第三者」に当らないとした事例 昭38(オ)1154号
77 S39.7.16 不動産売買の仲介依頼の合意解除後に当事者間にて直接不動産の売買契約が成立した場合において、業者の仲介と当該売買契約成立との間に因果関係がなく、仲介の合意解除も故意に業者を除外したものでなく、依頼に関する報酬の特約もなかったときには、媒介業者に報酬請求権はないとされた事例 昭36(オ)1232号
78 S39.7.14 建物を所有して土地を権原なく占有する者が、建物居住者が建物を明け渡さないため土地の返還ができなかった場合にも、土地不法占有による損害賠償責任を負うとした事例 昭36(オ)1194号
79 S39.6.30 賃貸人の土地賃借権の無断譲渡について、賃貸人に対する背信行為と認めるに足らない特段の事情がある場合にあたるとして、賃貸人は土地賃貸借契約を解除できないとし、この場合において、賃借権の譲受人は、賃貸人の承諾がなくても、借地権の譲受をもって賃貸人に対抗できるとした事例 昭39(オ)25号
80 S39.6.26 家屋賃借人において修繕義務を負う特約がある場合でも、大修繕は特別の事情のない限り賃借人において負担する義務がないと、一般的にいうことはできないとした事例 昭38(オ)191号
81 S39.6.26 家屋賃貸借における賃料の取立債務の約定は、賃借人と前賃貸人との間の特殊事情に基づいて成立したものであっても、新所有者たる賃貸人に承継されるとした事例 昭38(オ)1071号
82 S39.6.26 借地権の無断譲渡を理由として土地賃貸借契約が解除されたのち地上建物を取得した第三者は、建物の買取請求権を有しない 昭37(オ)294号
83 S39.6.26 賃貸人たる地主は、借地人に対し賃料請求権を有するとしても、いまだ借地人から賃料の支払を受けていないかぎり、借地権の無断譲受人に対し賃料相当の損害賠償請求ができるとした事例 昭38(オ)1462号
84 S39.6.19 ・二筆の土地を一括して賃借した場合に、一筆の土地についての用法違反によって二筆の土地全部の賃貸借契約を解除できるとされた事例
・堅固建物への改築が消防署の命による場合でも、借地の用方違反の違法性は阻却されないとされた事例
昭38(オ)48号
85 S39.5.26 入院中の内縁の夫が、同棲に使用していたその所有家屋を妻に贈与するに際して、自己の実印を家屋を買受けたときの契約書とともに妻に交付した事案において、簡易の引渡による家屋の占有移転があったとして、これにより贈与の履行が終ったものとされた事例 昭38(オ)31号
86 S39.5.23 不動産の処分に関する白紙委任状等の転得者がその書類を濫用した場合、民法第109条(代理権授与の表示による表見代理)の適用はないとした事例 昭38(オ)789号
87 S39.5.12 私文書の作成名義人の印影が当該名義人の印章によって顕出されたものであるときは、反証のないかぎり、民事訴訟法326条により、当該文書が真正に成立したものと推定されるとした事例 昭39(オ)71号
88 S39.5.1 公社住宅の不正入居者に対する明渡請求が、権利濫用に当らないとされた事例 昭38(オ)1169号
89 S39.4.2 民法110条の表見代理が成立するために必要とされる基本代理権は、私法上の行為についての代理権であることを要するとした事例 昭37(オ)912号
90 S39.3.31 借家人の債務不履行によつて家屋賃貸借が解除された場合には、借家法4条(転貸借の保護)を適用する余地はないとした事例 昭38(オ)198号
91 S39.3.10 会社が従業員の福利厚生施設の一つとして、一般の建物賃貸借における賃料より低廉な使用料で、その従業員に限って使用させている事情がある社宅の使用については、たとえ、入居願書の提出や社宅規則がなくても、借家法の適用はないとした事例 昭37(オ)707号
92 S39.2.27 生垣やトタン塀が古くから存在していたからといって、必ずしもその線が土地境界線であるとは認められないとされた事例 昭37(オ)952号
93 S39.2.27 甲の相続権を乙が侵害している場合、甲の相続人丙の乙に対する相続回復請求権の消滅時効の期間20年の起算点は、丙の相続開始の時ではなく、甲の相続開始の時とであるとした事例 昭37(オ)1258号
94 S39.2.25 共有物を目的とする貸借契約の解除は、共有者によってされる場合は、民法第252条本文にいう「共有物の管理に関する事項」に該当し、解除については、民法第544条第1項(解除権の不可分性)の規定は適用されないとした事例 昭36(オ)397号
95 S39.2.20 時効消滅後の債権による相殺は、相殺適状にあった時点の債権額の限度でなしうるものであって、相殺の意思表示の時点における債権額につき対当額で相殺されると解すべきではないとした事例 昭37(オ)1005号
96 S39.2.13 単に土地を譲渡した前所有者であるにすぎないものは、譲受人から権利を譲受けたた後者に対して登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する民法177条の第三者に該当しないとした事例 昭37(オ)579号
97 S39.2.4 ・借地法第10条に基づく建物買取請求権行使による売買についても民法第577条の適用があるとした事例
・借地法第10条に基づく買取請求の対象建物の時価は、抵当権の設定があっても減額されないとした事例
昭36(オ)1299号
98 S39.1.30 甲乙両名が共同相続した不動産につき、乙が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに第三取得者丙が乙から移転登記をうけた場合、甲は乙丙に対し自己の持分を登記なくして対抗できるとした事例 昭36(オ)315号
99 S39.1.23 山林の売却斡旋依頼とともに判示内容の停止条件付報酬契約がなされた場合において、委任者が受任者を介せず山林を他に売却したときは、受任者は条件が成就したものとみなして約定報酬の請求ができるとした事例 昭36(オ)1307号
100 S39.1.16 土地の賃借人が所有建物を子との共有名義とするとともに土地の賃借権の持分を譲渡した場合において、賃借地の利用および賃料支払等の実質関係に変りがなければ、賃借権の持分の譲渡は賃貸人の承諾がなくても民法第612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)による解除事由とはならないとした事例 昭37(オ)322号
101 S39.1.16 ・村民は、村道に対し他の村民の有する利益ないし自由を侵害しない程度において、自己の生活上必須の行動を自由に行いうべき使用の自由権を有するとした事例
・村民の村道使用権に対して継続的な妨害がなされた場合、当該村民は妨害排除請求ができるとした事例
昭35(オ)676号
102 S38.12.27 売主およびその相続人の共有不動産が売買の目的とされた場合、当該相続人は当該売買契約における売主の義務の履行を拒むことはできないとした事例 昭37(オ)810号
103 S38.12.24 発起人が会社の成立を条件としてなした法律行為のうち、単純な債務引受は財産引受にあたらないが、積極消極両財産を含む営業財産を一括して譲り受ける契約は、財産引受にあたるとした事例 昭35(オ)675号
104 S38.12.13 他人の所有する土地に権原によらずして自己所有の樹木を植え付け、その時から立木のみにつき所有の意思をもって平穏かつ公然に20年間占有した者は、時効により立木の所有権を取得するとした事例 昭36(オ)208号
105 S38.11.28 土地の賃借人が地上建物を他に仮装譲渡した場合、土地賃貸人はその譲渡につき民法第94条(虚偽表示)第2項のいわゆる第三者にあたらないとした事例 昭36(オ)183号
106 S38.11.28 賃貸家屋の修繕義務の不履行を理由に賃料支払を拒絶できないとされた事例 昭37(オ)347号
107 S38.11.14 土地賃借人が借地に隣接する賃貸人所有地に越境建築したことが、借地自体の用方違反になるとして、賃貸人の契約解除が容認された事例 昭36(オ)361号
108 S38.10.30 留置権の抗弁は、被担保債権の債務者が原告である訴訟において提出された場合には、当該債権について消滅時効中断の効力があり、かつ、その効力は抗弁の撤回されないかぎり、その訴訟係属中存続するとした事例 昭35(オ)362号
109 S38.10.29 建物の賃借部分の改築により、借家人のため区分所有権が成立したとされた事例 昭35(オ)1419号
110 S38.10.15 僧侶個人所有の住居兼説教所用建物が宗教法人たる寺院の所有となった場合に、敷地の賃貸借につき民法612条による解除権が発生しないとされた事例 昭36(オ)1430号
111 S38.10.15 登記簿上の所有者名義人は、前所有名義人から不動産所有権を取得したと主張する場合には、前所有名義に対し登記の推定力を援用し得ないとした事例 昭35(オ)198号
112 S38.10.15 境界確定訴訟の控訴裁判所は、第一審判決の境界線を正当でないと認めたときは、第一審判決を変更して、正当と判断する境界を定めるものであり、その結果が実際上控訴人にとり不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利である場合であっても、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はないとした事例 昭37(オ)938号
113 S38.10.10 売買一方の予約に基づいて売買本契約が成立した場合は、売買予約締結当時を基準として詐害行為の要件の具備の有無を判断すべきとした事例 昭36(オ)15号
114 S38.10.8 建物所有権移転請求権保全の仮登記権利は、本登記をなすに必要な要件を具備した場合でも、本登記を経由しないかぎり、登記の欠缺を主張しうる第三者に対し建物の明渡を求めることは許されないとした事例 昭35(オ)1299号
115 S38.10.4 共同相続した不動産につき、共同相続人の一人が勝手に単独の所有権登記を行い、この者から第三者が移転登記を受けた場合、他の共同相続人は第三者に対し自己の持分を登記なくして対抗できるとし事例 昭38(オ)280号
116 S38.10.1 農地の売買において、売主の相続人らが買主に対して負う、知事に対する許可申請手続協力義務は不可分債務であるとされた事例 昭36(オ)1405号
117 S38.10.1 抵当権の設定されていない同一所有者に属する土地及びその地上建物のうち、土地のみを公売によって競落した場合、法定地上権は成立しないとした事例 昭35(オ)611号
118 S38.9.27 借家人の無断増築が著しい不信行為であるとして、無催告の賃貸借契約解除が有効とされた事例 昭37(オ)588号
119 S38.9.26 賃貸借の目的たる家屋の所有権を取得して賃貸人となった者は、旧所有者と賃借人との間に存した転貸許容の特約をも承継するとした事例 昭35(オ)1251号
120 S38.9.20 債務不履行により農地の売買契約を解除する場合には、農地法第3条の適用がないとした事例 昭38(オ)40号
121 S38.9.18 建築主が建築主事の確認を受けないで、用途上不可分の関係の認められない1戸建住宅及び2戸建ないし5戸建長屋住宅合計38棟を建築したときは、38個の建築基準法違反罪が成立するとした事例 昭38(あ)975号
122 S38.9.5 違約手付の特約に契約関係清算のための損害賠償額の予定を含む場合においては、違約手付を交付した者が相手方の違約を理由として手付金倍額償還を請求するには、あらかじめ契約解除の手続を経ることを要しないとした事例 昭37(オ)880号
123 S38.9.5 株式会社の代表取締役が自己の利益のため会社の代表者名義でなした法律行為は、相手方が代表取締役の真意を知り、または、知りうべきものであったときは、その効力を生じないとした事例 昭35(オ)1388号
124 S38.8.8 第三者の詐欺による売買により目的物件の所有権を喪失した売主は、買主に対し代金請求権を有していても、第三者に対する不法行為に基づく損害賠償請求権がないとはいえないとされた事例 昭35(オ)1485号
125 S38.6.27 飼犬による傷害事件において、危害防止のため鎖でつないでいなかったことにつき犬の飼主に保管上の注意義務違反があるとした事例 昭37(オ)1287号
126 S38.6.26 ため池の破損、決壊の原因となるため池の堤等の使用行為は、憲法、民法の保障する財産権の行使の埒外のものであるとして、ため池の堤等の所有権行使が著しく規制される「奈良県ため池の保全に関する条例」につき合憲性を認めた事例 昭36(あ)2623号
127 S38.6.13 弁護士の資格有しない者の弁護士法72条本文前段および同77条に抵触する契約は、公序良俗違反により無効とされた事例 昭37(オ)1460号
128 S38.6.7 通謀虚偽の売買契約における買主が、契約の目的物について第三者と売買予約を締結した場合、その目的物の物件取得の法律関係につき、予約権利者が民法第94条第2項にいう善意か否かは、その売買予約成立の時ではなく、当該予約完結権の行使により売買契約が成立する時を基準として定めるとした事例 昭35(オ)15号
129 S38.5.31 主たる建物の登記部分のみが無効である場合は、その部分のみの抹消を許すべきであって、附属建物を含めた全部の登記の抹消を許すべきではないとした事例 昭35(オ)977号
130 S38.5.24 対抗力を具備しない土地賃借権者に対する建物収去、土地明渡の請求が権利の濫用となるとされた事例 昭37(オ)93号
131 S38.5.21 ・借地法7条にいう建物の滅失した場合とは、建物滅失の原因が自然的であると人工的であると、借地権者の任意の取りこわしであると否とを問わず、建物が滅失した一切の場合を指すとした事例
・一箇の借地契約に基づいて借地上に建物が存在する場合には、その建物の敷地が当該借地の一少部分であつても、当該借地全体について借地法第7条が適用されるとした事例
昭35(オ)549号
132 S38.4.23 借地上の建物の賃借人は、その賃借権を保全するために、建物賃貸人(借地人)に代位して、借地法第10条の規定による建物買収請求権を行使することはできないとした事例 昭35(オ)955号
133 S38.4.12 賃借建物で鉄工場を経営していた賃借人が、その事業を自己が代表取締役となって会社組織にした結果その建物を会社に転貸するに至った場合においては、賃貸人は賃貸借の合意解除の効果を転借人に対抗できるとした事例 昭36(オ)1284号
134 S38.3.28 ・甲が登記簿上乙の所有名義となっている甲所有建物を丙に譲渡した後、丙の所有権登記前に、甲の債権者丁が建物になした、乙より甲への代位による所有権移転登記ならびに甲を債務者とする仮差押登記はいずれも有効であるとした事例
・仮差押登記後、丙の所有権取得登記がされても、丙は建物所有権取得をもって丁に対抗できないとした事例
昭33(オ)416号
135 S38.3.1 家屋の賃貸人において借入金返済のため賃貸家屋を売却する必要があり、他方賃借人が理髪業者で他に適当な移転先がない事情がある場合において、移転料の提供により借家法第1条の2にいわゆる正当の事由を具備したと判断し、移転料と引換えに明渡を命ずる判決をしても違法ではないとした事例 昭37(オ)907号
136 S38.2.22 ・相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人及び同人から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者に対し、他の共同相続人は自己の持分を登記なくとも対抗できるとした事例
・この場合において、他の共同相続人が各登記の名義人に対し請求し得るのは、自己の持分についての一部抹消更正の登記手続であって、これを超えて各登記の全部抹消を請求することはできないとした事例
昭35(オ)1197号
137 S38.2.21 土地賃貸人と賃借人との間において土地賃貸借契約を合意解除しても、土地賃貸人は、特別の事情がないかぎり、その効果を地上建物の賃借人に対抗できないとした事例 昭35(オ)893号
138 S38.2.12 宅地建物取引業者は、不動産の買受人より依頼を受け、売買の媒介を行い契約を成立させたときは、商法512条により買受人に対し報酬を請求しうるとした事例 昭35(オ)389号
139 S38.1.18 建物の賃借人は、賃料前払の効果を賃借建物につき所有権を取得した新賃貸人に主張できるとした事例 昭36(オ)449号
140 S38.1.18 譲渡担保契約に伴う代物弁済の約定部分を無効と解すべき場合でも、譲渡担保契約全体が無効となるとは限らないとされた事例 昭36(オ)1162号
141 S38.1.18 係争地域が自己所有であるとの主張は前後変わることなく、ただ単に請求を境界確定から所有権確認に変更したにすぎない場合は、境界確定の訴え提起によって生じた時効中断の効力には影響がないとした事例 昭34(オ)1099号
142 S37.12.26 土地区画整理中の土地の売買において、なんらの特約をしなかった場合、清算交付金は売主に帰属するとした事例 昭35(オ)613号
143 S37.12.25 家屋賃借人の事実上の養子として待遇されていた者が、賃借人の死後も引き続き家屋に居住する場合、相続人らの賃借権を援用して賃貸人に対抗することができるとした事例 昭34(オ)692号
144 S37.11.27 山林の売買契約において、売主が開通すると説明した北側道路が実際には存しなかった場合において、当該北側道路の存在は売買契約の要素であるとして、買主の錯誤による契約無効の主張を容認した事例 昭36(オ)379号
145 S37.11.16 債務の履行不能後目的物の価格が値上りした場合に、 履行不能となった際債務者がその事情を知りまたは知りえたときは、債務者が口頭弁論終結時の価格まで値上りする以前に目的物を他に処分したであろうと予想された場合でないかぎり、債権者は終結時の価格による損害の賠償を請求しうるとした事例 昭36(オ)135号
146 S37.11.9  継続的売買取引について、将来負担することあるべき債務についてした責任の限度額ならびに期間の定めのない連帯保証契約における保証人たる地位は、特段の事由のないかぎり、当事者その人と終始するものであって、保証人の死亡後生じた債務については、その相続人においてこれが保証債務を負担するものではないとした事例 昭36(オ)868号
147 S37.11.8 電気工作物に瑕疵があるとされた事例 昭33(オ)510号
148 S37.10.30 土地の所有者が一筆の土地全部を同時に分筆譲渡したため袋地が生じた場合において、袋地の譲受人は分筆前一筆であった残余の土地についてのみ囲繞地通行権を有するとした事例 昭35(オ)1325号
149 S37.10.30 土地境界確定の訴えにおいては、判決主文において、係争土地相互の境界を表示すれば足り、土地の所有者が誰であるかを主文に表示することを要しないとした事例 昭35(オ)513号
150 S37.10.24 宅地建物取引業法の一部を改正する法律(昭和32年法律第131号)により、既存の宅地建物取引業者に新たに営業保証金の供託義務を課していることは、憲法22条、13条に違反しないとした事例 昭36(オ)496号
151 S37.10.12 債権者が受益者を相手どって詐害行為取消の訴えを提起しても、債権につき消滅時効中断の効力を生じないとした事例 昭35(オ)646号
152 S37.10.4 弁護士でない者が報酬を得る目的で、債権者から債権取立の委任を受け、その取立のため請求、弁済の受領、債務の免除等の諸種の行為をすることは、弁護士法第72条の、「その他一般の法律事件」に関して、「その他の法律事務」を取り扱った場合に該当するとした事例 昭36(あ)2883号
153 S37.10.2 親権者が自己の借入金債務につき、未成年の子の所有不動産に抵当権を設定する行為は、借入金を未成年の子の養育費にする意図であっても、民法第826条にいう「利益が相反する行為」にあたるとした事例 昭34(オ)1128号
154 S37.9.21 金銭債務の弁済のため、銀行の自己宛振出小切手を提供したときは、特段の事情のないかぎり、債務の本旨に従った弁済の提供があったものとされた事例 昭35(オ)252号
155 S37.9.14 民法第94条第2項(通謀虚偽表示)の類推適用を認めた事例 昭34(オ)726号
156 S37.9.13 土地の地目変更の登記申請書に、農地法第4条第1項による都道府県知事の許可を証する書面を添付しない違法があっても、登記官吏において申請を受理して土地の地目変更の登記をしたときは、同登記はその違法により当然に無効となるものではないとした事例 昭35(オ)1365号
157 S37.9.4 通行人の死亡による損害が、国道管理の瑕疵のため生じたものと認められた事例 昭34(オ)117号
158 S37.8.3 賃料額の具体的約定はなされなくても、当事者間に社会通念上相当とされる対価を支払うべき合意があるときは、賃貸借契約が有効に成立するとした事例 昭37(オ)138号
159 S37.7.20 ・建物所有を目的とし、民法602条所定の存続期間をこえる土地の賃貸借契約は、宗教法人令11条にいう不動産の処分にあたるとした事例
・宗教法人令による法人のなした同令第11条第1項所定の主管者の承認をえない不動産長期賃貸借契約は、その後法人が宗教法人法による法人に組織変更され、宗教法人法上は処分につき制限がない場合でも、そのことにより当然に有効となるものではないとした事例
昭36(オ)186号
160 S37.7.19 堅固の建物以外の建物の所有を目的とし、期間を20年とする借地権は、期間満了前は地上建物が朽廃しても消滅しないとした事例 昭34(オ)950号
161 S37.6.26 第三者のためにする契約は、契約当時に存在していなくても将来出現するであろうと予期された者を第三者とした場合でも有効に成立するとした事例 昭33(オ)31号
162 S37.6.8 仮処分命令により売買その他の処分行為を禁止された不動産の所有者は、絶対にその物件の処分権を失うものではなく、仮処分債権者に対する関係においてこれを処分することができないにすぎないとした事例 昭34(オ)18号
163 S37.6.6 借地法第4条第1項は、憲法第29条に違反しないとした事例 昭34(オ)502号
164 S37.5.31 家屋明渡しを求める調停の申立は、賃貸借解約の意思表示がなされたものと解されるとした事例 昭36(オ)73号
165 S37.5.18 同一不動産について再度なされた売買契約の解釈は、、前の売買契約を確認し、その約定を附加訂正したものと解するのが相当であるとした事例 昭34(オ)1109号
166 S37.4.5 滞納家賃が3カ月分以上に達したときは、賃貸人は賃借人に対し、催告等の手続を経ることなく、直ちに賃貸借契約を解除することができる旨の特約は、借家法第6条の特約には当らないとした事例 昭36(オ)167号
167 S37.3.29 適法な転貸借がある場合、賃貸人が賃料延滞を理由として賃貸借契約を解除するには、賃借人に対して催告すれば足り、転借人に対して延滞賃料の支払機会を与えなければならないものではないとした事例 昭33(オ)963号
168 S37.3.29 石油タンクは、旧地方税法八八条にいう不動産に該当しないとされた事例 昭33(オ)188号
169 S37.3.15 土地が路地状部分で公路に通じており、その路地状部分が東京都建築安全条例所定の幅員に欠けるため増築の建築確認が得られないという理由だけでは、民法210条の囲繞地通行権は成立しないとした事例 昭34(オ)1132号
170 S37.3.15 期間を定めず、賃料が具体的には協定されていなかった建物所有を目的とする賃貸借について、賃料が具体的にきまらなくても、賃料額を客観的に確定し得べき基準につき合意があれば、賃貸借は有効に成立するとされた事例 昭35(オ)1274号
171 S37.2.27 ・建物の善意占有者の居住による利得は、建物所有者に返還することを要しないとした事例
・建物の占有者の居住による利得は民法189条第1項にいう果実に当るとした事例
昭33(オ)454号
172 S37.2.20 原審が6カ月の申入期間経過後に生じた事由をも加えて解約申入の正当事由があると判断した点に問題があっても、原審口頭弁論終結当時において正当事由が存し、かつその事由が存してから弁論終結までに6カ月を経過している事実が認められる以上、解約申入請求を認容した原判決は肯認できるとした事例 昭34(オ)192号
173 S37.2.15 賃貸人、賃借人双方の事情の斟酌において、借家を生活上必要とする度合に優劣なしと認められた場合、賃貸人が所有者であることに着目して解約申入に正当の事由があるとした判断に、借家法の解釈上の誤りはないとした事例 昭35(オ)1236号
174 S37.2.6 一時使用のための借地権とされた事例 昭35(オ)1066号
175 S37.2.1 賃貸人の承諾ある転貸借が存する場合、賃貸人と賃借人との合意解除につき、転借人に信義則違反があるなどの特段の事由がなければ、転借人の権利は消滅しないとした事例 昭34(オ)979号
176 S37.2.1 犬の飼主に保管上の過失を認めた事例 昭34(オ)1049号
177 S37.1.23 登記名義人を異にする二重の保存登記の一方の登記名義人を登記義務者とする所有権移転登記の申請がある場合において、不動産登記法第49条第6号の規定によりこれを却下することは許されないとした事例 昭34(オ)120号
178 S36.12.22 借主が死亡しその相続人が複数いる場合、貸主からの契約解除には相続人全員に対して解除の意思を表示することを要するとした事例 昭34(オ)378号
179 S36.12.21 賃貸借の終了によって転貸借は当然にその効力を失うものではないが、賃借人の債務不履行により賃貸借が解除された場合には、その結果転貸人としての義務に履行不能を生じ、よって転貸借は賃貸借の終了と同時に終了するとした事例 昭34(オ)596号
180 S36.12.15 共同相続財産たる不動産の売却による売主らの所有権移転登記義務は、不可分債務に当たるとされた事例 昭33(オ)517号
181 S36.12.15 不特定物の売買において、特段の事情が存しない限り、買主は、取替ないし追完の方法による完全履行の請求権を有し、また、その不完全な給付が売主の責に帰すべき事由に基づくときは、債務不履行の一場合として、損害賠償請求権および契約解除権をも有するとされた事例 昭32(オ)1222号
182 S36.12.12 仮換地の指定にあたってなさるべき従前の宅地との照応考慮は、原則として、土地区画整理事業開始の時における状況を基準としてなすべきとした事例 昭34(オ)392号
183 S36.12.1 表見代理を信じる正当事由があるとはいえないとされた事例 昭32(オ)804号
184 S36.11.30 事務管理者が本人の名でした法律行為の効果は、当然には本人におよぶものではないとした事例 昭36(オ)342号
185 S36.11.28 連帯債務者の一人が死亡し、その相続人が数人ある場合に、相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となると解された事例 昭35(オ)571号
186 S36.11.24 甲が乙から宅地を買受けその旨の所有権取得登記を経由したのち、乙の債務不履行を原因として売買契約が解除された場合、甲は乙に対し登記の抹消手続を求めることができるとした事例 昭33(オ)1128号
187 S36.11.21 売買契約において、売買契約の目的達成に必須でない付随義務違反(租税債務負担)をもって、主たる契約である売買契約の解除することはできないとされた事例 昭35(オ)69号
188 S36.11.7 家賃が増額されたその8カ月後になされた家賃の増額請求が、借家法7条に抵触しないとされた事例 昭35(オ)938号
189 S36.10.10 借家法第8条のいわゆる一時使用のための賃貸借といえるためには、その期間が1年未満の場合でなければならないものではないとした事例 昭33(オ)208号
190 S36.9.15 工場財団を組成する動産についても、民法192条(即時取得)の適用があるとした事例 昭33(オ)1073号
191 S36.7.21 建物の賃貸人が建物の無断増築を理由に契約解除を求めた事案において、一日で撤去できる程度の仮建築であるなどの事情により、賃借建物の無断増築が契約解除原因に当らないとされた事例 昭33(オ)719号
192 S36.7.21 賃貸人が賃借人に対し賃貸物件を使用させない期間は、賃借人は賃料支払義務を負わないとした事例 昭34(オ)848号
193 S36.7.20 不動産の取得時効が完成しても登記を経なければ、その後に所有権登記を経由した第三者に対し時効による権利の取得を対抗できないが、第三者の登記後に占有者がなお引続き時効取得に要する期間占有を継続した場合には、その第三者に対し登記を経由しなくとも時効取得をもって対抗しうるとした事例 昭34(オ)779号
194 S36.7.6 土地所有者が、仮設の建物により土地を不法占有する者との事態解決のため、期間を10年とした土地賃貸借契約について、借地法第9条にいう一時使用のための借地権に該当するとした事例 昭36(オ)43号
195 S36.6.22  双務契約上の債務が同時履行の関係に立つ場合、契約を解除しようとする当事者の債務の履行の提供は、催告に指定された履行期日にこれをすれば足りるとした事例 昭35(オ)505号
196 S36.5.30 買主が買戻の特約を登記した不動産を第三者に転売しその登記を経由した場合は、最初の売主は転得者に対し買戻権を行使すべきであるとした事例 昭32(オ)469号
197 S36.5.26 宅地建物取引業者は、直接の委託関係はなくても、業者の介入に信頼して取引するに至った第三者に対して、信義誠実を旨とし、権利者の真偽につき格別に注意する等の業務上の一般的注意義務があるとした事例 昭33(オ)265号
198 S36.5.26 ・知事の許可を得ることを条件として農地の売買契約をしたとしても、いわゆる停止条件を附したものということはできないとした事例
・農地の売主が故意に知事の許可を得ることを妨げたとしても、買主は条件を成就したものとみなすことはできないとした事例
昭32(オ)923号
199 S36.5.4 物件変動の対抗要件としての明認方法は、第三者が利害関係を取得した当時にも存在するものでなければ、これをもつて当該第三者に対抗することはできないとした事例 昭32(オ)355号
200 S36.4.28 不動産につき甲、乙、丙と順次所有権が移転したものとして順次所有権移転登記がなされた場合において、各所有権移転行為が無効であるとき、乙は丙に対し抹消登記請求権を有するとした事例 昭32(オ)1208号
201 S36.4.28 店舗の無断転貸につき、同転貸が賃借人との共同経営契約に基づくもので、転貸部分は家屋のごく一小部分に過ぎない等の賃貸人に対する背信行為と認めるに足らない特段の事情があるとして、賃貸人の契約解除が無効とされた事例 昭32(オ)1087号
202 S36.4.20 会社に対する催告書につき、会社事務室に居合せた代表取締役の娘が受け取り、代表取締役の机の上の印により受取の捺印をし、同催告書を机の抽斗に入れていたという場合に、同人に催告書を受領する権限がなく、また社員にその旨を告げなかったとしても、催告書の到達があったと解されるとした事例 昭33(オ)315号
203 S36.3.24 民法第213条(公道に至るための他の土地の通行権)の規定は、農地を賃借してその引渡を受けた者と土地の所有者との間において準用されるとした事例 昭31(オ)917号
204 S36.3.16 建物が二重に譲渡された場合において、無効な登記を有するにすぎない譲受人は、建物所有者としてその建物を目的とする火災保険契約を締結するについて、被保険利益を有しないとした事例 昭32(オ)782号
205 S36.3.7 従前の土地の一部について賃借権を有する者は、たとえその賃借部分が仮換地に含まれていても、賃借権について仮に権利の目的となるべき部分の指定を受けないかぎり、賃借部分の使用権を有しないとされた事例 昭34(オ)326号
206 S36.2.28 土地賃貸人からの建物収去土地明渡の請求において、建物所有者が借地法第10条により買取請求権を行使した場合に、その建物に賃借人があるときは、収去明渡の請求には、建物の指図による占有移転を求める趣旨を包合するものと解されるとした事例 昭33(オ)989号
207 S36.2.24 借家法第7条に基づく賃料増減の請求は形成的効力を有し、請求者の一方的意思表示が相手方に到達した時に同条所定の理由が存するときは、賃料は以後相当額に増減せられたものと解されるとした事例 昭32(オ)1146号
208 S36.1.17  妻が別居中の夫の所有土地家屋を代理として売却した場合において、妻に代理権があると信じさせる事情が存するも、「夫が病気で別居し、仕送りがないので借金ができ、その整理のため売る」旨告げられながら、直接夫に確かめなかった買主に、民法第110条の正当な理由は認められないとされた事例 昭33(オ)251号
209 S35.12.27 登記簿上自己が所有名義人となる預り保管中の不動産につき、所有権移転登記手続請求の訴を提起された場合に、不動産に対する不法領得意思の確定的発現として、訴訟において自己の所有権を主張・抗争する所為は、不動産の横領罪を構成するとした事例 昭34(あ)2368号
210 S35.12.20 借地法第10条の買取請求における建物の時価は、建物を取り壊した場合の動産としての価格ではなく、建物が現存するままの状態における価格であって、敷地の借地権の価格は加算すべきでないが、その建物の存在する場所的環境は参酌して算定すべきであるとした事例 昭34(オ)730号
211 S35.11.29 杉立木の不法伐採による損害賠償額は、特別事情の認められない場合、伐採当時の時価相当額であるとされた事例 昭33(オ)785号
212 S35.11.29 隣地から竹の根(地下茎)が本件土地へ入ってきて、それから生えた竹である場合、同竹材は本件土地の果実であるとされた事例 昭33(オ)929号
213 S35.11.29 不動産売買契約に基づき買主に所有権移転登記がなされた後、契約解除により、不動産の所有権が売主に復帰した場合において、売主はその旨の登記をしなければ、契約解除後に買主から不動産を取得した第三者に対しては、第三者が善意であると否と、不動産に予告登記の有無にかかわらず、所有権の取得を対抗できないとした事例 昭33(オ)846号
214 S35.11.24 不動産売買予約上の権利を仮登記により保全した場合に、予約上の権利の譲渡を予約義務者その他の第三者に対抗するためには、仮登記に権利移転の附記登記をすれば足り、債権譲渡の対抗要件を具備する心要はないとした事例 昭33(オ)544号
215 S35.11.1 土地区画整理法99条2項は、換地予定地権利者の従前宅地と換地予定地との二重使用を禁止するとともに、換地予定地上に従前の権利者の建物などが存する場合に、その撤去または移転まで換地予定地権利者の換地予定地の使用を禁じた関係上、換地予定地権利者の従前の宅地使用を許容したものとした事例 昭34(オ)882号
216 S35.11.1 契約解除に基づく原状回復義務の履行不能による損害賠償請求権の消滅時効は、契約解除の時から進行するとした事例 昭33(オ)599号
217 S35.10.27 ・契約解除の前提としての催告が有効であるためには、少くとも催告と同時に相手方が遅滞に付されることを要するとした事例
・双務契約上の債務の受領遅滞にある者が契約解除の前提としての催告をするためには、受領遅滞を解消させた上でこれをしなければならないとした事例
昭31(オ)686号
218 S35.10.18 実印の交付を受けた代理人につき、民法第110条の適用が認められた事例 昭33(オ)117号
219 S35.10.14 甲所有の土地を、処分権のない乙が丙に売り渡した場合であつても、甲が乙に対しその処分行為を追認したときは、丙に対し所有権移転の効力を生じるとした事例 昭32(オ)640号
220 S35.10.14 賃貸中の家屋に対する強制競売開始決定が債務者に送達された後、債務者が賃借人と合理的理由なしに賃料を半額に減額する合意をしても、これをもって競落人に対抗できないとした事例 昭33(オ)903号
221 S35.10.4 民法208条所定の区分所有権は、その部分が独立の建物と同一の経済上の効力を全うすることを得る場合に限って成立し、その部分が他の部分と併合するのでなければ建物としての効力を生ずることができない場合には、民法242条により不動産の所有者は附合物の所有権を取得するとした事例 昭33(オ)352号
222 S35.10.4 土地および温泉使用権を療養所のための敷地および鉱泉として寄附するにあたり、将来用途を廃止したときは無償で返還を受ける旨の特約があった場合、療養所を廃止し国立病院のため使用されているときは、特約にいう用途廃止という条件は既に成就したものと認めるとした事例 昭33(オ)341号
223 S35.9.29 他人の不動産を占有する正権原があるとの主張については、その主張をする者に立証責任があるとした事例 昭35(オ)460号
224 S35.9.20 借地法第10条の建物買取請求権が行使された後、建物取得者は買取代金の支払を受けるまで建物の引渡を拒むことができるが、これにより敷地も占有する限り、敷地占有に基く不当利得としてその賃料相当額の返還義務があるとした事例 昭33(オ)518号
225 S35.9.2 民法160条(相続財産に関する時効の停止)は、相続財産の管理人の選任前、相続財産たる土地を、所有の意思をもって、平穏、公然、善意無過失で10年間占有した場合にもその適用があるとされた事例 昭35(オ)348号
226 S35.7.27  時効期間は、時効の基礎たる事実の開始された時を起算点として計算すべきもので、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできないとした事例 昭32(オ)344号
227 S35.7.8 農地の賃貸借が農地法19条により更新されたときは、以後期間の定めのない賃貸借として存続するものと解されるとした事例 昭32(オ)791号
228 S35.6.28 債権及び根抵当権の譲渡が根抵当権者、譲受人及び債務者の合意によりなされたときは、債権及び根抵当権の譲渡ならびにこれに基いてなされた根抵当権取得登記を無効とすべき理由はないとした事例 昭33(オ)293号
229 S35.6.24 不特定物の売買においては、特段の事情のないかぎり、目的物が特定した時に買主に所有権が移転するとした事例 昭31(オ)252号
230 S35.6.23 賃貸人の地位と転借人の地位とが同一人に帰した場合であっても、転貸借は当事者間にこれを消滅させる合意が成立しないかぎり、消滅しないとした事例 昭33(オ)890号
231 S35.6.21 賃借家屋を使用し家具の製造を業としている賃借人が住込で雇い入れた工員は、賃借家屋の使用については、賃借人の義務の履行補助者にあたるとした事例 昭33(オ)344号
232 S35.6.17 仮処分申請に基づき、裁判所の嘱託により家屋所有権保存登記がなされている場合であっても、仮処分前に家屋を未登記のまま第三者に譲渡しその敷地を占拠していない保存登記名義人に対し、敷地所有者から敷地不法占有を理由として家屋収去請求をすることは許されないとした事例 昭31(オ)119号
233 S35.6.2 代物弁済の予約が公序良俗に反するとはいえないとされた事例 昭33(オ)734号
234 S35.5.19 甲が乙を雇傭している期間内に限り、乙が甲に対し家屋を賃貸する約定は、借家法第6条にいわゆる「賃借人に不利なるもの」とはいえないとした事例 昭33(オ)775号
235 S35.5.6 商法520条にいう取引時間外に弁済がなされても、債権者が任意に弁済を受領し、それが弁済期日内であるときは、債務者は履行遅滞の責を負わないとした事例 昭35(オ)32号
236 S35.4.26 賃貸家屋の朽廃の時期が迫った場合、これを大修繕するために賃貸借を終了させる必要があり、その必要が賃借人の利益と比べてこれにまさるときは、解約申入につき借家法1条の2にいわゆる正当の事由があるとされた事例 昭33(オ)728号
237 S35.4.26 ・買戻特約の登記をしなかった場合、不動産買戻権は売主の地位と共にのみ譲渡ができるとした事例
・買戻特約の登記をしなかった場合における不動産買戻権の譲渡を買主に対抗するには、これに対する通知またはその承諾を必要とし、かつこれをもって足りるとした事例
昭33(オ)186号
238 S35.4.21 ・二重売買における他買主に対する対抗力は、登記がいわゆる中間省略登記であっても、その効力に異なるものはないとした事例
・中間省略登記につき、その登記内容が実質上の権利者と一致している場合、当該登記につき中間権利者の同意がないことを理由とする登記抹消請求は認められないとされた事例
昭30(オ)981号
239 S35.4.21 不動産の二重売買の場合において、売主の一方の買主に対する債務は、特段の事情のないかぎり、他の買主に対する所有権移転登記が完了した時に履行不能になるものと解されるとした事例 昭30(オ)720号
240 S35.4.12 間借人の毎月1000円の支払いを賃料でなく謝礼であるとし、使用貸借の成立を認めた事例 昭33(オ)485号
241 S35.4.7 他人の使用人として家屋に居住するにすぎない者に対しては、特段の事情のないかぎり、その不法占有を理由として家屋の明渡ならびに賃料相当の損害金の支払を請求することはできないとした事例 昭32(オ)1041号
242 S35.3.22 数年来使用されないで取り壊された築後60余年を経過した倉庫用建物について、借地法第2条1項にいわゆる建物の朽廃の域に達していたと判断された事例 昭31(オ)508号
243 S35.3.1 地盤所有権の取得につき未登記のままその地盤上に植栽した立木の所有権を第三者に対抗するには、公示方法を必要とするとした事例 昭32(オ)325号
244 S35.3.1 他人の不動産を占有する正権原があるとの主張については、その主張をする者に立証責任があるとした事例 昭33(オ)683号
245 S35.2.12 家屋明渡請求事件において、被告が正権原として、はじめ使用貸借の存在を主張し原告がこれを認めた後に、被告がその主張を撤回し家屋の前所有者との間に賃貸借が存し原告はこれを承継したものであると主張するに至ったとしても、これを自白の取消ということはできないとした事例 昭33(オ)133号
246 S35.2.11 建物の賃貸借が債務不履行により解除された場合、賃借人は造作買取請求権を有しないとした事例 昭33(オ)726号
247 S35.2.11 占有取得の方法が外観上の占有状態に変更を来たさない占有改定にとどまるときは、民法192条(即時取得)の適用はないとした事例 昭32(オ)1092号
248 S35.2.9 借地人の債務不履行による土地賃貸借契約解除の場合には、借地人は借地法第4条第2項による建物等買取請求権を有しないとした事例 昭32(オ)840号
249 S35.2.2 第三者が民法第94条第2項(虚偽表示)の保護をうけるためには、自己が善意であったことを主張立証しなければならないとした事例 昭32(オ)335号
250 S35.1.22 乙名義で不動産を競落した甲から所有権を取得した丙は、乙に対して移転登記の請求をすることができるとした事例 昭30(オ)869号
251 S34.12.5 弁護士法第72条にいわゆる「業とする」とは、反覆継続して行う意思のもとに同条列記の行為をなすことをいうものであって、具体的になされた行為の多少は問うところではないとした事例 昭34(あ)513号
252 S34.12.4 賃借土地の使用に事実上の支障がある場合において、特段の事情があるとして借主の賃料支払義務を認めた事例 昭31(オ)393号
253 S34.11.26 土地共有持分の一部の譲受人が、他の共有者との間において、その土地の一部を分割し譲受人の単独所有として使用しうること及び分筆登記が可能となったときは直ちにその登記をなすことを約した場合は、その後同土地につき共有持分の譲受人に対して契約上の債権を行うことができるとした事例 昭32(オ)729号
254 S34.9.17 ・賃借権の譲渡人は譲受人に対し、譲渡につき遅滞なく賃貸人の承諾をえる義務を負うものとされた事例
・債務が履行不能となったときは、債務者は履行不能が自己の責に帰すべからざる事由によって生じたことを証明するのでなければ、債務不履行の責を免れることはできないとした事例
昭32(オ)571号
255 S34.8.7 立木の所有権を留保して地盤である土地のみの所有権を譲渡した場合は、立木について公示方法を講じなければ、その地盤である土地の権利を取得した第三者に対抗できないとした事例 昭30(オ)499号
256 S34.7.24 民法第110条にいう「代理人」にあたらないとされた事例 昭31(オ)410号
257 S34.7.17 賃貸土地約310坪のうち無断転貸された部分が30坪にすぎない場合でも、その30坪および賃借人所有建物の敷地12坪を除いた残余の部分が特段の用途に供されていないときは、賃貸人は無断転貸を理由として賃貸土地全部につき賃貸借契約を解除し得るとした事例 昭32(オ)816号
258 S34.7.14 登記申請が登記義務者の意思に基づいてなされ、その登記が実体的権利関係に合致するときは、たとえ申請の際に添付された印鑑証明書の日附が変造されたものであっても、登記の効力を有するとした事例 昭32(オ)20号
259 S34.6.25 同時履行の関係にある反対給付の提供の有無につき審理不尽ありとされた事例 昭32(オ)809号
260 S34.6.25 家屋の所有者がその敷地を占有する権原のない場合に、所有者を代表者とする会社がその家屋の全部を借受けて占有しているときは、会社は敷地の所有者に対し、敷地の不法占有による損害賠償責任を負うとした事例 昭32(オ)366号
261 S34.6.2 賃貸人が賃料の弁済を受領しない意思が明確な場合には、賃借人はその後の賃料につき口頭上の提供をしなくても債務不履行の責を負わないとした事例 昭32(オ)62号
262 S34.4.15 建物は、その敷地を離れて存在し得ないのであるから、建物を占有使用する者は、これを通じてその敷地をも占有するものと解すべきであるとした事例 昭31(オ)532号
263 S34.2.19 賃貸借解約申入に基づく家屋明渡訴訟の口頭弁論により、新たな解約申入をなしたものと認められた事例 昭30(オ)179号
264 S34.2.12 真正なる不動産の所有者は、所有権に基き、登記簿上の所有名義人に対し、所有権移転登記を請求することができるとした事例 昭32(オ)880号
265 S34.2.5 民法110条(権限外の行為の表見代理)による本人の責任は、いわゆる正当の理由が本人の過失によって生じたことを要件とするものではないとした事例 昭32(オ)861号
266 S34.2.5 二階建アパートの一画の区分所有権者が、賃貸目的で改造するため取りこわし、柱および基礎工事等を残すだけの工作物とした上で、これを賃借人の負担で改造する約束で賃貸し、賃借人が建物として完成させた場合、賃借人の工事により附加された物の附合により、建物は工作物所有者の所有に帰したものとされた事例 昭31(オ)407号
267 S34.1.30 家屋明渡しの調停申立てに解約申入れの効力を認めた事例 昭31(オ)1040号
268 S34.1.8 転借人を占有代理人として間接占有を有する賃借人が占有を奪われたとするには、占有代理人の所持が意思に反して第三者によって失わしめられた場合でなければならないとした事例 昭33(オ)449号
269 S34.1.8 登記簿上の所有名義人は、反証のない限り、不動産を所有するものと推定すべきとした事例 昭33(オ)214号
270 S33.11.27 ・一時使用のため借地権を設定したことが明らかな場合にあたるとされた事例
・一時使用のため借地権を設定したことが明らかな場合、借地権者は借地法第10条に定める建物等買取請求権を有しないとした事例
昭33(オ)273号
271 S33.11.6 再売買の予約完結権の消滅時効は、権利の行使につき特に始期を定め、または停止条件を附したものでない限りは、予約完結権の成立した時から進行する 昭31(オ)368号
272 S33.10.21 境界確定の判断において、縄延びの処理につき、不合理な処理がなされ衡平の観念に反するとして違法と判断された事例 昭30(オ)969号
273 S33.10.17 木造建物が、その柱、桁、屋根の小屋組などの要部に多少の腐蝕個所がみられても、自らの力で屋根を支えて独立に地上に存立し、内部への出入に危険を感じさせることもないなどの状況にあるときは、建物は未だ借地法第17条第1項但書にいう朽廃の程度に達しないものと解されるとした事例 昭30(オ)750号
274 S33.10.14 外国人が日本式家屋の賃借にあたり監督官の許可を受けるため附加した設備で、建物の規模や一般日本人の生活の様式程度から考え、建物用の設備として客観的に利便をもたらすものと認められないものは、借家法第5条にいう造作にあたらないとした事例 昭31(オ)483号
275 S33.10.14 被相続人が不動産の譲渡をした場合、その相続人から同一不動産の譲渡を受けた者は、民法第177条にいう第三者に該当するとした事例 昭31(オ)1023号
276 S33.9.18 借家法第1条による賃貸借の承継の場合、その承継につき、賃貸人から賃借人に承継の通知をすることは必要でないとした事例 昭32(オ)275号
277 S33.8.28  時効により不動産の所有権を取得しても、その登記がないときは、時効完成後旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対し、その善意であると否とを問わず、所有権の取得を対抗できないとした事例 昭30(オ)15号
278 S33.7.29 立木法の適用を受けない立木の買受人においてこれに明認方法を施さないうちに立木が伐採された場合、買受人は当然伐木の所有者となるけれども、立木当時既に明認方法の欠缺を主張し得べき正当の利益を有した第三者に対する関係においては、伐木所有権をもってこれに対抗し得ないとされた事例 昭32(オ)42号
279 S33.7.20 ・賃貸人の債務不履行による土地賃貸借解除に基づき、賃借人の賃貸人に対して請求する借地権喪失による損害賠償の範囲は、契約解除当時における借地権の価格によるとした事例
・土地賃貸借解除に基づく賃借人の賃貸人に対して請求する損害賠償額算定の基準としての借地権の評価につき、転貸禁止の特約の有無は影響しないとした事例
昭34(オ)113号
280 S33.7.1 ・温泉法第4条は、温泉源の保護・利用の適正化の公益的見地から、とくに有害と認められる場合以外は、温泉の掘さくの許可を与えねばならないとの趣旨であって、新規掘さくが少しでも既存の温泉井に影響を及ぼす限り、掘さくを許可してはならないとの趣旨ではないとした事例
・温泉法第3条第2項にいう「掘さくに必要な土地を掘さくのために使用する権利」は、民法上の使用貸借に基く権利であつても差支えないとした事例
昭32(オ)128号
281 S33.7.1 新規温泉の掘削後において既存の温泉井の温泉成分に変化は認められず、その水位・ゆう出量・温度について軽微な変化は認められるも、新規掘削がその主たる原因とは断定できない等の事情から、新規温泉の掘削が権利の濫用に該当しないとされた事例 昭32(オ)129号
282 S33.6.20 売主所有の特定物を目的とする売買においては、特にその所有権の移転が将来なされるべき約旨に出たものでないかぎり、買主に対し直ちに所有権移転の効力を生ずるものと解するを相当とするとした事例 昭31(オ)1084号
283 S33.6.14 契約の要素に錯誤があって無効であるときは、民法第570条の瑕疵担保の規定の適用は排除されるとされた事例 昭32(オ)1171号
284 S33.6.14 甲乙間になされた甲所有不動産の売買が契約時に遡って合意解除された場合、すでに乙からこれを買い受けていたが、未だ所有権移転登記を得ていなかった丙は、合意解除が信義則に反する等特段の事情がないかぎり、乙に代位して、甲に対し所有権移転登記を請求することはできないとした事例 昭31(オ)32号
285 S33.6.6 ・家屋収去土地明渡請求に対し家屋買取請求権の行使があった場合、明渡請求は家屋の引渡を求める申立を包含するとした事例
・物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容するときは、引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきであるとした事例
昭30(オ)993号
286 S33.6.5 ・知事の許可を停止条件として締結された農地の売買契約は、無効ではないとした事例
・土地の買主が約定の履行期後、売主にしばしばその履行を求め、土地の所有権移転登記と引き換えに残代金を何時でも支払えるよう準備をしていたときは、「契約の履行に著手」したものと認められるとした事例
昭30(オ)995号
287 S33.4.9 都市計画法施行令(昭和30年3月政令第47号による改正前)11条の2による建築許可に附した無補償撤去等の条件が憲法29条に違反しないとした事例 昭29(オ)542号
288 S33.3.25 賃借権に基づき土地の引渡を求める給付訴訟が係属しても、その基本たる賃借権の存否内容につき即時確定の利益の認められる限り、賃借権確認の訴えは許されるとされた事例 昭31(オ)259号
289 S33.3.13 ・借家法5条(造作買取請求)は、賃貸借が賃借人の債務不履行ないしその背信行為のため解除された場合には、その適用はないとされた事例
・物の引渡を求める訴訟において、被告の留置権の抗弁を認容する場合には、原告の請求を全面的に棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきであるとした事例
昭31(オ)966号
290 S33.2.14 通行地役権の時効取得に関する「継続」の要件は、承役地たるべき他人所有の土地の上に通路の開設があっただけでは足りず、その開設は要役地所有者によってなされることを要するとした事例 昭31(オ)311号
291 S33.1.30  不動産の登記名義人および同人から根抵当権設定登記を得た者を共同被告として所有権の確認を求める訴は、訴訟の目的が共同訴訟人の全員につき合一にのみ確定すべき場合にあたらないとした事例 昭31(オ)587号
292 S33.1.23 借地上の建物が滅失し借地権者が新たに非堅固建物を築造する場合において、残存期間を超えて存続すべき建物を建築しない旨の特約は借地法第11条により無効であるとされた事例 昭31(オ)664号
293 S33.1.23 正当事由による解約申入に基づいて賃貸家屋の明渡を命ずる判決が確定した後その正当事由が消滅しても、これによって従前の賃貸借が当然復活し、または明渡請求権が当然消滅するものではないとした事例 昭31(オ)977号
294 S33.1.17 留置権者が留置物について必要費、有益費を支出しその償還請求権を有するときは、物の保存に必要な範囲を超えた使用に基く場合であったとしても、その償還請求権につき留置権の発生を妨げないとした事例 昭30(オ)452号
295 S33.1.14 一ケ月に満たない転貸による家屋賃貸借の契約解除が、事情により認められた事例 昭31(オ)1103号
296 S32.12.27 建物賃貸借の更新拒絶について必要とされる正当事由の存否は、賃貸人および賃借人の双方の利害得失を比較考量して決するとした事例 昭32(オ)649号
297 S32.12.27 占有改定により占有を取得したに止まるときは、民法第192条(即時取得)の適用はないとした事例 昭30(オ)225号
298 S32.12.27 工場抵当法第3条の抵当物件目録を提出する場合、軽微な附属物と認められない機械等は、具体的に記載することを要し、概括的に記載することはできないとした事例 昭30(オ)287号
299 S32.12.24 買主が、売主の債務不履行を理由として土地売買契約の法定解除を主張し、民法545条(解除の効果)により前渡金の返還を請求した事案において、法定解除が認められなかった場合は、例え買主が否認する合意解除の事実が認められても、買主の前渡金返還請求は認められないとした事例 昭29(オ)902号
300 S32.12.19 他に連帯保証人がある旨の債務者の言を誤信した結果、連帯保証をした場合は、縁由の錯誤であって当然には要素の錯誤ではないとした事例 昭31(オ)223号
301 S32.12.17 業務上過失致死傷罪成立の要件について、判示された事例 昭30(あ)2822号
302 S32.12.10 無断転貸により賃貸借契約の解除権が発生した場合、その転貸が終了した一事のみによっては、解除権の行使は妨げられないとした事例 昭31(オ)276号
303 S32.12.6 不動産所有権確認の訴において原告の請求を棄却する旨の判決が確定しても、これによりその不動産が被告の所有であることを確定するものではないとした事例 昭31(オ)668号
304 S32.12.3 建物が朽廃してその効用を失ったときは、その建物の賃貸借は当然終了するものと解されるとした事例 昭31(オ)225号
305 S32.11.26 契約当事者以外の第三者も、その意思表示の要素に錯誤があることを理由として、契約の無効を主張することができるとした事例 昭30(オ)520号
306 S32.11.15 調停にもとづく期間7年の土地の賃貸借が一時使用の賃貸借にあたるとされたi一事例 昭30(オ)698号
307 S32.11.14 権利能力のない労働組合よりの脱退組合員は、その脱退が組合分裂に基づく場合であっても、当然には組合に対し財産分割請求権を有しないとした事例 昭27(オ)96号
308 S32.11.12 一個の契約で二棟の建物を賃貸した場合、一棟の建物の無断転貸を理由として賃貸借全部を解除しうるものとした事例 昭31(オ)253号
309 S32.9.27 処分禁止の仮処分登記の移記が遺脱されたまま、売買により甲に所有権移転登記がなされ、次いで甲より乙がが不動産を買受けた場合であったても、乙はその所有権の取得をもって仮処分債権者に対抗できないとされた事例 昭30(オ)382号
310 S32.9.19 不動産の譲渡後登記前に同不動産につき処分禁止の仮処分があったことをもって、譲渡人の登記義務が履行不能になったとはいえないとした事例 昭27(オ)69号
311 S32.9.12 賃貸人がいったん賃料の受領を拒絶した場合であっても、特段の事情がない限り、賃借人はその後支払うべき賃料につき弁済の提供をしない以上債務不履行の責を免れないとした事例 昭31(オ)143号
312 S32.9.3 借家法7条に基づく賃料増減の請求は請求者の一方的意思表示をもって足り、それが相手方に到達したときその賃料は、同条所定の事由の存する限り、爾後相当額に増減せられたものと解すべきであるとした事例 昭30(オ)460号
313 S32.7.30 土地所有者の病院建設計画実現までの間として、期間5年、建物は取り壊しに容易なバラック建と限定し、賃貸人が必要として事前の明渡要求があれば賃借人もこれに応ずる約束で賃貸した等の事情のある土地の賃貸借契約について、借地法第9条のいわゆる一時使用の賃貸借に当るとした事例 昭30(オ)546号
314 S32.7.25 解約申入当時存在しなかった事実を斟酌して、解約申入の正当性を否定した判決は違法であるとした事例 昭26(オ)288号
315 S32.7.23 居住の目的のため、一棟の建物の使用が必要あることを理由として、四棟の建物の賃貸借解約の申入れをしたときに、目的に足る一棟の建物が明け渡されれば、他の建物についての解約申入れの効果は失なわれたとした事例 昭30(オ)587号
316 S32.7.9 「失火ノ責任ニ関スル法律」但書にいわゆる「重大ナル過失」とは、通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見すごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すものとされた事例 昭27(オ)884号
317 S32.6.27 期間を定めて登記と引換に代金債務の履行を催告した場合に、債務者において催告期間の末日に代金を持参して登記所に出頭したときは、適法な弁済の提供をしたものと認められ、その提供に先立ちあらかじめその日時を債権者に通知することは必要ではないとした事例 昭30(オ)344号
318 S32.6.18 仮登記のなされた不動産につき第三者のための所有権取得の登記がなされたときにおいても、仮登記権利者は本登記をなすに必要な要件を具備する場合は、仮登記義務者に対しては本登記、第三者に対しては抹消登記の請求をなし得るとした事例 昭30(オ)561号
319 S32.6.7 賃借建物を転貸していた会社について、設立無効の判決が確定しても、これにより将来に向って賃貸借および転貸借関係が当然に失効するものではないとした事例 昭30(オ)956号
320 S32.6.7  甲所有の不動産につき、一旦国税滞納処分による公売により落札者乙に所有権登記がなされた後、公売の取消処分があった結果、甲に所有権が復帰した場合であっても、その登記がないときは、甲は乙から公売取消後その不動産を譲り受けた丙に対し、所有権の復帰を対抗できないとした事例 昭30(オ)548号
321 S32.6.7 甲所有の不動産につき、乙のため所有権移転請求権保全の仮登記がなされた後に、甲が不動産を丙に譲渡し移転登記をした場合に、乙は、丙の登記を抹消することなくして、甲に対し所有権移転登記を請求することができるとした事例 昭28(オ)178号
322 S32.6.6 期間の定めのない家屋の賃貸借が存続する場合に、賃借人が賃貸人に対し特約を以て当該家屋を明渡すことを約束することは、借家法6条に違反するものではないとした事例 昭30(オ)955号
323 S32.6.5 債権者が契約の存在を否定する等、弁済を受領しない意思が明確と認められるときは、債務者は言語上の提供をしなくても債務不履行の責を免れるとされた事例 昭29(オ)522号
324 S32.5.30 不動産の所有権者でない者が所有権保存登記手続をして登記簿上所有名義人となったときは、真正の所有権者は、名義人に対し移転登記手続を求めることができるとした事例 昭27(オ)865号
325 S32.5.21 農地の贈与契約について、知事の許可により所有権の移転を生ずべき停止条件附贈与契約は有効であるとした事例 昭30(オ)657号
326 S32.5.21 死因贈与の方式については、遺贈に関する規定の準用はないとした事例 昭30(オ)392号
327 S32.4.5 賃貸人により賃貸借契約の解除の意思表示がなされた後、賃借人が修繕費の相殺の意思表示をしたとしても、当該意思表示は賃貸借契約の解除に効力を及ぼさないとした事例 昭30(オ)530号
328 S32.4.2 会社の従業員の寮の使用関係が、通常の賃貸借でなく従業員の身分に随伴する一種特別の契約関係に属するものと認定された事例 昭30(オ)624号
329 S32.3.28 甲家屋の賃貸人が代りの乙家屋を提供して、した解約申入が正当事由を有するとして、賃貸人の家屋明渡の請求を認容する判決の主文において、賃貸人が乙家屋の賃貸および引渡の提供をすることを条件と定めて、賃借人に甲家屋の明渡を命じても違法ではないとした事例 昭29(オ)853号
330 S32.3.26 山林に生立する立木の売買において、直接売主から指示を受けず、世話人の指示を信じたため、対象となる山林の範囲につき錯誤があったとして、買主が売買契約の無効を主張した事案につき、買主に重大な過失があったものとはいえないとして錯誤無効を認めた事例 昭30(オ)1022号
331 S32.3.8 賃貸借契約が、賃料不払のため適法に解除された以上、たとえその後、賃借人の相殺の意思表示により賃料債務が遡って消滅しても、解除の効力に影響はないとされた事例 昭30(オ)332号
332 S32.2.15 代物弁済の予約が、暴利行為および相手方の窮迫に乗じて締結されたものであるとして、公序良俗に反し無効とされた事例 昭30(オ)228号
333 S32.2.7 一時使用のための借地権の一事例 昭30(オ)297号
334 S32.1.31 買主の債務不履行を理由とする契約解除を無効とした判断に、審理不尽・理由不備があるとされた一事例 昭26(オ)332号
335 S32.1.31 賃借権存在の確認請求訴訟において、原告の主張する賃料より低廉な賃料の定めある賃借権の存在を確認しても、当事者の申立てない事項につき判決したものとはいえないとした事例 昭27(オ)581号
336 S32.1.24 ・造作買取代金債権は、建物に関して生じた債権ではないから、これにより建物につき留置権を行使してその明渡を拒むことはできないとした事例
・解約申入により有効に賃貸借が解除されたものとするためには、借家法にいう正当事由は、おそくとも解除されたとする時から6月前当時において存することを要するとした事例
昭27(オ)188号
337 S32.1.24 乙が甲の賃借地を不法に占有して通行を妨害している場合、甲の賃借権の仮の地位を定める仮処分として、乙の占有を解き、通行妨害となる物件を撤去して適当の方法で保管し、現状不変更を条件として、土地の一部を甲の通路として使用せしむべき旨命じても、保全処分の限界を超えるものではなく適法であるとした事例 昭27(オ)481号
338 S32.1.22 土地賃貸人が土地を引き渡さないため、賃借人の建物建築により営業を行う計画が実行できなかった場合において、賃借人計画の営業により得べかりし利益の喪失による損害が生じたと推定されるとした事例 昭29(オ)708号
339 S31.12.28 契約解除のような相手方ある単独行為についても、通謀による虚偽の意思表示は成立し得るとした事例 昭29(オ)490号
340 S31.12.28 ・山林の境界につき実測図の作成を命ぜられた鑑定人が、訴訟手続外で入手した図面を資料として作成した鑑定書を証拠に採用しても違法でないとした事例
・相隣者との間で境界を定めた事実があっても、これによって、その一筆の土地の固有の境界自体は変動するものではないとした事例
昭30(オ)688号
341 S31.12.27 建物明渡請求訴訟の被告が、自己の占有を否定し使用人として建物に居住するにすぎないと主張する場合、使用主に建物占有の正権原がないことを理由として明渡を命じたときは、理由不備の違法があるとした事例 昭30(オ)821号
342 S31.12.25 建物賃貸借の解約申入れの正当事由に関する主張責任は、賃貸人にあるとした事例 昭30(オ)239号
343 S31.12.21 賃貸家屋につき、賃貸人の自己使用の必要理由が、賃貸人が第三者より賃借していた家屋につき債務不履行を理由に明渡すことになったためであっても、十分な防禦方法を尽したに拘らず敗訴したものであること、賃借人が近くその甥所有の家屋を使用する見込のあること等の事実がある場合には、借家法第1条の2にいう「正当の事由ある場合」にあたるとした事例 昭31(オ)628号
344 S31.12.20 建物所有のための土地の賃貸借につき無断転貸を理由として契約解除の意思表示をした賃貸人が、土地の明渡しを受けてデパートを建設することを企図していた場合、賃借人および転借人の生活上の脅威等の事実があるだけでは、その解除権の行使を権利濫用とすることはできないとした事例 昭29(オ)466号
345 S31.12.18 国が連合国占領軍の接収通知に応じ、建物をその所有者から賃借してこれを同軍の使用に供した場合には、国は、その建物の設置保存に関する瑕疵に基因する損害につき、民法717条にいう占有者としてその責に任ずべきであるとされた事例 昭29(オ)848号
346 S31.12.6 債務者が履行の催告に応じない場合に、債権者が催告の時から相当期間を経過した後にした解除の意思表示は、催告期間が相当であったかどうかにかかわりなく有効であるとされた事例 昭30(オ)151号
347 S31.11.27 ・土地区画整理委員会の委見を聞かないでした換地処分も無効ではないとした事例
・従前の土地について所有権以外の未登記の権利を有する者が、特別都市計画法施行令第45条に従いその権利の届出をしない場合には、換地予定地の指定をしないで地上工作物の移転命令を出しても違法ではないとした事例
昭28(オ)347号
348 S31.11.27 賃貸人の甲家屋賃料の支払催告に対し、賃借人が、乙家屋と丙土地も賃貸借の目的物であるとこれを争い、甲家屋の賃料に乙家屋と丙土地の相当賃料額を合わせた金員を賃貸人が受領しなければ支払わないとした場合には、債務の本旨に従った履行の提供があったものとはいえないとした事例 昭30(オ)646号
349 S31.11.16 世間並みの家賃相当額を使用料として支払っている等の事情のある従業員専用の寮の使用関係において、賃貸借と判断することを妨げないとした事例 昭30(オ)137号
350 S31.10.9 賃借人が一定期限に賃借家屋を明け渡す約束をした場合であっても、賃貸借の期限付合意解約と認められるときは、同約定をもって借家法第6条にいう賃借人に不利な特約にあたるものではないとした事例 昭30(オ)467号
351 S31.10.5 賃借人の賃借権譲渡に対する賃貸人の承諾は、必ず譲渡人に対して行わなければならないものではなく、譲受人に対して行っても有効であるとした事例 昭29(オ)860号
352 S31.10.4 遺言者の生前における遺言無効確認の訴えは不適法であるとした事例 昭30(オ)95号
353 S31.9.28  売買により不動産の所有権登記を得た者、および、同人から抵当権設定登記と代物弁済契約による所有権移転請求権保全の仮登記を得た者を共同被告として、不動産の所有者として売買の不存在を主張する者からの登記抹消を求める訴は、必要的共同訴訟にあたらないとされた事例 昭28(オ)686号
354 S31.9.18 本人の渡米不在中権限を踰越して土地を売却した代理人の代理行為について、本人の実印を所持していた事実、その他事情などから、民法110条の代理権ありと信ずべき正当の理由があると判断された事例 昭28(オ)1350号
355 S31.8.30 ・不動産質権は、質物を留置することをうる効力も、登記なき限り第三者に対抗できないとした事例
・金銭消費貸借が、不動産に質権を取得しこれを居住することを目的としてなされたというだけで、貸金がその物に関して生じた債権ということはできないとした事例
昭29(オ)474号
356 S31.7.20 木造瓦葺2階建工場(建坪12.22坪、二階同)が、工事により木造瓦葺2階建店舗(建坪11.78坪、二階同)、木造瓦葺平屋便所(建坪1坪)、木造亜鉛葺平屋居宅(2.94坪)となった事案において、建物の同一性は失われていないとされた事例 昭29(オ)462号
357 S31.7.20 換地予定地指定の通知を受けた土地所有者は、従前の土地について賃借権を有する者として第三者に対してなされた換地予定地指定の通知の取消を求める法律上の利益を有するとした事例 昭29(オ)194号
358 S31.6.26 賃貸借の継続中、当事者の一方に、その義務に違反し信頼関係を裏切って賃貸借関係の継続を著しく困難とならしめる不信行為があった場合には、相手方は民法第541条所定の催告を要せず賃貸借契約を解除できるとした事例 昭29(オ)642号
359 S31.6.26 甲が所有不動産を第三者に売却したが、未だ所有権移転登記を了しない場合において、乙がその事情を知りながら甲に対する債権の代物弁済として不動産の所有権を取得しその旨の登記をしたとしても、乙は適法に所有権を取得したものであるから、甲の不動産横領罪の共犯とはならないとした事例 昭29(あ)1447号
360 S31.6.19 播かれた種から生育した苗の所有権は、播種が土地使用の権原のない者によってなされた場合は、土地所有者に属するとした事例 昭28(オ)1435号
361 S31.6.19 建物所有を目的とする土地賃貸借契約において、賃借人は賃借期間の経過とともに地上建物を賃貸人に贈与すべき旨特約した場合でも、特約が地上の賃貸人所有建物を取壊す代償としてなされたものであるときは、その特約は有効であるとされた事例 昭27(オ)28号
362 S31.6.5 未登記建物の譲受人は、判決を得て自己の所有権を証明し単独に保存登記をなすことを得るが、譲渡人に対し保存登記をした上で移転登記をすることを請求することもできるとした事例 昭29(オ)354号
363 S31.6.1 本人の死亡を代理権消滅の原因とする民法第111条第1項第1号の規定は、これと異なる合意の効力を否定する趣旨ではないとした事例 昭29(オ)976号
364 S31.5.25 代物弁済の予約成立後、物価の高騰した後になされた予約完結の意思表示が信義公平に反しないと認められた一事例 昭29(オ)854号
365 S31.5.22 本人に無断でその長男が山林を買主に売却した場合において、買主につき長男に代理権ありと信ずべき正当の理由がないということはできないとされた事例 昭28(オ)362号
366 S31.5.10 不動産共有者の一人は、その持分権に基づき、単独で当該不動産につき登記簿上所有名義を有する者に対しその登記の抹消を請求することができるとした事例 昭29(オ)4号
367 S31.5.8 賃借人が賃貸人の承諾を得ないで賃借物の転貸をした場合であっても、賃借人の行為を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情のあるときは、賃貸人は民法第612条第2項による解除権を行使することはできないとした事例 昭29(オ)521号
368 S31.4.6 借家法第5条(造作買取請求)は、賃借人の債務不履行ないしその背信行為のため賃貸借が解除された場合には、その適用はないとした事例 昭29(オ)637号
369 S31.4.6 鉱業権の売買契約において、買主が排水探鉱の結果品質良好と認めたときは代金を支払い、品質不良と認めたときは代金を支払わない旨を約しても、売買契約は民法134条にいわゆる条件が単に債務者の意思のみにかかる停止条件付法律行為とはいえないとした事例 昭28(オ)363号
370 S31.4.5  家屋の賃貸人が、家屋の一部の転貸借につき、近く予想される賃借人の家屋退去までの間に限って承諾したもので転借人もそのことを知っていたときは、その転借権は賃借人の家屋退去と同時に消滅するとした事例 昭30(オ)604号
371 S31.4.3 賃借人が会社に使用させた場合は、賃借人が会社を設立し自己の事業を会社に移したにすぎない場合であっても、他に特段の事情がない限りその間に転貸借が成立するとされた事例 昭30(オ)567号
372 S31.2.17 共同事業経営を目的として賃借家屋の一部を店舗に提供することは転貸であるとして、賃借人の無断転貸を理由とする賃貸人の契約解除が認められた事例 昭29(オ)675号
373 S31.2.10 賃貸家屋の所有者が敷地の占有権原を有しない場合、敷地所有者の家屋賃借人に対する土地明渡請求訴訟中に、家屋賃借人が家屋所有者に対し取毀家屋としてその家屋を買受けたときは、家屋賃借人は借家法第1条第1項による保護をうけないとした事例 昭28(オ)1248号
374 S31.1.27 書面によらない不動産の贈与において、所有権の移転があっただけでは履行を終ったものとすることは出来ず、その占有の移転があったときに履行を終ったものと解すべきであるとした事例 昭29(オ)195号
375 S31.1.26 土地の賃借人が、賃貸人たる土地所有者に代位して、土地の不法占有者に対しその明渡を請求する場合には、直接自己に対し明渡しを求めることができるとした事例 昭30(オ)772号

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