該当件数 件
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No. | 判決日 | 裁判所名 | 概要 | RETIO |
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1 | R4.3.15 | 東京地裁 |
貸主と借主の間で、店舗の建物賃貸借契約終了時に、敷金から原状回復工事費用とされる金額を控除する旨の合意がされたところ、実際には原状回復工事が行われなかったとして、借主が、不当利得に基づく返還請求を貸主に求めた事案において、貸主と借主の原状回復費用に関する合意の一部は、借主の動機の錯誤により無効であるとして、その請求を一部認めた事案 |
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2 | R3.12.23 | 東京高裁 |
飲食店舗の賃借人が、賃借した建物の排気の容量が不足しており、目的としていた用途での使用ができなかったことから、賃貸人には使用収益させる義務の違反が、媒介業者には賃借人の使用目的に合致する物件の紹介義務や説明義務の違反が、それぞれあったとして、既払い賃料や賃借に要した費用や逸失利益等の支払いを両者に求めたが、いずれも棄却された事例。 |
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3 | R3.12.23 | 東京地裁 |
貸主が、借主との間で再契約した賃貸借契約は、定期建物賃貸借であり、その期間満了により契約が終了したにもかかわらず、借主が建物を明け渡さないと主張し、借主は、契約期間の始期が契約締結日以前であり、38条書面の交付説明が契約始期後のため、定期建物賃貸借は有効に成立していないと主張し争われた事例で、貸主の、借主に対する建物の明渡し等の請求が認容された事例 |
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4 | R3.12.15 | 東京地裁 |
東京都が定める特定緊急輸送道路沿道建築物の賃借人兼転貸人が転借人に対して、賃貸人と共同での建替の必要性を理由として、建物賃貸借契約の期間終了に基づき、主位的に建物の明渡しを、予備的に立退料支払いを条件に建物の明渡しを求めた事案において、立退料53万円の支払いをもって明渡請求が認められた事例 |
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5 | R3.12.14 | 東京地裁 |
築50年超のアパートの貸主が、借主に対し、建物の老朽化、以前に賃貸契約が終了することに合意したことを正当事由として、立ち退きを求めた事案において、家賃6か月分の立退料を支払うことを補完的事由として立ち退きが認められた事例 |
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6 | R3.11.1 | 東京地裁 |
賃貸マンションの転借人が、敷金からハウスクリーニング費用を控除する特約は無効であり、また転貸人がハウスクリーニング実施状況を報告する義務があるとして、転貸人に対して、敷金返還及び損害賠償請求をした事案において、転借人の請求には理由がないとして棄却された事例。 |
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7 | R3.10.8 | 東京地裁 |
保証金一部償却の定めのある賃貸借契約の解約に伴い、借主が保証金の返還を求めたところ、前所有者からは償却後の保証金しか預かっていないと現貸主が主張した事案において、旧賃貸人に差し入れられた保証金の返還債務は賃貸物件の売買当事者間で引き継がれた金額に拘らず、そのまま新賃貸人に承継されるとして借主の主張を認めた事例。 |
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8 | R3.9.15 | 東京高裁 |
賃借したマンションの一室である居抜き店舗が、消防法令や建築基準法に違反し目的とする飲食営業ができなかったことから、借主が、賃貸借契約を解除し、貸主及び媒介業者に損害賠償を求めた事案において、賃借した店舗において希望する営業ができるかは、原則として借主自身が調査すべきものとしてその請求を棄却した事例。 |
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9 | R3.8.25 | 東京地裁 |
マンション管理組合より、焼肉店営業は管理規約で禁止されているとして、賃借店舗の内装工事を差し止められた借主が、賃貸借契約を解除し内装費用等の損害賠償を仲介業者及び貸主に求めた事案において、仲介業者らに説明義務違反があり不法行為責任を負うとしてその請求を認めた事例。 |
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10 | R3.6.30 | 東京地裁 |
賃借人が賃貸人等からの再三の注意にもかかわらず、賃貸物件に居住する他の賃借人らが退去するまでの迷惑行為を行ったことについて、賃貸人の賃貸借契約の解除及び貸室の明渡し請求が認められた事例。 |
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11 | R2.12.24 | 東京地裁 |
平成10年に締結した建物賃貸借契約を終了させ、新たに定期建物賃貸借契約を締結した店舗賃貸借に関し、賃貸人が契約の終了及び建物の明け渡しを求めたのに対し、賃借人が「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特措法附則3条」の趣旨は、賃借人が自己に不利益なことを理解せぬままに定期賃貸借に移行することの防止にあり、店舗賃貸借にも同条が適用されると主張した事案において、同条は、事業用の賃貸借契約には適用又は類推適用されないとして、賃貸人の請求が認容された事例。 |
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12 | R2.10.7 | 東京地裁 |
賃貸借契約書締結前に、諸費用を支払い、受領した鍵で、建物を占有する賃借希望者に対し、建物所有者が、建物の明渡等を求めた事案において、占有者主張の口頭での契約成立を否定し、その訴えを認めた事例。 |
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13 | R2.10.7 | 東京地裁 |
賃借人が、賃貸借契約時に支払ったクリーニング費用・礼金は消費者契約法10条により無効である、解約月の退去後分賃料について賃貸人が不当に利得しているなどと主張して、その返還を求めたが、いずれの主張も理由がないとして棄却された事例。 |
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14 | R2.9.23 | 東京地裁 |
賃貸マンションの賃借人が、①ハウスクリーニング特約、②フリーレント特約の開始日の設定、③賃貸入居者総合保険への強制加入は無効であるとして、賃貸人に対して敷金の返還及び損害賠償を請求したが、賃借人の請求には理由がないとして、棄却された事例。 |
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15 | R2.3.18 | 東京地裁 |
定期借家契約の契約更新がない旨の特約に関し、借地借家法38条2項所定の事前説明が行われたかが争われた事案において、説明を委任した媒介業者が重要事項説明にて事前説明をしたとする貸主の主張につき、貸主が媒介業者に事前説明をしたとする貸主の主張につき、貸主が媒介業者に事前説明の代行を委任した証拠はないなどどして、同契約の契約更新がない旨の特約は無効と判断された事例。 |
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16 | R2.3.10 | 東京地裁 |
契約面積が約35坪と記載された賃貸借契約につき、実際の面積約28坪を超える部分の賃料差額について錯誤無効による不当利得返還請求及び説明義務違反による損害賠償を求めた事案において、面積の広狭が賃貸借契約締結の主要部分ではなかったとして、請求が棄却された事例。 |
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17 | R2.2.18 | 東京地裁 |
築後45年を経過し老朽化したアパートに係る、賃貸人の賃貸借契約解約申入れについて、正当事由の補完として立退料100万円をもって認容した事例。 |
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18 | R2.2.18 | 東京地裁 |
賃借人が逮捕され、連絡が取れなくなった賃貸人が、緊急連絡先である賃借人の実母に連絡し、居室内の動産の扱いについて相談を行い、賃貸人側で処分して欲しいとの依頼を受けて動産処分を行ったが、賃借人が実母に、非常時の事務処理を委任していた事実や、賃借人本人の承諾があったとは認められないとして、賃借人の慰謝料請求を一部認容した事例。 |
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19 | R2.1.29 | 東京地裁 |
隣室等の改修工事による粉塵等により被害を受け退去せざるを得なくなったとした賃借人が、賃貸人に損害賠償や慰謝料を求めた事案において、賃借人の主張する粉塵等の被害は受任限度を超えるものと認めるには足りないとして棄却された事例。 |
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20 | R1.12.12 | 東京地裁 |
築後57年を経過した木造平屋建て戸建住宅に係る、賃貸人の賃貸借契約終了・建物明渡請求について、賃借人には自己使用の必要性があり、老朽化による建替の必要性も認め難いとして、正当事由が認められなかった事例。 |
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21 | R1.12.5 | 東京地裁 |
特定緊急輸送道路沿いのビルと一体的に建設された旧耐震建物に係る、借主に対する貸主からの建物明渡請求について、4000万円余の立退料支払いをもって、正当事由が認められた事例。 |
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22 | R1.11.26 | 東京地裁 |
サブリース会社と賃貸借契約を締結した賃貸人が、借地借家法第28条における「正当事由」の規定は、サブリースのような契約形態は想定の範囲外であること、契約書に両当事者から解約申入れにより解約できる約定があること等を理由に、同条は適用されるべきでないと主張し、明渡しと使用損害金の支払いを求めた事案において、サブリース契約にも借地借家法第28条の適用があるとして、請求が全て棄却された事例。 |
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23 | R1.10.25 | 東京地裁 |
賃借人が原賃貸借契約の定めに反し、店舗建物を転借人に無断転貸したとして、賃貸人が原賃貸借契約を解除したことにより、改めて賃貸人と賃貸借契約を締結することとなった転借人が、転貸人と媒介業者は、原賃貸借契約に無断転貸禁止等の定めがあることについて転借人への説明を怠ったとして、転貸人に差入れていた保証金等と、新たに賃貸人と締結した賃貸借契約に基づき賃貸人に差入れた保証金等の支払いを両者に求めた事案において、転貸人に差入れていた保証金の支払いについての請求が認められた事例。 |
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24 | R1.10.9 | 東京地裁 |
建物の賃借を断られた外国人借主が、貸主と媒介業者に対して、賃貸借契約の成立等を主張した事案において、賃貸借契約の成立は否定されたが、媒介業者の「A国人には仲介しない」との説明が差別的であるとして、慰謝料10万円が認められた事例 |
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25 | R1.10.1 | 東京地裁 |
賃貸借契約を合意解約する際に原状回復工事を賃貸人が実施することを条件に原状回復工事費用を支払ったと主張する賃借人が、賃貸人に対し、同工事を実施せず、新賃借人への賃貸により不当利得を得たとして損害賠償を求めた事案において、賃借人が当該工事費用を支払うことでその原状回復義務を免除し、建物明け渡しが完了した等の合意がされていたとして、その請求を棄却した事例。 |
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26 | R1.9.3 | 札幌高裁 |
店舗建物の所有者が、賃借申込を撤回した申込人に対し、賃貸借契約の条件について合意に達しており、契約が成立していた等として予定された違約金等の支払いを求めた事案において、契約の成立及び違約金の請求は棄却され、予備的請求の実際に支払った解体工事契約解除に伴う損害金相当額の支払い請求が認められた事例。 |
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27 | R1.7.17 | 東京高裁 |
賃貸人が連帯保証人に滞納賃料等の支払いを請求した原審において、連帯保証人からの黙示の意思表示による連帯保証契約の解除が認められ、解除日以降の未払賃料等の支払い義務が否定され、また、解除日以降の支払請求は権利濫用として許されないと判示されたため、不服として提起された控訴において、連帯保証人の黙示の意思表示による連帯保証契約の解除は斥けられたが、賃貸人の連帯保証人に対する未払賃料の支払い請求の一部が権利濫用にあたるとして棄却された事例 |
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28 | R1.7.5 | 東京地裁 |
仕事で来日した際の住宅として、賃借人のいる住宅を購入した個人が、賃借人に対し、賃貸借契約満了による終了に基づき、建物明渡と明渡までの使用損害金支払を求めたが、明渡の正当事由は認められないとして、請求を棄却した事例。 |
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29 | H31.3.14 | 東京高裁 |
賃貸人が賃借人に、通常損耗分も含めた原状回復費、貸室内で殺人事件が発生したことによる損害賠償金、未払賃料等の支払を求めた(本訴)のに対し、賃借人は約定に記載された原状回復負担分を控除した保証金の返還を求めた(反訴)事案において、賃借人が通常損耗を負担する旨の合意はなく、また、年数を経たことで殺人事件による損害賠償義務はないとして、賃貸人の請求を棄却し、賃借人の反訴請求を一部認容した事例。 |
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30 | H31.2.21 | 東京地裁 |
建物の賃貸人が、賃借人の賃料不払を理由に賃貸借契約を債務不履行解除したとして、賃借人に未払賃料の支払い等を、転借人に建物明渡しを求めた事案において、契約の解除等を争わない賃借人に対する請求は認め、転借人に対する請求は、賃貸借契約の解除は合意解除と評価すべきであり認められないとして棄却された事例。 |
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31 | H30.12.14 | 東京地裁 |
「貸事務所、スタジオに最適」との広告を見て、借主が、芸能事務所として建物の一室を賃借したが、ダンススタジオへの使用を建物の自治会に認められなかったことから、貸主・仲介業者の虚偽の説明により無用の賃貸借契約を締結させられたとして損害賠償を求めた事案において、貸主らは借主の目的使用を知らなかったとしてその請求を棄却した事例。 |
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32 | H30.10.31 | 東京高裁 |
転貸人が既存テナント退出に伴い後継テナントを募集したところ、これに応じた賃借申込人との交渉がなされ、契約条件について合意に達したにもかかわらず、賃借申込人が契約締結を拒否し、一方的に交渉を打ち切ったとして、転貸人が新賃借人からの賃料収入が得られるまでの間の賃料相当損害金等の支払いを求めた事案において、転貸人の請求が一部認められた事例 |
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33 | H30.8.8 | 東京地裁 |
事務所を改装した店舗を、居抜きの状態で賃借した借主の原状回復義務の範囲について、スケルトン状態までか、あるいは事務所仕様までかが争いになった事案において、証拠等により、貸主は、借主が退去の際には事務所の状態に復することを条件に、前借主から借主への居抜きによる賃借権の譲渡を承諾したものとして、借主に事務所仕様の内装までの原状回復義務を認めた事例 |
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34 | H30.7.11 | 東京地裁 |
飲食店を営むために建物を賃借したところ、賃借部分の過半が飲食店として使用不可能であったとして、賃借人が賃借するのに要した費用等の賠償を賃貸人に求めた事案において、賃借人の請求が認められた事例 |
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35 | H30.6.5 | 東京地裁 |
建物の借主が、貸主に承諾なく保証会社との保証委託契約を解除する旨の意思表示を行ったことなどは、信頼関係の破壊にあたるとして、貸主が、賃貸借契約解除に基づく建物明渡し及び賃料相当損害金の支払いを求める訴訟を提起し、その請求が認められた事例 |
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36 | H30.4.5 | 東京地裁 |
建物の賃貸人が賃借人が賃貸借契約上の「配管点検、修理を行う場合は、借主無条件にて協力する」との特約に基づく債務を履行しないため、債務不履行解除したと主張して建物の明渡しと賃料倍額相当の損害金の支払いを求め、認容された事例。 |
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37 | H30.4.5 | 東京地裁 |
飲食店舗の設備不備を理由に賃料支払を拒んだことから、貸主から賃貸借契約の無催告解除の通知を受けた借主が、敷金や開業準備費用等計421万円余等の支払いを求めた事案において、貸主には債務不履行に基づく賠償責任があるとして、敷金の返還と開業準備費用等の一部を認めた事例。 |
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38 | H30.3.30 | 東京地裁 |
賃貸借委託契約の受託者が賃貸借契約書の倒産解除条項が無効であること等について貸主(委託者)に助言を行わなかったため、貸主が別件の建物明渡請求訴訟の提起を余儀なくされたとして、受託者に対し損害賠償を求めたが、受託者の助言義務違反が認められず、貸主の請求が棄却された事例 |
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39 | H30.3.22 | 東京地裁 |
賃貸人が、賃料滞納を理由に、賃借人らの賃貸建物への立入りを不可能にし、また、賃借人らの家財道具一式を撤去及び処分したことにより、賃借人らが、賃貸人に対し不法行為に基づく損害賠償を求めたのに対し、賃貸人が未払賃料の支払いを求めた事案において、賃借人らの請求を認容し、賃貸人に170万円強の支払いを命じた事例 |
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40 | H30.3.15 | 東京高裁 |
借入金の返済に窮していた個人売主より不動産を購入した法人買主から当該不動産を買い受けた宅建業者が、個人売主に建物の明渡を求めた事案において、個人売主から法人買主への売却金額が著しく廉価で、売買契約は公序良俗に反し無効であり、かつ、明渡しを求める宅建業者はかかる事情について善意無過失の第三者とは認めがたいとして、宅建業者の請求が棄却された事例 |
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41 | H30.2.16 | 東京地裁 |
共同住宅の賃借人が、賃貸人には窓及びサッシに大量に発生した結露への対応を怠った債務不履行があるとして転居費用等を請求した事案において、賃貸人に修繕義務はないとしてその請求を棄却した事例 |
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42 | H30.1.30 | 東京地裁 |
建物を譲り受けた建物賃貸人が、賃借人に対し、契約更新時に支払うべき更新料が未払いであり、また、賃料が増額されたにもかかわらず従前の賃料しか支払われていないとして、これらの支払いを求めるとともに、契約更新時に償却された保証金の補填がなされていないとして、その償却済の保証金相当額の預託を求めた事案において、その請求が全て棄却された事例 |
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43 | H30.1.25 | 東京地裁 |
借主が雨漏り対応の不備などを理由に、賃料を支払わず、また根拠を示すことなく損害賠償を請求してきたことから、貸主が賃貸借契約を解除したとして建物明渡及び未払賃料等の支払いを求めた事案において、借主の賃料不払等の行為により、賃貸借契約の基礎となる信頼関係は破壊されていたとして、貸主の建物明渡し及び未払賃料等の請求を認めた事例 |
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44 | H29.12.8 | 東京地裁 |
店舗の借主が、原状回復義務の履行に代えて同義務の履行に代わる金員を支払ったところ、貸主が原状回復工事を実施せずに第三者に賃貸したことは、原状回復工事実施義務違反であると主張して、支払った金員の返還を求めたが棄却された事例 |
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45 | H29.11.28 | 東京地裁 |
店舗賃借人が、建物の老朽化や耐震性能不足により賃借した店舗の使用が不可能になり、賃貸借契約が終了したとして既払い賃料や保証金の返還等を賃貸人に求め、他方賃貸人が、賃借人に建物明渡の遅滞による違約金や原状回復工事費等の支払いを求めた事案において、賃借人の賃貸借契約の終了の主張が否定され、賃貸人の反訴請求が一部認容された事例 |
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46 | H29.11.28 | 山口地裁 |
法人が賃借する共同住宅の貸室の一室で、その従業員と、知人と思われる遺体が発見された状況から嘱託殺人ないし同意殺人(心中)が疑われたことから、賃貸人が賃借人に対して、賃貸借契約上の債務としての善管注意義務に違反するとして、損害賠償等を求めた事案において、その請求が棄却された事例 |
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47 | H29.9.28 | 東京地裁 |
建物の賃借人が賃貸借契約における2回の更新時期に更新料を支払わないこと等を理由に、賃貸人が未払更新料の支払及び建物の明渡しを求めた事案において、当該未払いは信頼関係の破壊にあたるとしてその請求を認容した事例 |
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48 | H29.9.15 | 東京地裁 |
賃借人が貸室内で死亡後、約2か月半放置されたことから、賃貸人が相続人に対して、賃貸借契約の終了に基づき、原状回復費用、賃料相当損害金及び賃借人の善管注意義務違反に基づく損害賠償等を求めた事案において、原状回復費用及び賃料相当損害金の支払請求が認められ、その余の請求は棄却された事例 |
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49 | H29.8.23 | 東京地裁 |
社宅として賃借する借主法人の申入れにより、貸主が賃貸借契約の解除に合意したところ、社宅の入居者が、実質的な借主であるなどとして契約解除の無効、建物の明渡しを拒絶した事案において、賃料の負担者は借主内部の問題であり、それにより賃貸借契約の借主の主体が一方的に変更されるものではないとして、貸主の入居者に対する建物明渡し等の請求を認めた事例 |
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50 | H29.7.20 | 東京地裁 |
賃借したアパートの隣室からの騒音を放置したことは賃主の義務違反であり、また、当該騒音対策の実施と賃料の支払義務は同時履行の関係があるとして、借主が慰謝料等の損害賠償の請求及び賃料債務不存在の確認を求めた事案において、借主主張の騒音は受忍限度を超えているとは認められないとしてその請求が全て棄却された事例 |
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51 | H29.5.31 | 東京地裁 |
1階スナック店舗の経営者が2階住人に対し、カラオケ騒音の警察や区役所への度重なる通報や苦情申入れにより営業妨害を受けたとして、営業損害等の損害賠償を求めた本訴に対して、住人が、平穏な生活が妨害され睡眠障害を患ったとして治療費等を求める反訴をした事案において、住人の行動は違法な営業妨害には当たらないとして本訴を棄却し、反訴については住人の騒音被害を認めて請求を一部認容した事例 |
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52 | H29.4.25 | 東京地裁 |
貸主が、借主に賃貸借契約の約定により通常損耗も含めた原状回復費用支払いと、同費用の支払がないためその後の使用ができなかった期間の賃料相当額の支払を求めた原審において、貸主の請求が全部認容されたため、借主が、原判決の取消しを求めて控訴した事案において、約定には通常損耗の範囲を具体的に明記していないとして、原状回復費請求のうち、通常損耗部分の請求が棄却され、通常損耗を超える部分のみの原状回復費の請求が認容された事例。 |
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53 | H29.4.11 | 東京地裁 |
マンションの一室について、貸主との間で賃貸借契約書に記名押印をした借主が、貸室の入居日は決まっておらず鍵の引渡を受けていないことから未だ契約は成立していないとして、貸主に支払った契約代金の返還を求めた事案において、借主の主張はいずれも契約成立要件にあたらないとしてその請求を棄却した事例 |
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54 | H29.3.31 | 東京地裁 |
マンション管理組合の管理者が、当該マンションの外壁及び正面玄関庇に取り付けられた石材について、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があると主張して、施工した建築業者に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、建築業者には建物としての基本的な安全性が欠けることのないように配慮すべき注意義務違反があるとして、請求の一部が認められた事例 |
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55 | H29.2.21 | 東京地裁 |
賃貸保証会社が賃貸借契約解除の通知及び家財等の撤去の通知を行うことなく、借主が賃借していた物件内の家財等を撤去及び処分したことにより、家財類の価額相当の損害を被り、精神的苦痛を受けたとして、借主が賃貸保証会社に対し、不法行為に基づき慰謝料等の損害賠償を請求した事案において、賃貸保証会社の違法性はなく、借主の請求を棄却した事例。 |
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56 | H29.2.6 | 東京地裁 |
借主が、ペットによる損耗は賃料に含まれるとしてペット特約の無効と、貸主の注意義務違反により発生したとする損害の賠償を求めた原審で、貸主の注意義務違反による損害賠償請求等が認容されたため、貸主が控訴した事案において、ペット特約の有効性と、貸主に注意義務がないこと等が認容された事例。 |
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57 | H28.12.2 | 東京地裁 |
テナントビルの賃借人が、契約条件に違反する看板類の設置や共用電源の無断使用を行い、是正要請にも応じなかったため、賃貸借契約を解除した賃貸人が、貸室の明け渡し、看板類の撤去、損害金の支払を求めた事案において、それらが認められた事例。 |
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58 | H28.10.14 | 東京地裁 |
賃貸マンションの建て主が、建物建築請負契約及び建築後の管理委託契約を締結した会社に対して、同社は、虚偽・不当な勧誘を行い、説明義務も怠ったなどとして、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、同社が、建物建築請負契約の締結に先立ち、賃貸事業に係る事業収支、特に修繕費について不正確な説明を行ったことは、信義則上の義務に違反し不法行為を構成するとして、その請求が一部認められた事例 |
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59 | H28.9.29 | 東京地裁 |
原状回復を免除された賃借人が、主位的に、?賃貸人に、造作買取請求等による買取代金支払いと、?賃貸人と現賃借人に、備品の所有権侵害による共同不法行為に基づく損害金支払いを、予備的に、?賃貸人と現賃借人に、什器備品等の所有権侵害による共同不法行為に基づく損害金支払いと、?現賃借人に、不当利得返還請求権に基づき什器備品等の時価合計額の支払を求めた事案において、原状回復の免除があっても、造作買取請求等の放棄をも内容とする原状回復特約自体が黙示の合意により失効したと言えないとして、賃借人の請求が全て棄却された事例 |
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60 | H28.8.19 | 東京地裁 |
貸室内をゴミ屋敷にしたうえ、火災を発生させ、その後退去した賃借人及びその連帯保証人に対し、賃貸人が原状回復費用等の支払いを求めた事案において、貸室を本来機能していた状態に戻す工事費用及び同工事期間中の逸失利益の請求を認め、火災発生により従前より賃料を減額して賃貸せざるを得ないとした逸失利益の請求については否認した事例 |
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61 | H28.8.19 | 東京地裁 |
昭和47年築のアパートに12年間居住した賃借人が負担すべき原状回復費用について、室内塗装費用・クッションフロア張替え費用の5%相当額と査定された事例 |
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62 | H28.6.28 | 東京地裁 |
賃貸マンションに約2年間居住した賃借人に対し、賃貸人が原状回復費用を請求した事案において、タバコのヤニ汚れや壁の穴など賃借人の故意過失による損耗が大部分であるとして、賃貸人の請求がほぼ認められた事例 |
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63 | H28.6.8 | 東京地裁 |
建物を有料老人ホームとして使用していた賃借人が、賃貸人に対し、賃貸借契約は「住宅の貸付」にあたり消費税は非課税であったとして、賃料額の確認と過払いの金員の返還を求めた事案において、賃料のうち消費税額を除いた部分が有効と認められ、賃貸人が消費税額として受領したことについては不当利得が成立するとして、その返還請求が認められた事例 |
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64 | H28.3.18 | 東京地裁 |
緊急輸送道路沿道の賃貸建物につき、耐震化条例に基づく耐震診断により耐震性に問題があることが判明し、賃貸建物を解体する必要があるとして、賃貸人が賃借人に対し、立退料の支払いを申し出て、建物賃貸借契約の更新を拒絶し建物の明渡しを求めた事案において、賃貸人の更新拒絶理由は借地借家法28条の正当事由に該当するとして、裁判所の認める立退料の支払いを条件に貸主の明渡しの請求を認容した事例 |
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65 | H28.3.10 | 東京地裁 |
介護施設としての利用を目的に建物を賃借したところ、検査済証が未交付であったこと等から、用途変更確認申請ができず、施設を開設できなかったことから、賃借人が、賃貸人には使用収益させる義務違反、媒介業者らには調査説明義務違反がそれぞれあったとして、賃貸人と媒介業者に支払済賃料・工事代金等の支払いを求めた事案において、検査済証がないことを理由に、同一目的の賃借希望者が賃借を見送っていたことを知る媒介業者には、その旨を賃借人に説明する義務があったとして、その請求の一部を認めた事例 |
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66 | H28.1.21 | 東京地裁 |
店舗賃貸借契約の締結を契約直前に貸主に断わられたことから、交渉を行っていた借主が、主位的に成立した契約を貸主が不当に破棄したとして、予備的に貸主に契約締結義務違反があるとして、損害賠償を求めた事案において、その主張に理由がないとして全部棄却された事例。 |
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67 | H27.11.26 | 東京地裁 |
賃貸人の建て替えを理由とした建物賃貸借契約の解約申し入れに応じて、建物(事務所)を明け渡した賃借人が、賃貸人に対して敷金および契約約定の違約金の支払い等を求めたことに対し、諸事情により建物の建て替えを中断している賃貸人が、原状回復費用を敷金等と相殺すると主張した事案において、貸主は本件建物の建て替えを計画していたので、原状回復工事は不要のはずであり、その旨の合意が認められるなどとして、貸主による相殺の主張を棄却し、賃借人請求の敷金返還および違約金の支払いを許容した事例 |
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68 | H27.11.2 | 東京地裁 |
約14年間賃借している事務所の賃借人が、契約上の床面積より実際面積が狭い等を理由として、一方的に賃料等を減額して支払うことから、賃貸人が建物賃貸借契約を解除したとして、事務所の明渡し及び未払賃料等の支払を求めた事案において、賃借人の錯誤無効、数量指示賃貸借等の主張を棄却し、賃貸人の請求を全て認容した事例 |
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69 | H27.10.15 | 東京地裁 |
賃貸ビルの賃借人が貸室内で私設私書箱業を営んでいたところ、振り込め詐欺の送金先に利用されたことから、賃貸人が賃貸借契約上の用法義務違反により無催告解除を行い建物の明渡等を請求した事案において、有効な対策をとらず振り込め詐欺の送金先に利用され、警察庁のホームページにビル名や所在が公表されたことは、信頼関係の破壊にあたり無催告解除事由に該当するとして、賃貸人の請求を認容した事例 |
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70 | H27.9.28 | 東京地裁 |
貸主が、連帯保証人に対し、借主の自殺によって被った損害の支払を求めた事案において、貸主の請求した原状回復費は逸失利益において評価されるべきとして、また、賃貸物件の用途・立地等考慮すれば、逸失利益は当初の1年を賃貸不能期間、2・3年は賃料の半額でなければ賃貸できない期間とみるのが相当であるとして、請求額が大幅に減額されたうえで、認容された事例 |
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71 | H27.9.17 | 東京地裁 |
賃借人が、契約更新時に、貸室実測による契約床面積の変更により賃料改定が行われたことから、本件賃貸借契約は床面積を基礎に賃料額を定めた数量指示賃貸借に当たるとして、賃貸人に対し、実際床面積に不足する面積対応分の賃料・更新料相当額等を不当利得として返還を求めた事案において、床面積当たりの賃料額を合意し、床面積を乗じて賃料額を定めた事情、賃貸人が貸室を測量した事実等が認められないことなどから数量指示賃貸には当たらないとして、その請求を棄却した事例 |
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72 | H27.8.5 | 東京地裁 |
サブリース会社との間で賃貸借契約を締結して、家賃保証及び満室保証を受けていた建物のオーナーが、老朽化した自宅の補修改築のためにまとまった資金を必要とし当該建物を空き家状態で売却することを望んで、サブリース会社に対して賃貸借契約の解除及び明渡しを求めた事案において、正当事由を補完するものとして50万円の立退料支払いを条件に認容された事例 |
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73 | H27.3.27 | 最高裁第二小 |
市営住宅の賃貸借契約において、市営住宅条例で「入居者が暴力団員であることが判明した場合には明渡し請求できる」との条項に基づいて、市が暴力団員であることが判明した入居者に対して明渡しを請求したのに対して、入居者が憲法14条1項(法の下の平等)及び22条1項(居住の自由)違反を主張して争った上告審において、憲法に違反しないとして、市の明渡し請求が認められた事例 |
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74 | H27.2.24 | 東京地裁 |
貸主が定期借家契約の期間満了による賃貸店舗の明け渡し等を借主に求めた事案において、定期借家契約は黙示の更新により普通借家契約として更新されており、以後締結の定期借家契約も、普通借家契約の更新として結ばれたものであるとして、普通借家契約の契約終了要件を欠く貸主の建物明渡請求を棄却した事例 |
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75 | H27.1.29 | 東京地裁 |
契約に反して無断で中型犬を飼育していた借主の賃貸マンションの原状回復費用を貸主が請求した事案において、フローリングについては損傷が著しいとして、経過年数を考慮した全面貼替費用約40万円が認められた事例 |
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76 | H27.1.28 | 東京地裁 |
建築予定建物につき、建築確認申請の調整事項等の終了後、建物賃貸借契約(本契約)を締結することを予定して締結した手付契約(建物賃貸借予約契約)において、賃借予定者が手付解除をしたところ、賃貸予定者は賃借予定者仕様の工事を完成させるなど履行に着手しており、賃借予定者が本契約を締結しないことは不法行為に該当するとして、損害賠償を請求した事案において、手付契約に解除権行使期間に関する定めはなく、履行の着手による解除権の制限はないとして、その請求を棄却した事例 |
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77 | H26.12.19 | 東京地裁 |
賃貸人が賃借人に対し、特定緊急輸送道路に接する賃貸建物は耐震性を有せず、補強工事による耐震化も困難な状態である等として、建物の朽廃又は解約申入れによる建物賃貸借契約の終了に基づき、主位的に建物の明渡しを、予備的に賃貸人提示額又は相当額の立退料支払いを条件に明渡しを求めた事案において、特定沿道建築物であることを考慮した立退料の支払いを条件に明渡しの請求が認容された事例 |
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78 | H26.12.11 | 東京地裁 |
居住用建物の転貸借関係において、転借人の同居人が当該建物で自殺したため、契約解除後の入居者募集に支障が生じているとして、賃貸人が1年分の賃料と2年分の賃料減額分(50%)の損害賠償を、また転貸人が3年分の利ザヤ相当額をそれぞれ転借人に請求した事案において、転借人の善管注意義務違反を認め、賃貸人及び転貸人の請求を一部認容した事例 |
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79 | H26.11.27 | 東京地裁 |
マンション一室の賃貸借契約につき、貸主が鍵を取替えた行為が自力救済にあたり、鍵交換以降賃借人は賃料支払義務を負わないとして、賃料保証会社が借主の未払賃料の保証履行を拒絶した事案において、同行為は警察の要請により行われたものであり、かつ賃借 人がいつでも使用できるよう配慮されていることから、自力救済には当たらないとして、貸主の保証債務履行請求を認めた事例。 |
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80 | H26.11.20 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約の賃貸人が、建物の老朽化を理由に賃借人と立退き交渉を行い、隣接する賃貸人所有の建物に転居して貰った上で、期間3年の定期建物賃貸借契約を交わしたとして、賃借人に対し契約期間満了による建物明渡しを求めた事案において、当該賃貸借契約は定期賃貸借契約とは言えないとして賃貸人の請求が棄却された事例 |
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81 | H26.11.11 | 東京地裁 |
いわゆるレンタルオフィスの利用を目的とした入会契約につき、借地借家法にいう建物の賃貸借に該当するか否かが争われた事案において、契約目的である使用区画の構造、同契約の法的性格の検討から、建物賃貸借契約に該当するとして、オフィス利用者の賃借権を有することの確認請求を認容した事例 |
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82 | H26.10.30 | 東京地裁 |
賃貸借契約締結にあたり、賃借人との間で保証委託契約を締結した保証会社が、賃貸人に対して滞納賃料及び原状回復費を代位弁済したとして、賃借人に対し、代位弁済した滞納賃料及び原状回復費の支払を求めたことに対し、保証会社には損害軽減義務違反ないし保証債務の拡大防止義務違反があるなどと賃借人が主張した事案において、法的手続に則って本件建物の明渡しを求めることは正当であって、損害軽減義務や保証債務の拡大防止義務に違反するとはいえないとして、その請求を認めた事例 |
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83 | H26.10.20 | 東京地裁 |
賃貸人が、賃借人に対し階下で発生した漏水事故に関して、賃借人の管理会社への不満等を理由にその漏水調査、修繕に賃借人が協力しないことから、債務不履行解除を求めた事案において、賃貸物件の明渡しと保存行為協力義務の不履行に基づく階下賃借人退去に伴う損害賠償等の請求について、賃貸人の請求をほぼ認容した事例 |
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84 | H26.10.8 | 東京地裁 |
商業施設の賃貸人が、定期借家契約で賃借していた賃借人に対し期間満了に伴う契約終了を通知したが、賃借人が明渡しに応じないため、賃貸人が賃借人に対し建物明渡と賃料相当損害金の支払を請求した事案において、事前説明や司法書士を介し行われた説明をもって借地借家法上の要件は満たしており切替えは有効と判断。その後の再契約時の手続き及びその終了手続きにも瑕疵はないとして、賃貸人の請求を認容した事例 |
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85 | H26.9.25 | 最高裁 |
賃料減額の確認を求める判決が確定後に賃貸人から提起された賃料増額確認請求について、本件訴訟において賃貸人が本件賃料増額請求による賃料増額を主張することは前訴判決の既判力に抵触するとして争われた上告審において、賃料増減額確認請求訴訟の確定判決の既判力は、原告が特定の期間の賃料額について確認を求めている特段の事情のない限り、前提である賃料増減請求の効果が生じた時点の賃料額に係る判断について生ずるとして、前訴判決の既判力に抵触するとした原判決を破棄し、原審に差し戻した事例 |
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86 | H26.9.18 | 大阪高裁 |
居住目的で賃貸借契約を締結した賃借人が、賃貸人は1年数か月前に建物内で自殺があった事実を故意に告げずに契約を締結したとして、賃貸人に対して、不法行為に基づく損害賠償を求め、原審がこれを認容したため、賃貸人が控訴した事案において、自殺の事実は契約の目的を達成し得ない瑕疵にあたり、その不告知は不法行為にあたる、また、賃貸人による賃料相当損害金の請求は権利の濫用にあたり認められないとして、控訴を棄却した事例 |
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87 | H26.9.2 | 東京地裁 |
建物賃貸借について、貸主が、地下1階に入居したライブハウスからの騒音等によって被害を被っていることを理由に賃料の一部しか支払わない借主に対し、契約解除、建物明渡請求及び未払賃料の支払を求めた事案において、借主の主張する慰謝料を一部認めた上で、貸主の請求を認容した事例 |
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88 | H26.8.5 | 東京地裁 |
建物賃借人の4か月分の賃料等未払いを理由として、賃貸人が建物賃貸借契約を解除し、建物の明渡し並びに賃借人及び連帯保証人に未払賃料等の支払いを求めたのに対し、賃借人が、エアコンの不具合により建物が通常使用できない状態にあった、賃借人に対する執拗な営業妨害等を賃貸人が保証会社及び管理会社にさせたとして、賃借人の賃料等の支払義務を否定し、賃貸人請求の棄却及び営業妨害等の損害金を求め反訴した事案において、賃借人の請求を全部棄却し、賃貸人請求については、エアコン不具合が認められた期間の賃料等を除き認容された事例 |
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89 | H26.7.16 | 東京地裁 |
外国人向けにゲストハウスとして賃貸中の物件を現状有姿で購入し、管理運営を売主に委託した買主が、漏水とそれを原因とするカビ被害や入居者による汚れ等が瑕疵に当たると主張して、売主、賃料収納会社及びそれらの役員らに対して、改修工事費用及び逸失利益相当の損害賠償等を請求した事案において、漏水の改修工事費用及び残置物処理費用等については瑕疵担保責任又は原状回復義務を理由に、売主に対する請求を認容したが、それ以外の請求については棄却した事例 |
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90 | H26.7.1 | 東京地裁 |
近接する自己所有ビルの一体開発を目的として、建築後約40年を経過した都心ビルを購入した賃貸人が、本件ビルの賃借人に対し、建物の老朽化、再開発、自己使用等の必要性及び立退料の申出を正当事由として、賃貸借契約の解約、建物の明渡しを求めた事案において、賃借人の自己使用の必要性につき、十分な金銭的補償がなされれば移転は可能であるとして、適正な立退料提供を条件に建物明渡し請求を認容した事例 |
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91 | H26.6.16 | 東京地裁 |
居住用賃貸マンションの貸主が、借主において火災によりマンションの室内を全焼させたとして、借主に対しては賃貸借契約の債務不履行に基づく損害賠償として、連帯保証人に対しては連帯保証契約に基づいて、原状復旧工事費用等の損害賠償を請求した事案において、借主の損害賠償責任が認定され損害賠償請求の一部が認容された事例 |
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92 | H26.5.14 | 東京地裁 |
借地権付建物の賃貸人が、借入金の返済、他の相続人への価格弁償債務、借地更新料の未払債務などに充当するため、自宅とそこに隣接する当該物件を売却する必要性を正当事由として更新拒絶の意思表示を行い、賃借人に対し立退料170万円と引換えに建物明渡を請求した事案において、一定額の立退料支払により正当事由が補完されていると認められるとして、賃貸人の請求を認容した事例 |
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93 | H26.5.13 | 東京地裁 |
所有する建物の共用部分で、賃借人が自殺したため、本件建物の貸室及び近接貸室を第三者へ賃貸することが著しく困難となったとして、賃貸人らが連帯保証人に対し、?主位的に賃貸借契約に基づく債務不履行責任に基づき、?予備的に共有持分権侵害を内容とする不法行為に基づき、賃料収入減少分を損害賠償請求した事案において、賃貸人らの主張が減額の上で認容された事例 |
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94 | H26.4.22 | 東京地裁 |
建物賃借人が賃貸人に対し、建物の不具合箇所の修繕を請求した事案において、賃借人の主張する不具合箇所については現状を明らかにする証拠がなく補修が必要であると認められず、破損の経緯も明らかにしていないことから賃借人の使用収益が不能ないし困難な状態に達しているとはいえないとして、賃借人の請求が棄却された事例 |
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95 | H26.1.29 | 東京地裁 |
事業用賃貸借の貸主が耐震補強工事を行うため、飲食店経営の借主は営業が困難になったとして退去した上で、貸主が契約締結時に耐震補強工事の必要性があることやその予定について説明しなかったことは不法行為にあたり、当該工事により営業困難になったとして債務不履行を理由に、貸主に対して逸失営業利益等の損害賠償請求を行った事案において、借主の請求は棄却され、貸主の契約条項に基づく賃料及び原状回復費用請求が認められた事例 |
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96 | H25.12.25 | 東京地裁 |
ビルの貸室の建物賃貸借契約の解約に関し、賃貸人が、賃借人及び連帯保証人に解約予告金・解約負担金・原状回復費用等を求め(本訴請求)、これに対して、賃借人が、敷引後の敷金残額を返還することを求め(反訴請求1)、かつ、建物で発生した害虫の駆除を賃貸人が適切に行わなかったことが債務不履行にあたるとして損害賠償を求めた(反訴請求2)事案において、貸主の債務不履行を否定し、借主に解約負担金の支払義務はないとした事例 |
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97 | H25.12.11 | 東京地裁 |
建物老朽化を事由に賃貸人が賃借人に対して賃貸借契約の解除、建物明渡を求めた原審で、立退料の支払と引き換えに賃貸人の請求が認容されたため、それを不服として賃借人が控訴したところ、建物老朽化の程度は激しく倒壊により近隣被害が及ぶ恐れもある一方、賃借人は高齢であり移転先を探すのは容易でなく、転居が肉体的、精神的に負担になることが認められるものの、移転が全く不可能とは言えないとして、原判決の立退料を増額した上で、賃貸人の契約解除、明渡請求が認められた事例 |
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98 | H25.11.22 | 大阪高裁 |
賃貸人が賃料滞納をしている賃借人に対し、契約の解除と建物の明渡しを求め、賃料を代位弁済した賃料保証会社が代位弁済額及び保証事務手数料の支払を求めた事案において、保証委託契約に基づく保証会社の支払は代位弁済であって、賃借人による賃料の支払ではないとして、賃貸人の建物明渡し及び賃料保証会社の請求を認容した事例 |
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99 | H25.10.17 | 大阪地裁 |
居住用賃貸マンションの借主が、家賃を滞納したところ、貸主及び保証会社から追い出し行為を受けたため、貸主及び保証会社に対して財産的損害及び精神的損害を被ったとして、民法709条等に基づいて、損害賠償請求を行った事案において、損害賠償請求の一部が認容された事例 |
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100 | H25.10.17 | 大阪高裁 |
適格消費者団体が、不動産賃貸事業者に対し、事業者の使用する賃貸借契約書の解除条項等は、消費者契約法(以下「法」という。)9条各号又は10条に該当するとして、法12条3項に基づき、同契約書による意思表示の差止め、契約書用紙の廃棄並びに差止め及び契約書用紙廃棄のための従業員への指示を求め、原審が解除条項の一部のみ意思表示の差止め及び契約書用紙廃棄を認めたため、控訴した事案において、解除条項は法10条に当たるとして、原判決を変更し同条項に係る意思表示の差止め及び契約書廃棄を認めた事例 |
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101 | H25.9.27 | 東京地裁 |
保証金は賃借人に帰属するとの約定により賃借人の地位を譲渡した賃借人が、賃貸人から保証金残金の支払いを受けた破産会社の破産管財人に、不当利得返還請求権に基づき保証金相当額の支払いを求め、賃貸人には、保証金返還請求権に基づき、保証金相当額の支払いを求めた事案において、破産管財人への請求は、賃貸人への弁済債務を差し引いた保証金残金の限度で理由があるとして、請求の一部が認容された事例 |
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102 | H25.9.25 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約において、賃借人が離婚により本物件を退去したにもかかわらず、同居人が占有を続けるとともに、両者とも賃料を支払わなかったことから、賃貸人が賃料不払い(25か月)を理由に賃貸借契約の解除を通知のうえ、賃借人と同居人に対しては建物明渡しを、また賃借人、連帯保証人、同居人に対しては未払賃料及び更新料と明渡完了までの賃料相当額の支払いを、それぞれ請求した事案において、賃借人側からも賃貸借契約の解除は可能であったことを踏まえ、賃借人らの抗弁を退け、同居人への更新料請求を除き賃貸人の請求を認容した事例 |
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103 | H25.9.11 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約において、建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位を継承した新賃貸人が、同時に継承した8か月分の賃料等債権に基づき賃借人に対し、契約解除・建物明渡と不払い賃料等の支払を求めた事案において、賃借人の情状を酌量し、信頼関係の崩壊はないとして、解除権の行使を認めず、いずれの請求も棄却された事例 |
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104 | H25.9.10 | 東京地裁 |
賃貸人が、賃借人の賃料支払遅延、建替応諾条項違反(過去、建物建替時には協力する旨を合意)、迷惑行為禁止条項違反、信義誠実義務違反による賃貸借契約解除、または老朽化による建替の必要性を正当事由とする契約解除を理由に建物明渡を請求した事案において、建替応諾条項は賃借人に不利な条項であり借地借家法30条により無効であるなどとして、賃貸人の解除通知は認められず、建物の状況から見て早期建替の必要性はなく正当事由はないと判断、賃借人への明渡し請求は棄却された事例 |
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105 | H25.8.30 | 東京地裁 |
賃貸借契約が終了し、賃借人は年末までに退去したが、賃貸人の都合で鍵返還が年明けとなったうえ、原状回復工事完了日も1月末近くとなったことから、賃貸人が原状回復工事完了日までの日割り賃料等と原状回復工事費を保証金から控除することを主張したところ、賃借人が日割り賃料等及び原状回復工事費控除前の保証金返還を請求した事案において、賃借人は年末に明渡準備を完了し鍵返還が遅れたのは賃貸人の都合によること、賃貸人が次のテナントに原状回復工事をせずに物件を引渡したことを理由として、賃借人の請求を全て認容した事例 |
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106 | H25.8.20 | 東京地裁 |
賃貸人から、定期建物賃貸借契約の特約に基づく中途解約の申入れを受けた賃借人が、賃貸人は立退料等の金銭支払いの条件提示をするなど誠実に対応すべきであるのにこれをせず、仲介業者は紛争の契機となった契約書及び特約を作成し、その後も十分な仲介をしなかったとして、賃貸人及び仲介業者に対して不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、仲介業者に対する請求のみが一部認容された事例 |
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107 | H25.8.19 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約の借主の債務不履行により契約を解除した貸主が、特約による原状回復費用、未払賃料等及び使用損害金等の損害賠償を求めた事案において、貸主の損害賠償請求のうち原状回復費用請求については、通常損耗補修特約の合意は否認され、特別損耗に係る請求のみが認容された事例 |
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108 | H25.7.31 | 東京地裁 |
賃借建物の一部を転貸していた者が、転借人の転借料不払いにより転貸借契約を解除したとして、明渡しを求め、転借人及び連帯保証人に未払転借料・使用料相当損害金の支払いを求めた裁判の控訴審において、転貸人による転貸借契約の解除が有効であるとして、控訴を棄却して転借人及び連帯保証人に転借料及び使用料相当損害金の支払いを命じた事例 |
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109 | H25.7.17 | 東京地裁 |
賃貸借契約締結の際、賃借人の都合で、賃貸人が署名した契約書を、連帯保証人に署名させる為賃借人に預けたが、半年経過しても賃借人が連帯保証人署名済の契約書を提出せず、また、入居申込書の内容に虚偽があったことから、賃貸人が契約不成立(予備的に債務不履行による契約解除)を主張し、建物明渡しを請求した事案において、本件賃貸借契約は、連帯保証人の署名がなくとも成立しているが、賃借人は、本件で重要な要因となる連帯保証人を立てる為の真摯な努力を怠ったことで信頼関係は破壊されたと判断し、賃貸借契約解除の通知を有効と認め、建物明渡請求を認容した事例 |
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110 | H25.7.16 | 東京地裁 |
建物の使用目的を変更して賃貸借契約を承継した賃借人が、賃貸人に対し、敷金および修繕工事費用立替額を請求した事案において、賃貸人は、住居目的で賃貸した建物を賃借人が事務所として使用していたため通常使用による損耗分も含めた原状回復費用を負担すべき等を主張したが、賃貸借契約の条項の変更は行われていない等の理由から、敷金より賃借人負担分の原状回復費用を控除した額の返還と入居中の修繕工事費用立替額および遅延損害金の請求が認容された事例 |
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111 | H25.6.25 | 東京地裁 |
3か月間のフリーレントがある定期建物賃貸借契約を締結した賃貸人が、賃料等を支払わない賃借人に対し、契約の解除を通知し約定の違約金等を請求したが、賃借人が敷金償却特約、違約金特約等は公序良俗に反し無効であると主張して争われた事案において、違約金等に関する合意を不合理ということはできず、公序良俗に反するとはいえないとして、賃貸人の請求を認めた事例 |
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112 | H25.6.24 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約の貸主が中途解約をした借主に対して約定解約金の支払いを求めたことに対し、借主が解約の意思表示をしたのは貸主が安全に賃貸建物を使用収益させるべき義務に違反したことを理由としたもので約定違約金は発生しないとして敷金の返還を求めた事案において、貸主の約定違約金請求が認容された事例 |
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113 | H25.6.14 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約において、賃貸人が建物老朽化に伴う建替えを理由に賃借人に建物明渡を請求した事例において、本件建物の耐震性能の問題は,震度5弱程度の地震でも人命を損ないかねないほどに深刻で、早急な対応が必要なことは明らかであるから、これを建物老朽化という現況の問題として単純に評価することは相当ではなく、むしろ、人道的見地より、解約申入れに関する正当事由の判断上は、賃貸人自身の建物使用に準じる事情として位置づけ考慮すべきものとし、立退料の支払いと引き換えに建物明渡請求が認容された事例 |
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114 | H25.5.27 | 東京地裁 |
賃借人が、賃貸人に対し、クリーニング特約に基づいて敷金から控除されたクリーニング費用の返還を求めた事案において、賃貸人が清掃をしたとしても、それが通常の損耗にとどまる限りは、特約に基づきクリーニング費用を賃借人負担とすることはできないとして、賃借人の請求を認容した事例 |
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115 | H25.5.15 | 東京地裁 |
本件は、土地の貸主が、更新時に更新料を支払う旨の明示もしくは黙示の合意がある、又は更新料を支払う旨の商慣習もしくは事実たる慣習が存在すると主張して、更新料の支払と賃料額の確認を求めたが、毎更新時、更新料を支払う旨の合意があったとは推認できず、また、更新料支払い約定がないにもかかわらず、支払っていた賃借人は一部にとどまることから、更新料支払いの商慣習もあるとはいえないとして、賃料増額の一部のみが認容された事例 |
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116 | H25.4.22 | 東京地裁 |
賃貸人が賃借人の賃料一部不払いによる賃貸借契約の解除及び建物明渡し並びに滞納賃料等の支払いを求めた事案において、賃貸人、不動産会社及び賃借人に法令に抵触する行為があっても、公序良俗に反するとまでは言えないとして、賃貸借契約に基づく賃貸人の請求が認められた事例 |
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117 | H25.4.17 | 東京地裁 |
保育所等施設の経営を使用目的として賃貸借契約を締結した賃借人が、賃貸人に対し、本件建物は保育所等施設として使用することが不可能であることが判明したとして、本件賃貸借契約は、実現可能性を欠き、あるいは錯誤により、無効であると主張して、保証金及び賃料の返還を求めた事案において、実現可能性がないとして一律無効とするのではなく当事者間の利益調整を図るのが民法の趣旨であるとして、また、賃借人には本件建物が保育所として使用可能であることと信じたことについて重大な過失があるとして、請求を棄却した事例 |
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118 | H25.4.16 | 東京地裁 |
建物老朽化を理由に、賃貸人が賃借人に対し建物明け渡しを請求した事案において、建物が朽廃しているとまでは認定できないとして老朽化による無条件解約は認めなかったが、修繕費用が貸主にとって過大な負担になることを考慮し、建物倒壊による危険の回避の為、明け渡しを受け、取壊しを行うことが相当と判断の上、一定の補償と引換えに賃借人に対し建物明け渡しを命じた事例 |
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119 | H25.3.28 | 東京高裁 |
不動産賃貸事業者が使用する契約書に記載されている、更新料支払条項及び契約終了後に明渡しが遅滞した場合の損害賠償の予定を定めた条項は、消費者契約法9条1号及び10条により無効であるとして、適格消費者団体が、契約の申込み又は承諾の意思表示の停止及び契約書用紙の破棄等を求めた事案の控訴審において、原審を相当とし、各条項は無効であると認めることはできないとして、控訴を棄却した事例。 |
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120 | H25.3.28 | 東京地裁 |
耐震性に問題のある大規模賃貸マンションを所有する賃貸住宅事業者が、耐震改修が経済合理性に反するとの結論に至り、改修工事実施を断念し、除却する方針を決定して、賃借人らに対し、賃貸借契約終了に基づき、建物の明渡し及び約定損害金の支払を求めた事案において、更新拒絶には正当事由があるから、各契約はいずれもその満了日の経過をもって期間満了により終了したというべきであり、賃貸住宅事業者は、賃借人らに対し、建物の明渡しを求めることができるとされた事例 |
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121 | H25.3.18 | 東京地裁 |
公営住宅において、近隣に対して騒音被害を与えていた賃借人に対し、賃貸人が建物明け渡し請求を行った事案において、賃貸人からの明渡請求を認めた事例 |
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122 | H25.2.13 | 仙台高裁 |
土地建物の賃貸借契約締結時に賃借人と賃貸人の間でなされた建築協力金等償還金と賃料の一部を相殺する旨の合意の効力を、特別清算手続きの一環として土地建物の所有権等を取得し、賃貸人の地位を承継したものに対しても、賃借人は主張できるとした事例。 |
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123 | H25.1.25 | 東京地裁 |
耐震性に問題のある賃貸中の建物を取り壊し、分譲マンションを建築することを理由とした賃貸借契約の解約申入れについて、立退料の提供を条件とする正当事由が肯定された事例 |
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124 | H24.12.21 | 東京地裁 |
賃貸人が、賃借人(法人)が賃料を支払わないため契約を解除したなどとして、賃借人及び建物を占有しているその代表取締役に対して明渡しを求め、他方、賃借人が、賃貸人は建物を適切に管理すべきであるのにこれを怠り、水漏れにより賃借人所有の物件が損壊したとして、また、水漏れの原因である温水器は土地の工作物にあたるとして土地工作物責任に基づき、損害賠償を求めた事案において、賃貸人による建物明渡請求が認められ、賃借人による損害賠償請求は棄却された事例 |
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125 | H24.12.12 | 東京高裁 |
建築後約40年を経過した建物の所有者である賃貸人が、賃借人に対して、賃貸借契約の解約申入れには正当事由があるとして、立退料の支払と引替えに明渡しを求め、一審がその請求を認めたため、賃借人が控訴した事案において、賃貸人の解約申入れには正当事由がないといえ、立退料の給付申出によっても正当事由は補強できないとして、原判決を取り消し、賃貸人の請求を棄却した事例 |
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126 | H24.11.12 | 大阪地裁 |
適格消費者団体が、不動産賃貸事業者が使用する賃貸借契約条項の使用差止め等を求めた事案において、賃借人に対する後見開始又は保佐開始の審判や申立てがあったときに契約を解除できる旨の条項について、消費者契約法10条に該当するとして、同法12条3項に基づき、同趣旨の意思表示の差止め、当該意思表示が記載された契約書ひな形が印刷された契約書用紙の廃棄は認められたが、従業員への指示を求める請求やその余の請求は棄却された事例 |
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127 | H24.11.1 | 東京地裁 |
賃貸人が、貸室賃借人及び占有会社に対し、明渡し及び賃料相当損害金支払を求めた事案において、竣工後50年以上を経ており、老朽化が相当に進行し、耐震性の点でも危険性を否定することができず、耐震補強を行うには相当の費用がかかり、不利益を一定程度補うに足りる立退料を支払うことによって、正当事由が補完されるとして、311万円余の支払を受けるのと引換えに、明渡しを認めた事例 |
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128 | H24.9.28 | 東京地裁 |
事業用賃貸借において、賃借人が賃料減額の意思表示をした後、借地借家法32条3項の「相当と認める額」を支払わないこと及び約定の更新料を払わないことを理由として、賃貸人が、賃貸借契約の解除、建物明渡しを求めた事案において、賃借人には賃貸人との信頼関係を破壊するに足りない特段の事情があると認めるのが相当であるとして、賃貸人の請求が棄却された事例 |
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129 | H24.9.13 | 最高裁 |
賃貸人(不動産賃貸業者)が、建物の賃貸借は借地借家法38条1項所定の定期建物賃貸借であり、期間の満了により終了したなどと主張して、賃借人(貸室経営業者)に対し、建物の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求め、賃借人は同条2項所定の書面を交付しての説明がないから賃貸借は定期建物賃貸借に当たらないと主張している事案において、同法38条2項所定の書面は、賃借人が、当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず、契約書とは別個独立の書面であることを要するとした事例 |
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130 | H24.9.7 | 東京地裁 |
賃貸借契約上の賃料債務を連帯保証している保証会社が居室の鍵を付け替えるなどして賃借人の占有を排除し、居室内に立ち入り、居室内にあった賃借人所有物品を撤去処分した行為は不法行為に当たるなどとして損害賠償を求めた事案において、保証会社は賃借人に対して退去等を求めることができる立場にないとして、保証会社の不法行為責任が認められるとともに、保証会社の代表取締役の任務懈怠責任も肯定された事例 |
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131 | H24.8.22 | 神戸地裁 |
賃借人が賃貸人に対し、敷引特約の無効を訴えて敷金の返還を求めた事案において、原審は敷金から未払水道料金を控除した金額の請求を認容したため、賃貸人が控訴し、賃借人も未払水道料金が控除されたことを不服とし附帯控訴、割高な水道料金の説明が無かったとして、損害賠償の支払を求めて請求を拡張したが、控訴、附帯控訴、拡張された請求の全てが棄却された事例 |
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132 | H24.8.8 | 東京地裁 |
本件建物を賃貸人から賃借した賃借人が、賃貸人に対し、本件賃貸借契約に係る賃料及び共益費が賃借人主張の額であることの確認を求めるとともに、本件賃貸借契約に付された敷引特約は無効であり、賃貸人に預託した保証金から敷引金を控除することは許されない等と主張し、また、更新料の支払を約する条項は無効である等と主張して、支払済みの更新料の返還等を求めた事案において、本件賃料は、賃借人主張の各時点において経済事情の変動等により不相当となったことが認められるとして、差額配分法による試算賃料を70%、スライド法及び利回り法による試算賃料を各15%の割合で考慮する等して鑑定人が算出した賃料を本件建物の適正賃料と認定する一方、敷引特約及び更新料が無効であるとはいえないとした事例 |
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133 | H24.7.27 | 大阪高裁 |
ワンルームマンションを4年間賃借して居住していた賃借人が、賃貸人に対し、1年毎の契約更新の際に支払った賃料の3.12か月分に相当する更新料について、更新料特約が消費者契約法10条により無効であるなどと主張し、不当利得返還請求権に基づき、更新料相当額と遅延損害金の支払を求めた事案において、本件更新料特約による更新料が高額に過ぎるもので特段の事情が存するとまではかろうじて言えないことから、消費者契約法10条により無効ということまでは言えないとして賃借人の請求を棄却した事例 |
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134 | H24.7.19 | 東京高裁 |
賃貸ビルの賃借人が、賃貸人に対し、借地借家法32条1項に基づいて賃料の減額を求め、減額請求後の月額賃料額の確認を求めたところ、原審で棄却されたため控訴した事案において、控訴審においても契約更新時に協議で賃料の改定を行うことができ、契約期間中経済情勢の変動が著しい場合は改定することができる旨の約定を賃料減額事由の有無の考慮事情とすることは許されないものではなく、賃料相場が下落傾向にある状況下で新規契約の場合の相当賃料額を採用すべきともいえないとして、控訴を棄却した事例 |
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135 | H24.5.31 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約を解約して本物件を明け渡した賃借人が、賃貸人に対し、敷金の返還等を請求し、これに対し、賃貸人は賃借人には明渡義務違反、原状回復義務違反、水道料支払義務違反があるとして、同時履行の抗弁を主張し、敷金の返還等を拒むとともに、賃借人に対して反訴を提起したところ、原審に不服があるとして、賃貸人及び賃借人がそれぞれ控訴及び附帯控訴を提起した事案において、賃借人に対しては、敷金から原状回復費用相当額と水道使用料相当不当利得金を控除した額の返還が認められ、賃貸人の反訴請求は棄却された事例 |
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136 | H24.4.17 | 東京地裁 |
賃貸人たる地位を承継した不動産業者(原告)が、法定更新により、期間の定めのない賃貸借契約となった貸室について、賃借人(被告)に賃貸借契約を解約する旨を申し入れた事案において、賃借人と賃貸人の建物使用の必要性を比較検討し、当該貸室の存する建物の老巧化の状況及び都市再生緊急整備地区に指定された大都市中心部の建物の有効利用を考慮した場合、賃貸人の建物の建て替えに一定の合理性・相当性があるとして、賃貸人からの適正な立退料の支払いがあれば解約申入れは正当事由を具備するとした事例 |
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137 | H24.3.9 | 東京地裁 |
家賃を延滞した賃借人が、賃貸住宅管理会社から退去を強制され、家財等も置き去りにしたまま追い出されたと主張して、不法行為による損害賠償を請求した事案において、転居先も決まっていない賃借人に対し、退去することを求め、家財等を置いたまま退去せざるを得なくしたのであるから、退去を強制したもので、これは違法行為である、また家財等を返還することなく処分した行為は、財産権を侵害するもので、不法行為に該当するとして、請求の一部を認容した事例 |
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138 | H24.1.20 | 東京地裁 |
本件建物部分をいわゆるサブリース業者である借主に賃貸借契約に基づき賃貸している貸主が、借主に対し、契約期間満了によって同契約が終了したと主張して、本件建物部分の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求めた事案において、貸主借主間に承継された本件契約の合意内容は、建物の賃貸借契約であることが明らかであるから、本件契約には旧借家法1条の2が適用されるべきものであるとした上で、借主には本件建物部分を使用する必要性があるのに対し、貸主にはその必要性が借主に比して低いということができるから、貸主による本件契約の更新拒絶には正当事由があるとはいえないとして、貸主の請求を棄却した事例 |
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139 | H23.12.13 | 大阪高裁 |
賃借人が、敷引特約及び更新料特約は消費者契約法10条により無効である旨主張し、保証金及び更新料の返還を求めたところ、原審が賃借人の請求を認容したため、賃貸人が控訴した事案において、控訴審が原判決を取消し、賃借人の請求を棄却した事例 |
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140 | H23.11.30 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約の貸主が、借主による更新料支払い債務の不履行を理由に契約を解除したとして、建物の明渡し求め、借主が、約定の支払期日の2年経過後に支払った更新料の返還を求めて反訴した事案において、貸主及び借主の請求はいずれも理由がないとして棄却された事例 |
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141 | H23.11.21 | 東京地裁 |
事業用賃貸物件の契約終了にあたり、借主が撤去義務を負わない下屋を撤去したとして、貸主に対し撤去費用の不当利得の返還他を求めたが、当該下屋は借主が設置したものだとして、借主の請求が棄却された事例 |
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142 | H23.9.21 | 東京地裁 |
建物賃借人である被控訴人が、合意解除又は解約申入れにより賃貸借契約が終了したとして、?敷金残金返還?賃料日割分返還?遅延損害金支払を求めたところ、原審が上記??の請求全部と?年5分の割合による遅延損害金を認容したところ、控訴人がその敗訴部分の取消しを求めて控訴し、さらに反訴等を提起した事案において、通常損耗補修特約の明確な合意が成立しているということはできない、原状回復費用支払義務を負うものとは認められないなどとして、敷金全額返還等を認めた事例 |
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143 | H23.8.26 | 東京地裁 |
本件建物部分の賃貸人である原告らが、賃借人である被告に対し、賃料未払等を理由に賃貸借契約を解除したとして、同賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権として本件建物部分の明渡しを求めるとともに、同賃貸借契約に基づき、未払賃料及び賃料相当損害金の支払を求めた事案において、当初解除意思表示がなされた以降も被告は賃料の不払を続けたなどの事情に鑑みると、原告らと被告との信頼関係は破壊されていたなどとして、契約解除の意思表示による解除を有効とし、請求を全部認容した事例 |
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144 | H23.8.10 | 東京地裁 |
賃貸人が賃借人に対し、建物の所有権に基づき貸室の明け渡しを求め、賃借人は占有権原として賃借権があると主張し、賃貸人の明渡請求等を争った事案において、賃貸人には貸室を自ら使用する必要性は認められず、賃借人には自宅の一部として生活上使用する必要性を認められるものの、建物は相当古く震度6強程度の規模の地震でも倒壊の危険があり、安全の確保の見地から取り壊しをする必要性が高いと認められ、危険な建物の存続を認めることは相当ではなく、立退料の支払によって賃借人の不利益を補てんするのが相当であり、賃貸人の撤去通知による解約申し入れは有効であるとした事例 |
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145 | H23.8.2 | 西宮簡裁 |
建物賃貸借契約において、敷金50万円の内40万円を敷引する旨の特約は消費者契約法10条に反するとして争われた事案において、賃料の3カ月を超える部分については消費者契約法10条により無効とした事例 |
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146 | H23.7.15 | 最高裁 |
賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条により無効ということはできないとされた事例 |
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147 | H23.7.12 | 最高裁 |
敷引特約が、契約書に敷引金は賃借人に返還されないことが明確に読み取れる条項が置かれており、敷引金の額は月額賃料の3.5倍程度で高額に過ぎるとはいい難い等として、消費者契約法10条により無効であるということはできないとされた事例 |
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148 | H23.6.10 | 大阪高裁 |
賃料等を滞納した賃借人が、管理会社の実力行使による鍵交換と家財道具の貸室外への排出について、賃貸人及び管理会社に対し、損害賠償を請求した事案において、管理会社が家賃等を滞納した賃借人の住まいを暴力的に奪った行為は、不法行為が成立するとして、慰謝料や動産の損害など165万円の賠償を命じるとともに、賃貸人についても、管理会社に賃貸物件の管理のための包括的権限を与え、自身も管理会社の取締役を務めるなどの事情のもとでは、共同不法行為が成立するとして、連帯しての賠償責任を認めた事例 |
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149 | H23.5.19 | 東京地裁 |
居室を賃借した借主が、隣家が飼育する犬の鳴き声による騒音のため生活環境に重大な過失があるなどと主張して,仲介業者に対しては仲介契約の債務不履行解除による原状回復請求権に基づく支払い済み仲介手数料の返還を、貸主に対しては民法611条1項の類推適用に基づく賃料減額を、それぞれ求めた事案において、賃借人主張の犬の鳴き声は社会生活上受忍すべき限度を超えたとは言えず、本件居室に瑕疵があるとも言えないとして、賃借人の請求をいずれも棄却した事例 |
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150 | H23.4.27 | 東京地裁 |
建物の賃貸人が、賃貸借契約を更新した賃借人に対し、賃借人は約定の1ヶ月分の賃料相当額の更新料及びこれに対する消費税の合計額の支払義務があるとして、その支払等を求めた事案において、建物賃貸借契約を締結した当事者間で更新料の支払いを規定した契約条項は合意更新する場合のもので、法定更新された場合には適用されないとして、賃貸人の請求を棄却した事例 |
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151 | H23.4.27 | 名古屋地裁 |
賃借人が、賃借人の債務の保証委託契約に関して、保証会社に対し、不当利得の返還や不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、賃借人が1回でも賃料を滞納した場合、保証委託契約が無催告で自動的に解除された上で更新され、その際に1万円の解除更新料を支払うなどとされた賃借人と保証会社との保証委託契約における特約が消費者契約法10条により無効とされるとともに、保証会社が根拠のない不当な請求や退去の勧告を組織的に行っていたことが社会通念上許容される限度を超えたもので不法行為に該当するとされた事例 |
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152 | H23.3.24 | 最高裁 |
居住用建物の賃借人が、賃貸人に対し、保証金のうち返還を受けていない21万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、 |
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153 | H23.3.18 | 大阪簡裁 |
建物賃貸借契約の礼金の支払義務を課す条項(礼金特約)は消費者契約法10条により無効であるとして、支払った礼金の返還を求めた事案において、契約期間経過前退去の場合に前払分賃料相当額が返還されないとする部分について消費者の利益を一方的に害するものとして一部無効とした事例 |
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154 | H23.3.17 | 東京地裁 |
賃貸人が、選定当事者に対し、賃料等不払を理由に、無催告解除特約に基づく契約解除により、建物明渡し及び未払賃料等の支払を求めた事案において、小切手入金の申出を拒絶されたとしても供託要件を充足しないから、供託は無効であるとして、賃料等不払状態の継続を認め、8か月も賃料等不払を続けたのに加え、理解困難な独自の見解に基づくクレーム等を重ねるなどしていたから、信頼関係は破壊され、無催告解除できるとして、請求を全部認容した事例 |
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155 | H23.2.21 | 東京地裁 |
マンションの一室を賃借した原告が、家賃を滞納したことを契機に仕事先の同僚で家賃保証をした被告保証人により荷物が搬出され強制退去させられたことから、保証人、仲介業者、家賃保証会社及び貸主会社に対し、損害賠償を請求した事案において、保証人が原告の制止を無視して家財道具等を搬出・処分して強制退去を行った行為は不法行為を構成すること、強制退去の際に保証人が振るった暴力は過剰防衛に当たるとして、保証人に対する請求を一部認容した事 |
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156 | H23.2.8 | 東京地裁 |
賃貸人が、賃借人及び連帯保証人に対し、未払賃料及び更新料の支払を求めるとともに、ユニットバス交換に要した費用の支払を求めた事案において、賃借人はバスタブの原状回復義務を負うが、老朽化などの理由により、上記交換費用を賃貸人と折半して負担すべきとし、また、未払賃料のほか、更新料については、あらかじめ賃貸借契約において更新料の支払が合意されていることなどを理由に認め、賃貸人の請求を一部認容した事例 |
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157 | H23.1.18 | 東京地裁 |
本件ビルの賃貸人が、賃借人に対し、本件賃貸借契約について、本件ビルは、耐震性能を備えておらず、また、排煙設備等の機能的な劣化により工事が相当困難である等の理由により、その解約申入れについて正当の事由があると認められるから、立退料の支払い等と引換えに建物を明け渡すよう求めるとともに、明渡しまでの賃料の倍額の損害金の支払いを求めた事案において、立退料4億3千万円余の支払をすることによって、本件解約申入れについての正当事由が補完される等として、賃貸人の請求が認められた事例 |
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158 | H22.10.21 | 大阪高裁 |
内縁の夫と内縁の妻との間で、両名が同居していた内縁の夫所有の建物について、内縁の妻が死亡するまで同人に無償で使用させる旨の使用貸借契約が黙示的に成立していたとして、内縁の夫を相続した子供からの前記建物の明渡請求等が棄却された事例 |
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159 | H22.10.15 | 東京地裁 |
アパートの一室を賃借していた借主が長期不在中、管理会社によって、家財等を処分され、鍵を付け替えられたとして、借主が管理会社に対し不法行為に基づく損害賠償請求等を請求した事案において、管理会社の行為は違法な自力救済であるとして、借主の請求を一部認容した事例 |
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160 | H22.8.31 | 大阪高裁 |
5年間で償却する約定で600万円の入居金を支払って被控訴人の高齢者用介護サービス付賃貸マンションに母親を入居させていた控訴人が、賃貸借契約の終了に伴い、入居金の返還を求めた事案の控訴審において、入居金の法的性格は、居室への入居の対価及び入居後の医師・看護師らによるサービスの対価としての性格を併有するところ、被控訴人が対価に相当するサービスを提供しておらず、本件約定は消費者契約法10条により無効であるとして、控訴人の入居金返還請求を認めた事例 |
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161 | H22.8.26 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約の借主が、契約上の更新料の定めは法定更新の場合には適用がないとして、更新料支払義務が存在しないことの確認を求め、さらに、更新料支払いを求めた貸主が借主を脅迫したとして慰謝料等の支払いを求めた事案において、更新料条項は法定更新の場合も適用されるとして上記確認請求を棄却し、また脅迫行為があったと認めることはできないとして慰謝料請求も棄却した事例 |
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162 | H22.6.11 | 東京地裁 |
賃借人である原告が、敷金の返還、原状回復工事代金の償還、支払った違約金の返還等を求めた事案において、賃借人の原状回復義務はないとし、賃借人の行った補修工事について事務管理として費用償還を認め、また違約金条項が消費者契約法10条により無効であるとした事例 |
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163 | H22.5.13 | 東京地裁 |
店舗を賃借していた借主が、貸主に無断で外壁を塗装したり、建物の内装を行ったりしたため、信頼関係を失ったとして、契約の解除、建物の明け渡し、賃料相当損害金の支払いを求めた貸主に対し、契約解除と建物明け渡しは認め、賃料相当損害金の支払いの請求は棄却した事例 |
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164 | H22.3.29 | 東京地裁 |
被告Yに対し、建物の建築工事の完了前の賃貸借契約の仲介を委託した原告Xが、賃貸借契約は成立していないとして、既払い仲介手数料の返還等を求めた事案において、訴外会社がX以外の者に本件貸室を転貸することが制限されることからすると、本件仲介契約の目的として予定されていた契約が締結されたというべきであるとして、請求を棄却した事例 |
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165 | H22.3.26 | 東京地裁 |
事務所の賃貸借において、契約を中途解約した借主が、賃料2か月分の「敷引特約」及び「6か月の予告期間特約」は無効として敷金全額の返還を求めた事案において、「敷引特約」及び「6か月の予告期間特約」とも有効とした事例 |
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166 | H22.3.17 | 東京地裁 |
賃貸人が賃借人に対し、建物が朽廃、倒壊する危険性が高いという正当の事由があるとして賃貸借の解約を求め、他方、賃借人は賃貸人に対し、建物の倒壊の危険から免れるための通常の補修工事の実施を求めた事案において、賃貸借契約の解約の申入れの正当事由を否定し、賃貸人に補修工事の実施を命じた事例 |
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167 | H22.3.1 | 東京地裁 |
賃貸人である原告が、被告会社の債務不履行(失火による建物の毀損等)を理由として賃貸借契約を解除したと主張し、建物の明渡し等を求めた事案において、本件火災により、原告と被告会社との間の信頼関係は完全に破壊されたものというほかないとして、建物の明渡し請求を認めるとともに、約定使用相当損害金及び、建物補修費用に係る請求を一部認容した事例 |
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168 | H22.2.26 | 東京地裁 |
中途解約が認められない事務所賃貸借契約で、契約が成立したのに借主が契約を解除したとして、貸主が損害賠償を請求した事案において、貸主と借主との間に賃貸借契約が成立したとは認められないとし、当事者間に信頼関係が築かれ、契約締結交渉の成熟度が高くなっており信義則上の注意義務が発生したと認めるまでには至っていなかったというべきとして、棄却された事例 |
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169 | H22.2.24 | 東京地裁 |
貸主は、一軒家を賃貸していたところ、借主は約定に違反してフェネックギツネを飼育しており、飼育の停止を求めたが、その後も飼育を続けたため、貸主は借主に対し、賃貸借契約を解除したとして、賃貸借契約終了に基づき本件建物の明渡しを求めた事案において、貸主が本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているから、貸主の解除の意思表示は有効であるとして、請求を認容した事例 |
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170 | H22.2.22 | 東京地裁 |
建物の賃貸借契約において2年ごとの更新の際に賃料の1か月分の更新料を支払うとする更新料特約が消費者契約法10条に反せず有効とされた事例 |
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171 | H22.1.28 | 東京地裁 |
原告Xが、建物賃貸借契約上の連帯保証人の相続人である被告Yに対し、連帯保証債務履行請求権を行使した事案において、賃料の未払が保証人の死亡後に発生したとしてもYが連帯保証契約に係る債務を承継するとし、請求を全部認容した事例 |
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172 | H22.1.25 | 東京簡裁 |
賃貸マンションの借主が、貸室の退去にあたり自身が設置した一般家庭用エアコンについて、賃貸借契約書に造作買取を排除する特約がないことを根拠に、貸主に造作買取請求した事案において、本件エアコンは取り外しが比較的容易であること等を理由に、建物に附加した造作と認めることは難しく、造作買取請求の対象とはならないとして、借主の請求を棄却した事例 |
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173 | H21.12.22 | 姫路簡裁 |
賃料滞納を理由に建物の管理会社がドアの鍵部分にカバーを掛けたため、賃借人が自宅に入ることができなくなったとして、民法709条に基づき慰謝料、逸失利益等の賠償を管理会社と賃貸人に請求した事案において、賃借人の損害賠償請求が一部認められた事例 |
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174 | H21.10.29 | 大阪高裁 |
建物賃貸借契約における更新料特約の約定は消費者契約法10条又は民法90条に反し無効と主張し、過去に支払った更新料の返還を求めた事案において、本件更新料特約は消費者契約法10条に反せず有効とした事例 |
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175 | H21.10.29 | 東京高裁 |
貸主が、借主に対し、定期建物賃貸借契約の債務不履行による解除を理由として、建物の明渡しを求めるとともに、未払賃料並びに約定に係る賃貸借期間満了までの賃料相当額の損害賠償等を求めるなどした事案の控訴審において、雨漏りの理由により賃料の支払い義務はないとし、貸主の解除は許されないとした借主の主張を認めず、貸主からの契約解除による建物明渡し、未払賃料請求についてはほぼ原審どおり認容したが、約定の違約金については、建物明渡し完了後6か月分を上回る期間満了までの賃料相当分の損害金請求を暴利行為として否定し、原判決を変更した事例 |
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176 | H21.10.7 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約の貸主が、賃借人たる法人に対し、賃貸借契約に基づく未払賃料及び賃料相当損害金の支払を求めた事案において、当該賃貸借契約は法人の共同代表者の訴外取締役(当時)が独断で締結したものであるなどとしてこれを争ったが、会社法354条(表見代表取締役)の類推適用により、法人は賃貸借契約に基づく責任を負うとして、貸主の請求が認容された事例 |
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177 | H21.9.30 | 京都地裁 |
適格消費者団体(原告)が、不動産賃貸業及び不動産管理業を目的とする事業者(被告)に対し、いわゆる「定額補修分担金条項」が消費者契約法10条に反して無効であるとして、消費者団体訴訟制度に基づき提起した訴訟において、1)定額補修分担金条項は、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する、2)その額を問わず一律に当該条項自体の使用を差し止めるのが相当である、とされた事例 |
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178 | H21.9.18 | 東京地裁 |
住宅の賃貸借契約においてハウスクリーニング費用及び鍵交換費用を賃借人が負担する旨の特約が、有効に成立しており、消費者契約法10条に規定する条項にも該当しないとして、有効とされた事例 |
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179 | H21.8.27 | 大阪高裁 |
建物賃貸借契約における更新料特約の約定は消費者契約法10条又は民法90条に反し無効と主張し、過去に支払った更新料の返還を求めた事案において、原判決は賃借人の訴えを棄却したが、本件更新料特約は消費者契約法10条に反し無効とした事例 |
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180 | H21.7.23 | 京都地裁 |
居住用建物の賃貸借契約における保証金の敷引特約(保証金35万円に対し敷引金30万円)及び更新料特約(契約期間2年に対し賃料2カ月分)が、消費者契約法10条により無効であるとされた事例 |
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181 | H21.6.15 | 東京地裁 |
ビルの賃貸人が、飲食業を営む賃借人に対し、ビルの建物に石綿粉塵や耐震性の問題があり、建物が朽廃し、賃貸借契約が終了しているとして建物の明渡しを求めた事案において、アスベストが検出され、現状のままでは飛散する可能性があることをもっていまだ建物の朽廃ということはできないなどとして請求を棄却した事例 |
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182 | H21.6.12 | 大阪高裁 |
建物の賃貸借契約の終了に伴う建物明渡後の敷金の返還をめぐり、①賃借人が原状回復義務を負う場合であっても、補修によって、特別損耗のみならず通常損耗をも回復することになるのであれば、賃借人が負担する費用から、通常損耗による減価部分を除外することが相当である、②敷金返還義務の履行期の起算日は、清算完了時でなく、建物明渡時であるとされた事例 |
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183 | H21.5.22 | 大阪簡裁 |
賃借人が、賃貸人が賃借人の賃料未払いを理由に玄関の鍵を取替えたという不法行為によって損害を被ったとして、民法709条に基づき、慰謝料、逸失利益の賠償等を請求した事案において、賃借人の損害賠償請求が認められた事例 |
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184 | H21.4.30 | 東京地裁 |
店舗の賃貸借契約において、借主が建物にアスベストが存在するため建物を全く使用収益することができなかったとして、賃貸借契約を解除し支払った賃料等の返還を求めた事案において、事前の交渉経過等からアスベスト処理を賃借人の負担で行う合意があったとし、賃貸人の説明義務違反による債務不履行ないし不法行為、使用収益させる義務あるいは修繕義務を怠った債務不履行による責任を否定するとともに、仲介業者の調査義務、説明義務違反を否定した事例 |
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185 | H21.4.16 | 東京地裁 |
看板設置を巡る賃貸人との紛争によって、事業用店舗の賃貸借契約を解除するに至った賃借人が、賃貸借契約を媒介した宅建業者に対し、媒介契約の債務不履行を理由に損賠賠償を請求した事案において、媒介契約の債務不履行は認めたが賃借人の損害と因果関係はないとしてその請求を棄却した事例 |
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186 | H21.3.19 | 東京地裁 |
定期建物賃貸借契約の賃貸人が賃借人に対して、契約期間満了後に建物の明渡し及び約定損害金の支払を求めた事案において、借地借家法38条4項の終了通知を賃貸人が期間満了までに行わなかった場合でも、定期建物賃貸借契約は期間満了によって確定的に終了し、終了通知がされてから6か月が経過した後は契約の終了を賃借人に対抗できるとした事例 |
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187 | H21.3.13 | 東京地裁 |
ワンルームマンションの賃借人が、賃貸借契約上では、建物が鉄筋コンクリート造りとなっているにもかかわらず、実際は鉄骨造りであったため、振動・騒音に悩まされたとして、賃貸人に対して補償請求をした事案において、本件はワンルームマンションであり、構造上の違いは比較的重要性の低い要素に過ぎないとして、補償請求が否認された事例 |
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188 | H21.1.19 | 最高裁 |
地下1階部分店舗の賃貸借において、賃借人が原因不明の出水によりカラオケ店の営業ができなくなったとして、賃貸人に対し営業利益相当の損害賠償を請求した事案につき、賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降に被った被害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるものではないとして、その請求の一部が認められた事例 |
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189 | H20.10.22 | 東京地裁 |
弁護士資格を有しない者らが、所有者から所有権及び賃貸人たる地位を取得したように仮装し、不動産の立ち退き交渉等を業として行った案件について弁護士法違反(非弁行為)に該当するとされた事例。また、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律により、業務委託料等名目で交付された金額より費消された立ち退き料等経費控除後の報酬等が犯罪収益として没収・追徴された事例 |
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190 | H20.9.30 | 京都地裁 |
賃借人が、賃貸人に対して礼金18万円の返還を求めた事案において、礼金約定が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するような事実は認められないから、礼金特約が消費者契約法10条に反し無効であるということはできないとされた事例 |
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191 | H20.9.24 | 大阪高裁 |
転借人が転貸人(賃借人)に提供した敷金をもって転貸人が賃貸人に敷金を提供した場合において、転借人が、同敷金の返還請求権は自己の信託財産であると主張して、その敷金返還請求権を有することの確認等を求めた事案において、原審では請求が認容されたが、控訴審では敷金の管理又は処分につき受託者の財産関係と何らかの区分がつけられていたわけでもなく関係者も意識していなかったとして否認された事例 |
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192 | H20.4.30 | 京都地裁 |
定額補修分担金特約が消費者契約法第10条に該当し無効であるとして、同特約に基づき支払われた金員の返還請求が認容された事例(控訴審 H20.11.28 大阪高裁 控訴棄却) |
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193 | H20.4.30 | 大阪高裁 |
商業ビルの建物賃貸借契約における賃料増額確認請求について、借地借家法32条1項が規定する経済事情は、賃料を増額する方向に変動していなかったが、賃貸借契約当時に、賃貸人が賃借人の事情を配慮してほかのテナントの賃料よりも低額の賃料とし、賃貸人が3年後に賃料の増額を要請していたことを考慮して、賃料増額請求権を認め、かつ本件増額請求による相当賃料額を裁判所による鑑定の一部を修正した上で算定した事例 |
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194 | H20.4.23 | 東京地裁 |
昭和4年頃築造された木造3階建て共同住宅に関し、賃貸人が賃借人に対して信頼関係破壊(無断改築など)を理由とする賃貸借解除を請求した事案に関して、信頼関係破壊による解除は否認され、立退料支払いを補完事由として斟酌した上での正当事由による解除・明渡請求が認容された事例 |
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195 | H20.3.13 | 東京地裁 |
建物賃貸借にあたり、建築基準法上借主の目的とする工場として使用することができないことを告知しなかったため損害を負ったとして、借主が、貸主側仲介業者に対し損害賠償を請求した事案において、貸主側仲介業者は借主の使用目的を知悉していたのであるから、直接の委託関係はなくても不動産仲介業者として業務上の一般的注意義務があるとして、借主の損害賠償請求の一部を認容した事例 |
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196 | H20.2.27 | 東京地裁 |
建物について賃貸借を行うことの基本的合意に基づき当該建物を占有してきた者が、所有者に対して賃貸借契約の存在を前提として、支払済賃料を除く賃料債務が存在しないこと等の確認を求めた事案において、本件建物の賃料についての具体的な合意はないとして、賃貸借契約の成立を否定した事例 |
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197 | H20.1.31 | 東京高裁 |
不動産業者の一審原告が、一審被告に対し、主位的に、事務所の賃貸借契約が成立したにもかかわらず入居しなかったとして、予備的には契約締結準備段階に入ったのに正当な理由なく契約締結を拒絶したとして損害賠償を請求した事案の控訴審において、主位的請求については、賃貸借契約は成立に至っていないとし、また、予備的請求については、契約条件がほぼ確定した時点までに、一審原告が契約締結に強い期待を抱いたのは相当の理由があり、一審被告には、信義則上、その期待を故なく侵害することのないように行動する義務があり、その注意義務違反があったとして、契約締結上の過失を認めたが、原判決には一審原告の主張を超えて損害額を認めた違法があるとして、一審原告の控訴を棄却し、一審被告の控訴を認め原判決の一部を変更した事例 |
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198 | H20.1.30 | 京都地裁 |
家賃4万5,000円、1年契約、更新時に10万円の更新料を支払うとする居住用の建物に関する賃貸借契約について、更新料支払いの約定は、民法90条又は消費者契約法10条に反し無効であると主張し、借主が、既払いの更新料50万円の返還を求めた事案において、当該約定が無効であるとはいえないと判断された事例 |
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199 | H19.11.29 | 東京地裁 |
定期建物賃貸借としてその所有する建物を賃貸した貸主が、期間満了により建物の明渡しを求めたところ、借主が賃貸借契約の存続を主張した事案について、定期借家契約であり更新のないことの説明はされたと認めるのが相当であり、契約締結時に交付すべきとされる「書面」は契約書と別個独立したものが常に必要とはいえないとして、貸主の請求が認容された事例 |
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200 | H19.10.25 | 東京地裁 |
賃借人が建物所有者から賃借した建物を工場として使用し、その敷地に発生した土壌汚染について、賃借人の工場の使用による汚染であると認め、当該建物所有者の土壌調査費用及び土壌汚染対策工事費用相当額の損害賠償を認容した事例 |
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201 | H19.10.18 | 京都地裁 |
家主から連棟式住宅(長屋建住宅)の賃借人との退去交渉について委託を受けた業者が、その交渉中に隣接住戸の取壊しを行ったことが、賃借人に対する不法行為に当たるとされた事例 |
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202 | H19.10.2 | 京都地裁 |
賃貸借契約の借主となる会社が、日本国籍のない従業員を入居予定者とする賃貸借契約書及び必要書類を提出したが、最終審査の段階において、賃貸人が賃貸借契約の締結を拒絶した事案において、合理的な理由がないにもかかわらず契約の締結を拒んだものであるとして賃貸人の損害賠償責任の一部を認容した事例 |
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203 | H19.7.30 | 広島地裁 |
駅ビルの運営会社がテナントに対し、店舗の賃料の増額と、完全売上歩合賃料制から併用型賃料制への変更を求めた事案において、特段の事情のない限り、賃貸人の一方的な意思表示により完全売上歩合賃料制から併用型賃料制への変更を請求することはできないとした事例 |
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204 | H19.7.24 | 福岡高裁 |
賃貸人が賃借人のために店舗用建物を建築して賃貸する、いわゆる建て貸し契約において、賃借人が建物の瑕疵を理由に中途解約した場合に、賃貸人が蒙る損害について、賃借人に違約金支払いを認めた事例 |
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205 | H19.6.5 | 東京地裁 |
借主が、仲介業者の取引主任者から貸主の資力信用に関する誤った説明又は不適切な説明を受けたために、建物について根抵当権の実行を受ける可能性があった貸主と建物賃貸借契約を締結し、その後貸主の破綻により預託した手付金等が回収できないなどの損害を負ったとして、取引主任者に対して不法行為責任を、仲介業者に対して使用者責任に基づき損害賠償を請求した事案において、取引主任者に重要事項の説明義務違反はなく、また、貸主と担保権利者らとの交渉状況について調査・説明する義務があるとはいえないとして、借主の請求を棄却した事例 |
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206 | H19.4.26 | 福岡地裁 |
借主要望に従って建物を増改築し契約期間9年の賃貸借契約(建て貸し)を締結したが、借主が中途解約したため損害を被ったのは、依頼した仲介業者が賃貸借契約に中途解約を制限する条項を盛り込まなかったためであるとして、貸主が仲介業者に対し損害賠償を請求した事案において、貸主はその契約内容を認識して締結したと認められるものの、建て貸しという賃貸案件においては、仲介業者には信義則上特別な説明義務が要求されるとしてその請求の一部を容認した事例 |
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207 | H19.4.26 | 東京高裁 |
競売物件の情報提供を業とする事業者が、その会員となって競売物件を買い受けた者との間で、競売物件の占有者の退去、共有物分割訴訟の準備等に関して締結した請負契約が弁護士法第72条に違反し、民法第90条により無効とされた事例 |
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208 | H19.4.20 | 京都地裁 |
賃貸借契約に敷金の一部を返還しない旨のいわゆる敷引特約が付されており、敷金の85%余りを返還されなかった借主から、敷引特約が消費者契約法10条により全部無効であるとして、賃貸人に対し、敷引金の返還を求めた事案において、敷引特約は消費者契約法10条により無効とされた事例 |
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209 | H19.3.30 | 横浜地裁 |
一部売上高にスライドする賃料方式を採用する百貨店の店舗用建物の賃貸借契約において借地借家法32条1項の適用の可否が争われた事案において、同法の適用を肯定し賃料減額請求を認容した事例 |
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210 | H19.3.30 | 大阪地裁 |
居住用建物賃貸借において、賃貸人の代表者が貸室のクーラーを修理するために賃借人に無断立入りしたことについて、賃借人が賃貸借契約を解除するとともに無断立入りが債務不履行ないし不法行為に当たるとして慰謝料等を請求し、併せて保証金40万に対し敷引金25万円は消費者契約法10条により無効であるとしてその返還を求めた事案において、賃借人による契約解除は否定され、慰謝料請求の一部及び敷金返還請求の一部が認められた事例 |
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211 | H19.2.1 | 福岡高裁 |
テナン卜ビルの転借人が風俗関係者等の性病検査のために借室を使用したことが重大かつ悪質な用法違反にあたるとして、貸主による賃貸借契約の無催告解除が認められた事例 |
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212 | H18.12.21 | 最高裁 |
質権者の優先弁済権が害されたとして、損害賠償等を求めた事案において、破産管財人が、破産宣告後の未払い賃料債務と質権が設定された敷金返還請求債権を相殺したことが破産管財人の担保価値保全義務に反するとした上で、破産管財人の善管注意義務違反を否定し、破産管財人に対する不当利得返還請求が認められた事例 |
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213 | H18.11.30 | 東京高裁 |
賃貸借契約当初の当事者間の特殊事情により賃料が著しく低額に設定されていた建物賃貸借契約につき、賃貸人が借地借家法32条の賃料増額請求権を行使した場合において、増額請求権行使時点の適正な新規実質賃料額と従前の約定賃料額の中庸値をもって同条の相当賃料額とされた事例 |
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214 | H18.11.8 | 京都地裁 |
住宅賃貸借契約における敷引特約が消費者契約法第10条に照らし無効とならないためには、敷引の目的、敷引金の性質、敷引率が合理的であり、かつ賃借人がこれを十分に理解・認識した上で敷引特約を合意したことが必要であるが、それにはあたらないとされた事例 |
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215 | H18.9.14 | 最高裁 |
賃借人から建物明渡しに関する交渉の依頼を受けた弁護士が、賃貸人から受け取った造作買取代金、追加金を依頼者に報告しなかったことが弁護士法所定の「品位を失うべき非行」に該当するとされた事例 |
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216 | H18.9.12 | 甲府地裁 |
賃貸借契約締結前に交わされた覚書の条項を根拠に、賃料の増額請求をした賃貸人に対し、賃借人が、賃貸借契約に基づき賃料減額を求めた事案において、賃貸借契約の内容とは異なる覚書の効力を認めず、賃借人の請求が一部認容された事例 |
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217 | H18.8.31 | 東京地裁 |
事務所ビルのサブリースにおいて、賃料が転借料に連動して定める旨の特約がある場合、一定期間の転借料を0円とするフリーレント期間中も、同期間経過後と同額の賃料支払義務を負担すべきとして、賃借人に対し、未払賃料の支払いを求めた事案において、賃料の実質的値下げの程度、平準化された転借料と当該地区の平均月額賃料との差額等に照らし、賃貸人に著しい不利益が生じないものというべきとして、請求が棄却された事例 |
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218 | H18.7.7 | 東京地裁 |
賃貸借契約締結の合意がされたが、賃借人の一方的な事由により契約の締結に至らなかったことから、賃貸人が損害賠償を求めた事案において、契約締結意思を翻意した賃借人に契約締結上の過失が認められた事例 |
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219 | H18.5.30 | 東京地裁 |
マンションの1室の賃貸借契約において「賃借人が賃料を滞納した場合、賃貸人は、賃借人の承諾を得ずに建物に立ち入り、適当な処置をとることができる」旨の特約は、公序良俗に反して無効であるとして争われた事案において、賃貸人から委任を受けたマンションの管理会社が賃料を滞納した賃借人の部屋に立入る等したことが不法行為にあたるとされた事例 |
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220 | H18.5.30 | 東京地裁 |
マンションの管理会社に無断で部屋に立入られたとして、賃借人が損害賠償を求めた事案において、本件立入り等は、通常の権利行使の範囲を超えて、賃料の支払や退去を強制することが許される特別な事情があるとはいえないとして、賃借人の請求が認容された事例 |
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221 | H18.5.23 | 大阪高裁 |
事業用建物賃貸借契約の終了による敷金精算において、約定された原状回復特約が「通常損耗も含めて賃借人が原状回復義務を負う」旨の特約として締結されたか否かについて争われた事案において、当該特約条項は、その文言に照らし、通常損耗分についてまで賃借人に原状回復義務を認める特約を定めたものとは解することができないとされた事例 |
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222 | H18.5.15 | 東京地裁 |
株式会社である賃借人の商号、役員、本店所在地が変更され、全株式が譲渡されたことが、賃借権の無断譲渡に当たるとして、賃貸人が賃貸借契約の解除及び建物の明渡等を求めた事案において、当該行為は脱法的無断賃借権の譲渡に該当しないとしてその請求が棄却された事例 |
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223 | H18.3.24 | 東京地裁 |
いわゆる「不動産変換ローン方式」の一環として締結された百貨店の店舗用建物の貸借に係る契約が賃貸借契約であるとして賃料の減額を求めた事案において、当該契約について借地借家法32条1項の適用が肯定され適正賃料が示された事例 |
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224 | H17.12.16 | 最高裁 |
特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成5年5月21日法律第52号。以下「特優賃法」という。)に基づく特定優良賃貸住宅の賃貸借契約において、賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗に関し賃借人が原状回復義務を負う旨の特約について、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものとは認めがたいとして、当該特約が成立していないとされた事例 |
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225 | H17.11.29 | 東京簡裁 |
貸室明け渡しの際、自然損耗等についての原状回復義務を、借主が負担する旨の合意は、消費者契約法10条に該当し無効とした事例 |
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226 | H17.10.20 | 大阪地裁 |
商業ビルの賃貸借契約に伴って差し入れられた賃料の55ヶ月分の金員全額について敷金であると認定し、賃貸人の地位を継承したビルの競落人が敷金全額の返還債務を承継するとされた事例 |
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227 | H17.8.12 | 札幌地裁 |
いわゆるメディカルビルの入居勧誘に際し、不動産賃貸業者(貸主)が他の医療機関が同ビルに入居確実であるとの情報を提供し、それにより入居希望者が内装工事費等を負担した事案において、不動産賃貸業者が誤った情報を提供したとしてその不法行為責任を認めた事例 |
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228 | H17.7.20 | さいたま地裁 |
宅建業者が、所有者の所有農地についての相続税につき、当該農地を用途転用した場合に納税猶予の特例制度の適用が打切られることを所有者に説明すべき義務がないとされた事例 |
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229 | H17.7.14 | 神戸地裁 |
建物明け渡しの際、保証金30万円より損傷の有無にかかわらず敷引金として25万円を差し引く「敷引」特約について、消費者契約法10条により無効とされた事例 |
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230 | H17.4.20 | 大阪地裁 |
敷金特約について、通常損耗の修繕費用に充てられるものであり、控除される金額が相当で、これを考慮した上で賃料額が適正に抑えられている限り、必ずしも不当とはいえないとしながら、控除される割合が保証金額の80%に及ぶこと、入居期間の長短にかかわらず一律に定められていること、同水準の居室の通常損耗の修繕費用等と比較して、これを超える部分については、敷引特約の趣旨を逸脱したものであり、消費者契約法10条に違反して無効であるとされた事例 |
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231 | H17.3.11 | 東京簡裁 |
更新料を支払う特約付の建物賃貸借契約の更新に際し、借主及び連帯保証人が法定更新を理由に更新料の支払に応じないため、貸主が契約更新料等の請求を求めた事案において、賃料1カ月分の更新料は借地借家法30条により無効とするほど不利な特約でなく、更新料の支払義務を特約により合意した当事者の意志は重視すべき等として、貸主の請求が認められた事例 |
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232 | H17.3.10 | 最高裁 |
賃借人の要望に沿って建築され、他の用途に転用することが困難である建物について、賃貸人が将来にわたり安定した賃料収入を得ること等を目的として、3年ごとに賃料を増額する旨の特約を付した賃貸借契約が締結された場合において、賃料減額請求の当否を判断するに当たり、専ら公租公課の上昇及び賃借人の経営状態のみを参酌し、借地借家法32条1項所定の他の重要な事情を参酌しないまま、賃借人がした賃料減額請求の行使を否定した原審の判断には違法があるとされた事例 |
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233 | H17.3.1 | 千葉簡裁 |
賃貸借物件明渡し後の賃料倍額相当の損害金条項につき、その義務の内容につき十分な説明がなされ、賃借人がその義務を十分に理解し、自由意思に基づく同意をしたと認められず、無効とされた事例 |
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234 | H17.3.1 | 東京簡裁 |
建物賃貸借契約終了時の原状回復費用の負担につき当事者間で特約のない場合には、賃借人の居住使用により通常生ずる損耗については賃借人の負担とすべきものでないとされた事例 |
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235 | H17.2.23 | 伊丹簡裁 |
自然損耗分の原状回復費用を賃借人とする特約につき、賃借人が特約の趣旨を認識し又は認識得べくして義務負担の意思表示をしたと認められないとして、特約の成立が否定された事例 |
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236 | H17.2.17 | 堺簡裁 |
建物賃貸借契約における敷引特約が一般に広く行われている状況の下で、賃借人が敷引条項の有無を選択して賃貸借契約を締結することが事実上極めて困難であったことも考慮し、敷引特約が消費者契約法第10条に照らし無効であるとされた事例 |
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237 | H17.1.28 | 大阪高裁 |
建物賃貸借契約において、自然損耗分の原状回復費用を賃貸人が負担するのは、民法第601条に規定する、賃貸人が賃借人に賃貸物を使用収益させる義務に含まれるとした上で、それを賃借人に負担させる特約が消費者契約法第10条に照らし無効とされた事例 (原審 H16.6.11 京都地裁 取判171) |
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238 | H16.12.22 | 東京高裁 |
サブリース契約における借地借家法32条の規定に基づく賃料減額請求において、適正賃料額の下落、賃貸人の公租公課の負担や銀行借入れの金利負担の減少、賃料保証特約の存在や保証賃料額が決定された経緯等が賃料減額請求権の行使の要件として認められ、従前賃料の減額が認められた事例 |
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239 | H16.12.17 | 大阪高裁 |
消費者契約法施行前に締結された建物賃貸借契約が、同法施行後に当事者の合意により更新された場合、更新後の賃貸借契約には消費者契約法の適用があるとされ、建物賃貸借契約に付された自然損耗及び通常の使用による損耗について賃借人に原状回復義務を負担させる特約は消費者契約法10条により無効であるとされた事例(第一審 H16.3.16 京都地裁 RETIO59-84) |
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240 | H16.11.8 | 最高裁 |
いわゆるサブリース契約と称される契約で、借地借家法32条による賃料減額請求権の適用が認められるか否かが争われた事案において、当該サブリース契約は、建物の賃貸借であり、同法32条の規定が適用されるとしたが、一方で賃料減額請求の当否及び相当賃料額を判断するに当たっては、業務委託協定及びこれに基づき締結された賃貸借契約での賃料自動増額特約の存在は賃料を決定する際の重要な要素となったと解されるので十分考慮すべきであると判示した事例 |
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241 | H16.10.29 | 東京簡裁 |
通常損耗の原状回復義務を賃借人に負担させる特約が成立するためには、①特約の必要性、合理性、②賃借人が、通常の原状回復義務を超える修繕等の義務を負担することの説明を受け、理解納得していること、③賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていることが必要とされた事例 |
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242 | H16.10.26 | 東京簡裁 |
建物賃貸借契約における原状回復条項につき、賃借人の通常の居住、使用によって通常生ずる損耗についてはその回復を賃借人の負担とするものではないと解するのが相当とされた事例 |
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243 | H16.9.9 | 神戸地裁 |
経年変化や通常損耗を含む原状回復義務を賃借人に負担させる特約を賃借人が自由な意思に基づき同意したといえるためには、賃借人の退去時の原状回復義務の本来の範囲及びそれを特約によってどのように変更したかを賃貸人が十分に説明していることが必要とされた事例 |
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244 | H16.7.30 | 大阪高裁 |
住宅供給公社が貸主である特定優良賃貸住宅の解約明渡しがされた場合において、通常損耗分に関する修繕費用を賃借人の負担とする特約は、公序良俗に反し無効であるとして、敷金からその負担部分を差し引くことは許されないとされた事例 |
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245 | H16.7.22 | 東京地裁 |
建物賃貸人が賃借人に対して、共益費や消費税等の未払いにより建物賃貸借契約を解除したとして、賃貸借契約終了に基づき建物の返還を求めるとともに、未払いの共益費及び消費税の支払いを求めた事案において、金銭の請求については認容されたが、その後建物賃貸人は競売により所有権を失ったことから建物の明渡請求は棄却された事例 |
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246 | H16.7.13 | 大阪高裁 |
建物賃貸借契約における保証金(敷金)に対して賃借人の借入金担保としての質権が設定されている場合で、当該賃貸建物が第三者に譲渡された場合には、敷金返還債務も新賃貸人(新所有者)に移転していることから、旧賃貸人に対して質権行使による敷金返還請求は出来ないとされた事例 |
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247 | H16.7.5 | 東京簡裁 |
アパートの賃貸借契約に際し貸主が約束した補修義務を果たさないため、賃借人が契約を解除するとともに敷金等の返還を求めたのに対し、貸主は一旦授受された家賃等は返還を要しない契約特約があるとしてこれを争った事案において、当該特約条項は消費者契約法第10条に違反し無効である等として賃借人の請求が認められた事例 |
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248 | H16.6.11 | 京都地裁 |
自然損耗分を含めた原状回復義務を賃借人負担とする特約が、原状回復義務の発生要件及びその具体的内容について客観性、公平性及び明確性を欠き、信義則に反する程度に消費者の利益を一方的に害するとして、消費者契約法第10条に照らして無効とされた事例 (控訴審 H17.1.28 大阪高裁 控訴棄却 取判173) |
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249 | H16.6.2 | 東京地裁 |
賃貸人が、賃借人の賃料不払いを理由に建物賃貸借契約を解除した後に、建物の鍵を交換した事案について、違法な自力救済として不法行為が成立するとしたものの、賃借人に損害が生じたとはいえないとして、賃借人の損害賠償請求が棄却された事例 |
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250 | H16.5.18 | 京都地裁 |
建物の賃貸借契約(借家契約)における更新料等を支払う旨の約定が、合意更新の場合の他、法定更新にも適用されるかどうかについて、合理的な理由がある場合を除いて、法定更新の場合にも適用することは慎重であるべきとして、本件更新料約定は合意更新を前提としたもので、法定更新には適用されないとした事例 |
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251 | H16.4.27 | 甲府地裁 |
建物の賃借人が、現行の賃料が不相当に高額になっていると主張して、借地借家法32条に基づき、賃料減額を請求する旨の意思表示をし、減額請求後の賃料の確認を求めた事案において、賃料の減額が認容された事例 |
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252 | H16.4.23 | 東京地裁 |
サブリース契約で借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権が行使された場合において、相当賃料額を定めるにあたり、賃料保証が契約の重要な要素であること、契約締結以後の賃料相場の動向、支払賃料との乖離を考慮すべきものとされた事例 |
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253 | H16.3.16 | 京都地裁 |
消費者契約法施行前に締結された建物賃貸借契約が、同法施行後に当事者の合意により更新された場合、更新後の賃貸借契約には消費者契約法の適用があるとされ、建物賃貸借契約に付された自然損耗及び通常の使用による損耗について賃借人に原状回復義務を負担させる特約は消費者契約法10条により無効であるとされた事例(控訴審 H16.12.17 大阪高裁 控訴棄却 RETIO61-84) |
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254 | H16.3.12 | 京都地裁 |
公庫融資物件の賃貸借契約において、自然損耗分、通常損耗分の原状回復費用を賃借人に負担させる特約の成立は、賃借人がその趣旨を十分に理解し、自由な意思に基づいてこれに同意したことが積極的に認定されない限り、安易に認めるべきでないとされた事例 |
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255 | H16.2.24 | 大津地裁 |
建物賃貸借契約において、自然損耗分の原状回復費用を賃借人に負担させる特約を有効とする要件を満たす原状回復費用に関する合意の成立が否定され、設備使用料等を徴収する特約はその全体が公序良俗に反し無効とされた事例 |
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256 | H16.1.30 | 名古屋簡裁 |
公営住宅使用に関する契約の特殊性と永年にわたって統一的に実施されてきた慣行ともいうべき具体的な実務的取扱いによる賃貸管理が行われている場合には、明渡し時の通常損耗の補修費用は賃料に含まれず、賃借人の負担であるとされた事例 |
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257 | H16.1.29 | 横浜地裁 |
敷金返還請求権につき権利質を設定した者が、賃貸借契約を忠実に実行し、質権者に損害を生じさせない旨約したにかかわらず、その破産管財人が賃料等を支払わずにこれに敷金を充当する旨の合意をして賃料等の支払を免れたときは、その破産管財人は質権者に対し、右敷金の中から回収予定であった相当額につき、不当利得として返還すべきであるとされた事例 |
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258 | H16.1.15 | 東京高裁 |
基本賃料及び歩合賃料から構成される賃料のうち、基本賃料に係る減額賃料の確認が求められた事案において、賃料減額請求を一部認容した原審における賃料の減額を肯定する鑑定は、その正確性などに疑問があるとし、一方、賃料の減額を否定する鑑定は、相応の根拠を持った査定と評価できるとして、賃借人の請求を棄却した事例 |
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259 | H15.11.21 | 大阪高裁 |
特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(以下「特優賃法」という)及び住宅金融公庫法(以下「公庫法」という)の適用を受ける建物の賃借人が、本件賃貸借契約における「原状回復特約」は、特優賃法及び公庫法に違反する程度が著しく、公序良俗に反し無効であると主張して敷金の返還を求めた事案において、「借主が自由な意思に基づいて特約に同意したとはいえない」として特約を否認した事例 |
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260 | H15.10.31 | 神戸地裁 |
通常損耗分の原状回復費用を賃借人に負担させる合意が成立するためには、その旨を明示し、賃借人において了承して賃貸借契約を締結した等の特段の事情があることを要するとされた事例 |
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261 | H15.10.23 | 最高裁 |
サブリース契約においても借地借家法第34条の適用があるが、賃料増減額請求の当否や賃料相当額の判断にあたっては、契約当事者が賃料額決定の要素とした事情を総合的に考慮すべきとされた事例 |
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262 | H15.10.21 | 最高裁 |
サブリース契約にも借地借家法第32条が適用されるが、建物賃貸借契約の当事者は契約に基づく使用収益の開始前に、同条に基づいて当初賃料の額の増減を求めることはできないとされた事例 |
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263 | H15.10.21 | 最高裁 |
いわゆるサブリース契約と称される契約で、借地借家法32条1項による賃料減額請求権が認められるか否かが争われた事案において、当該サブリース契約は、建物の賃貸借契約であり同法32条の規定は適用されうるとし、一方で賃料減額請求の当否及び相当賃料額を判断するに当たっては、当該サブリース契約において賃料額決定の重要な要素とされた事情等を十分に考慮すべきであると判示した事例 |
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264 | H15.10.16 | 大阪簡裁 |
定期建物賃貸借契約における敷引特約について、重要事項説明書において、敷引金額が記載されているだけで、その趣旨や内容が明示されず、転勤などやむを得ない事情で契約が中途で解除された場合にも、保証金(40万円)の75%(30万円)の敷引を行うという条項は、民法、借地借家法等の関連法規の適用による場合に比し、消費者の権限を制限し、義務を加重する条項であり、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項であるとして、消費者契約法10条を適用し無効とされた事例 |
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265 | H15.9.26 | 東京地裁 |
建築予定の鉄骨3階建ての店舗等を賃借する旨の賃貸借予約契約を締結した借主が、貸主が本件建物の設計を変更して建築した建物を第三者に賃貸したことから、本件予約契約は履行不能となったと主張して、貸主に対して、債務不履行又は契約締結上の過失に基づく損害賠償を請求した事案において、貸主は、本件予約契約上、本契約を締結すべき義務を負ったのに、第三者との契約締結により、本件予約契約を履行不能に至らせたとして、履行不能による損害賠償責任を認めた事例 |
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266 | H15.7.16 | 大阪地裁 |
住宅供給公社が一括借上げをしている特定優良賃貸住宅において、退去時の修繕費用の負担区分をめぐり、貸借人は通常損耗分を負担する意思を欠き、賃貸借契約書に付された負担区分表に記載された汚損・破損等には通常損耗は含まれず、同負担区分表は公序良俗に反するものであるから無効であるとする貸借人の主張が認められなかった事例 |
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267 | H15.6.30 | 大阪地裁 |
民間会社を事業者とする特定優良賃貸住宅において、原状回復義務の範囲を定めた特約の成立の有無及び当該特約が公序良俗違反として無効か否かが争われた事案において、特約が成立していることは認められたが、公序良俗に反するものとして、民法90条により無効と認めるのが相当とされた事例 |
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268 | H15.6.12 | 神戸簡裁 |
賃貸借契約終了時に敷金から控除できる原状回復費用は、賃借人の責めに帰すべき費用及び慣行として賃借人負担とすることが認められているものに限られるとした上で、畳表及び襖紙の取替費用を控除することが認められた事例 |
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269 | H15.5.20 | 東大阪簡裁 |
建物賃貸借契約にあたり、賃料が特段に低廉であることを賃借人が認め、したがって、経年変化や通常使用による損耗も含め原状回復費用を全て賃借人が負担する合意があったとする賃貸人の主張が認められなかった事例 |
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270 | H15.4.10 | 神戸簡裁 |
借主が退去時の立会義務を履行せず、貸主が管理会社に依頼した修繕費用につき、貸主が敷金から控除すべき費用の項目、額につき何ら具体的な主張をしていないとして、敷金からの控除が認められなかった事例 |
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271 | H15.4.8 | 東京簡裁 |
建物の借主の地位と敷金返還請求権の債権者である地位を、賃貸人の承諾のもとに譲り受けた者が、本件建物の賃貸借契約を合意解約したところ、賃貸人が敷金の一部を返還しないため、敷金の残金の支払を求めた事案において、賃貸人は、預託額を超えた敷金返還請求権の債権譲渡につき異議なく承諾しており、敷金全額の返還義務があるとして、敷金の残金の支払を命じた事例 |
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272 | H15.4.4 | 福知山簡裁 |
通常損耗分等、民法の原則を超える原状回復費用を賃借人に負担させることは、その旨の立会確認書に賃借人が署名していた場合であっても認められないとされた事例 |
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273 | H15.3.31 | 東京地裁 |
いわゆるサブリース契約に、借地借家法32条1項の賃料増減請求権の適用があるとされ、平成7年1月に約定された平成13年7月以降賃料を増額するとの合意は当事者間の公平を害するとはいえず、同項に反した無効なものとはいえないとされて、約定どおりの賃料増額が認められた事例 |
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274 | H15.3.28 | 神戸地裁 |
居酒屋営業を目的として店舗賃貸借契約を締結したが、その後貸主より臭気が出るものの営業を禁止する特約があったと主張され契約の解除をせざるを得なくなった賃借人が、賃貸人に対し、当該特約が契約書に未記載であり、かつ、契約締結後未記載の特約をもって過大な要求を行ったことは、賃貸借契約に基づく目的物を使用収益させる義務を怠ったものであるとして、賃貸借契約上の債務不履行に基づく損害賠償を請求した事案においてその請求が一部容認された事例 |
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275 | H15.2.20 | 東京地裁 |
基本賃料及び歩合賃料から構成される賃料のうち、基本賃料について減額請求権を行使し、その額の確認を求めて提訴した事案において、賃料額が固定されている基本賃料部分についてのみ減額する契約条件の変更を求めることは借地借家法32条の趣旨に反しないとし、賃料全体の適正賃料を算定し、これを基本賃料と歩合賃料とに配分して求めた基本賃料の額を減額請求権行使後の適正な基本賃料の額であるとした事例 |
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276 | H15.2.13 | 東京高裁 |
賃借人の指定した仕様で賃貸人が建築した建物の賃貸借(オーダーメイド賃貸)において、賃料の減額を制限する約定が、当該建物の汎用性が限定されていることを考慮すれば、借地借家法32条の趣旨に反することになるものではない等として、その効力を認容した事例 |
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277 | H15.1.14 | 東大阪簡裁 |
賃貸借契約終了時の敷金精算において、賃貸人が特約に基づき原状回復費用を請求したのに対し、賃借人の経年変化を考慮した額を負担する旨の主張が認められた事例 |
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278 | H14.12.5 | 東京地裁 |
スポーツセンターの建物の貸主に更生手続開始決定がされ、更生会社になった場合に、賃借人が差し入れていた敷金の返還請求権について、更生管財人が、会社更生法上の更生債権(更生手続に参加し、更生計画の定めに従って分配等を受ける権利)とし、共益債権(更生手続において関係人の共同の利益のためのものとして、更生債権及び更生担保権に先立って優先的に弁済を受ける権利)であると認めなかったため、借主が共益債権であることの確認を求めた裁判で、請求が棄却された事例 |
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279 | H14.9.27 | 東京簡裁 |
賃貸借契約の敷金精算について、ペット飼育に起因する室内消毒費用を賃借人負担とする特約が有効であると認められ、実質的に消毒効果が代替される室内クリーニング費用全額が賃借人負担とされた事例 |
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280 | H14.9.19 | 東京高裁 |
賃貸建物が差押さえられた後、賃借人が、敷金を増額するとして賃貸人に金銭を支払った事実があり、かつ、賃貸建物の競売における買受人に対してその賃借権を対抗できる場合でも、敷金増額の合理的な理由がないときは、賃借人が支払った金額は、敷金に名を借りた貸金その他の金銭であると認められ、敷金として買受人に承継されないとされた事例 |
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281 | H14.9.12 | 最高裁 |
サブリース契約における賃貸借予約契約において、賃貸借条件に関する協議条項が置かれている場合に、賃借人の賃料減額の申入れが、当該条項に基づく協議の申入れであって、借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権の行使とは認められないとされた事例(控訴審 H13.3.28 東京高裁 RETIO52-80) |
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282 | H14.7.16 | 東京地裁 |
サブリースとしての大規模共有建物の長期間の賃貸借契約において、賃貸人・賃借人間の合意によって賃料を減額する場合は、賃貸人である共有者の持分の過半数を有する者と賃借人の合意のみでは足りず、賃貸人である共有者全員の同意を得る必要があるものとした事例 |
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283 | H14.7.9 | 東京簡裁 |
賃貸借契約終了時の敷金精算において、賃借人の過失による原状回復費用については、経年変化を考慮し設備等の残存価額をもとに算定された額が賃借人の負担とされ、退去時の賃借人の不十分な清掃に起因する清掃業者による清掃費用は全額が賃借人負担とされた事例 |
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284 | H14.6.14 | 神戸地裁 |
賃貸人と賃借人との間の建物賃貸借契約におけるいわゆる敷引約定に関し、賃借人が契約時に、敷引金の使途及び性質について説明がなく、契約書にも記載がないから敷引約定は不合理で無効であるとして敷金の返還請求をした事案について、賃貸人が、敷引金の他に修繕費用として敷金から控除した金額の1部について返還を認めたが、いわゆる敷引約定は金額が著しく高額で暴利行為などの特段の理由がない限り合意は有効であるとした事例 |
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285 | H14.4.17 | 大阪高裁 |
建物賃貸借に伴い貸借人から賃貸人に支払われた保証金について、国が、賃借人の滞納した物品税を徴収するために貸借人が有する本件保証金返還請求権を差押え、賃貸人に対し保証金返還の本訴請求に及んだところ、賃貸人からは本件保証金は敷金としての性質を有するものとして賃貸借契約の解約に伴い貸借人の債務に充当されると主張した事案について、本件保証金は敷金としての性質を有するものとは認められないと判示した事例 |
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286 | H14.3.28 | 最高裁 |
転貸により収益を得ることを目的として締結された事業用ビルの賃貸借契約が、賃借人の更新拒絶により終了しても、賃貸人が再転借人に対し信義則上その終了を対抗することができないとされた事例 |
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287 | H14.3.13 | 東京高裁 |
建物の賃借を希望した者が媒介業者との間で賃貸借の交渉を行ったが、建物賃貸借契約の締結に至らなかったことから損害賠償を求めた事案において、突然交渉を一方的に打ち切った貸主に契約締結上の過失があるとして損害賠償請求が認められた事例 |
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288 | H13.12.20 | 大阪地裁 |
抵当権者が物上代位権に基づき抵当不動産の賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人が、抵当権設定登記後に賃貸人に対して取得した債権が敷金返還請求権であっても、賃料債権に対する抵当権の物上代位と賃借人の相殺の優劣は、抵当権設定登記と賃借人の自働債権取得時期の先後によって決するとして、賃借人の相殺を認容しなかった事例 |
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289 | H13.10.31 | 東京地裁 |
賃貸目的物の所有権移転に伴う賃貸人の地位の移転があった場合において、賃借人が前賃貸人に預託した保証金は、敷金と同じく賃貸借契約の発生、存続、終了に際して密接不可分に関連しており、これを離れて独立に存在しないものとして新所有者に承継されるとした事例 |
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290 | H13.10.29 | 東京地裁 |
新築店舗の契約時に賃借人が支払った保証金は、競売事件においても、全額が競落人に承継されるべきであるとの主張に対して、競落人は保証金は建設協力金と敷金との性質を併せ有するとして、月額賃料の10か月分は認めるが、それを超える部分についての承継は認めないとして「保証金返還債務の存在しないことの確認を求める。」訴えを提起し、ほぼ認容された事例 |
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291 | H13.10.29 | 東京高裁 |
都心で大型駅ビル建設事業に参加し、所有地を提供して、建設後の建物の区分所有権を取得した者が、これを百貨店を経営する借主に賃貸する旨の合意をしたが、借主との間で賃料額の明示の合意ができず、相当賃料額の確認を求めた事案において、本件紛争は、法令の適用により終局的に解決し得べきものに当たらず、裁判所は本件訴えについて実体裁判をする権限を有しないとして訴えが却下された事例 |
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292 | H13.4.18 | 東京高裁 |
貸主と借主の家族との間に、貸主と借主本人の間と同様の特別な人間関係が認められる場合には、借主の家族は、借主の死亡により、借主の使用貸借契約上の地位を承継するものとされた事例 |
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293 | H13.3.28 | 東京高裁 |
サブリース契約において、将来の本契約を予定した予約契約に基づいて賃借人(サブリース事業者)が、賃料等改定条項又は借地借家法32条1項に基づき賃料減額請求権を行使したとして、その賃料確認を求めた事案において、賃借人のいう賃料減額請求は、賃料改定の協議申入れに過ぎず、形成権の行使としての賃料減額請求の効果は認められないとされた事例 |
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294 | H13.3.7 | 東京地裁 |
商業ビルのフロアの賃貸借契約で、賃料の自動増額特約がある場合において、その条項が当事者双方の訴訟代理人が関与の訴訟上の和解で合意されたものであっても、約定賃料と適正賃料との乖離が24%になる時点では、特約をそのまま順守させることが著しく不合理な結果となるとした事例 |
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295 | H13.3.6 | 東京地裁 |
賃貸建物の土地の利用権が一時使用の賃借権である事実を十分説明せず、建物賃貸借契約を仲介した宅地建物取引業者に、土地の一時使用終了により立ち退かざるを得なくなった賃借人の損害につき、委任契約の債務不履行を理由による損害賠償を命じた事例 |
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296 | H13.2.26 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約締結後、借主が貸主に対し賃料減額請求の調停・訴訟を提起し、訴訟上の和解が成立したが、借主が5か月後に再度貸主に賃料減額請求を求めて提訴した事案において、借主の請求は信義則に違反ないし権利濫用とされ請求を棄却された事例 |
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297 | H13.2.9 | 東京地裁 |
抵当権の設定された賃貸物件において、競売開始決定後に物件所有者と貸借人の間でなされた賃料減額の合意に対し、競落人が当該合意は合理性がないとして従前の賃料と減額後の賃料の差額の支払を求めて提訴した事案において、当該減額合意は、適正賃料に至るまでの部分について合理的理由があり、競落人に対抗できるとされた事例 |
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298 | H13.1.31 | 東京高裁 |
建物賃貸借契約における保証金返還請求権を目的とする第1質権の譲受人が、その後さらに質権(第2質権)を取得したとする者に対し、第1質権を有することの確認を求めた事案において、第1質権者が、質権設定者から賃貸借契約書および保証金預り証の各原本の交付を受けていないので、第1質権は成立していないとして、請求が棄却された事例 |
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299 | H12.12.27 | 東京高裁 |
新築のオフィスビルの賃貸借契約の終了に伴い、賃借人が、保証金から約定の償却費、未払賃料等のほか原状回復費用相当額を控除した残額の返還を求めたところ、賃貸人が、償却費、未払賃料等及び原状回復費用の合計額は保証金の額を大幅に上回るとしてその不足額の支払を求めて反訴した事案において、賃貸借契約に付された原状回復条項に基づき、賃借人には、賃借当時の状態にまで原状回復して返還する義務があるとされた事例 |
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300 | H12.12.18 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約について、賃貸人と賃借人との間で、建物明渡し時に、賃借人が畳表の取替、襖の張替、クロスの張替、ハウスクリーニングの費用を負担する旨合意したが、賃借人がこの特約条項は公序良俗に違反し無効であるとして、敷金の返還を求めて提訴した事案において、1審(簡裁)は賃借人の請求を一部認容したが、控訴審はこれらの特約は公序良俗に違反せず有効であるとして棄却した事例 |
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301 | H12.12.15 | 最高裁 |
使用貸借における用法違反が、土地所有者の意思に反して占有の態様を質的に変化させ、その占有を新たに排除したとして不動産侵奪罪の成立が認められた事例 |
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302 | H12.10.26 | 東京地裁 |
高額の金員が敷金名目で差し入れられている賃貸借契約の目的物件の競落人が、当該金員の一定額を超える部分について返還債務がないことの確認を求めて提訴したところ、当該金員は敷金と権利金の性質を併有するが、賃貸借契約で全額の返還義務が明確に合意されているから、競落人は、全額の返還債務を承継することになるとされた事例 |
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303 | H12.8.22 | 大阪高裁 |
賃貸借契約終了時に、通常の使用による損耗(通常損耗)までも借主が修復する旨の特約が存するとして、貸主が敷金を返還せず、さらに不足する費用の支払を賃借人に請求したため、賃借人は通常損耗に対する修復義務はないとして、敷金の返還を求めて提訴した事案において、1審(簡裁)、2審(地裁)はいずれも賃借人の請求を棄却したが、上告審(高裁)は逆に賃貸人の主張する特約を否認し、原判決を棄却、差戻した事例 |
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304 | H12.5.29 | 大阪地裁 |
賃貸人が破産宣告を受けた場合でも、未だ賃貸借契約が終了していない段階では、賃借人は、敷金返還請求権を自働債権とし、賃料債権を受働債権として相殺することは許されないとされた事例 |
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305 | H12.4.27 | 名古屋高裁 |
建物の賃貸借において、賃借人が倒産し、破産管財人が賃貸借の解約を申入れた場合、特約による違約金請求権と敷金及び建設協力金返還債務との相殺は、相殺できることへの合理的な期待の範囲内で認められるべきであり、その範囲を超える相殺は、破産債権者全体の公平を害し、権利の濫用として許されないとした事例 |
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306 | H12.3.23 | 東京高裁 |
築後40年を経過した共同住宅の、建て替え等を理由とする賃貸借の解約申し入れにおける立退料の額を巡って争われた事案において、いわゆる借家権価格によって算出することは相当ではなく、引越料その他の移転実費と転居後の賃料と現賃料との差額の1、2年分の範囲内の額が移転資金の一部を補填するものとして認められるべきであるとされた事例 |
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307 | H12.1.25 | 東京高裁 |
サブリース契約で、賃借人(サブリース事業者)が賃料相場の大幅な下落を理由に賃料の減額を求めたのに対して、賃貸人が当初約定通りの賃料の自動増額を求めた場合において、当該契約の実質は事業委託的無名契約であるとして借地借家法32条(借賃増減請求権)の通用は制限されるとされた事例 |
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308 | H11.12.24 | 札幌地裁 |
賃貸マンションの管理会社が、賃借人の賃料不払に対抗して、賃貸借契約中の自力救済条項を根拠に、管理会社の従業員をして、本件居室内に侵入させたり、本件居室の錠を取り替えたりさせたことが、賃借人に対する不法行為にあたるとして損害賠償を命じた事例 |
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309 | H11.12.21 | 東京高裁 |
いわゆるサブリース契約において、原賃貸借契約が賃借人(サブリース事業者)の債務不履行を理由に解除されたとしても、契約終了時に賃貸人が転貸人の地位を承継する旨の特約があり、当該特約はサブリース事業の継続を図るために設けられた趣旨のものであるときは、賃貸人は、転貸人の地位を承継するとして、転借人(テナント)が差し入れた転貸借保証金の返還を命じられた事例 |
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310 | H11.12.15 | 浦和地裁 |
旧住・都公団の団地建替事業を理由とする建物賃貸借契約の更新拒絶に旧借家法所定の正当事由が認められた事例 |
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311 | H11.6.7 | 東京地裁 |
土地所有者が、土地賃借人(建物所有者)との間の賃貸借契約の解除に基づき、土地賃借人の建物の賃借人に建物部分からの退去及び土地の明渡しを求めたのに対し、建物の賃借人が、本件土地賃借人に対する商事債権を有するとして、商法521条の商事留置権に基づき本件建物部分の引渡しを拒絶した事案において、不動産は商法521条所定の商人間の留置権の対象とならないとして建物賃借人の引渡し拒絶が否認された事例 |
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312 | H11.3.26 | 東京簡裁 |
アパートの賃貸借契約において、借主が礼金として賃料2カ月分を支払い、内1か月分を媒介業者が管理費として取得した事案において、貸主と媒介業者の間に管理費支払いの合意はなく、また、礼金2か月分のうち1か月分については無権代理ないし要素の錯誤により無効であるとして、媒介業者に対し、同1か月分を借主に返還するよう命じた事例 |
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313 | H11.3.15 | 東京簡裁 |
賃借人のアパート退去の際に負う原状回復義務は、通常の使用による損耗、汚損等を超える損耗、汚損等であるとして、畳表1枚の一部焦げ跡と冷蔵庫の下のさび跡の修繕費用を賃借人の負担と認め、敷金からこれを控除した金員の返還を賃貸人に命じた事例 |
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314 | H10.11.30 | 東京高裁 |
「新たな建物が完成するまでの間」住居として使用するためになされた使用貸借において、新たな建物が完成していなくても、契約締結時から5年近く経過したときは、返還時期は既に到来しているとして、貸主からの建物の明渡請求を認容した事例 |
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315 | H10.9.24 | 大阪高裁 |
公庫融資賃貸住宅の敷金の返還をめぐり、住宅金融公庫法35条に違反する設備協力負担金支払いの約定の私法上の効力が争われた事案において、同法に違反しても直ちに無効となるものではないが、その逸脱が著しく、社会的に容認しがたいものであるときは、その限度において無効になるとされた事例 |
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316 | H10.9.3 | 最高裁 |
居住用の家屋の賃貸借においていわゆる敷引特約がされた場合において、災害により賃借家屋が滅失し、賃貸借契約が終了したときは、特段の事情がない限り敷引特約を適用することはできず、賃貸人は賃借人に対し敷引金を返還すべきとされた事例 |
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317 | H10.8.28 | 東京地裁 |
サブリース契約において、賃借人(サブリース業者)は大手不動産会社であり、社会的弱者としての賃借人保護の要請は働かないとして、借地借家法32条の適用はなく、当事者間の賃料自動増額特約を有効とした事例 |
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318 | H10.6.26 | 東京地裁 |
共同住宅の一室の借主が、貸室内に極めて多量のゴミをかなりの高さにまで積み上げたままにしていた事案について、契約条件に反する2年以上の長期にわたる非常識な行為で、衛生面の問題、火災発生の危険性があり、賃貸借契約の解除事由になるとされた事例 |
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319 | H10.5.12 | 東京地裁 |
マンションの賃借人が、隣室の住人らに対し受忍限度超える騒音が発生していないのに発生しているとして嫌がらせ行為を続け、隣人の立退きを余儀なくさせたことは賃貸借契約の信頼関係の破壊にあたるとして、賃貸人の契約解除、建物明渡し請求を認容した事例 |
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320 | H9.6.10 | 東京地裁 |
サブリース契約の賃貸人が賃料増額特約に基づき増額請求をした事案において、同特約はその後事情変更があるから効力を有さず、賃借人は賃料減額請求をすることができるとした事例 |
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321 | H8.10.28 | 東京地裁 |
バブル期に締結されたテナントビルのサブリース契約に対し、不動産賃貸市況低迷を背景になされた賃料減額請求訴訟において、借地借家法32条の適用による賃料減額が認められた事案 |
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322 | H8.9.4 | 熊本地裁 |
賃貸借契約の媒介において、媒介業者が登記簿謄本の調査を怠って、差押登記の存在を看過したため、後日借主が建物明渡しを余儀なくされた事案において、媒介業者は差押登記の有無を確認する注意義務を怠ったとして、敷金、礼金、引越費用の支払いを命じた事例 |
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323 | H8.5.9 | 京都地裁 |
賃貸マンションの貸主業者の賃料増額請求に対し、賃借人4人が地価と家賃相場の下落を理由に賃料減額請求訴訟を提起した事案において、うち3人については家賃を据置きとし1人については一部減額を認めた事例 |
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324 | H7.10.30 | 東京地裁 |
サブリース契約の借主業者が賃料水準の下落により賃料減額請求の調停の申立てをした事案について、同請求は権利濫用に当らないとして、民事調停法第17条の調停に代わる決定で、同請求の一部を認容した事例 |
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325 | H7.10.25 | 大阪地裁 |
建物賃貸借契約における、「震災により賃貸借契約が終了する場合、貸主は保証金を返還しない」旨の特約は無効とされた事例 |
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326 | H7.9.20 | 東京地裁 |
契約期間12年の転貸目的のオフィスビルの賃貸借について、賃料減額の了承が得られなかった借主からの正当事由による解約申入れが認められた事例 |
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327 | H7.9.7 | 東京地裁 |
事業用オフィスビルを新築し、賃料の保証を行うとの事業受託契約締結に向けて、交渉がなされたが、未だ調印には至っていないとして契約の成立が否定され、また、その契約準備段階における信義則上の義務違反も認められないとされた事例 |
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328 | H7.4.27 | 東京高裁 |
いわゆる「不動産小口化商品」においても、対象不動産の所有権の移転に伴い賃貸借契約上の賃貸人たる地位及び賃貸借契約に伴って差し入れられた保証金の返還債務が新所有者に移転するとされた事例 |
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329 | H7.1.24 | 東京地裁 |
いわゆるバブル最盛期に賃料保証の約束の下にマンションを建設し一括賃貸したところ、借主のマンション業者がバブルが崩壊したとして、当初約束の賃料改定に応じないため貸主が借主にその支払いを求めた事案において、賃料保証特約を無効と評価することも借主の賃料減額請求も認められないとされた事例 |
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330 | H7.1.23 | 東京地裁 |
賃料を転貸料の7割相当額とする賃料自動改定条項の付された建物賃貸借契約において、貸主の同条項は賃料減額の場合には適用されないとの主張が棄却された事例 |
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331 | S62.3.13 | 東京地裁 |
貸事務所・倉庫の賃借人の家賃延滞に対して、賃貸人が貸室に家賃の支払いや立退きを求めるはり紙をし、鍵を取り替え、賃借人の備品等を搬出した行為について、当該行為は違法なものとまでいうことはできないとして賃借人の損害賠償請求が棄却された事例 |
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332 | S60.4.17 | 東京地裁 |
貸主が借家人の無断転貸を理由に借家契約の解除を求め、借主は無断転貸ではなく経営委託であると主張した事案において、経営委託契約書が締結されているが実態は転貸借であるとして貸主の契約解除が認められた事例 |
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RETIO : (一財)不動産適正取引推進機構 機関誌
取判 : 最新・不動産取引の判例 (一財)不動産適正取引推進機構
その他の裁判例 : 不動産取引の紛争と裁判例(増補版)