建物賃貸借に関する紛争 - (1)契約 - 原状回復 該当件数 件
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No. | 判決日 | 裁判所名 | 概要 | RETIO |
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1 | R4.3.15 | 東京地裁 |
貸主と借主の間で、店舗の建物賃貸借契約終了時に、敷金から原状回復工事費用とされる金額を控除する旨の合意がされたところ、実際には原状回復工事が行われなかったとして、借主が、不当利得に基づく返還請求を貸主に求めた事案において、貸主と借主の原状回復費用に関する合意の一部は、借主の動機の錯誤により無効であるとして、その請求を一部認めた事案 |
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2 | R3.11.1 | 東京地裁 |
賃貸マンションの転借人が、敷金からハウスクリーニング費用を控除する特約は無効であり、また転貸人がハウスクリーニング実施状況を報告する義務があるとして、転貸人に対して、敷金返還及び損害賠償請求をした事案において、転借人の請求には理由がないとして棄却された事例。 |
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3 | R2.10.7 | 東京地裁 |
賃借人が、賃貸借契約時に支払ったクリーニング費用・礼金は消費者契約法10条により無効である、解約月の退去後分賃料について賃貸人が不当に利得しているなどと主張して、その返還を求めたが、いずれの主張も理由がないとして棄却された事例。 |
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4 | R1.10.1 | 東京地裁 |
賃貸借契約を合意解約する際に原状回復工事を賃貸人が実施することを条件に原状回復工事費用を支払ったと主張する賃借人が、賃貸人に対し、同工事を実施せず、新賃借人への賃貸により不当利得を得たとして損害賠償を求めた事案において、賃借人が当該工事費用を支払うことでその原状回復義務を免除し、建物明け渡しが完了した等の合意がされていたとして、その請求を棄却した事例。 |
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5 | H31.3.14 | 東京高裁 |
賃貸人が賃借人に、通常損耗分も含めた原状回復費、貸室内で殺人事件が発生したことによる損害賠償金、未払賃料等の支払を求めた(本訴)のに対し、賃借人は約定に記載された原状回復負担分を控除した保証金の返還を求めた(反訴)事案において、賃借人が通常損耗を負担する旨の合意はなく、また、年数を経たことで殺人事件による損害賠償義務はないとして、賃貸人の請求を棄却し、賃借人の反訴請求を一部認容した事例。 |
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6 | H30.8.8 | 東京地裁 |
事務所を改装した店舗を、居抜きの状態で賃借した借主の原状回復義務の範囲について、スケルトン状態までか、あるいは事務所仕様までかが争いになった事案において、証拠等により、貸主は、借主が退去の際には事務所の状態に復することを条件に、前借主から借主への居抜きによる賃借権の譲渡を承諾したものとして、借主に事務所仕様の内装までの原状回復義務を認めた事例 |
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7 | H29.12.8 | 東京地裁 |
店舗の借主が、原状回復義務の履行に代えて同義務の履行に代わる金員を支払ったところ、貸主が原状回復工事を実施せずに第三者に賃貸したことは、原状回復工事実施義務違反であると主張して、支払った金員の返還を求めたが棄却された事例 |
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8 | H29.11.28 | 山口地裁 |
法人が賃借する共同住宅の貸室の一室で、その従業員と、知人と思われる遺体が発見された状況から嘱託殺人ないし同意殺人(心中)が疑われたことから、賃貸人が賃借人に対して、賃貸借契約上の債務としての善管注意義務に違反するとして、損害賠償等を求めた事案において、その請求が棄却された事例 |
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9 | H29.9.15 | 東京地裁 |
賃借人が貸室内で死亡後、約2か月半放置されたことから、賃貸人が相続人に対して、賃貸借契約の終了に基づき、原状回復費用、賃料相当損害金及び賃借人の善管注意義務違反に基づく損害賠償等を求めた事案において、原状回復費用及び賃料相当損害金の支払請求が認められ、その余の請求は棄却された事例 |
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10 | H29.4.25 | 東京地裁 |
貸主が、借主に賃貸借契約の約定により通常損耗も含めた原状回復費用支払いと、同費用の支払がないためその後の使用ができなかった期間の賃料相当額の支払を求めた原審において、貸主の請求が全部認容されたため、借主が、原判決の取消しを求めて控訴した事案において、約定には通常損耗の範囲を具体的に明記していないとして、原状回復費請求のうち、通常損耗部分の請求が棄却され、通常損耗を超える部分のみの原状回復費の請求が認容された事例。 |
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11 | H28.9.29 | 東京地裁 |
原状回復を免除された賃借人が、主位的に、?賃貸人に、造作買取請求等による買取代金支払いと、?賃貸人と現賃借人に、備品の所有権侵害による共同不法行為に基づく損害金支払いを、予備的に、?賃貸人と現賃借人に、什器備品等の所有権侵害による共同不法行為に基づく損害金支払いと、?現賃借人に、不当利得返還請求権に基づき什器備品等の時価合計額の支払を求めた事案において、原状回復の免除があっても、造作買取請求等の放棄をも内容とする原状回復特約自体が黙示の合意により失効したと言えないとして、賃借人の請求が全て棄却された事例 |
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12 | H28.8.19 | 東京地裁 |
貸室内をゴミ屋敷にしたうえ、火災を発生させ、その後退去した賃借人及びその連帯保証人に対し、賃貸人が原状回復費用等の支払いを求めた事案において、貸室を本来機能していた状態に戻す工事費用及び同工事期間中の逸失利益の請求を認め、火災発生により従前より賃料を減額して賃貸せざるを得ないとした逸失利益の請求については否認した事例 |
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13 | H28.6.28 | 東京地裁 |
賃貸マンションに約2年間居住した賃借人に対し、賃貸人が原状回復費用を請求した事案において、タバコのヤニ汚れや壁の穴など賃借人の故意過失による損耗が大部分であるとして、賃貸人の請求がほぼ認められた事例 |
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14 | H28.3.10 | 東京地裁 |
介護施設としての利用を目的に建物を賃借したところ、検査済証が未交付であったこと等から、用途変更確認申請ができず、施設を開設できなかったことから、賃借人が、賃貸人には使用収益させる義務違反、媒介業者らには調査説明義務違反がそれぞれあったとして、賃貸人と媒介業者に支払済賃料・工事代金等の支払いを求めた事案において、検査済証がないことを理由に、同一目的の賃借希望者が賃借を見送っていたことを知る媒介業者には、その旨を賃借人に説明する義務があったとして、その請求の一部を認めた事例 |
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15 | H27.9.28 | 東京地裁 |
貸主が、連帯保証人に対し、借主の自殺によって被った損害の支払を求めた事案において、貸主の請求した原状回復費は逸失利益において評価されるべきとして、また、賃貸物件の用途・立地等考慮すれば、逸失利益は当初の1年を賃貸不能期間、2・3年は賃料の半額でなければ賃貸できない期間とみるのが相当であるとして、請求額が大幅に減額されたうえで、認容された事例 |
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16 | H27.1.29 | 東京地裁 |
契約に反して無断で中型犬を飼育していた借主の賃貸マンションの原状回復費用を貸主が請求した事案において、フローリングについては損傷が著しいとして、経過年数を考慮した全面貼替費用約40万円が認められた事例 |
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17 | H26.7.16 | 東京地裁 |
外国人向けにゲストハウスとして賃貸中の物件を現状有姿で購入し、管理運営を売主に委託した買主が、漏水とそれを原因とするカビ被害や入居者による汚れ等が瑕疵に当たると主張して、売主、賃料収納会社及びそれらの役員らに対して、改修工事費用及び逸失利益相当の損害賠償等を請求した事案において、漏水の改修工事費用及び残置物処理費用等については瑕疵担保責任又は原状回復義務を理由に、売主に対する請求を認容したが、それ以外の請求については棄却した事例 |
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18 | H25.8.19 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約の借主の債務不履行により契約を解除した貸主が、特約による原状回復費用、未払賃料等及び使用損害金等の損害賠償を求めた事案において、貸主の損害賠償請求のうち原状回復費用請求については、通常損耗補修特約の合意は否認され、特別損耗に係る請求のみが認容された事例 |
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19 | H25.7.16 | 東京地裁 |
建物の使用目的を変更して賃貸借契約を承継した賃借人が、賃貸人に対し、敷金および修繕工事費用立替額を請求した事案において、賃貸人は、住居目的で賃貸した建物を賃借人が事務所として使用していたため通常使用による損耗分も含めた原状回復費用を負担すべき等を主張したが、賃貸借契約の条項の変更は行われていない等の理由から、敷金より賃借人負担分の原状回復費用を控除した額の返還と入居中の修繕工事費用立替額および遅延損害金の請求が認容された事例 |
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20 | H25.5.27 | 東京地裁 |
賃借人が、賃貸人に対し、クリーニング特約に基づいて敷金から控除されたクリーニング費用の返還を求めた事案において、賃貸人が清掃をしたとしても、それが通常の損耗にとどまる限りは、特約に基づきクリーニング費用を賃借人負担とすることはできないとして、賃借人の請求を認容した事例 |
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21 | H24.5.31 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約を解約して本物件を明け渡した賃借人が、賃貸人に対し、敷金の返還等を請求し、これに対し、賃貸人は賃借人には明渡義務違反、原状回復義務違反、水道料支払義務違反があるとして、同時履行の抗弁を主張し、敷金の返還等を拒むとともに、賃借人に対して反訴を提起したところ、原審に不服があるとして、賃貸人及び賃借人がそれぞれ控訴及び附帯控訴を提起した事案において、賃借人に対しては、敷金から原状回復費用相当額と水道使用料相当不当利得金を控除した額の返還が認められ、賃貸人の反訴請求は棄却された事例 |
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22 | H23.11.21 | 東京地裁 |
事業用賃貸物件の契約終了にあたり、借主が撤去義務を負わない下屋を撤去したとして、貸主に対し撤去費用の不当利得の返還他を求めたが、当該下屋は借主が設置したものだとして、借主の請求が棄却された事例 |
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23 | H23.9.21 | 東京地裁 |
建物賃借人である被控訴人が、合意解除又は解約申入れにより賃貸借契約が終了したとして、?敷金残金返還?賃料日割分返還?遅延損害金支払を求めたところ、原審が上記??の請求全部と?年5分の割合による遅延損害金を認容したところ、控訴人がその敗訴部分の取消しを求めて控訴し、さらに反訴等を提起した事案において、通常損耗補修特約の明確な合意が成立しているということはできない、原状回復費用支払義務を負うものとは認められないなどとして、敷金全額返還等を認めた事例 |
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24 | H22.6.11 | 東京地裁 |
賃借人である原告が、敷金の返還、原状回復工事代金の償還、支払った違約金の返還等を求めた事案において、賃借人の原状回復義務はないとし、賃借人の行った補修工事について事務管理として費用償還を認め、また違約金条項が消費者契約法10条により無効であるとした事例 |
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25 | H21.9.30 | 京都地裁 |
適格消費者団体(原告)が、不動産賃貸業及び不動産管理業を目的とする事業者(被告)に対し、いわゆる「定額補修分担金条項」が消費者契約法10条に反して無効であるとして、消費者団体訴訟制度に基づき提起した訴訟において、1)定額補修分担金条項は、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する、2)その額を問わず一律に当該条項自体の使用を差し止めるのが相当である、とされた事例 |
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26 | H21.9.18 | 東京地裁 |
住宅の賃貸借契約においてハウスクリーニング費用及び鍵交換費用を賃借人が負担する旨の特約が、有効に成立しており、消費者契約法10条に規定する条項にも該当しないとして、有効とされた事例 |
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27 | H21.6.12 | 大阪高裁 |
建物の賃貸借契約の終了に伴う建物明渡後の敷金の返還をめぐり、①賃借人が原状回復義務を負う場合であっても、補修によって、特別損耗のみならず通常損耗をも回復することになるのであれば、賃借人が負担する費用から、通常損耗による減価部分を除外することが相当である、②敷金返還義務の履行期の起算日は、清算完了時でなく、建物明渡時であるとされた事例 |
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28 | H19.10.25 | 東京地裁 |
賃借人が建物所有者から賃借した建物を工場として使用し、その敷地に発生した土壌汚染について、賃借人の工場の使用による汚染であると認め、当該建物所有者の土壌調査費用及び土壌汚染対策工事費用相当額の損害賠償を認容した事例 |
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29 | H18.5.23 | 大阪高裁 |
事業用建物賃貸借契約の終了による敷金精算において、約定された原状回復特約が「通常損耗も含めて賃借人が原状回復義務を負う」旨の特約として締結されたか否かについて争われた事案において、当該特約条項は、その文言に照らし、通常損耗分についてまで賃借人に原状回復義務を認める特約を定めたものとは解することができないとされた事例 |
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30 | H17.12.16 | 最高裁 |
特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成5年5月21日法律第52号。以下「特優賃法」という。)に基づく特定優良賃貸住宅の賃貸借契約において、賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗に関し賃借人が原状回復義務を負う旨の特約について、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものとは認めがたいとして、当該特約が成立していないとされた事例 |
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31 | H17.11.29 | 東京簡裁 |
貸室明け渡しの際、自然損耗等についての原状回復義務を、借主が負担する旨の合意は、消費者契約法10条に該当し無効とした事例 |
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32 | H17.3.1 | 東京簡裁 |
建物賃貸借契約終了時の原状回復費用の負担につき当事者間で特約のない場合には、賃借人の居住使用により通常生ずる損耗については賃借人の負担とすべきものでないとされた事例 |
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33 | H17.3.1 | 千葉簡裁 |
賃貸借物件明渡し後の賃料倍額相当の損害金条項につき、その義務の内容につき十分な説明がなされ、賃借人がその義務を十分に理解し、自由意思に基づく同意をしたと認められず、無効とされた事例 |
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34 | H17.2.23 | 伊丹簡裁 |
自然損耗分の原状回復費用を賃借人とする特約につき、賃借人が特約の趣旨を認識し又は認識得べくして義務負担の意思表示をしたと認められないとして、特約の成立が否定された事例 |
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35 | H17.1.28 | 大阪高裁 |
建物賃貸借契約において、自然損耗分の原状回復費用を賃貸人が負担するのは、民法第601条に規定する、賃貸人が賃借人に賃貸物を使用収益させる義務に含まれるとした上で、それを賃借人に負担させる特約が消費者契約法第10条に照らし無効とされた事例 (原審 H16.6.11 京都地裁 取判171) |
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36 | H16.12.17 | 大阪高裁 |
消費者契約法施行前に締結された建物賃貸借契約が、同法施行後に当事者の合意により更新された場合、更新後の賃貸借契約には消費者契約法の適用があるとされ、建物賃貸借契約に付された自然損耗及び通常の使用による損耗について賃借人に原状回復義務を負担させる特約は消費者契約法10条により無効であるとされた事例(第一審 H16.3.16 京都地裁 RETIO59-84) |
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37 | H16.10.29 | 東京簡裁 |
通常損耗の原状回復義務を賃借人に負担させる特約が成立するためには、①特約の必要性、合理性、②賃借人が、通常の原状回復義務を超える修繕等の義務を負担することの説明を受け、理解納得していること、③賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていることが必要とされた事例 |
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38 | H16.10.26 | 東京簡裁 |
建物賃貸借契約における原状回復条項につき、賃借人の通常の居住、使用によって通常生ずる損耗についてはその回復を賃借人の負担とするものではないと解するのが相当とされた事例 |
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39 | H16.9.9 | 神戸地裁 |
経年変化や通常損耗を含む原状回復義務を賃借人に負担させる特約を賃借人が自由な意思に基づき同意したといえるためには、賃借人の退去時の原状回復義務の本来の範囲及びそれを特約によってどのように変更したかを賃貸人が十分に説明していることが必要とされた事例 |
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40 | H16.7.30 | 大阪高裁 |
住宅供給公社が貸主である特定優良賃貸住宅の解約明渡しがされた場合において、通常損耗分に関する修繕費用を賃借人の負担とする特約は、公序良俗に反し無効であるとして、敷金からその負担部分を差し引くことは許されないとされた事例 |
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41 | H16.6.11 | 京都地裁 |
自然損耗分を含めた原状回復義務を賃借人負担とする特約が、原状回復義務の発生要件及びその具体的内容について客観性、公平性及び明確性を欠き、信義則に反する程度に消費者の利益を一方的に害するとして、消費者契約法第10条に照らして無効とされた事例 (控訴審 H17.1.28 大阪高裁 控訴棄却 取判173) |
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42 | H16.3.16 | 京都地裁 |
消費者契約法施行前に締結された建物賃貸借契約が、同法施行後に当事者の合意により更新された場合、更新後の賃貸借契約には消費者契約法の適用があるとされ、建物賃貸借契約に付された自然損耗及び通常の使用による損耗について賃借人に原状回復義務を負担させる特約は消費者契約法10条により無効であるとされた事例(控訴審 H16.12.17 大阪高裁 控訴棄却 RETIO61-84) |
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43 | H16.3.12 | 京都地裁 |
公庫融資物件の賃貸借契約において、自然損耗分、通常損耗分の原状回復費用を賃借人に負担させる特約の成立は、賃借人がその趣旨を十分に理解し、自由な意思に基づいてこれに同意したことが積極的に認定されない限り、安易に認めるべきでないとされた事例 |
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44 | H16.2.24 | 大津地裁 |
建物賃貸借契約において、自然損耗分の原状回復費用を賃借人に負担させる特約を有効とする要件を満たす原状回復費用に関する合意の成立が否定され、設備使用料等を徴収する特約はその全体が公序良俗に反し無効とされた事例 |
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45 | H16.1.30 | 名古屋簡裁 |
公営住宅使用に関する契約の特殊性と永年にわたって統一的に実施されてきた慣行ともいうべき具体的な実務的取扱いによる賃貸管理が行われている場合には、明渡し時の通常損耗の補修費用は賃料に含まれず、賃借人の負担であるとされた事例 |
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46 | H15.11.21 | 大阪高裁 |
特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(以下「特優賃法」という)及び住宅金融公庫法(以下「公庫法」という)の適用を受ける建物の賃借人が、本件賃貸借契約における「原状回復特約」は、特優賃法及び公庫法に違反する程度が著しく、公序良俗に反し無効であると主張して敷金の返還を求めた事案において、「借主が自由な意思に基づいて特約に同意したとはいえない」として特約を否認した事例 |
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47 | H15.10.31 | 神戸地裁 |
通常損耗分の原状回復費用を賃借人に負担させる合意が成立するためには、その旨を明示し、賃借人において了承して賃貸借契約を締結した等の特段の事情があることを要するとされた事例 |
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48 | H15.7.16 | 大阪地裁 |
住宅供給公社が一括借上げをしている特定優良賃貸住宅において、退去時の修繕費用の負担区分をめぐり、貸借人は通常損耗分を負担する意思を欠き、賃貸借契約書に付された負担区分表に記載された汚損・破損等には通常損耗は含まれず、同負担区分表は公序良俗に反するものであるから無効であるとする貸借人の主張が認められなかった事例 |
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49 | H15.6.30 | 大阪地裁 |
民間会社を事業者とする特定優良賃貸住宅において、原状回復義務の範囲を定めた特約の成立の有無及び当該特約が公序良俗違反として無効か否かが争われた事案において、特約が成立していることは認められたが、公序良俗に反するものとして、民法90条により無効と認めるのが相当とされた事例 |
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50 | H15.6.12 | 神戸簡裁 |
賃貸借契約終了時に敷金から控除できる原状回復費用は、賃借人の責めに帰すべき費用及び慣行として賃借人負担とすることが認められているものに限られるとした上で、畳表及び襖紙の取替費用を控除することが認められた事例 |
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51 | H15.5.20 | 東大阪簡裁 |
建物賃貸借契約にあたり、賃料が特段に低廉であることを賃借人が認め、したがって、経年変化や通常使用による損耗も含め原状回復費用を全て賃借人が負担する合意があったとする賃貸人の主張が認められなかった事例 |
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52 | H15.4.10 | 神戸簡裁 |
借主が退去時の立会義務を履行せず、貸主が管理会社に依頼した修繕費用につき、貸主が敷金から控除すべき費用の項目、額につき何ら具体的な主張をしていないとして、敷金からの控除が認められなかった事例 |
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53 | H15.4.4 | 福知山簡裁 |
通常損耗分等、民法の原則を超える原状回復費用を賃借人に負担させることは、その旨の立会確認書に賃借人が署名していた場合であっても認められないとされた事例 |
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54 | H15.1.14 | 東大阪簡裁 |
賃貸借契約終了時の敷金精算において、賃貸人が特約に基づき原状回復費用を請求したのに対し、賃借人の経年変化を考慮した額を負担する旨の主張が認められた事例 |
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55 | H14.9.27 | 東京簡裁 |
賃貸借契約の敷金精算について、ペット飼育に起因する室内消毒費用を賃借人負担とする特約が有効であると認められ、実質的に消毒効果が代替される室内クリーニング費用全額が賃借人負担とされた事例 |
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56 | H14.7.9 | 東京簡裁 |
賃貸借契約終了時の敷金精算において、賃借人の過失による原状回復費用については、経年変化を考慮し設備等の残存価額をもとに算定された額が賃借人の負担とされ、退去時の賃借人の不十分な清掃に起因する清掃業者による清掃費用は全額が賃借人負担とされた事例 |
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57 | H12.12.27 | 東京高裁 |
新築のオフィスビルの賃貸借契約の終了に伴い、賃借人が、保証金から約定の償却費、未払賃料等のほか原状回復費用相当額を控除した残額の返還を求めたところ、賃貸人が、償却費、未払賃料等及び原状回復費用の合計額は保証金の額を大幅に上回るとしてその不足額の支払を求めて反訴した事案において、賃貸借契約に付された原状回復条項に基づき、賃借人には、賃借当時の状態にまで原状回復して返還する義務があるとされた事例 |
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58 | H12.12.18 | 東京地裁 |
建物賃貸借契約について、賃貸人と賃借人との間で、建物明渡し時に、賃借人が畳表の取替、襖の張替、クロスの張替、ハウスクリーニングの費用を負担する旨合意したが、賃借人がこの特約条項は公序良俗に違反し無効であるとして、敷金の返還を求めて提訴した事案において、1審(簡裁)は賃借人の請求を一部認容したが、控訴審はこれらの特約は公序良俗に違反せず有効であるとして棄却した事例 |
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59 | H12.8.22 | 大阪高裁 |
賃貸借契約終了時に、通常の使用による損耗(通常損耗)までも借主が修復する旨の特約が存するとして、貸主が敷金を返還せず、さらに不足する費用の支払を賃借人に請求したため、賃借人は通常損耗に対する修復義務はないとして、敷金の返還を求めて提訴した事案において、1審(簡裁)、2審(地裁)はいずれも賃借人の請求を棄却したが、上告審(高裁)は逆に賃貸人の主張する特約を否認し、原判決を棄却、差戻した事例 |
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60 | H11.3.15 | 東京簡裁 |
賃借人のアパート退去の際に負う原状回復義務は、通常の使用による損耗、汚損等を超える損耗、汚損等であるとして、畳表1枚の一部焦げ跡と冷蔵庫の下のさび跡の修繕費用を賃借人の負担と認め、敷金からこれを控除した金員の返還を賃貸人に命じた事例 |
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RETIO : (一財)不動産適正取引推進機構 機関誌
取判 : 最新・不動産取引の判例 (一財)不動産適正取引推進機構
その他の裁判例 : 不動産取引の紛争と裁判例(増補版)