建物賃貸借に関する紛争 - (1)契約 - 敷引・その他特約 該当件数 件
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No. | 判決日 | 裁判所名 | 概要 | RETIO |
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1 | H24.8.22 | 神戸地裁 |
賃借人が賃貸人に対し、敷引特約の無効を訴えて敷金の返還を求めた事案において、原審は敷金から未払水道料金を控除した金額の請求を認容したため、賃貸人が控訴し、賃借人も未払水道料金が控除されたことを不服とし附帯控訴、割高な水道料金の説明が無かったとして、損害賠償の支払を求めて請求を拡張したが、控訴、附帯控訴、拡張された請求の全てが棄却された事例 |
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2 | H24.8.8 | 東京地裁 |
本件建物を賃貸人から賃借した賃借人が、賃貸人に対し、本件賃貸借契約に係る賃料及び共益費が賃借人主張の額であることの確認を求めるとともに、本件賃貸借契約に付された敷引特約は無効であり、賃貸人に預託した保証金から敷引金を控除することは許されない等と主張し、また、更新料の支払を約する条項は無効である等と主張して、支払済みの更新料の返還等を求めた事案において、本件賃料は、賃借人主張の各時点において経済事情の変動等により不相当となったことが認められるとして、差額配分法による試算賃料を70%、スライド法及び利回り法による試算賃料を各15%の割合で考慮する等して鑑定人が算出した賃料を本件建物の適正賃料と認定する一方、敷引特約及び更新料が無効であるとはいえないとした事例 |
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3 | H23.8.2 | 西宮簡裁 |
建物賃貸借契約において、敷金50万円の内40万円を敷引する旨の特約は消費者契約法10条に反するとして争われた事案において、賃料の3カ月を超える部分については消費者契約法10条により無効とした事例 |
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4 | H23.7.12 | 最高裁 |
敷引特約が、契約書に敷引金は賃借人に返還されないことが明確に読み取れる条項が置かれており、敷引金の額は月額賃料の3.5倍程度で高額に過ぎるとはいい難い等として、消費者契約法10条により無効であるということはできないとされた事例 |
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5 | H23.3.24 | 最高裁 |
居住用建物の賃借人が、賃貸人に対し、保証金のうち返還を受けていない21万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、 |
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6 | H22.8.31 | 大阪高裁 |
5年間で償却する約定で600万円の入居金を支払って被控訴人の高齢者用介護サービス付賃貸マンションに母親を入居させていた控訴人が、賃貸借契約の終了に伴い、入居金の返還を求めた事案の控訴審において、入居金の法的性格は、居室への入居の対価及び入居後の医師・看護師らによるサービスの対価としての性格を併有するところ、被控訴人が対価に相当するサービスを提供しておらず、本件約定は消費者契約法10条により無効であるとして、控訴人の入居金返還請求を認めた事例 |
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7 | H22.3.26 | 東京地裁 |
事務所の賃貸借において、契約を中途解約した借主が、賃料2か月分の「敷引特約」及び「6か月の予告期間特約」は無効として敷金全額の返還を求めた事案において、「敷引特約」及び「6か月の予告期間特約」とも有効とした事例 |
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8 | H21.7.23 | 京都地裁 |
居住用建物の賃貸借契約における保証金の敷引特約(保証金35万円に対し敷引金30万円)及び更新料特約(契約期間2年に対し賃料2カ月分)が、消費者契約法10条により無効であるとされた事例 |
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9 | H21.4.30 | 東京地裁 |
店舗の賃貸借契約において、借主が建物にアスベストが存在するため建物を全く使用収益することができなかったとして、賃貸借契約を解除し支払った賃料等の返還を求めた事案において、事前の交渉経過等からアスベスト処理を賃借人の負担で行う合意があったとし、賃貸人の説明義務違反による債務不履行ないし不法行為、使用収益させる義務あるいは修繕義務を怠った債務不履行による責任を否定するとともに、仲介業者の調査義務、説明義務違反を否定した事例 |
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10 | H20.9.30 | 京都地裁 |
賃借人が、賃貸人に対して礼金18万円の返還を求めた事案において、礼金約定が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するような事実は認められないから、礼金特約が消費者契約法10条に反し無効であるということはできないとされた事例 |
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11 | H20.4.30 | 京都地裁 |
定額補修分担金特約が消費者契約法第10条に該当し無効であるとして、同特約に基づき支払われた金員の返還請求が認容された事例(控訴審 H20.11.28 大阪高裁 控訴棄却) |
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12 | H19.4.20 | 京都地裁 |
賃貸借契約に敷金の一部を返還しない旨のいわゆる敷引特約が付されており、敷金の85%余りを返還されなかった借主から、敷引特約が消費者契約法10条により全部無効であるとして、賃貸人に対し、敷引金の返還を求めた事案において、敷引特約は消費者契約法10条により無効とされた事例 |
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13 | H18.11.8 | 京都地裁 |
住宅賃貸借契約における敷引特約が消費者契約法第10条に照らし無効とならないためには、敷引の目的、敷引金の性質、敷引率が合理的であり、かつ賃借人がこれを十分に理解・認識した上で敷引特約を合意したことが必要であるが、それにはあたらないとされた事例 |
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14 | H17.7.14 | 神戸地裁 |
建物明け渡しの際、保証金30万円より損傷の有無にかかわらず敷引金として25万円を差し引く「敷引」特約について、消費者契約法10条により無効とされた事例 |
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15 | H17.4.20 | 大阪地裁 |
敷金特約について、通常損耗の修繕費用に充てられるものであり、控除される金額が相当で、これを考慮した上で賃料額が適正に抑えられている限り、必ずしも不当とはいえないとしながら、控除される割合が保証金額の80%に及ぶこと、入居期間の長短にかかわらず一律に定められていること、同水準の居室の通常損耗の修繕費用等と比較して、これを超える部分については、敷引特約の趣旨を逸脱したものであり、消費者契約法10条に違反して無効であるとされた事例 |
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16 | H17.2.17 | 堺簡裁 |
建物賃貸借契約における敷引特約が一般に広く行われている状況の下で、賃借人が敷引条項の有無を選択して賃貸借契約を締結することが事実上極めて困難であったことも考慮し、敷引特約が消費者契約法第10条に照らし無効であるとされた事例 |
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17 | H16.7.5 | 東京簡裁 |
アパートの賃貸借契約に際し貸主が約束した補修義務を果たさないため、賃借人が契約を解除するとともに敷金等の返還を求めたのに対し、貸主は一旦授受された家賃等は返還を要しない契約特約があるとしてこれを争った事案において、当該特約条項は消費者契約法第10条に違反し無効である等として賃借人の請求が認められた事例 |
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18 | H15.10.16 | 大阪簡裁 |
定期建物賃貸借契約における敷引特約について、重要事項説明書において、敷引金額が記載されているだけで、その趣旨や内容が明示されず、転勤などやむを得ない事情で契約が中途で解除された場合にも、保証金(40万円)の75%(30万円)の敷引を行うという条項は、民法、借地借家法等の関連法規の適用による場合に比し、消費者の権限を制限し、義務を加重する条項であり、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項であるとして、消費者契約法10条を適用し無効とされた事例 |
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19 | H15.3.28 | 神戸地裁 |
居酒屋営業を目的として店舗賃貸借契約を締結したが、その後貸主より臭気が出るものの営業を禁止する特約があったと主張され契約の解除をせざるを得なくなった賃借人が、賃貸人に対し、当該特約が契約書に未記載であり、かつ、契約締結後未記載の特約をもって過大な要求を行ったことは、賃貸借契約に基づく目的物を使用収益させる義務を怠ったものであるとして、賃貸借契約上の債務不履行に基づく損害賠償を請求した事案においてその請求が一部容認された事例 |
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20 | H14.6.14 | 神戸地裁 |
賃貸人と賃借人との間の建物賃貸借契約におけるいわゆる敷引約定に関し、賃借人が契約時に、敷引金の使途及び性質について説明がなく、契約書にも記載がないから敷引約定は不合理で無効であるとして敷金の返還請求をした事案について、賃貸人が、敷引金の他に修繕費用として敷金から控除した金額の1部について返還を認めたが、いわゆる敷引約定は金額が著しく高額で暴利行為などの特段の理由がない限り合意は有効であるとした事例 |
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21 | H10.9.24 | 大阪高裁 |
公庫融資賃貸住宅の敷金の返還をめぐり、住宅金融公庫法35条に違反する設備協力負担金支払いの約定の私法上の効力が争われた事案において、同法に違反しても直ちに無効となるものではないが、その逸脱が著しく、社会的に容認しがたいものであるときは、その限度において無効になるとされた事例 |
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22 | H10.9.3 | 最高裁 |
居住用の家屋の賃貸借においていわゆる敷引特約がされた場合において、災害により賃借家屋が滅失し、賃貸借契約が終了したときは、特段の事情がない限り敷引特約を適用することはできず、賃貸人は賃借人に対し敷引金を返還すべきとされた事例 |
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RETIO : (一財)不動産適正取引推進機構 機関誌
取判 : 最新・不動産取引の判例 (一財)不動産適正取引推進機構
その他の裁判例 : 不動産取引の紛争と裁判例(増補版)