II アパート・マンション等の賃貸借に関するもの
【その2 賃貸借契約等に係る問題】
契約の解除と支払金の返還
Q1 今度1人暮らしを始めようと思い、気に入ったアパートが見つかり来週契約することにしました。詳しい説明は受けていませんが、媒介(仲介)業者から事前に敷金等を振込むように言われて振込みました。しかし、親が急に入院することになり、媒介(仲介)業者に契約できないと連絡したら「違約金として家賃の1か月分を差し引きます」と言われました。違約金は払わなければならないものでしょうか。
A1 契約が成立しているかどうかで、返還される金額は変わってきます。重要事項説明も受けて、借主が契約書に押印し、貸主も契約締結を承諾している状況で、敷金等を振込んでいれば、契約は成立していると思われます。その場合には、契約に従い、敷金等の清算が行われます。ご相談の内容ですと、重要事項説明は未実施のため、契約締結前の申込みの段階と考えられます。宅建業法では、宅建業者は取引の相手方が申込みの撤回を行った場合は、受領した預り金を返還しなければならないと規定しています(宅建業法47条の2第3項)ので、今回のように申込みの段階であれば自己都合で撤回しても、違約金は発生しませんし、媒介(仲介)業者は、預かった敷金等を全額返還する必要があります。
Q2 20日前に、賃貸マンションの3階の部屋を借りる契約をしました。契約時は、1階、2階の店舗は洋品店でしたが、昨日行ってみると、両方とも2か月後に飲食店になるとビラが張ってありました。私は下に飲食店があるようなマンションには住みたくないと思っていたし、そのことは媒介(仲介)業者に話をしました。契約をキャンセルして支払ったお金を全部返してもらいたいのですが。また、今のアパートの入居期限が切れても行くところがなかったら、ホテルの宿泊費などを媒介(仲介)業者に出してもらいたいのですが、できるでしょうか。
A2 1・2階に将来どのような店舗が入るかはわかりませんし、特段の事情がない限り、賃借人がそれに制限を加えることはできません。騒音等がひどくて住めないなどの通常の生活ができないような状況でないと契約の解除までは認められないと思われます。しかし、飲食店が出店し、生活環境が悪化することを媒介業者が知っていたのに告げなかったのであれば、媒介業者の説明義務違反を問える可能性があります。貸主に環境悪化等を理由に契約の解除、家賃の減額等について交渉をしてみてはどうでしょうか。