担保権等に関する判例 - 抵当権の実行と賃借人との関係

該当件数

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No. 判決日 概要 事件番号 RETIO
1 H30.4.17

抵当権者に対抗することができない賃借権が設定された建物が担保不動産競売により売却された場合において、その競売手続の開始前から当該賃借権により建物の使用又は収益をする者は、当該賃借権が滞納処分による差押えがされた後に設定されたときであっても、民法395条1項1号に掲げる「競売手続の開始前から使用又は収益をする者」に当たるとされた事例

平30(許)3号

2 H24.9.4

賃料債権差押えの効力発生後に賃貸借契約が終了した場合、差押債権者は、その後に支払期の到来する賃料債権を取り立てることができないとされた事例

平22(受)1280号

RETIO 88-110

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3 H23.1.21

抵当権設定登記後に賃借権の時効取得に必要な期間、当該不動産を継続的に用益したとしても、賃借人は公売による買受人に対し賃借権の時効取得を主張できないとした事例

平21(受)729号

RETIO 82-182

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4 H21.7.3

担保不動産の収益に係る給付を求める権利は所有者に帰属し、賃借人は抵当権設定登記前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし賃料債権を受働債権とする相殺をもって管理人に対抗できるとされた事例

平19(受)1538号

RETIO 78-130

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5 H14.3.28

抵当不動産について敷金の授受された賃貸借(転貸借)契約が締結されていたが、抵当権者が物上代位権を行使して転貸賃料債権を差押え、取立権に基づき転借人に対しその支払を求めた事案において、当該転貸借契約が終了して目的物が明け渡された後は、賃料債権は敷金の充当によりその限度で消滅するとした事例

平12(受)836号

RETIO 53-072

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6 H13.1.25

最先順位の抵当権者に対抗できる賃借権者は、その者の債務を担保する抵当権に基づく競売開始決定がなされた場合を除き、民事執行法83条に基づく引渡命令の対象とならないとされた事例

平12(許)22号

7 H12.4.14

抵当権者は、抵当不動産の賃借人と所有者とを同視できる場合を除き、賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位を行使することはできないとされた事例

平11(許)23号

RETIO 47-028

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8 H12.3.16

抵当権の実行としての競売のための差押えに先行して設定された短期賃借権であっても、その設定が国税徴収法に基づく滞納処分による差押えの後の場合には、賃借人は競売による買受人に対し賃借権を対抗できないとされた事例

平11(許)39号

9 H10.3.24

建物の賃料債権の差押えの効力が発生した後に、建物が譲渡され賃貸人の地位が譲受人に移転したとしても、譲受人は、建物の賃料債権を取得したことを差押債権者に対抗することができないとされた事例

平7(オ)514号

10 H3.9.13

抵当権の実行に基づく土地の買受人が当該土地の短期賃貸借の賃借人に対してした将来の明渡しを求める訴えが適法とされた事例

平3(オ)353号

11 H1.10.27

抵当権の目的不動産が賃貸された場合においては、抵当権者は、民法372条、304条の規定の趣旨に従い、目的不動産の賃借人が供託した賃料の還付請求権についても抵当権を行使することができるとした事例

昭60(オ)1270号

12 S61.11.18

登記上の所有者を真実の所有者と信じて抵当権を設定し、その後競売にて自ら競落したXが、真実の所有者Aより建物を賃借していたYに対し賃借権の不存在等を求めた事案において、Xが建物の真実の所有者がAであること及びA・Y間の賃貸借契約締結の事実を知らなかったとしても、Yは賃借権をもってXに対抗することができ、Yに対する関係で民法94条2項を適用ないし類推適用する余地はないとした事例

昭59(オ)1367号

13 S59.2.14

順位を異にする複数の抵当権が設定されている不動産について後順位の抵当権の実行がされた場合において、最先順位の抵当権設定後、後順位抵当権設定前に不動産を賃借した者は、最先順位の抵当権設定当時存在していた賃借権が競売手続中に消滅したときであっても、賃借権をもって不動産の競落人に対抗することができないとした事例

昭58(オ)793号

14 S54.1.25

破産宣告当時、破産者所有の不動産につき対抗力ある賃借権の負担が存在する場合において、破産宣告後に不動産が転貸されたとしても、特段の事情のない限り、転借人の転借権取得は破産法54条1項所定の破産者の法律行為によらない権利の取得には該当しないとした事例

昭53(オ)662号

15 S53.6.29

賃貸中の不動産に対する競売開始決定の差押の効力発生後賃貸人のした賃借権譲渡の承諾は、特段の事情のない限り、右差押の効力によつて禁止される処分行為にあたらず、譲受人は、賃借権の取得をもって競落人に対抗することができるとされた事例

昭52(オ)1111号

16 S52.3.11

土地の賃借人が地上に所有する建物に抵当権を設定しその登記を経たのちに賃貸人の承諾を得て賃借人から土地の賃借権のみを譲り受けた者は、抵当権の実行により競落人が建物の所有権とともに土地の賃借権を取得したときに競落人との関係において賃借権を失い、競落人が右賃借権の取得につき賃貸人の承諾を得たときに賃貸人との関係においても賃借人の地位を失うとした事例

昭48(オ)118号

17 S47.3.24

建物の占有者は、他人に対する債務名義に基づく建物収去土地明渡の強制執行に対しては、占有の侵害を受忍すべき理由のないかぎり、対抗しうる本権の有無を問わず、占有権に基づき第三者異議の訴を提起し執行の不許を求めることができるとされた事例

昭46(オ)1076号

18 S46.10.14

所有権と賃借権とが同一人に帰属した場合であっても、その賃借権が対抗要件を具備し、かつ、その対抗要件を具備した後に土地に抵当権が設定されていたときは民法179条1項但書(混同)の準用により、賃借権は消滅しないとされた事例

昭46(オ)582号

19 S46.3.30

不動産の競買手続開始前に締結され対抗要件を経由した建物の賃借権であっても、これに優先する抵当権に対抗しえない場合には、競落により抵当権とともに消滅するとされた事例

昭44(オ)1211号

20 S45.6.16

期間の定めのない建物所有を目的とする土地の賃貸借は、民法395条により抵当権者に対抗しうべき賃貸借に当たらないとされた事例

昭45(オ)207号

21 S44.12.11

抵当権設定後競売開始決定までの間に設定された短期賃貸借は、民法602条所定の期間後は当然に効力を失い法定更新されないとした事例

昭44(オ)932号

22 S35.10.14

賃貸中の家屋に対する強制競売開始決定が債務者に送達された後、債務者が賃借人と合理的理由なしに賃料を半額に減額する合意をしても、これをもって競落人に対抗できないとした事例

昭33(オ)903号

23 S30.11.25

国税徴収法に基づく滞納処分による差押登記の後になされた建物の賃貸借は、貸借人が建物の引渡を受けていても、公売処分により建物の所有権を取得した者に対抗できないとされた事例

昭29(オ)13号

24 S28.3.17

借家法により第三者に対抗し得る賃借権は、建物の競売公告に記載してなくても対抗力が消滅するものではないとした事例

昭25(オ)228号

RETIO : (一財)不動産適正取引推進機構 機関誌