抵当権と競売 - 抵当権の実行と賃借人との関係 該当件数 件
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No. | 判決日 | 裁判所名 | 概要 | RETIO |
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1 | H26.9.24 | 東京地裁 |
被後見人の居住用不動産の売却について、被後見人が、契約締結当時の後見監督人と仲介業者に対し、両者の注意義務違反等により当該不動産が低廉な価格で売却されたとして、損害賠償の支払を請求した事案において、その売却代金は不法行為を構成させるほどの低廉な価格とはいえず、また仲介業者の媒介行為に関し注意義務違反は認められないとして、被後見人の請求が棄却された事例 |
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2 | H23.1.21 | 最高裁 |
公売により不動産の所有権を取得した者が、当該不動産上に建物を所有する賃借人に対し、当該不動産を明け渡すよう求めた事案において、賃借権者は、抵当権設定登記後に賃借権の時効取得に必要な期間当該不動産を継続的に用益したとしても、競売又は公売による買受人に賃借権の時効取得を対抗できないとして賃借人の上告を棄却した事例 |
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3 | H21.12.16 | 東京高裁 |
民法395条の改正施行日(平成16年4月1日)より前に賃貸借契約を締結し占有・使用していた抗告人に対し発令された引渡命令に対して執行抗告した事案において、改正法の附則第5条により改正前の規定が適用され、抵当権者に対抗できなくなったとしても、改正後の建物引渡猶予制度の適用を受けることはできないとして抗告を棄却した事例 |
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4 | H21.7.3 | 最高裁 |
①担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた場合における担保不動産の収益に係る給付を求める権利は担保不動産の所有者に帰属し、②抵当不動産の賃借人が、担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後に、抵当権設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし賃料債権を受働債権とする相殺をもって管理人に対抗することができるとされた事例 |
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5 | H20.4.25 | 東京高裁 |
抵当不動産の賃借人が明渡猶予制度の保護を受ける場合に、賃借人との間の使用貸借契約に基づき当該不動産を占有している転使用借人に対して、競売による当該不動産の買受人が引渡命令の申立てを行い、原裁判所で申立てが棄却され、抗告審で差戻しがなされた事例 |
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6 | H17.10.20 | 大阪地裁 |
商業ビルの賃貸借契約に伴って差し入れられた賃料の55ヶ月分の金員全額について敷金であると認定し、賃貸人の地位を継承したビルの競落人が敷金全額の返還債務を承継するとされた事例 |
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7 | H17.6.29 | 東京高裁 |
借地権設定者が、借地上の建物の競落人に対し、借地権譲渡の承諾がないことに基づき借地の明渡し等を求めたところ、競落人が、口頭又は黙示の借地権譲渡の承諾の存在を主張するとともに、本件建物の買取請求権を行使した事案において、裁判所が、借地権譲渡の承諾がなかったとして、競落人に対し、借地権設定者による本件建物の買取と引換えに、本件建物の明渡し等を命じた事例 |
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8 | H16.9.15 | 東京高裁 |
敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権に対し差押えがされた場合において、当該賃貸借契約が終了し目的物が明け渡されたときは、賃料債権は敷金の充当によりその限度で消滅するとされた事例 |
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9 | H16.7.22 | 東京地裁 |
建物賃貸人が賃借人に対して、共益費や消費税等の未払いにより建物賃貸借契約を解除したとして、賃貸借契約終了に基づき建物の返還を求めるとともに、未払いの共益費及び消費税の支払いを求めた事案において、金銭の請求については認容されたが、その後建物賃貸人は競売により所有権を失ったことから建物の明渡請求は棄却された事例 |
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10 | H16.6.30 | 東京地裁 |
賃貸に供せられていた建物を競売により取得し賃貸人の地位を承継した新所有者が、賃借人に対し、賃料不払いを理由として賃貸借契約を解除したと主張して、本件建物の明渡及び賃料相当損害金の支払を求め、他方、賃借人は保証金返還債権と賃料支払債務との相殺を主張した事案において、賃貸人の地位を承継した競落人は本件保証金返還債務は承継しないとした事例 |
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11 | H16.4.28 | 東京地裁 |
敷金が授受された賃貸借契約にかかる賃料債権に対し差押えがされた場合において、当該賃貸借契約が終了し目的物が明け渡されたときは、賃料債権は敷金の充当によりその限度で消滅するとされた事例 |
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12 | H14.12.5 | 東京地裁 |
スポーツセンターの建物の貸主に更生手続開始決定がされ、更生会社になった場合に、賃借人が差し入れていた敷金の返還請求権について、更生管財人が、会社更生法上の更生債権(更生手続に参加し、更生計画の定めに従って分配等を受ける権利)とし、共益債権(更生手続において関係人の共同の利益のためのものとして、更生債権及び更生担保権に先立って優先的に弁済を受ける権利)であると認めなかったため、借主が共益債権であることの確認を求めた裁判で、請求が棄却された事例 |
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13 | H14.11.7 | 東京高裁 |
商業ビルの店舗及び倉庫の競落人が、その賃借人の差し入れた敷金及び保証金には、競売の最低売却価額を定めるにあたり減価された金額を超える部分について、返還債務を負担しないことの確認を求めた事案において、競落人が返還債務を承継するのは、被担保債権として予定されていた本来の敷金の性格を有する範囲であるとされた事例 |
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14 | H14.9.19 | 東京高裁 |
賃貸建物が差押さえられた後、賃借人が、敷金を増額するとして賃貸人に金銭を支払った事実があり、かつ、賃貸建物の競売における買受人に対してその賃借権を対抗できる場合でも、敷金増額の合理的な理由がないときは、賃借人が支払った金額は、敷金に名を借りた貸金その他の金銭であると認められ、敷金として買受人に承継されないとされた事例 |
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15 | H14.4.17 | 大阪高裁 |
建物賃貸借に伴い貸借人から賃貸人に支払われた保証金について、国が、賃借人の滞納した物品税を徴収するために貸借人が有する本件保証金返還請求権を差押え、賃貸人に対し保証金返還の本訴請求に及んだところ、賃貸人からは本件保証金は敷金としての性質を有するものとして賃貸借契約の解約に伴い貸借人の債務に充当されると主張した事案について、本件保証金は敷金としての性質を有するものとは認められないと判示した事例 |
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16 | H14.3.28 | 最高裁 |
抵当不動産について敷金の授受された賃貸借(転貸借)契約が締結されていたが、抵当権者が物上代位権を行使して転貸賃料債権を差押え、取立権に基づき転借人に対しその支払を求めた事案において、当該転貸借契約が終了して目的物が明け渡された後は、賃料債権は敷金の充当によりその限度で消滅するとして、請求が棄却された事例 |
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17 | H13.12.20 | 大阪地裁 |
抵当権者が物上代位権に基づき抵当不動産の賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人が、抵当権設定登記後に賃貸人に対して取得した債権が敷金返還請求権であっても、賃料債権に対する抵当権の物上代位と賃借人の相殺の優劣は、抵当権設定登記と賃借人の自働債権取得時期の先後によって決するとして、賃借人の相殺を認容しなかった事例 |
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18 | H13.11.21 | 最高裁 |
借地上の建物を競売により取得し、借地権設定者の承諾に代わる許可を求める申立てをした借地非訟事件において、借地借家法20条1項後段の付随的裁判として、旧賃借人が交付していた敷金の額、第三者(取得者)の経済的信用、敷金に関する地域的な相場等の一切の事情を考慮した上で、事案に応じた相当な額の敷金を差し入れるべき旨を定め、第三者に対してその交付を命ずることができると判示した事例 |
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19 | H13.10.31 | 東京地裁 |
賃貸目的物の所有権移転に伴う賃貸人の地位の移転があった場合において、賃借人が前賃貸人に預託した保証金は、敷金と同じく賃貸借契約の発生、存続、終了に際して密接不可分に関連しており、これを離れて独立に存在しないものとして新所有者に承継されるとした事例 |
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20 | H13.10.29 | 東京地裁 |
新築店舗の契約時に賃借人が支払った保証金は、競売事件においても、全額が競落人に承継されるべきであるとの主張に対して、競落人は保証金は建設協力金と敷金との性質を併せ有するとして、月額賃料の10か月分は認めるが、それを超える部分についての承継は認めないとして「保証金返還債務の存在しないことの確認を求める。」訴えを提起し、ほぼ認容された事例 |
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21 | H13.6.22 | 東京高裁 |
不動産競売手続における目的建物の買受入が、抵当権の設定登記がされた後に、期間を5年として建物賃貸借契約が締結され、その後の法定更新により期間の定めのないものとなった建物賃貸借契約に基づく賃借人に対して、引渡命令の申立てをした事案において、当該賃貸借契約は民法395条の短期賃貸借であると認めた事例 |
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22 | H13.2.9 | 東京地裁 |
抵当権の設定された賃貸物件において、競売開始決定後に物件所有者と貸借人の間でなされた賃料減額の合意に対し、競落人が当該合意は合理性がないとして従前の賃料と減額後の賃料の差額の支払を求めて提訴した事案において、当該減額合意は、適正賃料に至るまでの部分について合理的理由があり、競落人に対抗できるとされた事例 |
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23 | H13.1.25 | 最高裁 |
最先順位の抵当権者に対抗できる賃借権者は、その者の債務を担保する抵当権に基づく競売開始決定がなされた場合を除き、民事執行法第83条に基づく引渡命令の対象とならないとされた事例 |
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24 | H12.11.14 | 東京地裁 |
抵当権者は、民法395条ただし書きを準用して、裁判所に対して、民法602条所定の期間を超える、いわゆる長期賃貸借の解除を請求することができ、右解除判決が確定したときは、抵当権の妨害排除請求権に基づき、抵当不動産の明渡しを請求することができるとされた事例 |
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25 | H12.10.27 | 東京高裁 |
借地権付建物の競売手続による買受人が、その持分の一部を第三者に譲渡した後は、借地借家法第20条に基づく借地権譲渡の許可の申立てをすることができないとされた事例 |
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26 | H12.10.26 | 東京地裁 |
高額の金員が敷金名目で差し入れられている賃貸借契約の目的物件の競落人が、当該金員の一定額を超える部分について返還債務がないことの確認を求めて提訴したところ、当該金員は敷金と権利金の性質を併有するが、賃貸借契約で全額の返還義務が明確に合意されているから、競落人は、全額の返還債務を承継することになるとされた事例 |
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27 | H12.9.7 | 東京高裁 |
抵当不動産の転賃料債権について、賃借人と所有者とを同視すべき特段の事由があり、抵当権に基づく物上代位権の行使が許されるとされた事例 |
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28 | H12.5.29 | 大阪地裁 |
賃貸人が破産宣告を受けた場合でも、未だ賃貸借契約が終了していない段階では、賃借人は、敷金返還請求権を自働債権とし、賃料債権を受働債権として相殺することは許されないとされた事例 |
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29 | H12.4.27 | 名古屋高裁 |
建物の賃貸借において、賃借人が倒産し、破産管財人が賃貸借の解約を申入れた場合、特約による違約金請求権と敷金及び建設協力金返還債務との相殺は、相殺できることへの合理的な期待の範囲内で認められるべきであり、その範囲を超える相殺は、破産債権者全体の公平を害し、権利の濫用として許されないとした事例 |
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30 | H12.4.14 | 最高裁 |
抵当権者は、抵当不動産の賃借人と所有者とを同視できる場合を除き、賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位を行使することはできないとされた事例 |
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31 | H12.3.16 | 最高裁 |
抵当権の実行としての競売のための差押えに先行して設定された短期賃借権であっても、その設定が国税徴収法に基づく滞納処分による差押えの後の場合には、賃借人は競売による買受人に対し賃借権を対抗できないとされた事例 |
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32 | H11.10.26 | 最高裁 |
強制競売の対象となった土地上に件外建物が存在する場合でも、特段の事情がない限り、裁判所は当該土地の全部について引渡命令を発することができるとされた事例 |
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