制作:国土交通省 |
運営:不動産適正取引推進機構 |
1 本システムは、これまでに発生した不動産取引をめぐる他のトラブル事例をもとに、消費者の皆様が、トラブルの未然防止や万一トラブルに発展した場合に円滑な解決が図れるよう、情報を提供するものです。 2 掲載内容は、①裁判事例、②国土交通省各地方整備局や各都道府県で宅建業者に対して行った行政処分、③(一財)不動産適正取引推進機構で調整した特定紛争処理案件の中から基礎的で有用と思われる事例を抽出し、項目ごとに整理したうえ、事案の概要や紛争の結末等について要約して記載しています。 |
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タイトル:裁判事例市街化調整区域内の土地の説明義務
津地裁四日市支部判決 平成9年6月25日
(判例集未登載)
《要旨》
市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)
都道府県が、都市計画区域の中で定める区域。
市街化調整区域に指定されるのは、
建築物の密度が低い地域である。市街化調整区域では、
少数の例外を除いて住宅等の建築が禁止されている。内の土地について、いかにも建築できるかのように買主を誤信させたとして、媒介業者に1,300万円の損害賠償が命じられた事例
(1) 事案の概要
買主Xは、平成2年5月、客付業者Y2及び元付業者Y3の媒介で、売主Y1から将来住宅を建てる目的で、市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)
都道府県が、都市計画区域の中で定める区域。
市街化調整区域に指定されるのは、
建築物の密度が低い地域である。市街化調整区域では、
少数の例外を除いて住宅等の建築が禁止されている。内の土地661平方メートルを、代金2,600万円、「契約交渉金」100万円で買い受けた。
本件契約の締結に当たり、Xは、将来の建築目的をY2に告げていたが、Y2はY1にその旨を告げなかった。Y1は、Y3に対し、本件土地は市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)
都道府県が、都市計画区域の中で定める区域。
市街化調整区域に指定されるのは、
建築物の密度が低い地域である。市街化調整区域では、
少数の例外を除いて住宅等の建築が禁止されている。内のため建物が建築できない旨、契約書への明記を求めたが、Y3は、特約として「(ア)地目が山林の為建築の場合開発許可(かいはつきょか)
無秩序な開発を規制するため、都市計画法第29条
の規定により、開発許可を行なう際に必要とされ
る都道府県知事等による許可のこと。等を要する、(イ)調整区域のため売主は建物について責任をとらない、(ウ)(ア)については買主負担とする」と記載した。なお、Y3が作成した重要事項説明書では、「市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)
都道府県が、都市計画区域の中で定める区域。
市街化調整区域に指定されるのは、
建築物の密度が低い地域である。市街化調整区域では、
少数の例外を除いて住宅等の建築が禁止されている。」、「建築許可等を要す」、「古家有」等と記載されており、Xは建築ができるものと信じて契約を締結した。
平成6年6月になり、Xが本件土地の半分を売却しようとして相談したところ、現時点では、建物の建築ができないことが判明し、Xは、Y1に対して、錯誤(さくご)
意思表示をした者の内心の真意と表示されたことが、
重要な点(要素)で食い違いがあることをいう(民法95条)。無効を理由に代金の返還を、また、Y2及びY3に対して、媒介業者の説明義務違反を理由に損害賠償を求めた。
(2) 判決の要旨
(ア)Y1については、Xの購入動機が伝えられておらず、要素の錯誤(さくご)
意思表示をした者の内心の真意と表示されたことが、
重要な点(要素)で食い違いがあることをいう(民法95条)。があったとは認められない。
(イ)Y2は、本件土地は市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)
都道府県が、都市計画区域の中で定める区域。
市街化調整区域に指定されるのは、
建築物の密度が低い地域である。市街化調整区域では、
少数の例外を除いて住宅等の建築が禁止されている。内にあるので、原則として建物は建築不可である旨を明確に説明すべき注意義務を負っているにもかかわらず、これを怠り、いかにも建築ができるかのように誤信させた。
(ウ)Y3は、不動産仲介契約はなかったものの、専門業者として助言・指導すべき義務があるのにこれを怠り、いかにも建築ができるかのように誤信させた。
(エ)Y2及びY3は、Xが支払った2,700万円のうち、本件土地の時価相当分を差し引いた1,300万円を連帯してXに支払え。
(3) まとめ
市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)
都道府県が、都市計画区域の中で定める区域。
市街化調整区域に指定されるのは、
建築物の密度が低い地域である。市街化調整区域では、
少数の例外を除いて住宅等の建築が禁止されている。内の土地をめぐる紛争では、宮崎地裁の事例などがあるが、いずれも損害賠償を命じられている。
なお、本件は、控訴後、Y2及びY3が本件土地を半分ずつ、それぞれ1,200万円で買い受けることで、和解が成立した。
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