トラブル事例大項目:重要事項説明に関するもの トラブル事例中項目:土地建物の問題点 トラブル事例小項目:

タイトル:特定紛争車庫に関する不十分な説明をめぐるトラブル

《要旨》
 新築戸建て住宅を購入した買主が駐車場への車庫入れが困難であるとして売主業者に対して白紙解約、損害賠償等を要求したもの。解決金30万円にて和解成立。

(1) 事案の概要
 買主Xは、平成18年4月に新築の土地付建物を媒介業者Aを通じて売主業者Yから買受け、同年10月に引渡しを受けた。
 Xは、引渡しの翌日に初めて自家用車を駐車場に入庫したが、面している道路が狭いため入れるのが困難なことが発覚した。立ち会ったYの社員も困難さを認め、Yは駐車場の入口を広げることを申し出、11月初旬に工事を完了したが、若干改善されたものの抜本的な解決になっていないとXは主張した。
 Xは、重要事項説明時に「入庫が困難に思えるが大丈夫か?」と質問し媒介業者Aは大丈夫と答えており、更に引渡し数日前に現地でも、Yの社員に質問したが「大丈夫」との回答であった。
 Xは、Yに対して白紙解除を要求したが乙が応じないため、第三者への売却を考えており、Yに対しては、購入金額と売却金額との差額の補填、契約や引渡しの諸費用、精神的損害の賠償などを要求した。
 これに対してYは、前面道路、幅員、車庫の大きさについては契約前に説明済みであり、使用中の車は車庫の中に納まっており、現状でも問題はない、更に車が入れ易くなるように提案していると主張し、双方の折り合いが付かずに、紛争になった。

(2) 事案の経過
 委員3名により3回の調整を行った。調整の過程でXは、入庫は大丈夫と聞いていたが、実際には、何回も切り返さないと入らないことはYの社員も現場で立ち会って認めていることを主張、Yの言う隅切り対応では抜本的な解決にならず、売却を考えており売却に伴う損失の補填、登記費用、精神的な損害に対する補償などを要求するが、具体的な金額については委員の判断をいただきたいと主張した。
 これに対してYは、隅切り部分のもう一段の改良により対応する方針であり、契約解除や金銭解決には応じないと主張した。
 委員から、Yに対して、可能な隅切りの改良案及びその見積り費用算定、金銭解決の可能性の検討を要請したところ、Yは、改良案及びそのための費用約29万円を提示し、金銭的解決の考えは無いことを改めて主張した。

(3) 和解の内容
 委員はYに対して、(ア)契約段階では土地と建物を分けて契約し、建築確認後に1本に契約し直していることの行政的な問題、(イ)車庫の面している2項道路(にこうどうろ)
建築基準法第42条第2項で定められた建築
基準法上の道路なので一般にこう呼ばれる。
みなし道路ともいう。昭和25年11月23日以前
から建物が立ち並んでいる幅員4m未満の道で
特定行政庁(知事や市長)が指定したものは
建築基準法上の道路とみなされ、道路の中心線
から2m後退したところに道路境界線があるとみなされる。 
は実際は2.9mだが、図面では整備済み4mと書いてあり、反対側のセットバック敷地の前面道路が2項道路の場合、その中心線
から2m後退した線が道路の境界線とみなされ、
敷地の一部が道路部分(セットバック部分)
とみなされる。
が当面為されないことをXに説明していないことの問題を指摘した。
 Xから30万円を受け取って早期解決したいとの申出があったことから、委員は、Yに対して調整案として解決金30万円による決着を提案、Yも了解したため和解が成立した。

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