制作:国土交通省 |
運営:不動産適正取引推進機構 |
1 本システムは、これまでに発生した不動産取引をめぐる他のトラブル事例をもとに、消費者の皆様が、トラブルの未然防止や万一トラブルに発展した場合に円滑な解決が図れるよう、情報を提供するものです。 2 掲載内容は、①裁判事例、②国土交通省各地方整備局や各都道府県で宅建業者に対して行った行政処分、③(一財)不動産適正取引推進機構で調整した特定紛争処理案件の中から基礎的で有用と思われる事例を抽出し、項目ごとに整理したうえ、事案の概要や紛争の結末等について要約して記載しています。 |
最新の情報については、
「RETIO判例検索システム」
「特定紛争案件検索システム」
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「不動産のQ&A」
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トラブル事例大項目:重要事項説明に関するもの | トラブル事例中項目:眺望・日照・周辺環境等 | トラブル事例小項目: |
タイトル:特定紛争近隣牧場の悪臭の不告知をめぐるトラブル
《要旨》
近隣牧場からの悪臭について説明を受けていないとして、買主が物件の買戻し又は損害賠償を求めたもの。解決金169万円余で和解成立。
(1) 事案の概要
買主Xは、平成15年4月、業者Zの媒介で、売主業者Yから新築土地付建物を代金3,980万円で買い受け、引渡しを受けた。
入居後、しばらくして、Xは、近隣牧場からのし尿処理で発生する悪臭に悩まされたが、牧場からの悪臭についてはその説明を受けていなかった。
Xによると、同年5月、Zの担当者に「物件の東側約50mのところに牧場が存在し、牛に関する生産活動が行われているのを確認しました。」とする確認書に署名・捺印してほしいと言われ、牛舎からのし尿等の悪臭を確認することなく署名・捺印した。
Xは、同年6月、町会長から牧場のし尿処理等悪臭の問題は何十年も前からの懸案事項であることを知らされ、子供の病気(喘息)等を考慮すると生活できないとして、Y及びZに対して、本物件を買い戻すか、それができないなら損害賠償金を支払うよう主張した。
これに対してYは、Xは地元の住民で牧場の存在は知っていると思ったが、契約後気になったので、丙には重要事項説明に追加するよう依頼したと主張した。一方、Zは、牧場の牛舎はYから100~200m離れていると聞いて重要事項説明は必要ないと判断した、と主張したため紛争になった。
(2) 事案の経過
委員3名により5回の調整を行った。調整の過程で、Xは、環境のよいところを条件にZに物件の媒介を依頼した、重説時にZから牛舎からの悪臭があること等の説明があれば購入しなかった、このままでは住むことができない、買い戻すか、損害賠償として300万円(換気システム設置プラス慰謝料)を支払うよう主張した。
これに対してYは、Xは地元の人で牧場については当然知っていると思った、臭いが出るのはせいぜい週2回程度である、確認書を取ったという報告があったので当然Xが了解したと思った、牧場側も牛舎の堆肥場に囲いをつけるなど検討しているので近々解消すると思われる、しかし、迷惑をかけたのも事実なのでお見舞金として10万円程度は考えていると主張した。
Zは、牧場のことは認識がなく、Yから臭気のことは聞いてなかったので重説では説明していない、牧場は100~200m離れているとのことだったので現地調査はしていないが告知義務はないと判断した、解決金としてXから受領した手数料の半額程度は支払ってもよい等と主張した。
(3) 和解の内容
委員から、説明が十分でなかったこと等の指摘があり、Xに対しては契約解除は現実的ではないと思われること等を説明し、両当事者に対して、Zは手数料の全額129万円余、Yは40万円、計169万円を解決金として支払うよう提示したところ、Y及びZは納得し、Xも了解したので、本件は和解に至った。
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