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タイトル:特定紛争ごみ置き場に関する重説ミス

《要旨》
 買主が売主業者に対して「ごみ置き場」の撤去等を要求したもの。解決金60万円で和解成立。

(1) 紛争の概要
 買主Xは、平成13年1月、売主業者Yから、新築マンション(1階の1室、専有面積(せんゆうめんせき)
分譲マンションなどの区分所有建物において、
それぞれの区分所有者が単独で所有している
建物の部分のことを「専有部分」と呼び、この
専有部分の床面積が「専有面積」である。
90平方メートル)を購入、同年9月に残金を支払い、10月に入居した。
 Xによると、建築現場を下見した時、当該室の専用庭の前面に工事資材が置かれていたが、そこは「建築現場機材置き場」と思い、将来は撤去されるものと考えた。内覧会が実施され、この時、Xは初めて「建築現場機材置き場」の所が近隣の町内会(当該マンションのものとは別)の「ごみ置き場」であることを知った。
 XがYに「ごみ置き場」の撤去を要求したところ、Yから「ごみ置き場」の移設は可能だから、後日、移設日を連絡する旨の回答があったので、Xはそれを信じて残金を支払った。その後、Yは「ごみ置き場」の移設に関して町内会と交渉したが、町内会役員の一部に反対があって移設が困難になったとXに連絡してきた。XはYに対して、ごみ置き場を移設するか、それができないときは文書で謝罪し、専用庭の柵外に植栽をし、購入価格の減額を主張したために、紛争になった。

(2) 調整の経過
 委員3名により5回の調整を行った。調整の過程でXは、購入前にYから隣地の「ごみ置き場」については説明がなく、その後移設は可能だと言われ、それを信じて物件を購入したが、移設が不可能なことが判明した。異臭、浮浪者の覗きや空缶収集の際の騒音に悩まされ、病気の子供をかかえ精神的にも不安定な状態にある。今後も同じ状態で生活しなくてはならないし、事前にわかっていれば購入しなかった。契約を解除して代金を返還するか、移設が不可能ならYの謝罪と植栽などで目隠をし、慰謝料として270万余円を支払うよう主張した。
 これに対してYは、「ごみ置き場」の移設については役所にもお願いしたが、近隣住民の同意がないとのことで移設が不可能になった。契約解除や代金の減額には応じられないが、迷惑をかけたのは事実なので、植栽(費用約30万円相当)の他に慰謝料として30万円程度は考えたいと回答した。

(3) 和解の内容
 委員からXに対して、契約解除は難しいこと等を説明し、Yに対しては、「ごみ置き場」について、事前によく説明しておく必要があったこと等を指摘した。諸般の事情を勘案して、委員から、Yに植栽すること、謝罪を文書ですること、解決金として60万円を支払うことを提示したところ、両当事者が納得して和解が成立した。

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