制作:国土交通省 |
運営:不動産適正取引推進機構 |
1 本システムは、これまでに発生した不動産取引をめぐる他のトラブル事例をもとに、消費者の皆様が、トラブルの未然防止や万一トラブルに発展した場合に円滑な解決が図れるよう、情報を提供するものです。 2 掲載内容は、①裁判事例、②国土交通省各地方整備局や各都道府県で宅建業者に対して行った行政処分、③(一財)不動産適正取引推進機構で調整した特定紛争処理案件の中から基礎的で有用と思われる事例を抽出し、項目ごとに整理したうえ、事案の概要や紛争の結末等について要約して記載しています。 |
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タイトル:裁判事例租税特別措置法の誤った説明
大阪地裁判決 平成10年11月26日
(判例タイムズ 1000号 290頁)
《要旨》
土地の売買において、租税特別措置法の優遇措置を受けられないのに、業者が誤解して受けられると説明した場合、業者は、不法行為(ふほうこうい)
他人の権利・利益を違法に侵害したことによって
損害を与える行為をいう。
このような行為によって生じた損害については、
加害者が被害者に賠償する責任を負わなければならない。に基づく損害賠償責任を負うとされた事例
(1) 事案の概要
業者Yは、平成6年,Xに対し、その所有地(927.04平方メートル)を共同開発すれば、租税特別措置法31条の2第2項第9号(優良宅地造成)の優遇措置を受けることができ、うち436.20平方メートルをYに売却すれば、資金負担なしに住宅建替、賃貸住宅建築費用等を賄うことができると説明し、本件土地(436.20平方メートル)の売買契約(代金1億556万円)及び賃貸住宅等の建築請負契約(うけおいけいやく)
家の建築工事など、当事者の一方がある
仕事を完成することを約束し、相手方が
その仕事の結果に対して報酬を支払うこ
とを約束するような契約を「請負契約」という。を締結した。
平成7年3月、Xが確定申告したところ、本件土地は同号イで定める500平方メートルに充たず、優遇措置を受けられないことが判明し、Xは、国税及び地方税を追加納付することとなった。
Xは、Yに対し、損害賠償を求めた。
(2)判決の要旨
(ア)本件売買契約において、本件優遇措置の提供の可否は重要な要素になっており、建設業者として本来の業務に付随した事項についても相当程度専門的知識を有するものとして一般人の信頼を受ける立場にあったYは、本件優遇措置の趣旨、適用要件について正しく説明すべき信義則(しんぎそく)
権利の行使および義務の履行は、信義に従い
誠実に行なわなければならないとする原則をいう。上の義務がある。
(イ)しかるに、Yは、本件優遇措置を受けるには売買面積500平方メートル以上が必要なのに、XY共同で開発許可(かいはつきょか)
無秩序な開発を規制するため、都市計画法第29条
の規定により、開発許可を行なう際に必要とされ
る都道府県知事等による許可のこと。を得て開発行為(かいはつこうい)
主として建築物の建築または特定工作物の建設の
用に供する目的で行なう、土地の区画形質の変更をいう。を行えば、500平方メートル未満でも優遇措置を受けられると誤解し、その旨Xに説明して誤信させ、売買に応じさせ、Xに損害を被らせたから、Yには契約締結上の過失(けいやくていけつじょうのかしつ)
契約が成立するまでの過程で、当事者の一方
に過失があり、これによって善意無過失の相
手方に損害を与えた場合、その者は賠償責任
を負わなければならないとする法理。があり、Xに対し不法行為(ふほうこうい)
他人の権利・利益を違法に侵害したことによって
損害を与える行為をいう。
このような行為によって生じた損害については、
加害者が被害者に賠償する責任を負わなければならない。に基づく損害賠償を負う。
(ウ)損害額は、予期に反した優遇措置を受けられなかったために負担した納税額であるが、XもYの説明を鵜呑みにして確認しなかったから3割の過失がある。
(エ)よって、Yは、Xに対し1,388万円を支払え。
(3)まとめ
「税制」は毎年変更されることもあり、本件のように前提条件が違うと、全く異なった結果になることもある。不明点等については、税理士等の専門家に直接確認することが必要である。
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