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タイトル:処分事例所有権移転登記の不当な履行遅延(1)

《要旨》
 買主から代金全額を受領したにもかかわらず正当な理由なく所有権移転登記等を行わなかったとして、売主業者が免許取消処分とされた。

(1) 事実関係
 買主X1は、潮干狩りや海水浴のときに利用できるログハウスを建てようと思い、新聞折込チラシを見て現地に赴き、売主業者Yから「ログハウスもOK。コンテナハウスの中古も紹介できるしカタログもある。近所にコンテナハウスが建っているので案内する。水道も設置するし、排水もできる。基礎のない建物なら問題ない」と言われ、市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)
都道府県が、都市計画区域の中で定める区域。
市街化調整区域に指定されるのは、
建築物の密度が低い地域である。市街化調整区域では、
少数の例外を除いて住宅等の建築が禁止されている。
内の土地の購入を決めた。
 X1は、手付金3万円、その後に中間金107万円、さらに残代金220万円を業者に支払い、後日、重要事項説明書および売買契約書が自宅へ郵送された。
 しかし、代金完済から3か月経過してもYは、「もうすぐ引渡しができる」「もう1週間待ってくれ」「担当者が帰り次第連絡する」などと所有権移転登記を引き延ばした。
 買主X2は、土地に定着したコンテナハウスを建築する目的で、YからX1と同様に市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)
都道府県が、都市計画区域の中で定める区域。
市街化調整区域に指定されるのは、
建築物の密度が低い地域である。市街化調整区域では、
少数の例外を除いて住宅等の建築が禁止されている。
内の土地を購入したが代金完済から1か月経過しても所有権の移転登記がなされなかった。
 X1及びX2は、相談のため行政庁に来庁した。

(2) 事情聴取
 行政庁で、Yに事情を聴いたところ、Yは、「重要事項説明は現地で行った。手付金等が売買代金の10分の1を超えていても1,000万円以下なら保全措置(ほぜんそち)買主が宅建業者から宅地建物を購入する場合、
手付金・中間金などの額が、
(1)工事完了前の売買にあっては、売買代金の5%
又は1,000万円を超えるとき、
(2)工事完了後の売買にあっては、売買代金の10%
又は1,000万円を超えるときは、宅建業者は、手付金等
の保全措置を講じなければならない
(宅建業法41条、41条の2)。
をとらなくてもよいと認識していた。所有権移転登記の遅延は認める。当該土地に付された仮登記の抹消に時間がかかっているためだ。」などと述べ、保全措置(ほぜんそち)買主が宅建業者から宅地建物を購入する場合、
手付金・中間金などの額が、
(1)工事完了前の売買にあっては、売買代金の5%
又は1,000万円を超えるとき、
(2)工事完了後の売買にあっては、売買代金の10%
又は1,000万円を超えるときは、宅建業者は、手付金等
の保全措置を講じなければならない
(宅建業法41条、41条の2)。
を講ずる前に売買代金の額の10分の1を超える手付金等を買主から受領したこと、残代金を受領したにもかかわらず正当な理由なく所有権移転を行わなかったことを認めた。Yは、X1には代金の一部(150万円)は返還したものの残りを返還せず、X2には代金全額(500万円)を返還していない。

(3) 処 分 
 行政庁は、Yは、買主から受領した手付金及び中間金が売買代金の10分の1を超えているにもかかわらず保全措置(ほぜんそち)買主が宅建業者から宅地建物を購入する場合、
手付金・中間金などの額が、
(1)工事完了前の売買にあっては、売買代金の5%
又は1,000万円を超えるとき、
(2)工事完了後の売買にあっては、売買代金の10%
又は1,000万円を超えるときは、宅建業者は、手付金等
の保全措置を講じなければならない
(宅建業法41条、41条の2)。
を講じる前に受領した、買主から代金全額を受領したにもかかわらず正当な理由なく所有権移転登記を行わなかった、買主が解約を申し出ても代金を返還せず多大な損害を与えたとして、Yを免許取消処分とした。

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