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タイトル:処分事例所有権移転登記の不当な履行遅延(2)

《要旨》
 交換契約を締結し土地の所有権移転登記を行ったにもかかわらず、業者側が交換した土地の所有権移転登記を履行しないとして当該業者が300日間の業務停止処分とされた。

(1) 事実関係
 Xは、業者Yとの間で土地の交換契約を締結した。Yは、契約日の翌日、所有権の移転はしないと約束していたXの他の土地も含めて、売買を原因として、自社への所有権移転登記を行い、同日、当該土地に自己のために無断で根抵当権を設定した。
 一方、Yの所有する土地については、Xが再三にわたり督促し催告を重ねたが引渡期日を10か月経過したにもかかわらず、所有権の移転登記がなされない。Yは、本件取引において重要事項の説明をしておらず、登記簿(とうきぼ)
登記記録が記録される帳簿のこと。
謄本の表題部のみを契約書に添付しただけであった。また、所有権移転登記の原因を売買としたため、Xには譲渡所得税が課せられることとなった。
 Xは契約を解除し、所有権移転登記の回復等をするとともに、Yに対する損害賠償請求を求め行政庁に相談に来庁した。

(2) 事情聴取
 行政庁で、Yに事情を聴いたところ、Yは、事実を認め、事情があって自己の所有地の所有権移転ができなかったと述べた。

(3) 処 分 
 行政庁は、Yは、Xに対して重要事項説明書を交付していない、土地交換契約書に取引主任者(とりひきしゅにんしゃ)
宅地建物取引主任者のこと。宅地建物取引主任者
資格試験に合格・登録し、宅地建物取引主任者証
の交付を受けた者。
の記名押印をしていない、Xが取得するべき土地の所有権移転登記を未だ行っておらず、不当に遅延しているなどとして、Yを300日間の業務停止処分とした。

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