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タイトル:処分事例代理業者の売主への売買代金の未払

《要旨》
 代理を依頼した者に対して、契約内容を記載した書面を長期間交付しなかった、受領した売買代金の一部を着服したとして、代理業者が免許取消処分とされた。

(1)事実関係
 Xは、業者Yの代理により、所有する宅地を2分割し、Aには土地181平方メートルを1,920万円で売却し、Bには土地31平方メートルを50万円で売却する契約を締結した。
 A及びBは、売買代金の全額をYに支払った。Yは、Aの代金から報酬及び諸費用を差し引き、Xに1,800万円を支払うことになっていたが、1,100万円をXに支払ったのみで、残額の700万円については、Xが何度も催促しても支払わなかった。また、Xには売買契約書が交付されていなかった。
 Xは、Yの所属する協会(業者団体)に相談に行ったが、Yが協会の呼出しに応じないということで、行政庁に来庁した。

(2)事情聴取
 行政庁でYの事務所調査をしたところ、次のような業法違反が判明した。
 (ア)届出されている専任の取引主任者宅建業者は、その事務所ごとに、その業務に
従事する者の数に応じて5名に1名以上
(国土交通省令で定める場所にあっては1名以上)
の成人である専任の取引主任者を置かなければ
ならない。専任とは、もっぱらその事務所に
常勤し、通常の営業時間に執務している状態をいう。
は常勤しておらず、また、当該主任者の主任者証は有効期限が満了していた。
 (イ)調査した約1年の間に宅地建物の売買契約締結に関わったもののうち8件について、重要事項説明書に記載された取引主任者(とりひきしゅにんしゃ)
宅地建物取引主任者のこと。宅地建物取引主任者
資格試験に合格・登録し、宅地建物取引主任者証
の交付を受けた者。
は実際には説明を行っていなかった。
 (ウ)XがAらに土地を売却した契約に係る書面は、6か月の間Xに交付されなかった。
 Yに事情を聴いたところ、Yは、「XにAとの取引に係る契約書を送付していなかったのは、Bとの契約書を作ってから送付するつもりだったからである。残額700万円は他の経費に流用してしまい、いつXに支払えるかわからない。Aとの契約の際、重要事項説明は自分(代表者)が行った。年間の取引(12~13件)のうち、取引主任者(とりひきしゅにんしゃ)
宅地建物取引主任者のこと。宅地建物取引主任者
資格試験に合格・登録し、宅地建物取引主任者証
の交付を受けた者。
が重要事項説明を行っているのは5~6割くらいと思う。」などと述べた。
 なお、Yの取引に関しては、前年にも代金支払の遅延についての苦情が行政庁に寄せられていた。

(3)処 分
 行政庁は、Yは、専任の取引主任者宅建業者は、その事務所ごとに、その業務に
従事する者の数に応じて5名に1名以上
(国土交通省令で定める場所にあっては1名以上)
の成人である専任の取引主任者を置かなければ
ならない。専任とは、もっぱらその事務所に
常勤し、通常の営業時間に執務している状態をいう。
を長期間設置していない、取引主任者(とりひきしゅにんしゃ)
宅地建物取引主任者のこと。宅地建物取引主任者
資格試験に合格・登録し、宅地建物取引主任者証
の交付を受けた者。
に重要事項説明をさせていない取引が多数あった、宅地の売買の代理を行った際、代理を依頼した者に対して、契約内容を記載した書面を長期間交付しなかった、受領した売買代金の一部を着服したとして、Yを免許取消処分とした。

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