トラブル事例大項目:瑕疵担保責任に関するもの トラブル事例中項目:建物の瑕疵 トラブル事例小項目:マンション

タイトル:特定紛争新築マンションの不具合をめぐるトラブル

《要旨》
 新築マンションのサッシのキズについて、買主がサッシの取替え又は損害賠償を求めたもの。解決金20万円で和解成立。

(1) 事案の概要
 買主Xは、平成15年1月、売主業者Yから新築マンションの一室を買い受ける売買契約を締結し、11月に引渡しを受け、入居した。Xは、内覧会の時点で、不具合が数十箇所見つかったので、Yに補修等の対応を求め、補修は行われたが、入居1週間前にリビングのサッシの内側に大小無数のキズを発見したため、施工会社Aに連絡し、X及びYの立会いのもと補修を行うようAに要請した。Aは、Yに相談することなく、入居1日前にXの同意も立会いも求めず独断でサッシのキズを補修した。
 ところが、入居後1か月も経たないうちにサッシの補修個所の塗装が剥げ始めてきたため、Aに、再補修とYへの連絡を要請したが、Yからは連絡がなかった。XはYの態度に不信感を持ち、Yに文書で対応策等を回答するよう求めたところ、Yは、文書は出せない、キズの補修はアフターサービスの2年問しかできないと回答した。
 そこでXは、Yに対して、サッシの取替えを基本に、キズの補修と金銭的補償をするよう主張した。
 これに対してYは、サッシの取替えはできない、本物件のキズのようなケースについては金銭補償ではなく、アフターサービス規準で対応すると主張したため、紛争になった。

(2) 事案の経過
 委員3名により5回の調整を行った。調整の過程で、Xは、(ア)入居前にAに専用庭の排水枡の工事をしてもらったが、その際バルコニー部分のサッシにキズをつけられた、(イ)XY立会いのもとで補修をするようAに依頼したが、AはXに立会いを求めることなく、勝手に部屋に入り補修をした、(ウ)補修後にサッシの塗装が剥げてきて、サッシの部材等に問題がないか心配である、(エ)サッシを再補修したうえ、金銭的な補償をしてほしい等と主張した。
 これに対してYは、(ア)サッシのキズは一旦補修をした、補修後にサッシにキズがあるということだが、排水枡の工事中にできたキズなのかははっきりしない、(イ)キズについてはアフターサービスの規準に従い補修をしたい、基本的には補修で対応するので、金銭的な補償は考えていない等と主張した。

(3) 和解の内容
 委員から、Xに対しては、サッシのキズは大規模な工事を行うほどの大きなものではなく、慰謝料や損害金を請求することは難しいこと等を説明し、Yに対しては、Xに対する補修対応の回答が遅れたこと等を指摘し、解決金20万円を提示したところ、両当事者の合意を得て、本件は和解に至った。

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