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タイトル:特定紛争ベランダの仕切板移設をめぐるトラブル

《要旨》
 中古マンションの買主がベランダの仕切板の位置がずれているとして移設を求めたもの、隣家が工事費の半額、買主は1万円、その余を媒介業者が負担することで和解成立。

(1) 紛争の概要
 買主Xは、平成19年2月、業者Yの媒介で、売主A(業者)から中古マンションを買い受けた。
 売買契約締結後、隣室との境界線上にあるはずの仕切板が、自室側にずれていることが判明し、XはAに対応を求めたが、勝手に移設はできないと対応してもらえなかった。そこで、Xは、Yと話し合い、Yは知人の工事業者に依頼すれば容易に移設できると判断し、「移設は引き受けます。」と約束した。しかし、現地を確認した工事業者から、「仕切板は経年劣化による強度不足等により、将来の安全性について責任が持てない。」と工事を断られてしまった。
 Yは、別の工事業者に仕切板の設置を依頼し、工事費用の見積額の1/2をXに負担するように求めた。しかし、Xは、約束が違うとしてこれに応じず、仕切板がずれていることにより、隣室側にある排水口に洗濯機の排水ホースが差し込めない、風呂場やトイレが隣室側に位置し、隣室側との間に視覚を遮るものがない等日常生活に不便や不安が生じている、工事費用はYが負担すべきだと主張して紛争となった。

(2) 調整の経過
 委員3名により4回の調整を行った。調整の過程で、Xは、Yが約束どおり、ベランダの仕切板を本来の位置に移設さえしてくれれば不満と問題は解消すると述べ、YがXに対し、費用を負担するよう一方的に強要したことで感情的になったが、X自身は全く費用を負担しないつもりではないと主張した。
 これに対してYは、仕切板の移設はサービス心でしたことで、仕切板に係る費用は本来はXと隣家が折半すべきなので隣家と交渉して了解を取った上で、Xに請求したものである。また、Xが行政庁に訴えたことで名誉を傷つけられたため、これまでに行った隣家との交渉費用や網戸の設置費用等を請求をしたが、応分の負担の用意はあると主張した。
 これを受けて委員は、Yに対して仕切板移設の見積り金額を再確認するよう要請し、Yは、Xから謝罪の表明が無い限り、本件移設工事にこれ以上関わりたくない等と主張していたが、委員の説得により、工事業者に連絡して当初の見積り金額に変更がないことを確認した。

(3)和解の内容
 委員から、工事見積り金額の半額をXの隣家が負担し、残りの半額と廃材処理費をXとYで負担する、そのうちXの負担は1万円とし、残余はYの負担とする旨の和解案を提示したところ、両当事者も同意し、本案件は和解に至った。

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