制作:国土交通省 |
運営:不動産適正取引推進機構 |
1 本システムは、これまでに発生した不動産取引をめぐる他のトラブル事例をもとに、消費者の皆様が、トラブルの未然防止や万一トラブルに発展した場合に円滑な解決が図れるよう、情報を提供するものです。 2 掲載内容は、①裁判事例、②国土交通省各地方整備局や各都道府県で宅建業者に対して行った行政処分、③(一財)不動産適正取引推進機構で調整した特定紛争処理案件の中から基礎的で有用と思われる事例を抽出し、項目ごとに整理したうえ、事案の概要や紛争の結末等について要約して記載しています。 |
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タイトル:裁判事例サブリース契約と借地借家法32条(賃料減額請求権)
最高裁判決 平成16年11月8日
(判例時報 1883号 52頁)
(判例タイムズ 1173号 192頁)
《要旨》
サブリース元来は、賃借人がさらに第三者に賃貸(転貸)
すること。不動産取引の場合、賃貸住宅のオー
ナーから管理会社等が一括して借り上げ、賃貸
経営を行う方式を指す。契約において借地借家法32条による賃料減額請求権の適用が認められたた事例
(1) 事案の概要
Xは、平成4年、Yと、一括借上げ賃料保証の予約を内容とする業務委託協定を締結し、当該協定にそって、Xがマンションを建築して、平成5年、Yを賃借人とすると次の内容の賃貸借契約を締結した。(ア)Yは第三者に転貸する、(イ)平成5年から20年間、(ウ)賃料月額927万円、(エ)2年毎賃料5%増額。なお、経済状況の著しい変動が生じた場合には、上記以上の増額をすることができると約定された。平成7年及び平成9年には、自動増額特約に基づき、各5%増額された。
Yは、平成11年と平成13年に、賃料減額の意思表示を行い、その後、借地借家法32条1項の規定に基づき、平成11年及び平成13年以降の減額後の賃料額の確認と、過払賃料等の返還を求め提訴した。これに対し、Xも、増額後の賃料額の確認を求め反訴した。
原審は、本件は共同事業契約の性質を有するものであって、借地借家法は全面的には適用されず、本件不減額の特約は本件契約の本質的部分であって減額請求できないとした。しかし、経済事情が著しく変動したので、賃料自動増額特約は適用されないとしたため、Yはこれを不服として上告した。
(2) 判決の要旨
(ア)本件契約は、建物の賃貸借契約であることが明らかであるから、借地借家法32条の規定が適用されるべきものである。
なお、本件業務委託協定及びこれに基づき締結された本件契約中の賃料自動増額特約に係る約定の存在は、契約締結当初の賃料額を決定する際の重要な要素となった事情と解されるから、賃料減額請求の当否及び相当賃料額の判断において十分に考慮されるべきである。
(イ)本件契約への借地借家法32条1項の規定の運用を極めて制限的に解し、賃料減額請求権の行使を認めることはできないとした原審の判断には、判決の結論に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるので、Yの賃料減額請求の当否等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき、本件を原審に差戻すこととする。
(3) まとめ
いわゆるサブリース元来は、賃借人がさらに第三者に賃貸(転貸)
すること。不動産取引の場合、賃貸住宅のオー
ナーから管理会社等が一括して借り上げ、賃貸
経営を行う方式を指す。契約に関する借地借家法32条1項の適用については、従来、その適用を認めるものと認めない裁判例があった。本判決では、建物賃貸借契約であることが明らかであり、同条項は強行法規(きょうこうほうき)
法律の規定のうち、当事者がそれと異なる。だから、賃料自動増額特約や賃料保証特約により、直ちに同条項による減額請求を否定されることはないとした上で、減額請求の当否や相当賃料額を判断する場合には、衡平の見地に照らして、これらの特約の存在は、重要な事項として十分考慮されるべきであるとしている。
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