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タイトル:裁判事例オフィスビルの賃借人による原状回復

東京高裁判決 平成12年12月27日
(判例タイムズ 1095号176頁)

《要旨》
 オフィスビルの賃貸借契約においては、賃借人が原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。
条項に基づき、通常損耗をも除去し、賃借当時の状態にまで原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。
して返還する義務があるとされた事例

(1)事案の概要
 Xら(出版会社等)は、平成5年3月、Yが新築したオフィスビル(7階)の貸室を保証金1,200万円を支払って借り受け、平成11年1月に当該賃貸借契約を解約した。
 Xらは保証金から約定の償却費、未払賃料のほか、Xらが自認する原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。
費用を控除した残額の返還請求訴訟を提起したところ、Yらは、償却費、未払賃料等及び原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。
費用の合計額は、保証金の額を大幅に上回るとして不足額651万円余の支払を求めて反訴を提起した。
 第一審は、Yの請求について、41万円余を限度として認容する判断を示したが、Yは控訴し、Xが附帯控訴を行った。

(2) 判決の要旨
 (ア)本件賃貸借契約における原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。
条項では、「本契約が終了するときは、賃借人は賃貸借期間終了までに造作その他を本契約締結時の原状に回復しなければならない。」、「本条に定める原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。
のための費用の支払は保証金償却とは別途の負担とする。」等と記載されている。オフィスビルの原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。
費用は、賃借人の使用方法によっても異なり、損耗状況によっては相当高額になることがあるが、使用方法により異なる費用負担は賃借人が負担することが相当であるので、一般にこのような特約がなされる。
 (イ)賃借人の入居期間は賃貸人に予測することは困難であるため、適正な原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。
費用をあらかじめ賃料に含めて徴収することは現実的には不可能であり、賃借人が退去する際に、賃借時と同等の状態まで原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。
させる義務を負わせる旨の特約を定めることは、経済的にも合理性があると考えられる。
 (ウ)建設省(現 国土交通省)の「賃貸住宅標準契約書」は、賃借人は、通常損耗を除き原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。
しなければならない旨規定しているが、この条項は居住者である賃借人の保護を目的とするものであり、市場性原理と経済合理性の支配するオフィスビルの賃貸借には妥当するとは考えられない。
Xらは、本件原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。
条項に基づき、通常損耗をも除去し、賃借当時の状態に原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。
して返還する義務がある。
 (エ)Xらは、未払賃料、原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。
費用等の合計1,306万円余から、Xらに返還される保証金1,200万円から消費税込みの償却費189万円を控除した1,011万円の差額295万円余を支払う義務がある。

(3) まとめ
 本判決は、市場原理と経済合理性の支配するオフィスビルでは、賃借人の保護を必要とする民間賃貸住宅とは異なり、賃借人は、通常の使用による損耗、汚損をも除去し、建物を賃借当時の状態にまで原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。
して返還する義務があるとの判断を明解に示した事例である。

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