制作:国土交通省 |
運営:不動産適正取引推進機構 |
1 本システムは、これまでに発生した不動産取引をめぐる他のトラブル事例をもとに、消費者の皆様が、トラブルの未然防止や万一トラブルに発展した場合に円滑な解決が図れるよう、情報を提供するものです。 2 掲載内容は、①裁判事例、②国土交通省各地方整備局や各都道府県で宅建業者に対して行った行政処分、③(一財)不動産適正取引推進機構で調整した特定紛争処理案件の中から基礎的で有用と思われる事例を抽出し、項目ごとに整理したうえ、事案の概要や紛争の結末等について要約して記載しています。 |
最新の情報については、
「RETIO判例検索システム」
「特定紛争案件検索システム」
「ネガティブ情報等検索サイト」(国土交通省)
「不動産のQ&A」
をご活用ください。
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トラブル事例大項目:競売等に関するもの | トラブル事例中項目:競売等に関するもの | トラブル事例小項目: |
タイトル:特定紛争競売物件を任意売却した際の費用清算
《要旨》
売主が媒介業者に対して代金から経費等を差し引いた残金の支払を求めたもの、媒介業者が建物解体業者への損害金等を差し引いた残金を売主に支払うことで和解。
(1) 紛争の概要
Xは、金融機関に対する返済等の不履行により、その所有物件(宅地216平方メートル)に対して、平成14年5月、競売(けいばい)
債権者が裁判所を通じて、債務者の財産(不動産)
を競りにかけて、最高価格の申出人に対して売却し、
その売却代金によって債務の弁済を受けるという
制度のこと。開始手続を受けた。
媒介業者Yはその事実を知り、本物件を任意売却した方がよいと熱心に勧め、Xはその勧めに応じることとした。
Xは、債権者の同意を得て、同年6月、Yに対して、本物件の売却依頼をすることとし、Yと専任媒介契約(せんにんばいかいけいやく)
媒介契約の一形式で、依頼者が他の宅建業者に
重ねて媒介を依頼することが禁止されている契約のこと。 を締結した。
その結果、Yの媒介により、同年9月、買主Aとの間で代金 6,200万円とする売買が成立し、同日売買契約を締結した。なお、売買代金についての清算はYがXに代わって行うこととされた。Yは、同年11月、預かった売買代金で金融機関等との債務を清算し、Aに対して、所有権移転登記手続を行い、翌12月、媒介報酬(ばいかいほうしゅう)
宅建業者の媒介により、売買・交換・
貸借契約が成立した場合に、宅建業者
が媒介契約にもとづき、依頼者から
受け取ることができる報酬のこと。を含め、本物件の売却に伴う諸経費等の清算が行われ、取引が終了した。
そこで、Xが売買代金から全ての諸経費を差し引いた残額 157万円の支払をYに請求したところ、Yは、本物件の売却に当たっては、別途経費(解体業者への損害金等)がかかったとして、90万円しか支払わず、Xが未払金68万円の支払を求めて紛争になった。
(2) 調整の経過
委員3名により3回の調整を行った。調整の過程で、Xは、「Yから所有物件を任意売却しないかと熱心に勧められて、Yに専任媒介を依頼したが、報酬以外に特別な費用(債権者等との交渉等)がかかるという話はなかった。売買代金は決済され、報酬も全額支払った。残金 157万円を受領する約束だったが、Yは90万円しか払わない。売買契約が更地引渡しを条件としていたので、解体業者による工事が開始されたが、同業者が工事を一時中断(理由は不明)し、Yは解体業者への工事中断の損害金25万円等特別な費用がかかったとし、それを差し引いた残金の支払を主張している。しかし、工事は解体業者の都合で中断したものであり、解体業者には工事代金を全額支払っている。また、Yはその他に債権者等との交渉に要した日当等の費用があるとしているが、これらの費用は媒介報酬(ばいかいほうしゅう)
宅建業者の媒介により、売買・交換・
貸借契約が成立した場合に、宅建業者
が媒介契約にもとづき、依頼者から
受け取ることができる報酬のこと。額に含まれ、差引きの理由がない。」と主張した。
これに対してYは、解体業者の工事中断はXに原因(支払条件の相違)があって一時中断したものである、Yが解体業者に損害金を支払うことで工事再開の了解がとれたもので、このことはXに連絡し了解済みである、解体業者へ支払った損害金25万円の費用については譲れない等と主張した。
(3) 和解の内容
委員から、残額67万円から解体業者へ支払った損害金25万円を差し引いた42万円をYがXに支払うよう提示したところ、両当事者が納得し、和解に至った。
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