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タイトル:裁判事例保証協会に対する認証請求が否認された事例

松山地裁判決 平成17年7月14日
(ホームページ下級裁主要判決情報)

《要旨》
 宅地建物取引業保証協会(たくちたてものとりひきぎょうほしょうきょうかい)
宅建業者を社員として、国土交通大臣の指定
を受けた社団法人であって、社員の宅地建物
取引業に係る取引に関する苦情の解決及び
取引により生じた債権の弁済等が主な業務内容である。
への認証申出人と売主業者との間には、売買契約が締結され手付金が授受された事実を認めることはできないとして、認証請求が棄却された事例

(1) 事案の概要
 一般廃棄物の処理等を営む法人Xは、平成9年4月、宅地建物取引業者Aから土地を代金6,200万円で買い受ける売買契約を締結し、同日、手付金1,500万円を支払ったが、Aが土地引渡を履行できなかったため本件売買契約を解除したところ、手付金が返還されないとして、平成10年8月、宅地建物取引業保証協会(たくちたてものとりひきぎょうほしょうきょうかい)
宅建業者を社員として、国土交通大臣の指定
を受けた社団法人であって、社員の宅地建物
取引業に係る取引に関する苦情の解決及び
取引により生じた債権の弁済等が主な業務内容である。
Yに対して、債権額1,500万円として認証の申出をした。しかし、Yは、平成12年4月、「申出債権の立証が困難である」との理由で認証の拒否をした。そこで、Xは、認証限度額1,000万円について認証を求め提訴した。

(2) 判決の要旨
 (ア)Aとの甲土地の売買契約書における、手付金1,500万円と残代金4,500万円の合計額が、売買代金6,200万円と一致しない。また、X代表者は甲土地がCの所有であることを知っていたのに、AとCとの売買契約の内容を確認していない。これは、非常に不可解である。
 (イ)X代表者は、平成9年4月、Aから、別件の甲土地の手付金1,500万円を本件土地に流用することを持ちかけられ、領収書をそれに沿うように訂正したと述べるが、誰が訂正したのか覚えていないというのは不自然である。また、X代表者は、平成9年5月、Cに甲土地の代金として6,200万円を支払ったというが、売買契約書や領収書等も提出されていない。AからX宛の6,200万円の領収書はあるが、何のために作成されたのか不明である。
 (ウ)XとAとの間で何らかの金員の授受がなされていた可能性はあるが、CからXに対し、甲土地及び本件土地について、売買を原因とする所有権移転登記がなされていることからすれば、XとCとの間で土地の売買契約が締結されたことは推認できるものの、XとAとの売買契約の締結、手付金の授受その他については、X主張の事実を認めるに足りる的確な証拠はない。

(3)まとめ
 本判決は、Xと宅建業者Aとの間の手付金授受の事実は認められないとして、Yの認証拒否の判断は正当であるとした。

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