タイトル:処分事例住宅の建築ができない土地の売買

《要旨》
 市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)
都道府県が、都市計画区域の中で定める区域。
市街化調整区域に指定されるのは、
建築物の密度が低い地域である。市街化調整区域では、
少数の例外を除いて住宅等の建築が禁止されている。
の土地の売買において、住宅の建築ができないことの説明を怠ったとして、媒介業者が2か月間の業務停止処分とされた。

(1) 事実関係
 買主Xは、業者Yの媒介で、市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)
都道府県が、都市計画区域の中で定める区域。
市街化調整区域に指定されるのは、
建築物の密度が低い地域である。市街化調整区域では、
少数の例外を除いて住宅等の建築が禁止されている。
に所在する土地8区画のうち2区画について、代金3,100万円で売買契約を締結し、手付金300万円を支払った。
 Xは、自己用住宅を建築することを目的としていたが、建物建築資金のため金融機関へ融資を申請したところ、売買契約書の特約事項に「児童デイサービスとして許可されたものである。」と記載があったため、融資を断られた。Xは別の金融機関にも融資の申請をしたが、同様の理由により融資を断られ、その金融機関の担当者が市役所の建築課に確認したところ、自己用住宅が建築できないことが発覚した。なお、売主は、全体の区画で1棟の児童デイサービスとして都市計画法43条適用除外届出書を市役所に提出し受理されたが、8区画に区画割りした児童デイサービスは市役所から拒否されている。Xは、相談のため行政庁に来庁した。

(2) 事情聴取
 行政庁で、Yに事情を聴いたところ、Yは「本件取引は児童デイサービス施設を建設し、そのオーナーとなることを目的とした土地の売買であり、専用住宅の建築を前提としたものではない。また、本件取引では媒介契約書(ばいかいけいやくしょ)
宅建業者は、媒介契約を締結したときは、遅滞なく、
一定の事項を記載した書面を作成し、
依頼者(売主・買主・貸主・借主)に交付しなければならない。
この書面を「媒介契約書」と呼んでいる(宅建業法第34条の2第1項)
。媒介契約書に記載されるべき事項は詳細に法定されている。
の交付はしなかった。」と述べた。Xの関係者には児童デイサービス事業の運営に必要な都道府県知事の指定もなく、当該施設を本件土地に建築することはできないものであった。

(3) 処 分 
 行政庁は、Yは、(ア)土地の売買を媒介する契約を締結したにもかかわらず、宅建業法34条の2第1項に規定する書面(媒介契約書(ばいかいけいやくしょ)
宅建業者は、媒介契約を締結したときは、遅滞なく、
一定の事項を記載した書面を作成し、
依頼者(売主・買主・貸主・借主)に交付しなければならない。
この書面を「媒介契約書」と呼んでいる(宅建業法第34条の2第1項)
。媒介契約書に記載されるべき事項は詳細に法定されている。
)の交付を怠った、(イ)Xが専用住宅を建築するという購入目的を知りながら、市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)
都道府県が、都市計画区域の中で定める区域。
市街化調整区域に指定されるのは、
建築物の密度が低い地域である。市街化調整区域では、
少数の例外を除いて住宅等の建築が禁止されている。
に所在する本件土地においては、都市計画法29条1項または43条1項の規定に基づく許可が必要であることの説明を怠った、(ウ)Xには同法34条各号のいずれかに規定する開発行為(かいはつこうい)
主として建築物の建築または特定工作物の建設の
用に供する目的で行なう、土地の区画形質の変更をいう。
の許可基準または同法施行令36条1項3号ホに規定する建築行為の許可基準を満たす要件がないことから専用住宅の建築ができないことを知りながらその説明を怠ったとして、Yを2か月間の業務停止処分とした

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