トラブル事例大項目:重要事項説明に関するもの トラブル事例中項目:土地建物の問題点 トラブル事例小項目:

タイトル:処分事例前面道路の説明の誤り

《要旨》
 接道している道路が実際は私道を含んでいるのに公道である旨の説明をした等として、媒介業者が20日間の業務停止とされた。

(1)事実関係
 Xは、業者Yの媒介で、中古の土地付建物を買い受けた。当該物件は坂下にあるが、その後、大雨の時に上の道路から水が流れてくるため、Xは、市道と聞いていた前面道路について市役所へ対策を求めたところ、そこは私道であり、市で対応はできないと言われた。
 Xは、改めて、重要事項説明書を見ると、当該地域が宅地造成工事規制区域(たくちぞうせいこうじきせいくいき)
宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの著しい
区域であって、知事(または政令市・中核市
・特例市の市長)が指定した区域のこと。
宅地造成工事規制区域は、市街地または市街地
になろうとする土地で指定される。
内であることの記載がないこと、敷地が道路に2mしか接していないのに4m接していると記載されているなど誤りがあり、さらに、検査済証(けんさずみしょう)
建築工事が完了した建築物について、建築主事等は、
検査の申請を受理した日から7日以内に、当該建築物
について工事完了検査を行なわなければならない。
この工事完了検査に合格した場合に、交付される書面
が「検査済証」である。 
は隣の物件のものであることがわかった。

(2)事情聴取
 行政庁で、Yに事情を聴いたところ、Yは、「地積測量図では公道となっていたので公道と説明した。宅地造成工事規制区域(たくちぞうせいこうじきせいくいき)
宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの著しい
区域であって、知事(または政令市・中核市
・特例市の市長)が指定した区域のこと。
宅地造成工事規制区域は、市街地または市街地
になろうとする土地で指定される。
かどうかは不明である。」などと述べた。
 行政庁で調べてみると、前面道路は2項道路(にこうどうろ)
建築基準法第42条第2項で定められた建築
基準法上の道路なので一般にこう呼ばれる。
みなし道路ともいう。昭和25年11月23日以前
から建物が立ち並んでいる幅員4m未満の道で
特定行政庁(知事や市長)が指定したものは
建築基準法上の道路とみなされ、道路の中心線
から2m後退したところに道路境界線があるとみなされる。 
で、セットバック敷地の前面道路が2項道路の場合、その中心線
から2m後退した線が道路の境界線とみなされ、
敷地の一部が道路部分(セットバック部分)
とみなされる。
部分に私道を含んでいること、敷地は宅地造成工事規制区域(たくちぞうせいこうじきせいくいき)
宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの著しい
区域であって、知事(または政令市・中核市
・特例市の市長)が指定した区域のこと。
宅地造成工事規制区域は、市街地または市街地
になろうとする土地で指定される。
内にあること(建築には支障ない)等が判明した。また、Yの専任の取引主任者宅建業者は、その事務所ごとに、その業務に
従事する者の数に応じて5名に1名以上
(国土交通省令で定める場所にあっては1名以上)
の成人である専任の取引主任者を置かなければ
ならない。専任とは、もっぱらその事務所に
常勤し、通常の営業時間に執務している状態をいう。
について適正な届出がなされていないことも判明した。
 売主側の業者Zは、「検査済証(けんさずみしょう)
建築工事が完了した建築物について、建築主事等は、
検査の申請を受理した日から7日以内に、当該建築物
について工事完了検査を行なわなければならない。
この工事完了検査に合格した場合に、交付される書面
が「検査済証」である。 
は、売主からもらったものをそのまま渡したが、まさか隣のものが入っているとは思わなかった。」などと述べた。

(3)処 分
 行政庁は、Yは、土地付建物売買の媒介において、買主に当該物件が宅地造成等規制法の制限を受ける区域であることの説明をしなかった、接道している道路が実際は私道を含んでいるのに公道である旨の説明をした、重要事項説明書に道路に関する事項の記載を誤った、専任の取引主任者宅建業者は、その事務所ごとに、その業務に
従事する者の数に応じて5名に1名以上
(国土交通省令で定める場所にあっては1名以上)
の成人である専任の取引主任者を置かなければ
ならない。専任とは、もっぱらその事務所に
常勤し、通常の営業時間に執務している状態をいう。
が退社したのに適正な届出を行わなかったとして、Yを20日間の業務停止処分とした。
 また、Zは、当該物件について誤った重要事項の説明をした、重要事項説明書に記載漏れがあったとして、指示処分(しじしょぶん)
国土交通大臣または都道府県知事は、その
免許を受けた宅建業者が宅建業法65条1項の
規定に該当するときは(都道府県知事は、
国土交通大臣又は他の知事の免許を受けた
業者であってもその都道府県の区域内で行う
業務に関し同条の規定に該当するときは)、
その宅建業者に対して必要な指示をすることができる。
とした。
 なお、Yについては、その後、この業務停止期間中に土地付建物の売買契約を締結したことその他の業法違反があったため、免許取消処分となった。

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