制作:国土交通省 |
運営:不動産適正取引推進機構 |
1 本システムは、これまでに発生した不動産取引をめぐる他のトラブル事例をもとに、消費者の皆様が、トラブルの未然防止や万一トラブルに発展した場合に円滑な解決が図れるよう、情報を提供するものです。 2 掲載内容は、①裁判事例、②国土交通省各地方整備局や各都道府県で宅建業者に対して行った行政処分、③(一財)不動産適正取引推進機構で調整した特定紛争処理案件の中から基礎的で有用と思われる事例を抽出し、項目ごとに整理したうえ、事案の概要や紛争の結末等について要約して記載しています。 |
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トラブル事例大項目:貸借人の原状回復 | トラブル事例中項目:原状回復費用 | トラブル事例小項目: |
タイトル:裁判事例小規模事務所の賃貸借における原状回復費用
東京簡裁判決 平成17年8月26日
(ホームページ下級裁主要判決情報)
《要旨》
マンションの1室を事務所として借り受けた賃借人が敷金(しききん)
建物の借主が、賃料の滞納や不注意等による
物件の損傷・破損等に対する修復費用等の損
害金を担保するために、契約時に貸主に預け
入れるもの。の返還を求めた事案において、実態において居住用の賃貸借と変わらないとして、敷金(しききん)
建物の借主が、賃料の滞納や不注意等による
物件の損傷・破損等に対する修復費用等の損
害金を担保するために、契約時に貸主に預け
入れるもの。全額の返還を認めた事例
(1) 事案の概要
賃借人Xは、事務所用として面積34.64平方メートル のマンションの1室を期間2年で借り受け、敷金(しききん)
建物の借主が、賃料の滞納や不注意等による
物件の損傷・破損等に対する修復費用等の損
害金を担保するために、契約時に貸主に預け
入れるもの。25万円余を支払った。4回の更新を重ね、平成16年11月、Xは賃貸人Yに賃貸借契約の解除を通知し、建物を引き渡した後、Yに対して敷金(しききん)
建物の借主が、賃料の滞納や不注意等による
物件の損傷・破損等に対する修復費用等の損
害金を担保するために、契約時に貸主に預け
入れるもの。全額の返還を求めたが、Yが返還に応じないことから、Xは訴訟を提起した。
これに対してYは、本件賃貸借契約は、対象物件を事務所用として賃貸したものであるから、居住用賃貸借契約とは異なり、本件賃貸借契約書の「造作その他を賃借人負担において契約締結時の原状に回復させる」という条項はそのまま適用されるべきであり、本件における原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。費用は40万円余であるから、これを敷金(しききん)
建物の借主が、賃料の滞納や不注意等による
物件の損傷・破損等に対する修復費用等の損
害金を担保するために、契約時に貸主に預け
入れるもの。に充当すると、Xに返還すべき敷金(しききん)
建物の借主が、賃料の滞納や不注意等による
物件の損傷・破損等に対する修復費用等の損
害金を担保するために、契約時に貸主に預け
入れるもの。は存在しないと主張した。
(2) 判決の要旨
(ア)Yが参考として挙げる東京高裁平成12年12月27日判決は、賃借人の保護を必要とする民間居住用賃貸住宅とは異なり、市場性原理と経済合理性の支配するオフィスビルの賃貸借では、賃借人の建物の使用方法によっても異なり得る原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。費用を、あらかじめ賃料に含めて徴収する方法をとらずに賃借人が退去する際に賃借人に負担させる旨の特約を定めることは、経済的にも合理性があると説明する。当裁判所もオフィスビルの賃貸借契約においては、このような原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。特約の必要性についてはそれを肯定するものである。
(イ)前記判例における賃貸物件は保証金1200万円という典型的オフィスビルで新築物件であるのに対し、本件物件は、居住用の小規模マンションであり、築年数も20年弱の中古物件である。また、本件賃貸借契約はその実態において居住用の賃貸借契約と変わらず、これをオフィスビルの賃貸借契約と見ることは相当ではない。したがって、オフィスビルの賃貸借契約を前提にした特約をそのまま適用することは相当でないというべきであり、本件賃貸借契約はそれを居住用マンションの賃貸借契約と捉えて、原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。費用は、いわゆるガイドライン国土交通省が取りまとめた「原状回復をめぐる
トラブルとガイドライン」(平成16年2月改定)のこと。にそって算定し、敷金(しききん)
建物の借主が、賃料の滞納や不注意等による
物件の損傷・破損等に対する修復費用等の損
害金を担保するために、契約時に貸主に預け
入れるもの。はその算定された金額と相殺(そうさい)
2人の者が互いに相手に対して同種の債権を
持っているとき、相手方への意思表示によって
その債務を対当額で消滅させることをいう。されるべきである。
(3) まとめ
本判決は、事業用の賃貸借であれば、どのような場合にでも平成12年12月27日の東京高裁判決(別掲)の考え方が適用になるものではないことを示し、本件のような事務所の賃貸借契約の場合は、その実態において居住用の賃貸借契約と変わるものではないのであるから、原状回復(げんじょうかいふく)
ある事実が無かったとしたら本来存在したで
あろう状態に戻すことをいう。費用の算定は、「ガイドライン国土交通省が取りまとめた「原状回復をめぐる
トラブルとガイドライン」(平成16年2月改定)のこと。」に沿って行うべきであることを判示したものである。
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